「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
私の写真作法


何だかサッパリ分からない温泉写真。1992、香寺・中村温泉にて


 おっとぉ〜!!大上段に出ましたぁ〜。吹っかけたもんだなぁ〜、っと。

 グループだけ作ってずーっと放置プレイだったこのシリーズ始めるに当たって、おれの好きな漫画家や画家、写真家を紹介する等、ま、それなりに色々考えたのだが、どうにもマジメくさった感じになりそうなので、ちょっとおキラクに始めてみよう。

 スンマヘン。はっきしゆ〜て、タイトルはこけおどしです!!

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 書こうと思ったキッカケは掲示板への書き込みだ。見ると、おれの写真が「上手だ」などと書かれているではないか!

 んなアホな!おれの写真が上手いワケがない。だって、ピンボケ・手ブレ・指やストラップの画面への移りこみ・露出ミス、何でもありだっせ。
 だっておれ、どだい写真撮るときに「考えへん」のやもん。撮りたいと思ったらババババッと撮りまくるだけ。そりゃまぁ、ヨメにここに立って、とかあっちで座ってとか言うけれど、それはまぁ事物を画面に納めるための方便に過ぎないのであって、構図やフレーミングなんてモンは一切考えない。逆光も気にしない。とにかくチャッチャカチャッチャカ、とスピード勝負。

 こうして撮りに撮ったり、20なん年でものすごい枚数の画像が溜まった。WEBで紹介しているのは温泉ネタばかりだが、当然普通のスナップショットもたくさんある。そしてその増加のペースは、銀塩からデジカメに持ち替えてさらに上がり、最近コンパクトデジタルに買い換えて、もう止まらなくなった。

 デジタルは素晴らしい。何より現像の心配がない・・・・・・・ってコトは温泉写真を撮る者には実に好都合だ。ハダカ、もっと直截に言うとケの心配をしなくてよろしい(笑)。銀塩時代、おれは何度も杓子定規な現像屋のプリント拒否に遭っている。なぁ〜にが「公序良俗」ぢゃい、ボケッッ!!と歯噛みしても、プリントしてくれないのだからどうしようもない。

 それに失敗はすぐに削除できて経済的だし、万一ミやら何やらマズいモノが写ったら、画像ソフトでサカサカ修正すれば一瞬で終わる。ちょっと露出低かったって発色悪かったって、補正かければイッパツで直る。経年劣化で褪色したネガを、おれはこれまで何枚もPCで補正してサルベージしたし、何が写ってるのかサッパリ分からなくなった夜の写真が、このオカゲで対象物が判明したことも多い。
 さらには旅の途中でパトローネがたまっていかないし、ってコトはネガもたまらなくて省スペースだし。整理しやすいし、と。

 銀塩でないとホントの写真が撮れない、なんて意見は、単なる懐古趣味と、新技術について行けずにビビってる年寄りのタワ言に過ぎない。ワープロでいい小説は書けない、などとのたもうてる三文文士と同じだ。ホントの創作者なら、そんなツールごときでごちゃごちゃ言いません、って。「雪舟涙の鼠の図」、って話を知らんのかぁ?
 バッハやモーツァルト、ベートーベンにシンセとMTR与えたら彼等はそれを拒否するだろうか?おそらく嬉々として使いこなすと思うけどな。

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 ちなみに使用器材はロクなものではない。今使ってるのはソニーのサイバーショットのラインナップではいっちゃん安いヤツ。単3電池で動くので、どんな田舎に持ってっても大丈夫。先日、山奥の一軒宿で電池が切れたけど、単3はフロントで買えた。付属品の充電式の電池は棚に放り込んだままだ。充電、めんどくさいしぃ〜。ケータイも乾電池で動かんかな?(笑)
 今はパナソニックのオキシライドって電池を予備に何本も持って行ってる。長持ちなのがよろしい。懐中電灯に入れたら、元気すぎるのかすぐにタマ切れしたけどね。
 そうしてそれを1280×960の低画質で使ってる。要は120万画素、っちゅうこっちゃね。動作が軽いし、たくさん撮れるのがラクでいい。
 さらに低位機種なので万一壊れてもさほど惜しくない。もういいコト尽くめっす。フタが脆かった以外は大満足。これでジューブン。

