「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
ストラップ、ストラップ、ああストラップ・・・・・・カメラ編

今のところ伸縮自在なストラップってこれとか、あとエレコムから出てるくらいぢゃなかろうか?DIAGNL"NINJA STRAP"

 ギターのストラップについて前回は述べてみたのだけど、最近ハマりつつある一眼レフの世界でもストラップは必要不可欠なものだってことを知った。どうにも首や肩の負担から免れられない(笑)・・・・・・って、調べてみるとこれがもう、よほどギターなんかよりも数えきれないくらいの種類が売り出されているのである。カメラ本体のデザインやフォルム、色がどれもこれも余り変わり映えしないものであるからして、ストラップが個性たらアイデンティティっちゃらゆうモンを演出する重要なアイテムとなっているワケだ。

 ・・・・・・んなワケで今日はストラップのカメラ編。

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 実のところおれはカメラのストラップが大嫌いだった。顎下約20cm、ちょうど胸のあたりにブラブラ揺れるいかつい黒いカメラ・・・・・・往年の農協の下品な団体観光客、最近で言うなら大挙してやって来てゲハゲハと大声あげて順番待ちさえも守れない中国人等の、そんな「首から提げた一眼レフ」のイメージが強くてどうにもイヤだったのである。あれはダサい。どう考えてもダサい。

 そもそも大体において、首からモノをぶら下げるのがおれは好きではないのである。ITやら放送関連に多い、ケータイだとか社員証だとかボールペンだとかをジャラジャラと何かのイコンでもあるかのように嬉しそうに提げてる連中を見ると虫酸が走る。あんなもん、元々は何がしかの必要があってやることでしょ。社内で何かのセキュリティの認証機械に当てるとか、あまりにも頻繁にやり問いが多いとか、良く分からないけどそんなニーズがあって本来はやり始めたことのはずだ。忙しさとか業界人の演出のためにやってどぉすんねん!?と・・・・・・パンツのゴムでワッカ作って家の鍵でも提げてろ、って(笑)。

 そんなんでこれまでのコンパクトデジカメでも、せいぜいハンドストラップっちゅうんですか、手首が通る程度のものをチョロッとつける程度だった。ソフトケースから出して、落っことさないように手首に巻き付け、そしてシャッターを押す。しかしこれはたいへんに手間がかかる。シャッターチャンスを逃すことだってある。
 結局そのうち全部面倒くさくなって、カメラはジャンパーやカーゴパンツの太腿両側等にあるポケットに放り込まれ、サッと取り出されるのが常となる。

 それが分かってるのに、新しいコンパクトを買うたびにソフトケースは新調され、たいてい付属で着いてきたモノとはいえストラップも交換されたのは事実だ。そらまぁ、買い直すといつも微妙にカメラのカタチが違ってケースのサイズが合わん、って合理的な理由はあるにせよ、ほんなモンどうせすぐにポケット送りなんだから、ハナッから買う必要なんて無い。なのに買ってしまう。何のかんのでおれは小物フェチなのかも知れない。

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 ・・・・・・で、一眼だ。ボディの両側に金具があってストラップが2点支持になってるのが大仰で、これまでのコンパクトとはまず違う。

 同梱の附属品のメーカーロゴが大書された、殊の外ダサいストラップを付けて正直おれは泣けた。短すぎるのである。これぢゃまるで正に往年の団体観光客ではないか。かといって肩掛けにしてたら滑って落っこちそうだ。やはりちゃんと身体に回さないといかんだろう。それで苦労して腕を通して斜めにタスキ掛けにしてみる。なんぼデブなおれが悪いとはいえもぉパッツンパッツンで、腋の下あたりにカメラが来て苦しくて仕方ない。どだいこんな状態ではファインダーを覗くことも構えることもできんではないか。
 いろんな小物類はあらかた買ったし、これ以上余分な小物に踊らされるのも業腹だったけど、観念して買うしかない。

 そうして数日後、売り場に行っておれは驚いた。種類の多さにではない。あまりにデザインばかりで、長さ調節が自在にできるものが無いことに驚いたのだ。

 ギターストラップだと機能一点張りなポリプロピレンや布製ではカバンと同じく、バックル状のものでわりとサッと長さを調節できる仕組みになっている(革製では少ない)。リュックサックのベルトなんかではもっと進んでて、そのバックル状の部分をちょっと傾けるだけで自由に長さ調整が可能だ。最近のメッセンジャーバッグに見られるように、着脱の時は伸ばして、自転車で走る時はうんと短くして身体に密着させることが瞬時にできるレバーになった仕掛けなんかもある。

 それがカメラには無いのだ。いやもうデザインはギターが足許にも及ばんくらい無数にあるのに、見事に、無い。そりゃぁ最初に取り付けるときに長さ調整はできるようになってるけど、いったん決めてしまうとそこは簡単に弄れないようになってる。一方で襷がけにするにはストラップの長さはかなり必要になる。つまりその分、首から提げるより大きくブラブラする。カメラ女子のように御近所をマッタリ散歩してるんならそれでいいかも知れないが、海山に出かけるとなるとどこかにぶつけてしまいそうだ。だからすなわち歩いてる時は短くして、撮るときは伸ばして、ってゆう風におれはやりたかったのである。

 少なくとも店頭では見つからなかった。ビ○クやヨ○バシ、ヤ○ダといった見本を大量に陳列してるようなところで探しまくってもサッパリ。ネットで探してようやくいくつか見つけたが、ロックで切り離す機能が付いてたり、最大に伸ばした長さが中途半端に短かったりでどうにもいけない。

 仕方ないから取り敢えず単純に長いだけのを買った。エツミの「襷」って面白くもなんともない名前のヤツだ。もう少し幅広でコシのある生地なら良かったのだが、細身でフニャフニャしてる。それでもイメージ通りカメラはだいたい腰のあたりに来る。ブラブラはするけど、手に取るのも構えるのも容易だ。それにこれなら腕を伸ばして高く掲げるにも、逆にしゃがみこんで地面すれすれにするにもいちいちストラップを外す必要が無い。当面は当てないように注意しながら歩く時はカメラを手で押さえるようにして、これで行くしかないだろう。

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 しかし、「ストラップの長さを自在にかつ瞬時に調節する」・・・・・・たったこれだけの機能さえ標準実装が進んでいないって、一体全体どぉゆうこっちゃねん!?と思う。何か、メーカーおよびその周辺の零細サードパーティーの努力不足・・・・・・っちゅうか、誠実に作ってコツコツ改善するけど、抜本的な改革を忘れがちなせいで、いつの間にか世界から置いてきぼりを食らいつつある日本のモノづくりの姿勢がそこに凝縮されてるようにさえ思える。つまり平たく言って何とも保守的で古臭い。

 何かおれは、とてもレトロな世界に足を踏み出そうとしてるのかも知れない。


ELECOM"DGS-ICH004"・・・・・・悪くないんだけど、そもそもの長さが足らんのではお話にならない(笑)。

2011.05.22

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