「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
モノグサ高倍率


おらぁこの程度写ってくれりゃ文句ないわ(テストショットより。270mm,F11,SS1/125,ISO200,EV+0.3)

 ズームレンズの倍率とココロザシの高さは反比例するかのように言われる。シチュエーションやテーマ、構図、被写界深度、雰囲気造りなんかを考えながら絶えずレンズをとっかえひっかえしてこその一眼レフぢゃぁないですか!それを何ですか、アータ!?ほんな1本のレンズで済ませちゃおうなんてどぉゆうこってすか!?それなら超高倍率のコンパクトデジカメでも買ってなさい!と。

 実際そうなのかも知れない。1本のズームレンズでは明るさや解像度、収差、ゴースト等々をどうしてもカバーできないからこそ何本もレンズはある。単焦点で足で稼いだ方がそりゃぁいい写真も撮れるだろう。分かる。実際、所有する35mm/F1.8は買値はいっちゃん安かったのに、撮れる絵はおれでもこんなの撮れるんだ!?と言いたくなるような雰囲気のあるものだ。

 しかし、めんどくさい。これは紛う方なき厳然たる事実である。如何せん機動力がないのである。走って行くのも、レンズとっかえひっかえするのもそれなりに時間が掛かってしまう。グズグズしてる間に対象物が逃げたり、風が吹いたり、日が翳ったりしてしまうとそれはそれでどもならんワケで、気持ちの赴くままにサッと事物や風景を切り取る点では大いに劣る。

 要は両立は今の技術水準では無理なワケだ。

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 今までは比較的焦点距離の短いものばかり選んで来たのもあって、あまり手ブレ防止なんかにも興味なかったんだけど、やはり手持ち主体だと40mm越えたあたりから微妙にスッキリしない。PCで等倍にして見てみると三脚据えたシャープさにはどうしても劣ってることが分かる。ピントがどうこう言う前に、まずはブレてないことの方が写真では重要なのは言うまでもないことであって、やはりこれはマズい。
 あ〜、やっぱボディ内手ブレ補正のペンタックスとかソニーにしときゃ良かったんかなぁ〜、と思いはするが、今更機材一式乗り換えるのはバカバカしい。

 そんなんで、最初はNikkorの16−85mm/F3.5−5.6ってーのを買い足そうと思った。手ブレ防止付きの旅行用では定番中の定番と言われるレンズで、特にパンフォーカスでの性能っちゅうか安定性に優れるらしい。広角側で標準ズームより2mm広いのも何かと便利だ。ただ、ボケは硬いだのなんだの余り良くないとも言われる。
 しかし余りに今の手持ちと焦点域が被り過ぎてる。同じようなのが4本も5本もあったって仕方なかろう、って気がしてきた。それならこれまで興味のなかった望遠域をカバーするレンズの方が面白そうだ。そぉいや、一眼レフに変えてから何だか自分の撮る写真は窮屈になった。思えばそれは、儀式めいたレンズ交換が足を引っ張った結果のようでもある。この前も駄文に書いたではないか、どうも線から点になって来た、な〜んて。ここは一つ、便利ズーム入れた方が好かろう。

 同じくNikkorの18−105mmも定番レンズでは有名だけど、これは敢えて買い足すほどのものでもなさそうで却下。調べてくと最近出た18−300mmというのが、お値段張る分ずいぶん性能は素晴らしいらしい。よっしゃ、これでエエんちゃうか。

 ・・・・・・ってな感じであまり深く考えず、たまたま商品券が数万円分手許にあったのを想い出して勇気凛々瑠璃の色(笑)、店まで出かけてって、そして愕然とした。

 あまりに巨大だったのである。

 フィルター径77mm、120mm、単体重量で1キロ近くあるそれは、到底「便利ズーム」の範疇に収まる代物ではなかった。どだいおれの小さなアマゾンカメラバッグ、あるいはティンバック2のカメラインナーにだってボディに装着したままで収まる代物でもない。え!?ドンケのバカデカいの買えって!?それではお話にならんではないか。本末転倒もこれでは甚だしい。もう二回りくらいコンパクトでないとダメだ。

 そんなこんなでまたもやタムロン、18−270mm/F3.5−6.3というのに落ち着いた。創業60周年記念モデルとか銘打ってあり、メーカーサイドでは随分気合い入れて作ったものらしい。何とこれで4本目だ、タムロンは。試してみたらコイツの手ブレ補正がピカイチだったのである。一体全体どんな仕組みになってるのかは分からないけど、とにかくコトコトって感じでブレが収まるのがファインダー見ててもハッキリ分かる。望遠側の暗いのはご愛嬌、まぁここは強力な手ブレ補正を活かしたシャッター速度なりISOなりでカバーするしかなかろう。画質だって、そんなオニのような解像度は期待しちゃいないし、そもそもトリミングとかA全大に引き延ばすとか考えてもないのだし、欲かいてちゃキリがない。おれは今回とにかく、コンパクトさと手ブレ防止を最優先させたのだ。

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 50−17mmと28−75mmのF2.8通しは三脚撮りだと恐ろしくシャープなので捨てる気はないが、まぁ今後の旅行は気軽で肩の凝らないこれとあとは10−24mm、それにちょこっと単焦点加えたような構成になってくだろう。良く考えるまでもなくおれは生来のイラチ、長考してジックリ追い込んで、なーんてことはそもそもできないタイプなのだ。ならば別に精神修養の場でもなし、道具もそれに合わせるのが一番ではないか。

 今は雪に閉ざされて遠出もままならないけれど、いい季節が来たらこれまで以上にバリバリ撮りまくってやろうと思ってる。それまでは部屋の中で、タムロン名物ピンずれの微調整だろうな〜(笑)。

2013.01.09

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