 買ったとき、電気屋で店員に言われた。

 ------これ何たらズームがついてないですけど、いいですか?
 ------その何たらズームがついてないとどうなりますのん?
 ------ズームでの画質がイマイチなんですよ。
 ------ふーん・・・・・・付いたヤツもありますのん?
 ------これです。
 ------ちょっと横幅、デカいっすね。
 ------そりゃ〜、レンズが違いますから。でもズームの画質はいいですよ。
 ------でも、ズームって手ブレしません?
 ------はい、確かにしやすいですね。望遠鏡といっしょです。だから三脚の使用をお勧めします。
 ------いや、三脚なんてめんどくさいんで・・・・・・(※)

 会話は終わってしまった。

 高いモン売ってナンボの店員としては最低の客だろう。オミズのような黒いベスト着た彼はいささか呆れ顔だった。でも仕方ないやん。ややこしーのんイヤな客だっておるんだからさ。
 別段、ソニーにこだわりがあるわけでもなかった。単に保有するメディアがもったいなかっただけだ。

 その前に使ってたのは、よく分からんまま店員の口車に乗せられて大枚はたいた、ツアイスのレンズだとかゆうバズーカ砲のような巨大なのが付いたサイバーショットだったのだが、大きくて重いわ、専用電池はすぐヘタるわ、CPUがヘチョいのか一枚撮ると次のにひどく時間がかかるわ・・・・・・で機動力に乏しすぎた。
 それでも高い買い物だったので、ガマンしながら4〜5年使った。しかし、今年の年明け早々、菅平のゲレンデで2個目のリチウム電池が寒さでぶっ壊れたのにいよいよ嫌気がさして買い換えたのである。

 バズーカ砲の前はビンゴで当たったAPS。いや〜、アナログからデジタルへの過渡期にあって、一時のあだ花で消えちゃいましたね〜、あれ。何だったんでしょ?APS。ともあれ、使いにくかった。サムネイルのネガプリントは小さくて焼き増し指定もままならないし、普及がこなれてないからフィルム代高くつくし、結局はフィルムサイズ小さいから画質はパッとせんし。

 その前は35mmのいわゆる「バカチョンカメラ」。3台くらい買い換えたような気がする。温泉で使うと湿気にやられるのだろうか、やたらと寿命は短かった。ズームとか複雑な仕掛けは何もついてなかったと思う。フィルムをセットしてフタ閉めるとジ〜とか最初の何枚かが巻き上げられ、あとはシャッター押すだけの非常にシンプルなヤツだった。

 こうして振り返ると、おれはつまり、これまでマトモな一眼レフを保有したことがないのである。ゴメン!!画像たくさんのHP作ってるクセに、技術のみならず道具も貧弱そのものなんです。

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 写真が芸術かどうかは実は解けない命題っちゅーか、どっちゃでもエエこっちゃと思うが、少なくとも人の心に何がしかのさざ波を立たせるだけの効用は、たま〜にあるだろう。しかし、それを追いたいとは思わない。
 写真、すなわち「風景を切り取り定着する」って作業がひどくエゴイスティックな行為であることを、いつの頃からかおれは知ってしまったからだ。すなわち、シャッターを押した瞬間、「普遍の現在」の光やフォルムは、写し手の記憶という「偏狭な過去」の世界に私有される存在に成り下がることを、知ったからだ。そして同時にそれが、逃げ水を追うような、どこか空しいことなのも。

 写真なんて、「標本」といっしょなのだ。他の人がどう思おうと自由だが、おれは標本そのもので何らかの表現をしたいとは全く思ってないし、できようもない。

 もし、あられもない姿で温泉に入りまくるおれの画像群に違う何かがあるとすれば、そぉゆう自覚に基づいてるくらいのものだろう。他には思いつかない。あ、あともう一つ。同じような写真もこれだけ並ぶと、我がコトながらケッコー壮観やね。それは思う。ナムジュンパイクの積み上げられたテレビもあれだけの数だから作品となるのだ。1台やったらアホだっせ。ハッタリついでに、これはもはや「インスタレーションだ!」ってフカシこいてやろうかな(笑)。

 話がだんだんムチャクチャになってきた。最後におれの大好きなJ・ケージの言葉を紹介して本稿を締めくくろう。「4分33秒」で有名なアメリカの現代音楽家にして、キノコマニアだったっちゅーヘンなオヤヂだ。クラゲマニアのチチ松村みたい(笑)。

 ------それがあなたにとって衝撃でありさえするならば、あなたはそれを「音楽」と呼ばなくてもかまわない。

 ハッタリもここに極まれり、やな〜♪


※下の写真見ても分かるように、今はクニャクニャ曲がるタコ三脚使ってます。メモリは128MB、64MB、16MBの3枚です。


カメラ以外に使ってるのはこれだけ。


2005.08.29
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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