「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
何だ!?カンタンぢゃんかよ!


これくらいのボケ味ならキットレンズでも楽勝なんだなぁ〜・・・・・・。

 とある縁からその気になって、デジタル一眼レフというものを購入してみた。

 頑ななまでにこれまでコンパクトなバカチョン、それも最も安い単3電池仕様に拘ってきた身からすればエラい宗旨替えもあったもんだと自分でも思うが、突然・俄然・猛然欲しくなっちゃったんだから仕方ない。
 まぁ、買うた買うたゆうたかてそんなエラそうに言えるほどのものではない。キットの短いズームレンズ1本付けて6万円でお釣りが来たんだから名実共にエントリークラスってヤツで、画素数的にはこれまで使ってきた1万円前後のコンパクトとは大差無かったりする。

 今日はそんなおれの「デジイチ」初体験記である。

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 これまではメカ的なことについてロクに知らなかったんで、画素数なんかよりも銀塩でフィルムに相当するCCDとかCMOSってな名前の付いた撮像素子なる部分のサイズと、それら記録された光を画像に変換するエンジンが極めて大事なんだってことも初めて身を以って知った。いくら画素数上げたところでその1粒当たりの受光面積が小さくちゃ話にならんわけである。道理で画素数大きくなったわりにおれのちびこいGEは、以前使ってた半分くらいの画素数のパナソニックに何となく画質で劣ってたワケだ。エンジンは日進月歩で進化してるとは申せ大本のCMOSセンサーの大きさが変わってなければ、それは当然の結果だったのである。
 今回買ったのはその撮像素子の面積の規格でゆうとAPS−Cってモンらしい。ハハ、絶滅したはずのAPSがシッカリこんなところに生き残ってやがる(笑)。ちなみに昔の35mmフィルムに相当する大きさのは今は「フルサイズ」と呼ぶようで、値段はべらぼうに高くなる。何でこんなことになってるのか?っちゅうと、要は撮像素子のコストが高いのと交換レンズの画角の問題があって、銀塩とデジタルでレンズの互換性の確保を考慮すると、基本は往年のフィルムのサイズにある程度準拠した撮像素子のサイズにせざるを得ないらしい・・・・・・と、そんなことも初めて知った。そら高い金掛けた昔のレンズが使えなくなったら悲しいわな。むつかしい理屈は分からんけどそれだけは良く分かる(笑)。しかし、未だにレンズマウントは相変わらずで規格統一が図られてないんだな。

 一方である程度は見込んでたとはいえ意外なまでに小物類が色々必要なのには参った。記録メディアは当然のこととして、予備の電池やフィルター・レンズフード、クッションケース、保管用の乾燥箱みたいなもの等々を揉み手の店員に勧められるまま本体購入のついでに買ってくと、最終的には本体と合わせてけっこうなお値段になってしまったのである。月末に到来する支払いがチョー怖い(笑)。

 箱から取り出して説明書通りにストラップ付けたり、電池入れたりしながらツラツラ眺めてみる。これまで所有したのとは比べ物にならないくらいスイッチやボタンがぎょーさん付いとる。黒くて、厳めしくて、ゴツくて、カクカクしてて、ナンボ世の中を「カメラ女子」が跋扈するようになろうとも「漢の玩具」な佇まいであることは変わらないなぁ、と思った。
 しっかし年々歳々物覚えは悪くなってきてるのに、こんなによぉさんついてて使いこなせるんかいな?と不安になる。オマケにスイッチには無くても、メニュー選択で変えられる設定もこれまた数えきれないくらいある。絞り・ISO・ホワイトバランス・EV・・・・・・etcetc、イ゛ーッ゛!ってなって来るのだが、そこはほれ、やはりITの時代なワケで、撮る目的に合わせてモードを選ぶとあとは機械任せで勝手にそのような各種変数を自動で最適に設定してくれるようにもなってて、その辺はありがたい。見た目よりは中身は優しいのである。要はシンセサイザーとかマルチエフェクターで言うところの「プリセット」と一緒だ。初心者が最初慣れるにはまずまずクセのない設定が詰め合わせになってるのである。強烈な個性を出したり、特殊な条件下で使うにはいささか物足りないんだろうけど、まぁ普通に使う分にはこんなモンっしょ、的な機能だ。

 オマケに液晶画面にも親切な説明書きが次々と出てくるから、要は撮りたいイメージさえできてれば概ねそれっぽい物は撮れる仕掛けにもなってる。大した時代になったモンだ。昔なら写真教室通ったり、高いフィルムと現像代を無駄にしながら試行錯誤を繰り返さんとできんかったことが一瞬で出来る。

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 そんなんでちょっと遠出して150枚ほど試しに撮ってみた。そして、激しく驚愕したのだった。ひょぉぉぉ〜!

