「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
オーブ/スカイフィッシュ/心霊写真

 「オーブ」ってコトバを初めて知ったのは今を去ること15年ほど前、「ドラクエV」だったような気がする・・・・・・ったっておれはまったくテレビゲームの類をしない。仲良かった年下の同僚が、部屋で夜も寝ずに目を真っ赤にしてコントローラーを握りしめながら「はよオーブ集めんとあかんのやぁ〜っ!!」とかほたえとるのを毎晩聞いて覚えたのだ。

 果てしない彷徨と戦闘の果てに見つかるオーブは、画面上で何だかクリスマスのカラーボールみたいなカラフルな玉だった。

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 最近「オーブの写真」とやらが大ハヤリである。何だか画面のあちこちに光のぼんやりした玉のようなものがフヨフヨ漂っているのがそれだ、と言われる。心霊系サイトをうろつくと例はナンボでも見つかる。さらにはあらゆる文化は、ポルノにとどまらずハードコア化するとでも言えばよいのか(笑)、オーブの中に顔が写ってる、は言うに及ばず、オーブと交信する自称「霊感少女」みたいなんまでこのところケッコーいらっしゃる。


このプチプチがオーブだってさ。どう見ても雨か雪やん(笑)

http://cgi33.plala.or.jp/kyosi/bbsking/bbsking.cgiより

 笑止千万!!

 こんなもん信じてるアタマのぬくいヤツに言いたいで。「一回死ね!!ドアホ!!」と。

 結論から行くと、これはどう考えてもデジカメでストロボ使ったときの光が、空気中を漂う水蒸気より大きな、しかし微細な水滴に反射して起きるハレーションですよ。
 それが証拠に撮影できるのは次のような環境に限られる。

  ● 雨または高湿度なとき。
  ● 曇り、または夜等、光量が少なくストロボを焚いたとき。
  ● 高い湿度の環境下でカメラを使った直後で、レンズ表面、または内部が結露しているとき。

 ま、こうゆう条件でストロボ焚いてデジカメ写真撮りゃぁ、ほぼ間違いなく1つや2つオーブとやらは画面に写り込むはずだ。おれはデジカメの原理についてはよく知らないが、特有の「素子」で光を捉える構造にワケがあるのだろう。ちなみに銀塩では玉にはならずもや状に写る。だからデジカメでも、もっと画素数を大きく、細密にすれば違った結果が出ると思う。今度実験してみよ〜っと。

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 似たような例に「スカイフィッシュ」がある。まずは下の図を見て欲しい。


昔、家の屋根にあったテレビアンテナもスカイフィッシュの一種かもしれない・・・・・・

http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9567/049.htmlより
 コイツの不思議なところは、静止画像で撮られたことはなく、必ず動画上にしか現れない、ってコトだ。上の画像にしたってビデオか何かからのキャプチャーだ。

 普通の人間なら、以上の事実からスカイフィッシュが動画撮影時のコマ送りに起因する何らかの現象ではないか?と予想が付きそうなものだが、「神秘ファンダメンタリスト」にはそれがどうしても許せない。「コレは未知の生物なんだ!」となってしまう。ずいぶん喧々諤々の論争がされたものだ。

 今は再現実験が何度も行われて、スカイフィッシュとは100%、「画面上を横切った昆虫の軌跡」であることが判明している・・・・・・にもかかわらず、スカイフィッシュがUMAの一種と主張して譲らない人は多い。

 ・・・・・・アタマの悪いヤツが陥りがちなパターンだなぁ(笑)。ま、いないことが分かってて意地になってるなら、その偏屈な洒落心は分からんでもないけど・・・・・・。

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 思えばオーブもスカイフィッシュも銀塩や8mmフィルムの時代にはついぞ聞いたことがなかった。デジタル時代が生み出した新手の魑魅魍魎なのだな。

