「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
たまにはレンズ遍歴なぞ


変態レンズの極北、レンズベビー。もぉメチャクチャですわ。

http://www.wikiwand.com/より

 うう、またやってしまった・・・・・・前回のテーマの芸の無いヒネリ、っちゅうヤツを。それも現在の保有レンズについてはちょっと前に生意気なインプレ書いたばかりだとゆうのに。

 それはともかく、決してレンズ沼にはハマるまいと心に固く誓いつつ、気付けばこれまでに所有した一眼レンズは既に10本を超えてしまっている。全く以てアホである。きっちりハマッてるやんか。
 何故かAPS-C時代については総括したことなかったし、あれ書いた後フルサイズ用に増えたのもあるんで、愚劣極まりないムダ遣いの連鎖に陥る人が世の中から一人でも減ることを念じつつ反省を込めながら、本日はその辺をダダダダーッと列挙してみようと思う。

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 まずはAPS-C時代からだ。気付けばいつの間にか結局7本のレンズを所有していた。以前に書いたのと同じようなフォーマットで書いてみると・・・・・・

1.NIKON AF-S DX Zoom−Nikkor 18−55mm/F3.5−5.6G VR

 初めて入手した一眼レンズで、カメラの標準キットについてたモノだ。標準ズームの基本中の基本だろう。今は確かさらに進化したヴァージョンUが出てる。
 言うまでもなく性能的に際立ったものは何もない。ぢゃぁ良くないレンズなのか?っちゅうとそうでもなくて、絞れば当然ながらカチッとクリアーに写るし、ちょっと薄曇りの日なんかは、独特の暗い感じが出てこれはこれでいいモノだったような気がしてるが、不思議なことに逆に晴れの天気だと何となくも一つスッキリしないことが多かったように記憶してる。
 何せ安物なんだし、そりゃぁ絞り解放だとなんだかモワーッとしててちょっとダメだし、耐逆光がどぉこぉとか言い出すとキリないけど、AF速度も意外に速くて正確で、エントリークラス用にメーカーが限られたコストの中でかなり細かく腐心して作ってるんぢゃないかと思った。ともあれこれで一眼の面白さに開眼したことは間違いない。その点でおれ的にはすごく記憶に残るレンズだ。

2.TAMRON SP AF 10−24mm F/3.5−4.5 Di II LD Aspherical [IF] (Model B001)

 こうして一眼の面白さに目覚めて、次に買うのは望遠か?単焦点か?広角か?って子供みたいに散々迷った挙句買ったのがこれ。モデル名がバカみたいに長いのはタムロンの一大問題だと思うな(笑)。比較したのはシグマと純正だけど、シグマが12mm始まりなのと、後者は結局はタムロンのOEMで見た目全く一緒、レンズの構成がホンの僅かに異なるだけってコトを知って、激安のこっちにした。4万円弱だったかな?
 初めはどうにもボヤーッとした写りで、サードパーティーなんて所詮こんな程度のモンか?って随分ガッカリしながら使ってたけど、たまたま札幌の住まいのすぐ近所にタムロンの出張所があったことから訪ねてってボディごとチェックしてもらったところ、ピンズレ・片ボケのどうしようもないハズレだったことが判明した。修理して戻って来たら最早別物ってくらいにパキパキの解像感になってて驚愕した。 それからは随分使いまくった。ビル・ブラントばりの超広角特有の歪曲までも含めてものすごく面白く、遊べるレンズだった・・・・・・ただ、超広角は鬼面人を驚かすようなエキセントリックな構図がバンバン写せる分、飽きるのも早い。それが最大の欠点だろう。本当の魅力を引き出すのはそこから始まるのかも知れない。

