「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
タテヨコ・ヨコタテ・・・・・・アスペクト比について

分かりやすくイメージサークルとアスペクト比を表した図

https://zoorel.comより

 MFTに乗り換えて何が大きく変わったか?っちゅうたら、実は標準アスペクト比の違いが一番なんぢゃないかと思う。画質だの暗所耐性だの外野の雑音はかますびしいが、ぶっちゃけ他の点ではあんまし変わらないってコトが分かって来た。大騒ぎしてスンマセン。

 ではアスペクト比とは何どいや!?っちゅうて即答できる人はそうはいないと思われる。調べてみたら、矩形の短辺を1とした時の長辺の長さのコトらしい。しかし一般的には長辺:短辺の比で示される。
 これがMFTは4:3(1.33:1)、対して他のフルサイズやAPS−Cは3:2(1.5:1)となってる。こう書くとMFTが少数派に思えてしまうが、実は画像は圧倒的にこっちの方が多い。スマホやコンデジの撮像子は殆どがこの4:3なのである。
 アスペクト比については言い出すとキリがない。昔の二眼レフなんて6:6(1:1)だったし、名前にもなったペンタ67は7:6だった。最近のデジタル放送やパソコンなんかでは16:9(1.78:1)とエラく横に長いのが一般的だし。何だか乱立してて良く分かんねぇなぁ〜、っちゅう風に思えるが、ルーツはライカ判と呼ばれる3:2にあるみたいだ。3:2っちゅうことは6:4だから半分にすれば4:3・・・・・・ハーフサイズカメラの伝統は意外なところに生き残ってたワケやね。16:9はそんな4:3がベースでその累乗比になってる。

 では昔、銀塩カメラが主流だった頃に、街のDPEは3:2で焼いてくれてたんか?っちゅうたら実はそんなことはなくて、黙ってフツーに出すと、「サービス版」っちゅうてちょっと左右が詰められた写真になって帰って来るのが一般的だった。これ、アスペクト比にすると7:5(1.4:1)である。多分ネガの左右の端っこがマトモに写ってなかったり、A4やB5といった紙のサイズとはホンの僅かの差(1.414≒√2:1)だけのほぼほぼ同じアスペクト比で親和性が高かったことから生まれた考え方だろうと思う。

 ・・・・・・だんだんと付け焼き刃がバレそうなんで能書きはこれくらいにしときます。ともあれ今回はそんなアスペクト比について個人的な感想を書きトバそう、っちゅうのが趣旨で、軽〜くお付き合いいただければと思う。

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 実のところ、銀塩からコンデジに乗り換えた時はあまりアスペクト比の変化が気にならなかった。ヨコ位置で言うなら、なんかタテの寸法がちょっとばかし伸びたかなぁ〜?まぁ、何となく画面の情報量が増えてエエやんか、くらいに思っており、ワリと自分の中では4:3を好意的に受け止めてたような記憶がある。つまり、「左右が詰まった」っちゅうよりは「上下が少し伸びた」ようにおれには感じられたのだった。
 過去のギャラリーで言うと1997年あたりが銀塩での最後の時代だと思う。実は現像したものはサービス版なので7:5、ギャラリーはスキャナでネガを読み込んでるので3:2になってるってだけで、撮ってる本人はそんなに長辺が長いと思ってないんですわ。そっから数年は暗黒のAPSで間を挟んで、2000年頃に初めてのデジカメを買った。なぜかこの頃のはタテ位置で撮影したのがサイトに上げると正方形に上下を削られてしまうという問題があって、多分初期のサイバーショットの記録方式に問題があったのではないかと思うが、今となってはどうしようもないんでそのままにしてる(ちなみに原版のファイルではちゃんとアスペクト比が保たれてる)。ともあれそこから10年くらいはバシバシと何ぁ〜んも考えず4:3で撮ってた。レンズの焦点距離なんてのも一切考えたことなかったし、そもそも小さなコンデジの撮像子で35mm換算とか考えるだけ面倒だったし。

 そして2011年の春過ぎくらいからデジイチの世界に足を踏み入れて、上記のように偶発的ではない3:2の世界に入ることになる。ぶっちゃけその印象は「妙に細長いな〜」だった。いやまぁ、風景をヨコ位置で撮るならちょっとワイド画面っぽくてまだ良いのだけど、タテ位置だと細長過ぎて構図云々以前にどうにも落ち着きがないような気がしたのだ。
 実はその気持ちは今でも変わってなくて、たまにやるトリミングでもタテ位置でアスペクト比を保ちながら削り落とすのはちょっとイラッとさせられることが多い。ヨコ位置にしたって、風景を広角で捉えるんならともかく、中望遠でのアップのポートレートなんて、ハッキシ言って左右が間延びしてて少々ウザく感じることが多い。