 ----ムチャクチャ簡単、かつ綺麗に撮れるやんか!

 考えてみりゃ当たり前のことで、値段的に何倍もするもの買って性能が同じなら誰もそんな製品は買わんワケで、やはり高いには高いなりだけのことはあったのである。繰り返すが、画素数的には従来のコンパクトと大差ない。だから限界まで大きくしてみてもサイズ的には変わらない。でも、写りが違うとしか言いようがない。
 とは申せ、あらゆるIT機器の色は結局のところ、赤・黄・青の三原色の混ぜ具合で決定される目の錯覚を利用した点描法であることは以前にも書いた。たしか各色のレベルは16の二乗の256段階になっててその3乗、1677万7216色の色が存在することになる(32ビット機でね)。スゴい種類の色である。色鉛筆だとエラいことになる。しかし、それだけっちゃそれだけなワケで、それ以上の色のあわいを表現することはできない。そしてこの原理は何だって一緒だ。

 なのに断然、違う。

 つまりそこにある色・・・・・・つまりは光を忠実に捉える能力が断然上なのだろう。出かけてったのは時折小雨がぱらつくような生憎の曇り日だったのだけど、これまでは画像が真っ暗になったり粒子が荒れた感じになるのがイヤで、これまでおれはそんな日は極力避けるようにしてた。しかし、ここのところ貧乏ヒマ無しで忙しく、他に空いてる日も無いから仕方ない。あ〜、ついてねぇなぁ〜、などとボヤキながらそれでも手当たり次第に撮ってみたら、アーラ不思議♪ちゃんと曇り日らしい沈潜したトーンで写真はほぼ全部写ってるではないか。まぁ、キットレンズの安物でさほど明るい物ではないから限界が低いみたいで、光量を稼ごうとすぐにストロボが発光しようとしたのはご愛嬌として。

 だんだん面白くなって来て、場所を変えつつズームを適当にグルグル調整しながらさらに色々試してみた。手ブレ防止機能もコンパクトとは比較にならないくらい強力で、ヤバッ!ちょっとブレたかな?と思ってもほとんどはOK。何よりもオートフォーカスの動きが速く、ほぼ一瞬でピントが合うのが爽快だ。迷うのは逆光で絞りを開けた時くらいで、あとはほぼコンマ何秒で合焦し、カメラがピッと鳴る。何年ぶりかに覗くファインダーにしたって慣れると液晶よりよっぽど明快で分かりやすい。気付くと液晶はそっちのけになってて画面は鼻の脂で曇ってる。保護シート買っといて良かった〜・・・・・・って目的が違うか(笑)。

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 結論は出た。図体がデカくて重いのを除けば、コンパクトよりよっぽど扱いやすいやんか。とにかく失敗が無いのがありがたい。また、短めのズーム(18−55)だけにしたのが功を奏してか、自分が撮りたいくらいのポイントに合わせやすい。この点でコンパクトはズームの倍率をムダに競うようなところがあって、小さなボタンでは動き過ぎてなかなか思ったくらいのところに合わせにくいものだけれど、これはひじょうに限られた範囲で鏡筒を自分でグリグリするからひじょうに簡単だ。別にサバンナで寝そべるライオンを取りたいわけでもないんで、何百ミリなんて望遠はおれにはやはり必要なかった。
 ただ、画質をいっちゃん細密にすると画面が見慣れた4:3ではなく、横長の3:2になるのにはいささかの違和感がある。特に縦位置で撮影するとビヨ〜ンと細長く伸びたように見える。かといってトリミングも面倒なので、今後はギャラリーも320×240ではなく360×240に変更しなくてはいけないかもしれない。また、温泉での撮影はやっぱこれまで通りのコンパクトで行くかも知れない。うっかり湯船に落っことしたらシャレにならんくらい損失がデカいからだ(笑)。気持の凹み方ももちろん違うだろうし。

 結局気付くと、ズームもいつの間にか実際の視野に近い30mmから35mmあたりでほぼ固定して使ってた。昔から広角レンズの不自然に広く、被写体が小さく、遠く写る感じがあまり好きでなかったから、そぉゆう嗜好が自ずと現れたのかも知れない。そのうちそれくらいの距離の単焦点も買い足してしまいそうな気がする。贅沢言わなければ1〜2万円でものすごく明るいのが買えるみたいだし・・・・・・50mmはたぶん買わねぇだろうな。

 何はともあれ、見た目よりは遙かに敷居の低い存在だったワケだ、デジタル一眼は。これからはバカスカ数こなして腕を磨くことにしよう。


もちろんこうゆうのも撮ってみました(4:3にトリミング済)。

2011.05.15

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