3.NIKON AF−S DX NIKKOR 35mm/F1.8G

 今更おれが語るまでもないくらいに超有名なニコンのAPS-Cフォーマット用撒き餌レンズ。文句なしの傑作レンズだろう。所有されてる方も実に沢山いらっしゃる。おれも根が素直なモンだから(笑)、一眼やり始めた者への悪魔の囁きとも言える「一眼やるなら単焦点っしょ〜!?」にコロリと乗せられて購入。当時は円高の名残りか新品でも2万円しなかった。
 今から思うとぶっちゃけフルサイズ撒き餌の50mm/F1.8よりこっちの方がグッと寄れて撮影倍率も僅かに大きく、断然デキが良いと思う。お散歩レンズとしては写りだけでなく重量の点からもとても好適で、孤独な札幌時代はこれだけで近所を良くウロウロしてた。ギャラリー等で寄って印象的な画像はこれ使ってるケースが多い。
 ただ、フルサイズ換算で50mmって、ホントに「標準」なのかおれはちょっと疑問に思ってたりもする。このレンズにしたって画角がおれの眼の感覚より狭いのだ。一部分を切り取るのは得意だけどパ〜ッと掴むのは苦手、っちゅうか風景に使うにはそれなりに工夫が必要なように思いながら使ってた。

4.TAMRON SP AF 17−50mm/F2.8 XR DiU LD Aspherical [IF] (Model A16NU)

 相変わらず型番の無闇に長いタムロン(笑)。「1」の標準ズームに飽き足らなくなってたしか2万円未満で購入。なんぼデフレの世の中とはいえニッパチ通しでこの値段はないよね?この頃は三脚撮影がとにかく良いと思ってたのと値段的にも安かったんで、手ブレ補正機構の付いてないモデルにした。結局それが正解だったと思う。手ブレ補正付の方が今やディスコンだ。
 一言、APS-Cフォーマットのレンズとしては最強のコスパと最高の性能を両立したレンズではないかな?タムロンは甘い、って誰の戯言かと言いたくなるほどに解放から極めてシャープだし発色は良いし、暗所に強いし。そりゃぁAFの遅さとか迷いはあるとは申せ、ボディ内手ブレ補正のペンタやソニーユーザーなら、今でも全く問題なく現役で使えると思う。ハッキシ言って個人的には超オススメのレンズと言える。これ買ってからは遠出する時のメインは殆どがこのレンズになった。

5.TAMRON SP AF 28−75mm/F2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A09U)

 上のフルサイズ版と思って良い。俗に「魚住レンズ」の異名を持つこれも名作と言えるだろう・・・・・・が、買ったらまたもやハズレで、カメラが全く認識してくれない。シッカリせぇよ!タムロンさんよぉ!って言いたくなるぞ。速攻で修理に出すと同時にピント調整も依頼した。そんなんだから最初っからキレッキレ。発色の素晴らしさは”Works”の紅葉写真を見ていただければご理解いただけるかと思う。
 ・・・・・・とは申せ、よくよく考えるとおれはフルサイズ換算で100mm前後の中望遠ってあんまし使わないのである。そんなんで、持ち歩きはするものの最後まで「4」の陰に隠れた存在だったのが惜しまれる。フルサイズ移行時、売らずに取っとけば良かったと今でも後悔してる。これもボディ内手ブレ防止が付いてるカメラなら、最新の手ブレ補正付きニッパー通しなんかとも戦えると思う。

6.TAMRON 18−270mm/F3.5−6.3 Di II VC PZD (Model B008)

 望遠らしい望遠が欲しくなったのと、レンズ交換なしにもっとお手軽に撮れたらいいなぁ〜・・・・・・などと甘い目論見もあって購入。「タムロン創業60周年記念モデル」とかなんとかの謳い文句に吊られてしまった。いくらで買ったかは忘れたが、そんなに高くなかったことだけは確かだ。
 う〜む・・・・・・このレンズは評価がとてもむつかしい気がする。たしかに驚異の15倍ズームだし、望遠端でもそこそこシャープだし、とにかく1本で広角から望遠まですべてカバーしてものすごくベンリなのも事実。手ブレ補正も呆れるほど良く効く。濃い目の発色だって悪くない。AFも遅いなりには頑張ってる・・・・・・ただ、不思議なことにこれで撮った写真って、どれも諧調が弱いのかノッペリするんですよ。それも望遠域よりも常用域の方でその傾向を強く感じる。
 これを買って、どんな道具だろうがあまりにも欲張った性能を盛り込むと却って中途半端になるんだな〜、ってつくづく思った。

