「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
腰に来る!・・・・・・フルサイズ一眼の功罪


APS-Cでは驚異の軽さ、EVFもボディ内手ブレ補正も付いて410g!・・・・・・SONY"α6500"

 フルサイズに移行して、ホント、写真が空気まで写し取るような一瞬があるってコトを身を以て知った気がする。如何せんウデが未だにサッパリなんで百発百中ってワケには行かないけど、たまに何なんだろこれ!?っちゅうくらいに二次元の平面なのにまるで3Dトリックアートのように深い奥行きを伴う写真が撮れる時があるのだ。

 何度も書いてるように、そんなに良いレンズは所有してない。専ら使ってるのは金帯ナノクリNレンズとはいえF4の小三元なんだし、まぁ通しってだけで携帯性重視の平凡で中庸なグレードのモノだ。単焦点だってF1.4なんてスゲェのは持ってない。F1.8の一般的な明るさのだから全然大したことない。
 それでも驚くほど高精細で深みのある写真が撮れることからすると、やはり撮像素子のデカさってすごく重要なんだろう。

 今ではフルサイズにもエントリー機が増えて来てるし、気合い入れて撮るっちゅうんなら初めからフルサイズ買ってもちっともおかしい話ではないと思う・・・・・・でも、でもなんですわ。

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 やはりどうしてもAPS-Cやそれより小さなマイクロフォーサーズ等と比べると全体に重いのである。ズーム付きのコンデジと比べたら10倍くらい重いんちゃうやろか?ボディも重けりゃレンズも重い。そしてその重量に耐えるには三脚だってゴツいのを買わにゃならん。無論、コスト的にも重くなるんだけど、それは覚悟の上だから四の五の言う気はないが、この重量にはぶっちゃけ段々辟易してくる。

 それで先日エラい目に遭った。奥多摩に行ったときの話だ。日原鍾乳洞の手前から倉沢の大ヒノキ目指してえっちらおっちら、シンクタンクのショルダーバッグを肩に掛けて登って行って、さらに石灰鉱山の上部に回り込もうとして・・・・・・来た。
 言うまでもなくギックリ腰の前駆症状である。何となく腰の後ろの方が急に重くなってピクピク痙攣するような感覚と疼痛が同時にやって来たのだった。このまま迂闊にヘンな姿勢を取れば間違いなくギックゥ〜ッ!って発症する。そうなると文字通り身動きが一切取れなくなる。しかしここは急な山の斜面だ。そう、さっきまであった筈の山道がフッと消え、上を見ると数m上になぜか道がある。今更引き返して分岐まで戻るのもなぁ〜、と落ち葉で滑る斜面を木の根を掴んで上がろうとしてる、正にその時だったのである。

 その時に感じた恐怖はギックリ腰になった人でないと分からないと思う。いやもう、今際の際のようにいろんな考えが頭を駆け巡りましたよ。嗚呼、ショルダーぢゃなくダカインのフォトリュックにしときゃ良かった!とか、横着して肩に掛けずもっとストラップを頭から被って斜にしてカバンをピッタリ背中に回しときゃ良かった!とか、日原は東京都内とは思えないくらいに急峻な地形であることを先日「山さ行がねが」で読んだばっかしだったんだ!とか、このまま谷底までまくれ落ちちゃうのかな?とか、何でこんなしょうもない状況でおらぁもがいてんだ!?とか、ケータイは繋がるかな?とか・・・・・・。
 それでも、なるだけ腰を捻らぬよう、少しづつよじ登ってったらようやっと山道まで上がることができたのだった。取り敢えず危機は脱した。寒いのに全身脂汗をかいて、ゼーゼーと息がスッカリ上がってる。きっと血圧は200くらいになってたろう(笑)・・・・・・(笑)ぢゃねぇって。

 要はカバンのせいで身体の左右のバランスが悪くなってたのである。リュックのようにキチンと背中に背負っちゃえば、少々重くたって腰に来ることは実は滅多にない。身体の片側に重量が掛かって、知らず知らず傾いてる時がいっちゃんヤバいのだ。

 ・・・・・・改めてもう自分が若くはないことを恐怖と共に思い知らされたのだった。

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 実際カメラ道具で腰を悪くする人はケッコー多いようである。何年か前からお付き合いさせていただいてるSさん(そぉいや最近はやり取りないな・・・・・・)もそれでショルダータイプを諦めて、ロープロのフリップサイドに移行されたんだそうだ。通常のリュックとは異なり、背面オープンといって背負ってる部分にチャックが付いてて、そこから開くタイプである。
 元はバックカントリー系の板を背負ってハイクアップする人向けに、板付けたままモノの出し入れができるように作られたバックパックが原型ではないかと思うが、スリムな人なら腰ベルト締めたまま、肩ベルト外せば前に回して機材の出し入れができるスグレ物だ・・・・・・デブなおれにはムリだけど(笑)。実はおれのダカインもそのタイプだったりする。

