「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
オマエは顕微鏡かっ!?・・・・・・D810格闘記


道具一式。あと、三脚にディフューザーとレフ版が何枚かでかなりシンプル。

 清水の舞台から飛び降りた気持ちでD810を購入して1ヶ月余りが過ぎた。ぶっちゃけ忙しくてまだそんなに数は撮れてないのだけど、今回は生意気に、自分のウデも顧みずインプレなんぞしたためてみようと思う。主観ばっかであまり参考にはならないのはご容赦いただきたい。

 ホントたまげた、っちゅうのが目下の感想である。コンデジから一眼に移行した時の驚きや感動の比ではない。何てーかもう全然次元が違うのである。オマケにものすごく扱いやすい。露出はほぼほぼ見た通りの明るさに決まってくれるし、ニコン名物のホワイトバランスの黄色転びも殆ど起きない。手ブレ耐性に至っては先日まで使ってたD7000の方がよほど低かった気がする。こんなんならもっと早くに手を打っとけば良かった・・・・・・と、いささか後悔の念に囚われたくらいだ。

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 まず初めにその他の機材を列挙するトコから始めよう。レンズ性能とボディ性能が合わさってのコトなんだし。

1.AF−S NIKKOR 16−35mm f/4G ED VR

 何でD810で大三元にしねぇんだよ!?このヘタレなドケチ野郎!、とツッコミ入れられそうだが、ここは手ブレ防止付きの超広角、かつ軽量さでコイツを選択。いや、超広角は頻用するし自分なりに拘りも出て来たんで、最初は定石とも言える大三元のAF−S NIKKOR 14−24mm f/2.8G EDにしようかとも思ったのだ。大体、今回これだけガンガンに金遣っといて今さら7万や8万の価格差はどぉでもいい。既に金銭感覚は麻痺崩壊しまくりなのである。卓越した性能であるコトも分かってる。でも、手荒に扱うことも考えると最終的に前玉が出目金になっててフィルターが付けられないことがネックになった。キズ入れたら泣きますわな。
 ・・・・・・で、小三元のこいつが何か性能的に瑕疵があるのかっちゅうと全く感じられない。これまで何でも言ってきたとおり、明るさ1段分の光学的な差は、電子的な技術でどうにでもなる時代なのだ。画質はあくまでクリアー、手ブレ防止機構の利きはそれほど大きくなくて2段程度ではないかと思うが、何せ元来低速シャッターに強い超広角なので、鬼に金棒状態でビシバシ撮れるのが小気味良い。

2.AF−S NIKKOR 24−120mm f/4G ED VR

 軽量さでは24−85と迷ったのだけど、F通しである程度伸ばせる便利さでこれにした。これも大三元ではAF−S NIKKOR 24−70mm f/2.8G EDが存在するが、残念なことに手ブレ防止機構が付いてない。それなら手持ちのタムロンの28−75/F2.8通しを売らずに残してる、っちゅうねん。ものすごくありゃデキのいいレンズだったんだし。
 この手ブレ防止はかなり強力な気がする。公称3.5段、実際に120mmで1/15secならホイホイ決まるからウソではなかろう。画質はあくまでクリアーで、そんなボケがどぉこぉ言わず、絞ってシャープに撮るのがあくまで身上のレンズだろう。
 ただ惜しむらくは周辺減光がかなり出る。特に室内光で撮ると顕著に感じられる。カメラ側にビネットコントロールっちゅうて、周辺減光を自動補正する機能が付いてて常時ONにしてるのだけど、それでもハッキリ感じられる時があるから、嫌う人にはオススメできないかも知れない。ちなみに上のも含め耐逆光性能はさすがのナノクリ、フレアやゴーストにはかなり強い。

3.TAMRON SP 70−300mm F/4−5.6 Di VC USD (Model A005)・・・・・・長ぇな〜(笑)

 そもそも望遠域で撮ることにあまり興味ないんで、お値段爆安かつ軽量でムチャクチャに評判のいいコイツしか考えてなかった。何と新品なのに3万円遥かに下回る値段でゲット。アタリハズレの大きいタムロンだけど、今回はビンゴでひじょうに調子がいい。値段からは想像できない画質で、オマケにナノクリと比べてもさほど遜色のない耐逆光性能。世評通りとにかく手ブレ防止機構は異様なまでに利く。4段近くは絶対行ってるのではなかろうか?手持ちの300mmでアータ、1/30secが行けるんですよ。

 ちなみにこれら3本を合わせた重量は、軽量化に努めたとはいえ2.1kg強ある。なるだけ軽く押さえてもフルサイズ機はどうしても重くなってしまうのが困りモノだ。

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 ・・・・・・で、肝心の本体だ。専門的なインプレは星の数ほど溢れてるんで、個人的に気に入った点、不満点を列挙してみることにする。

 まずは低感度の拡張がいい。ISO64は上手く言えないけど暗い部分が繊細に写る気がする。なもんで基本的に最低感度を64、最高感度を1600に設定してカメラ任せで大きな問題がないのはひじょうにありがたい。まぁISO3200でも偏執狂的に等倍で見なければノイズは気にならないんで上限をそこまで上げてもいいんだけど、やはり何となく画面全体がノッペリしてくるのは避けられず、今のところはマージンを見込んで1600にしてる。
 既にかなり語られているオートホワイトバランスの精度向上も大きなメリットだと思う。森を撮って、液晶モニターに映し出された画像と実際の景色の色合いにほとんど差がないのにはひじょうに驚かされた。ただこれまで、黄色転びの問題は少し光量が足りない時に起きやすいと感じてたので、もう少しいろいろなシチュエーションを試してみようとは思ってる。

