「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
補助光なんて要らない!?


最近のお気に入りはこれ。NEEWER"CN-160"

 以前、写真に関する本を読んでて、その筆者が写真学校の生徒だったか偉いセンセに丁稚奉公してた時だったかに厳命された禁止事項のコトがとても印象に残った。それは次の通りとても単純な内容だ。

   1.ズームレンズ禁止。また、50mm以外使わない。
   2.ストロボ禁止。

 前者について言えば、たしかに50mm前後の単焦点1本で撮るっていろいろ勉強になると思う。基本の「キ」っちゅうやっちゃね。低いアングルで撮ると広角っぽくもなるし、思い切って被写体だけ手前クローズアップにすると望遠っぽくもなる。もちろん印象に残った事物をスナップでサクサク切り取る練習にもなる。実際に使いやすいのはもうちょっとだけ短い30〜40mmくらいではないかとも思うが、そんな画角のあと一歩の足りなさが適度な制約になるワケで、勉強には向いてるのかも知れない。おれも泊まり掛けで行った時、できるだけ朝は一人で旅館の周りを50mm1本でウロつくようにしてる。手ブレ防止なんて余計な機能が付いてないのも、シッカリ構える練習になってそれなりに役立ってるようには思う。実は最低速度については1/100秒に設定して、2倍のマージンは持たせてるんだけどね。

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 ・・・・・・で後者、今回のテーマであるところのストロボ、っちゅうか補助光だ。

 コンデジ時代はもうストロボオートどころか強制発光モードにして、昼日中でもバンバン光らせまくってたんだけど、一眼に移行して上の話を読んだのもあり、先人の教えに素直に従ってなるだけ使わないようにしてた。
 しかし、どしたって暗い場所で撮らんならんときも、逆光で撮らんならんときもある。そうして気が付いたらいつの間にか防湿庫の中には3つも補助光の道具が増えてた。ストロボが2つとLEDが160個びっしり並んだライトだ。オマケにマスター/スレイブのワイヤレスコントローラーまで買ってしまった。人間のスレイブの方を先に調達すべきなのに何やってんねん!?おれ。カメラにもストロボは付いてるから、その気になれば4ヶ所から光らせることが可能だ・・・・・・一向に使ってないんだが(笑)。
 今は、出掛ける時にはLEDライトだけを持ち出してる。シャッター切って光らせてみないと適正露出が分からない当てずっぽうなストロボと異なり、撮る前から予め発光させておけるので露出が分かりやすいこと、光量をバリアブルに変更できること、拡散性が強いためか直に当てても比較的マイルド、等々の点が扱いやすい一方で、見た目がかなり異様な感じを与えるのは大いなる欠点だろう。

 単におれの使い方がヘタだと言われたらそれまでとは申せ、やはり補助光を使うとどしても写真が不自然な印象になる。ホワイトバランスどれだけ弄り回そうが、ほとんど点光源の人工の光に照らされるワケだから、不自然こそが自然、っちゅうか当然なのだが、どうにも面白くない。
 かといって、ぢゃぁ例えば廃墟の中で多灯ストロボをあちこちに配置して、な〜んて諸般の事情もあってとてもやっとれんワケで、なるだけミニマムに纏めるしかない。

 1つは単灯でトコトン工夫する、もう1つはISO頼みで補助光そのものを無くしてしまう、ってコトだろう。もちろん三脚+長時間露光も「アリ」だろうけど、人が入るとなると幕末の乾板写真ぢゃあるまいし被写体の方に超人的な我慢が必要になってしまう。それはそれで問題山積で現実的ではない。

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 そう思って、まずは久しぶりにカメラの設定をちょっと弄ってみることにした。まずはこれまで高感度ノイズリダクション、っちゅうのを「OFF」にしてた。それを「ON」にして効き具合を「標準」にすると共に、ISO上限を1600から3200に引き上げた。実はカメラにはまだ上に余裕があって、あと4段・51200まで行けるんだけど、流石に画面は荒れるわ色はムチャクチャになるわでマトモには使えない。とはいえさらに1段上げた6400でも等倍にしない限りまずまず大丈夫だったりする。でもその「まずまず」がおれ的にはちょっとしんどいレベルなので3200。
 ついでに低速限界設定を「−1(2/焦点距離」から「標準(1/焦点距離)」に速めた。これは暗所撮影で画質を追求するとなると逆のことやってる。それは良く分かってるんだが、暗いトコで超広角の16〜35mmなんて使うと、シャッター速度は1/8secとかにまで落ちる。そうなると手ブレ補正の効果によって背景はシャッキリ写るものの、実際のシャッター速度に対してリニアに増えてく被写体ブレの問題はどしたって残るワケで、それに対する措置だ。大体に於いて薄暗いトコは涼しかったり寒かったりすることが多いから微妙にプルプルすることもあるだろうし、やはりある程度のシャッター速度を確保した方が正解だろう・・・・・・と

 次は露出だ。写真なんて結局は絞りとシャッター速度、あとISOの3要素で画像の明るさは決まるワケで、思い切ってマニュアルモードで行く、っちゅうのもあるんだろうけど、とにかく大前提がテンポよくスピーディーに、そして歩留まりを上げるってことなので、ここはやはり機械頼みが宜しかろうと思う。
 これまでは「マルチパターン測光」っちゅうのを専ら使ってた。どんなアルゴリズムが組まれてるのか、かなりの優れモノだ。どうやら画面上に極端に明るい光源があるとそこは無視したりもしながら、全体の写り具合を調整してるらしい。顔認識も同時に行ったりしてる・・・・・・いわば画面平均測光にスポット測光のメリットを加えたようなコトをやっとるワケやね。
 ただ、どんな場所でもOKなのか?っちゅうとそうでもないみたいで、極端に明暗差が激しくなるとやはりどうにも安定しない、っちゅうか人間の眼が感じた風に捉えてくれなくなることが増える気がする。いっそのこと単純な画面平均の方が良好なようにも思えるんだけど、正直まだこれといった決め手に欠けるのが実情で、目下あーだこーだ試行中だ。

 さらにはアクティブなんちゃら、っちゅう明暗差をあとから修正するソフトが組み込まれてるのもこれまた悩ましい。基本的にはいつも掛けっ放しにしてるんだけど、その効き具合は人によって意見がマチマチだったりする。ある人は「強」で掛けっ放しが一番、と主張すれば、いやいや不自然だから「弱」でしょ?とか。人のセンス次第ってコトだ。
 おれ的には歩留まりを上げるなら強めに効かせるのが良いように感じてるが、逆に明暗差を活かそうとするとそれをなだらかにし過ぎてしまうワケで、どうにも困ってしまう。クドいようだけど、いちいちメニューを呼び出して細かに設定変更してる余裕はないのだ。

 試行錯誤と言えば聞こえは良いが、ある時は「迷い」が上達を助け、逆にある時は上達を妨げており、そして冷静に振り返ってみるとどうにも妨げてる時の方が多いような気がして来る。必勝の公式があればなぁ〜、ってつくづく思う。

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 従って今回の駄文には明確な結論がない。結局はケースバイケースなんだろうし、迅速に的確な判断ができるようになるにはもっともっと場数を踏むことなんだろう。

 今の段階で言えることはあんましデバイスやギミックに頼ってもダメだろう、ってことくらいだ。どだいそんなの好きではない。可能な限り自然光だけを味方に、暗いトコでも可能な限り平明でクリアー、かつ発色良く撮れれば良いのである。ただただそれだけのことなのにホントに難しい。ギターも大概むつかしいが、カメラのむつかしさも果てしがない。

2016.05.15

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