「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
中で大を兼ねるしかない・・・・・・三脚漂流


デカいっちゃぁこのHUSKYはGITZOを凌ぐかも

 同じようなネタばかり続いて申し訳ないが、今回はフルサイズ移行に伴う三脚の問題だ。まぁ、従来から三脚の稼働率は極端に低かったので「問題」っちゅうほど大袈裟なモンでもないのだけど・・・・・・。

 キングのFotoproっちゅうのをこれまでつかって来たのはずっと以前に書いた通りだ。お値段手頃で、アルミ製であるにも拘らず重量が1.3キロほどで比較的軽量、高さもそこそこあって、脚が180度回って仕舞い寸法も小さく、エレベーターがすぐに緩んだり自由雲台のボール固定ネジが小さな丸いノブで締めにくいといった細かい欠点はあったものの、まずまずベンリして来てたのだった・・・・・・一脚機能はついに使わないままだったが(笑)。

 ところがバッグ同様これも、D7000+バテグリ+シグマの18−35mm/F1.8ってな風に構成が大型化した頃からしんどくなってた・・・・・・っちゅうのも三脚の耐荷重は4キロってなってんだけど、これくらいフル装備になると余程雲台のネジをしっかり締めないと何かの拍子でカメラがクテッとお辞儀したりするのである(笑)。さらには脚の強度が不足してるのか微妙にグラグラしてる気がする。耐荷重4キロなんて絶対ウソやんけ、って思うことがしばしばだった。おそらくは重量だけでなく、レンズ長が伸びることで重心が前寄りになったりして、テコの原理で実際以上に負荷がかかってたんだろう。
 APS−Cでかような体たらくなのがフルサイズに移行してこのまま行けるワケがない。クテッてなった拍子にバランス崩して倒れでもしたら、もぉ泣くに泣けない。かくしてAPS−Cの機材群と共に三脚もあえなくドナドナになってしまったのだった。

 そもそもあれってどれくらいの目方だったんだろ!?と、今回これ書くにあたって改めて計算してみたところ、上記の構成だと重量は1.7キロ少々であって、D810に小三元装着するよりむしろ多少重いくらいだったことに気付かされた。さらにストロボ載っけてることもあったから、そうなると2キロ超・・・・・・知らないうちにエラいヘビー級なセットになってたのである。APS−Cのメリット台無しやおまへんか。
 さらに気になってこれまでの持ってたレンズ類含めての総重量とで比べてみたら、今後望遠ズームを買い足したとしても従来より800グラム以上軽くなる。ワハハハ、おらぁ本当にアホだ。

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 俗に三脚は重くて段数が少なく、脚が太いのが良いと言われる。子供でも分かる理屈で、それだけカメラが安定しやすいからだ。

 ・・・・・・とは申せ、モノには限度っちゅうモンがある。クルマで運んで降ろしてから殆ど移動しないのであれば少々重くたってどうにかなるんだろうが、残念ながらおれの場合、そんなスタイルではない。けっこう担いで歩いたりする。だから一眼の荷重に耐えつつも可能な限り軽量でなくてはならない。
 そうなると必然的に素材はカーボン一択ってなるんだろう。実のところチャリのアルミフレームとカーボンフレームに劇的な重量差がないのと同様、三脚もカーボンだからってそんなムチャクチャに軽くなるワケではない。雲台等にカーボンコンポジット使えばさらに軽くなるんだろうけど未だそこまでは行ってないのが実情で、全体としてはせいぜい1〜2割軽くなる程度だろうか。
 自転車のカーボンにはちっとも食指が動かないのだけれど、他のプロダクトでカーボン使われてるのはまぁあまり気にならない。ちなみに自転車同様、カーボンは振動吸収性が良くて揺れが収まりやすいらしい。これは大きなメリットかも知れない。
 ただカタログに重大な事実は謳われてない。カーボンは想定外の方向からの衝撃に弱い、ってコトだ。想定の方向でじんわり掛かる力にはやたら強いのだけど、本来ありえない方向からガ〜ンと当たる衝撃を食らうと茶碗のように割れる。落車した自転車のカーボンフレームがパッキリ逝っちゃってる画像を見ればお分かりだろう。だからアルミに比べて冬場寒さをさほど感じない素材なのにウレタングリップを巻き付けてある製品が多いのだ。