 背面かどうかはともかく、だからってリュックにしてそれで際限なくモノが詰め込めるかっちゅうと、そうは問屋のおろし金はやっぱ銅製に限るっちゅうヤツで、どうしたって限界はある。やっぱホイホイ調子良く動き回るには軽いが一番なのは言うまでもなかろう。だからってしかし、この画質を知ってしまうと今更コンデジに戻るワケにも行かない。

 そうそう、加賀在住の悪友のK田も満を持してペンタックスのK−1買ったまでは良かったが、あまりの重さに音を上げて、今はディスコンになったQシリーズでばっかし撮ってる。大体彼は長身痩躯、体重なんておれの6割くらいしかない超スリムで、酒には滅法強いがワリと虚弱だし、フルサイズの一眼だと普段使いにはやっぱし堪えるらしい。

 恐らく同じような思いをされてる御仁は世の中ひじょうに沢山いるのではなかろうか?クルマに積めば関係ないかも知れないが、そんな何処にもクルマで入ってけるワケでもなし、ましてや屈強な助手が付いて来るワケでもなし、担いで歩くことは多少なりとも必要なのだ。

 くどいようだがしかし、フルサイズ一眼の魅力はどうにも麻薬的である。何たるアンビバレンツ!実にむつかしいジレンマだ。

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 思えば、デジタル化によってカメラは軽くなったか?っちゅうと実はそうでもない。35mmで言うと、昔の銀塩時代の方が遥かに軽くてコンパクトだった。手ブレ防止だなんだとデバイス、あるいは色んな外部との接続端子、さらにはデジタルゆえの内部の複雑な回路、液晶等によって性能も上がったけど、重量も大きさも増してるのである。
 この流れはクルマとひじょうに似てる。昔のクルマはとてもカルカッタはインド、もとい軽かった。それがATやCVTのミッション、パワステ、複雑化するサス構造、エアコン・オーディオを始めとするユーティリティの充実、、随所に仕込まれたエアバッグ、あるいはクラッシャブルゾーンの確保、ハイブリッド等の多重化する動力源・・・・・・そんなこんなで性能も燃費も上がったけど、それ以上にムチャクチャに重くなって来てるのである。例えば軽自動車の元祖と言えるスバル360なんて350kgしかなかった。初代カローラなんかだと730kgだ。それが今は2倍くらいの重さになってる。

 ・・・・・・さぁどぉしよう?

 もうすぐニコンからはDfUが出るらしい。随分薄く、軽くなって一説にはミラーレス化されて500gを切るとの噂もある。マジならD810より400gくらい軽い・・・・・・でも、レンズとかそのままでは大した差にゃなんねぇな。
 ソニーのα7Uはどうだ?軍艦付いててもミラーレスだからやっぱ軽くて550gくらいしかない。でもレンズがミョーに重いし、バッテリーの燃費が悪すぎるやんけ!予備バッテリーいくつも買ってたら変わらんがな。
 今更APS-Cに戻るのも業腹だけど、おおそうだ!フジなんてどうだ?シブいがな。先日出たフラッグシップのX-T2でも450gだ。ほぼ半分やんけ。取り敢えずレンズは娘のが借りれそうだな。安い標準ズームなのにアレ、ものすごく写りがエエんだわ。でももうすぐフジは中判出すとかゆうとるし、出たら欲しくなりそうだよな・・・・・・。APS−Cで重さといえば最近出たソニーのα6500もスゴいよな〜。

 ・・・・・・想いを巡らせて倦んだ眼に改めて映ったのは、オリンパスやパナソニックが出してる4/3だった。正直まだまだ暗所耐性は低いし、画素数勝負ではどうにもならんけど、とにかくレンズ類を含めたトータルでの重量はピカイチに軽い。そりゃそうだ。撮像素子の面積がAPS-Cよりさらに小さくて35mmの1/4しかないんだもん。レンズとボディの組み合わせによっては6.5段とか驚異的な手ブレ補正を備えてるのも魅力的に感じる。広角だとSS1秒の解放が手持ちで可能とかの噂があるくらいだ。一方でボケに弱いとか言われるものの、パンフォーカス大好きなおれにはあんまし関係ないし、レンズの互換性が高いのも面白い。

 もっと歳取ったらマイクロ4/3かなぁ〜?・・・・・・でも3:2の画面アスペクト比に馴れちゃうと4:3ってどうもズングリしててなぁ〜。ヒヨヒヨウダウダ。


4/3では驚異的な性能のOLYMPUS"OM-D E-M1 Mark II"。これも色々内蔵して400g台。

2017.01.10

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