7.SIGMA 18−35mm/F1.8 DC HSM [ニコン用]

 驚異のF1.8通しのズームレンズ。そいでもって重さも驚異の800g超え!軽量なAPS-Cのメリットゼロ!(笑)。フルサイズで言えば28mm、35mm、50mmの明るい単焦点を1本でカバーするってな謳い文句にアテられて、ロクに評価も定まってない発売後すぐに何も考えずに購入。7〜8万したと思う。
 う〜む・・・・・・このレンズは上より評価がさらにむつかしい。そらもぉたしかに明るいですよ、解像感なんかも解放から抜群にシャープですよ・・・・・・でもそれだけなんですよ。他は全部犠牲にしてて欠点だらけと言える。特に声を大にして言いたいのは後からの現像や補正でも救えないほどの異常なまでの発色の悪さだ。天気が良ければあまり感じないものの、ちょっとでも光量が不足すると淡いを通り越してモノクロームのような写り方をするのである。ホンマやで。俗に黄色に転ぶニコン/赤に転ぶタムロン/青に転ぶシグマなんて言うようだけど、そんなんでさえない。色が無くちゃどぉにもならんと思う。そしてバカみたいに重いし手ブレ補正もないし、こんなんなら絶対単焦点3本買った方が素直だし、遥かに幸せになれるな(笑)。

 こうして改めて思い返して並べてみると、焦点域がカブりまくりなのも合理性に欠けててカッコ悪い。正直、この頃のレンズ選びは今より沼で、後付け後付けの繰り返しで迷走してた気がする。その挙句、最後の方のタムロンの望遠やらシグマの偏頗で尖がったズームを買ったことが、却っておれをフルサイズに決定的に向かわせたといっても過言ではなかろう。

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 続いてフルサイズ移行後の3本のズームについてはこの前書いたんで割愛して、その後に購入したモノを列挙してみよう

11.NIKON AF−S NIKKOR 50mm/F1.8G

 フルサイズの撒き餌レンズとしてこれもムチャクチャ有名。Dfには専用のリミテッドモデルがあるくらいだから超定番なんだろう。しかし上述の通り、おれはAPS−C版の35mmの方が絶対良く出来てると思うし、これはどうにも中途半端に感じる。
 同じような使い方がしたいな〜、と思って入したのだが、とにかく最短撮影距離の長さと撮影倍率がおれにはも一つ馴染まないのである。加えて、手ブレ防止が無いために暗所でシャッター速度を落とそうにも限度があるのがいささか困る。折角のF1.8もSS1/100secで最低速度を縛ってるとISO上がりまくりになって活かせない。それなら4段近く効くズームでマージン見込んで2段落ちで撮れば1/12secと3段も稼げる。これだと2段ちょっとの明るさの差なんてほとんど意味を為さなくなってしまうのだ。
 ただ、ごく当たり前のスナップを撮ると自然な感じで重宝する。F5.6とかに絞れば呆れるほどに精緻に解像もする。要は使い方なんだろう。

12.LENSBABY DOUBLE GLASS

 いやいや、もうこれはシャレとかネタの世界っすな〜。まだ1万円以下で買えた頃に購入した。鏡筒がグニグニ動かせてヘンテコリンな写真が撮れるっちゅう超キワモノ。一切の電子デバイスはなくフルタイムマニュアル撮影。ピントは目測、絞りは専用の薄い鉄のプレートを磁石の入った棒で交換するなどというとんでもない仕様になってる。焦点距離はおそらく50mmだろう。
 当然ながら撮影は死ぬほど面倒で、取り敢えず三脚は必須、それでさえもピンボケ写真を量産してしまう。何だかんだで今の撮影スタイルにはひじょうに使い辛いので目下防湿庫に入りっぱなしになっているが、それでも売る気はない。そのうち使うだろう・・・・・・タブン。

13.SP 35mm/F1.8 Di VC USD (Model F012)