 そうなのだ。一眼に移行して約10年、3:2のアスペクト比にはズーッと違和感を感じながら使って来た、っちゅうのが忌憚のないトコなのである。この3:2こそが一眼らしさなんだ〜っ!ってドヤ顔で語られる御仁もいらっしゃるみたいだが、個人的にはそんなに良いアスペクト比にはどうしても思えない。

 ならば最初からカメラの設定で別のアスペクト比選べばいいぢゃんかよ!って思われるかもしれないが、それも何かイヤだった。レンズと撮像子を目一杯使って3:2になるように設計してあんだから(他は要は撮影段階で長辺・短辺を削っちゃうのだ)、その通りに使わんのは何となくフェアぢゃないような気がしたのだ・・・・・・F1のレギュレーションかよ?(笑)。

 良く分からん律義さで、これまでそうしてアスペクト比3:2をキッチリ守って来たのだった。ちょっとどころか大分アホだな、おれ。

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 MFTに移行して、撮った画像を見た最初の印象は「随分とズングリしてるなぁ〜」だった。何だかんだで3:2に馴染んでしまってたんだろう。
 たしかに3:2と4:3では短辺を固定して考えると長辺の長さは1割以上短くなるのだから当然だろう。スノボなんて159cmが155cmになっただけでもメッチャ短く感じる・・・・・・って較べるものが違うよね(笑)。ヨコ位置で言うと以前は上下の情報量が増えたように感じた4:3が、今回は左右の情報量が減ったように思えるんだから人間とは実に身勝手な生き物だ。

 もう一つ気付いたことがある。今回置き換えと同時に買ったレンズは35mm換算が24−200mmで、これまで多用してた24−120mmとテレ側は同じ・・・・・・のハズなんだけど、どうもファインダー越しに見ても、実際に撮ったの見ても、ちょっと画角が狭く感じてしまうのだ。広がりが今一歩足りない。これは広角大好きなおれとしては少々どころか大誤算だった。
 ここに意外な4:3の落とし穴がある。2つのレンズの画角はなるほど対角線で見れば全く同じ84度なんだけど、3:2で横長だと横方向に長い分、広角が強調され、4:3だと逆にちょっと狭くなる。数学に強い方なら三角関数を駆使して長辺方向の角度を算出していただければ分かるかと思う・・・・・・ハハ、気になって探してみたら計算してくれるサイトがあるやんか。3:2だと73.7度、4:3だと71.5度だってさ。何と2度以上の違いがあるんだな。こりゃ結構大きいが、感覚的にはもっと大きい気がするぞ。気のせいか?

 おそらく「随分とズングリしてるなぁ〜」って第一印象には、見た目のプロポーションだけでなく、この長辺方向の画角の狭さも影響してたんだろう。気になってあれこれネットを漁ってみると確かに出て来るんですわ、これが。「広角感があまり大袈裟に感じられないところが・・・・・・」とか、おい!ホメてんのかケナしてんのかどっちやねん!?って言いたい。広角は大袈裟に感じられてこその広角ちゃうんかい!?
 「MFTは望遠に強い」ってのはレンズの大きさだけではなかったのだ。基本仕様のアスペクト比ゆえに広角域があと一息狭い、っての・・・・・・おいおい〜、誰か事前に教えてくれよぉ〜。

 ただ、良い所ももちろんある。MFTで電子制御の入ったレンズだと予め歪み補正までもがプリセットで組み込まれてるみたいで、広角に付き物の歪みや不自然さが随分と軽減されてる。どうやらMFTはトリッキーに撮るよりも人間の視界に写った事物を事物のままのフォルムで記録する、っちゅう点では優れてるのかも知れない。もちろんタテ位置で撮った時の据わりの良さみたいなんは3:2より扱いやすく感じる。

 何を言いたいか?っちゅうと3:2でも4:3でも一長一短あって、どっちもちょっと収まりが悪いんぢゃないか?ってコトだ。逆に言えば、道具に上手く自分をフィックスさせてくしかない。コロナ騒ぎでちょっと世の中がバタついてるんで少し先になるだろうけど、次は7−14mmでも買うことにしよう。換算14−28mmだからこれまで使ってた16−35mmよりも断然画角は広い。或いはフィッシュアイにでも手を出してみるかな?

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 こうして考えてくと、紙のサイズの1.414:1、ってのは実によく出来てると思う。どれだけ半分に折ってってもアスペクト比が変わらない・・・・・・っちゅうのはともかくとして、3:2ほど横に間延びしておらず、4:3よりはシュッとしてる。ヨコ位置でもタテ位置でもひじょうにバランスの良い比率のように思えるし、見慣れてるので安心感もある。今から思えば銀塩時代のサービス版のアスペクト比って、実は最強だったのかも知れない。

 だからどこか7:5っちゅう画像フォーマットを提唱してくれませんかねぇ?おらぁ乗っても良いよ。

2020.03.09

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