 それとあまり話題になってないけど、個人的には測光精度がひじょうに向上している気がする。これまで使ったAPS−CのD3100やD7000のマルチパターン測光はかなりいい加減で、極端に明るい方に転ぶことが多かったようにおれには思えて、一貫してスポット測光、EVは−0.7落として使っていたのだが、その必要はもうないような気がしている。
 ローパスレスになったことによるヌケの向上は良く分からない。D800と同一条件で撮り比べでもしたら何か分かるかも知れない。一方でモアレが出やすいか?っちゅうとそんなこともない。まぁ、何てーかフツーに写る。
 シャッターの低速限界をオートにした場合、焦点距離に応じて限界が自動的に変わるのが、ユーザーでそのレベルをより速くしたり遅くしたりできるのはありがたい。D800以降、俗に1/焦点距離より一段速くしろと言われるが、手ブレ補正の効きを考慮すれば実はそこから二〜三段は落とせるわけで、どちらかというとよりユックリ切りたいおれはベンリしてる。
 シャッター音はとにかく静か。あまり機械類に興味を示さないヨメが「何かこれ、音小さいよね?」っちゅうたくらいだ。当然ながら静音モードにするともっと静かになるが、何だか撮った瞬間の節度感が失せるような感じがあってあまり使っていない。
 手ブレ耐性はこれまで使ってきたAPS−C機より余程いいのではないかと思う。3600万画素ったってDXレンズで切り取れば1500万画素くらいなワケで、これまでのD7000と大差ないのである。つまり、手ブレのしやすさでは実は変わらないのだ。そこにシャッターダンパーや強力な手ブレ補正レンズ装着してるんだから、そりゃ結果は言わずもがなだろう。

 何より驚嘆するのはやはり表題にした通り、3600万画素の異常なまでの高精細さだろう。脅威的でさえある。戯れに手持ちでキッチンカウンターの上のディズニー土産の缶を撮影してみたら、眼でも見えないスクリーン印刷のパターンが写ってたのには驚きを通り越して怖くなってしまった。
 この高画素/高解像度は前作がすでに実現していたことなんだけど、とにかくイージーオペレートで驚くほど緻密な描写をする。つまり、敷居が低いのである。ある意味、これはスーパーバカチョンカメラなのではなかろうか?・・・・・・そもそもこれだけの解像力が必要とされるケースは一体全体どれくらいあるのかは置いとくとして(笑)。

 ・・・・・・一方で不満もある。

 撮影メニューが4パターン登録できるんだけど、プリセット可能なファンクションの範囲が中途半端過ぎるように思う。例えばAFをコンティニュアスにしたらシャッター速度を短くして、ISO上限をもっと上げるとか、露出をMモードにしたら自動でライブビューに切り替えるとか、もっとユーザーの使い方を丸ごと登録できるようにしといて欲しい。大体、そういった管理をカメラの小さなスイッチ類でコチョコチョ完結させようとするから難しいワケで、昨今のマルチエフェクターみたいにPCで設定したのを流し込めるようにはならんもんだろうか?

 左肩にあるクローバー型のボタンはとても使いやすいと思うのだけど、何でそこに画質や画像サイズなんて、滅多に変更しない機能のボタンが割り当てられてるのか理解に苦しむ。却ってウッカリ触ってしまいそうだ。いっそピクチャーコントロールでも持ってきてくれた方が使えそうな気がする。

 CFとSDのダブルスロットも今の時代、本当に必要なのかいささか疑問である。SDの二連装で片方をバックアップにしといてこれまで不都合を感じたことも、トラブルになったこともない。そんなにまで安定性を重視するならいっそCF二連装の方がよほどスジが通るってモンだろう。WiFiがどぉこぉ言うんなら、いっそ記録媒体は外付けにした方が良いのかも知れない。
 あと、セコくも細かい話だけど、ホットシューのフタが付いてないのには驚いた。まぁ、こんなごっついカメラ使う人はごっついストロボやラジオスレーブ載せっぱなしにしちゃうことが多いから要らないのかも知れないけど・・・・・・何か寂しいよね?

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 ・・・・・・とまぁ、機械である以上どこかに不完全な部分はあるのだし、だからこそいろんな道具は進歩もするワケで、D810が十全なカメラであると申し上げる気はサラサラない。人によってはもっと高感度耐性上げて欲しい、逆に低感度をもっと拡張して欲しかった、・・・・・・色んなリクエストも出て来るだろう。
 しかしながら、ニコンの奇数番台にはアタリが多いのジンクス通りで、ひじょうに良く出来たカメラであることは素人のおれにも十分すぎるくらい伝わってくる。

 ともあれゴニョゴニョ書いたけど、画素数的には6〜7年は軽くイケそうに思うし、どだいおれはそこまで限界性能を必要としてないので、今しばらくはこれをシッカリ使いこなして行こうと思ってる。


手持ち50mmで撮影したモノを等倍で切り出してみました。肉眼ではほとんど見えない地紋が写ってる。

2014.09.24

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