 あ〜も〜ま〜たタムロンかいな!?ってツッコミ入れられそうだけど、これが今自分の欲しい機能にいちばん近いのだ。「12」に感じてた不満がこれだとほぼ払拭されるハズだ。最短撮影距離はフレクタゴン35mmもビックリの20cm!何とレンズ前7cmである。最大倍率は1:2.5くらいだから、ムチャクチャ大きく写るのもメリットだ。だってハーフマクロよりちょと落ちるだけなんだもんな。これならテーブルフォト・・・・・・まぁ要は旅館での料理写真もホイホイだろう。画角は50mmより一回り半くらい広がる感じで、狭っ苦しさはあまりない。モノの弾みで税抜き55,000円と「価格.com」の最安値より安く買えてしまった。ワハハ。
 実はちょっと前、自分の撮ってる写真の焦点距離を見てみたら3〜40mm辺りがとても多いことに気付いた。おれ自身の眼の視界はそれくらいなんだろう。だからすごく扱いやすいことは数枚テストショット撮っただけでも分かった。
 オマケにF1.8に手ブレ防止が3段だ。理論値ではSS1/4secにも耐える。歩留まりの点から流石にそこまでは落とさないだろうけど、これは暗所での撮影にはひじょうにありがたい。早く実戦投入したいし、その結果如何によっては50mmを手放すかも知れないな。

 ・・・・・・すでに6本。でもまぁ、APS−C時代の無節操ぶりよりはまだ明快さを保った拡充ではあるかも知れないな。

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 家には他に父親の使ってたニッコールの50mm/F1.4や50mm/F2.0、或いは105mm/F2.5なんかもあるけど、全然使ってない。オールドの味がどぉこぉな〜んて言われてるけど、全く興味が湧かないのだから仕方ない。
 ちょっと血迷って、一時フォクトレンダーのノクトン58mm/F1.4やツアイスのプラナー50mm/F1.4辺りの定番ヲタクレンズに触手を伸ばそうとしたこともあった。しかし結局はマニュアル操作が邪魔臭いので止めた。どだい現代のデジカメはファインダーがマニュアル操作を前提とした造りになってないようにも思うし。

 そうそう、最近ネットをウロウロしてて知ったのだけど、「レンズ4本説」っちゅうのがあるらしい。標準ズーム・望遠ズーム・大口径・マクロの4本でシステムを組めば、大抵はこなせるんだそうな。若干方向性は違えど何となくおれもそんな気がする。沢山あったからってどうなるモンでもなかろう。
 現に旅行に持ち歩いてるのは偶然とはいえ4本だ。それでも70−300mmなんて滅多に使わない。どうだろ?小三元の一角である24−120mmが6割、同じくF4通しの16−35mmが3割、残り1割の殆どが50mm、ホンの僅かに望遠、ってな使い方だ。50mmにしたって朝の散歩くらいしか使ってないから事実上2本で済ませてる。腐っても金帯Nレンズ、際立ってはないけど総合的なバランスが良いので、気付いたらこればっかしになってしまってた。
 も一つそうそう、ベンリなのに何かと軽く見られがちな小三元レンズ、最近気付いたんだけど、結婚式やパーティー等にやって来るカメラマンはこれの標準ズームを装着してることがひじょうに多い。大三元はむしろ少なかったりする。その理由を訊いてみたところ、とにかく失敗なく歩留まり優先で、それでいてある程度以上の画質で数をこなして撮るには大三元は不向きとのことだった。結果的におれの試行錯誤の果ての選択は理に適ってたことがプロから認められたようで嬉しくなった。

 いずれにせよ今はそんなF4コンビに35mm/F1.8がどんな風に割って入ってくのかが楽しみだ・・・・・・案外、いつの間にか35mmと50mmのミニマム2本体制になってたりしてね(笑)。


AF−S NIKKOR 24−120mm/F4G VR
写真「家」ではなく写真「屋」の使用率が異様に高いことからも、機動性と画質がいい感じにバランスしてることが伺える。


2016.06.18

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