 ・・・・・・で、このテの画像の古典派、「心霊写真」について。

 これだけコテンパンにけなしといて急に軟調になるが、心霊写真に関しては本とかに載ったのではなく、普通にプリントされたナマ写真でスゴいのを見せられたことがある。おれは虫眼鏡で拡大してよーく検分したのだが、どうにもそいつは説明のつきにくい代物だった。
 オカン側のまたいとこに当たる親戚のオネーチャンが、墓参のために帰った鳥取で撮った写真のうちの一枚がそれだった。
 何かの大きな石碑をバックにカノジョは収まってるのだが、その石碑の台座に、坊主頭で井桁カスリの浴衣着てゲタか草履を履いた少年が横になって写ってる。拡大すると浴衣の模様や下駄の鼻緒まで分かる。うつむき加減の表情も分かる。無論石碑の浮き彫りなんかではない。
 あろうことか、この写真、もう一人写ってた。石碑の背後に広がるまだ春浅い枯野の中に、オレンジの着物に浅葱の襦袢きた女性が座ってるのだ。ちょっと遠いので表情は分からないが、どうみても枯野にいるのはヘンだ。おれは何ともコメントに窮した。

 ・・・・・・一方でこんなこともある。

 冒頭、目を真っ赤にしてドラクエやってた同僚が、ある日得意そうに写真を持っておれのところにやって来た。

 --------***さん、これ、どう思う?

 氷ノ山の林道の空地で野宿したときに撮ったというそれには、組まれた石と焚火の燃えカス等が写っている。その石の一つの表面に、確かに苦悶する不気味に歪んだカオのようなモノが浮かび上がっていた。

 --------んん〜・・・・・・これだけやと分からんなぁ。
 --------どう見てもこれ、顔やん!心霊写真やで!
 --------いやいや、「幽霊の正体見たり何とやら」っちゅうやないか。
 --------ホンマに素直やない人やな!
 --------ほたらわしんトコにそんなもん持ってくんなや。そないゆうんやったら、見に行こら。

 次の休日、おれたちは撮影場所である林道脇の空地にいた。幸い焚火の跡もそのまま残っている。撮影角度に立って石を見る。結論が出るまでは一瞬だった・・・・・・そういう石だったのだ(笑)

 こうゆうもののコトを「シミュラクラ」と呼ぶ。●が三角に3つ並べば顔に見えるとまで言われる。人間にはあらゆるものを顔に見立ててしまう本能が備わっているらしい。
 子供の頃、天井の羽目板のシミや木目がお化けの顔に見えて怖かった経験は誰にもあるだろう。これもシミュラクラ。ひどく疲れたときなど、おれは壁紙の凹凸が無数の髑髏に見えるときがある。これもまぁシミュラクラ。疲れがもっとひどくなったり神経が参ってると、さらには壁やカーテンの模様が、漢字のようで決して読めない契丹文字のようなナゾの文字の羅列に見える。あまつさえそれがウニョウニョよじれて動き出したりするのでずいぶんキショク悪い・・・・・・ここまで行ったら幻覚だな(笑)。

 何を言いたいかっちゅーと、心霊写真と言われるもののすべて、とまで言うつもりはないが、9割方はこの「シミュラクラ」だとおれは思っているのだ。あの写真体験を踏まえてなお、おれはそう思う。「

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 なーんか最初に書こうと思ってたのと全然ちゃう方向に行ってもたなぁ。

 いや、ね、タネ明かしすると実に他愛ないことなんだわ。寒くなってくると温泉写真には悪条件が重なる。まず湯気がスゴい。オマケに昼が短くなり、陽射しも弱くなるのでストロボの出番がやたら増える。ストロボ使わんかったら使わんかったで露光時間が延びて手ブレもひどくなる。
 そうなると、もうバンバン撮れるんですよ。スカイフィッシュはともかく「オーブ」や「心霊写真」が。

 今度、そんなんばっかしまとめてみよかな(笑)。

2005.10.13
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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