 脚の太さもあまりに太くては当然ながら持ちにくく、可搬性が悪くなる。フルサイズ機なら出来れば30mm以上にしろとか言われるけど、数ミリ径が違うだけでこんなに大きくなるんかい!?とツッコミたくなるほどに巨大化する。細くても強固で堅牢なんにしよう、っちゅう気はないのかね、って思うぞ。
 段数も5段よりは4段、4段よりは3段が良いらしい・・・・・・が、やはりその分縮長が長くなってしまい、持ち運びにはものすごく不便だ。

 ・・・・・・こぉしてツラツラ考えてるうちにハタと気づいた。

 三脚って、カメラやレンズの進歩と比較するとメカニズムに於いてあまり何も変わってないのである。この半世紀くらいで劇的に変わったのは、脚の素材にアルミやカーボンが導入されたり、その土台や雲台にマグネシウムが導入された程度なのではなかろうか?この変わらなさはエレキギター並みだと思う。
 何が進歩かっちゅうたら、そもそも三脚を持ち出さねばならないシチュエーションが劇的に減った、ってことだろう。おぼろげな記憶だが、昔は何かっちゅうたら三脚が使われてたような気がする。オリンパスペンみたいな小さい旅行用カメラにだって華奢な脚の三脚着けっぱなしにしてる人を良く見かけた。そらそうだ。フィルム感度は低く、手ブレ補正なんて便利な機構も内蔵ストロボなんて優れモノもまだ発明されておらず、ちょっと光量の不足したトコでブレずにシッカリ撮るには低速でシャッター切るしかなかったのである。今は超望遠で鳥や飛行機狙うとか、星空や滝、夜明けの風景なんかを長時間露光で撮るくらいしか三脚が絶対に必要な場面はない。
 そぉいった外部の進歩に胡坐をかくようにして、三脚自体は見事に昔ながらの存在であり続けたように思う。実家に帰ると父親の60年代末くらいから80年代にかけての三脚が何台も転がってるのだが、見た目的にもメカニズム的にも殆ど変わっていない。

 そいでもって重いほど良いなんて言われてしまう。作る側も使う側も進化を否定してる気がする。ヘンな話もあったモンだ。

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 ・・・・・・結局おれの場合、三脚については用途を良く考えて色んな属性を絞り込んで、その中でギリギリ切り詰めたのを目指すしかなさそうである。

 そりゃぁマージン考えれば大型がいいんだろうけど、ここは敢えて中型以下に抑える。探すと30mm以下のパイプ径でも何とか耐えそうなのが見付かる。三段がいっちゃん安定するのは分かるけど、これも仕舞寸法優先で敢えて四段以上にする。脚はカーボンにしてちょっとでも重量を抑える。脚の伸縮方式もリングをグルグル回す昔からの方式がシッカリしてるみたいだけど、脚を捻るだけとかレバーをピャッて畳むだけの方が速そうだ。雲台も一点で固定することで耐荷重に不安があるとはいえ、重量面のメリットから自由雲台が宜しかろう。各社のサイトを見比べてるうちに耐荷重スペックはどこもかなり適当に言ってるってコトも分かって来た。マンフロットや中国のベンロ・シルイ等なんて絶対過大申告だな。でも、やっぱし値段は安い方が良いよなぁ〜・・・・・・うわ!ないやんけ!(笑)。

 帯に短し襷に長し、おれの希望はさほど特異なものではないと思うのだけど、叶えてくれるのは案外各社のラインナップを見渡してもないのだった・・・・・・シオシオのパー。

 嗚呼、バッグだけでなく三脚でも漂流は続く・・・・・・。


名品と言われるがデカくて重いGITZO

2014.09.01

----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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