「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
わたしの温泉旅行術


温泉に関する蔵書の一部。並べるのめんどくさいんでこれだけにしました。

 「旅行術」だってさ!カカカカ。歯が浮きますな。そもそもこんなマニュアル的なコトを書き連ねるのは趣味ぢゃない。

 ・・・・・・なら何で書くねん?と当然突っ込まれるだろう。いや、理由はつまらなくも敵を増やすようなことだ。つまり、こうして種明かししながらまとめることが、ちょっとは世の中の個人サイトにあふれる、箸にも棒にもかからぬ「どぉでもいいような常識以前のことをもったいぶって箇条書きにしたようなマニュアル」に対して、幾許かの皮肉になるかな?一矢報いることになるかな?と思ったのだ。

 ノーガキはこれくらいにして早速はじめよう。今回はおれにとって最も一般的な「家族で出かける」場合。

 まずは計画。

 今のおれは基本がテント泊なので、出かける方面だけ決めて詳細なコースは事前に組まない。そんなネチネチ計画立てて何のためのテントやねん?って。だから、高速道路の方面だけが決まってるカンジ。キャンプ場の予約もしない。「そんなんだと、泊まれんかも知れんやないっすかぁ〜!?」なんて気弱な意見が出そうだけど、未だかつておれはそんな事態に遭遇したことがない。おそらくこれからもない。キャンプ場は必ずどこかしら空いてる。空いてなけりゃ林道の空地にでも泊まりゃぁエエのだ。
 代わりに・・・・・・と言ってはなんだが、行きたい温泉・気になる温泉の候補を一覧表にしたものを、出発の数日前までにこしらえる。いや、それとてさほど緻密なものではない。温泉名、旅館名、住所、電話番号等を一覧にしただけのものだ。気づいたままに書き出していくので順番もメチャクチャで、100kmも離れた温泉が隣同士に乗ってたり、同じ道路沿いの温泉がえらく離れて載ってることもある。

 ・・・・・・つまりほとんど計画らしい計画は存在しない。努めてラフで大雑把な態度を装ってるのではない。本当に立てない。

 以前は旅館泊ばっかりだったので、旅館に迷惑掛けちゃいけない、っちゅう気持ちがあって、かなり緻密な行程表作ったりしてた。しかし、今はもう止めた。だって絶対そのとおりにならないし。
 今年だって出発2日前までは、漠然と青森から新潟に日本海側を下ろう、と考えてた。それが前日になって気分が変わって急遽山形になった。デタラメもいいトコだ。それでも、何とかなる(笑)。

 それにさ、緻密な計画に基づく旅行、って何だよ?って思う。それって予備知識の奴隷になって、その追認をするだけのことぢゃないのか?ただでさえインターネットの普及で情報過剰な時代だ。インフォーメーションオーバーロードユニットだ。そんな時代に緻密さを追求することは、自ら驚きや感動、喜びをどんどんそぎ落とすこと・・・・・・すなわち旅行のうまみを洗い流すことに他ならない。

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 続いて持ち物。

 家族はともかく、おれの荷物は少ない。衣類に関してはTシャツも含んで下着の着替えを日数分、最大5日。あとは夏冬問わず長袖シャツを2枚ほどと、寒い時期ならフリースとジャケット、そんなもんだ。ズボンは近頃、夏はチャックで丈の長さが変わる通称「バチパン」を愛用。冬はジーンズか裏地が薄いフリースのカーゴパンツが多いかな。レインウェアは持たない。
 あとはバスタオルに普通のタオル1〜2枚。まぶしさに弱いのでサングラスは必携。それとバンダナ。しかし、最近ではタオル代わりにもなって便利な、綿の薄手のマフラーを替わりに持って行くことも多い。
 靴は寒い時期はしっかりしたもの、夏場は最近ではメレルのジャングルモックのメッシュ生地のを愛用している。サンダルは山道を歩くことになったときが却って面倒だ。
 それと洗面用具。これはタトンカの小さなトラベルバッグにまとめてあって、液体石鹸やシーブリーズを小さいボトルに入れたものと歯磨きセット、プラス眼が極端に悪いので、コンタクトレンズの予備と保存液は絶対に欠かせない。それだけ。
 旅行中はヒゲも剃らないし、櫛の必要性は近年ひじょうに低下してしまった(泣)。

 ね、少ないでしょ?

 カメラは以前にも書いたとおり、フツーの安物のデジカメ。ただ、予備電池だけはパナソニックのオキシライドを1日2本の見当で大量に持って行く。日数が3日以上の場合はノートPCも、自分で内部にもう一枚スポンジのバッグを入れて二重にしたキャリングバッグに詰めて積み込む。もっと大容量の媒体買うって方法もあるのだろうけど、旅の途中である程度作業しといた方が帰宅してからがラクだ。

 地図や本はわりといろいろ持って行く。アナクロ野郎ゆえ、クルマにナビも何もついてないせいもあるが、おれの行きたい温泉はナビに載っていないケースも多いから、たとえ今後取り付けても地図は持って行くだろう。
 中身はいわゆる美坂本の「諸国いでゆ案内」、バイク乗りの大定番・小さなツーリングマップル、大判の全国ロードマップ、キャンプ場ガイド、それといつぞや掲示板に書き込みいただいてから知った大黒啓太の混浴本。これは意外に使える。あとはその時の気分で適当に本棚から引っ張り出していく。
 加えて日常生活でも必要な財布・カード類、ケータイとその充電器、タバコにライター、ポケッタブル灰皿、あとは筆記用具でボールペンと蛍光ペン・・・・・・そんなもんかな。

 キャンプ道具については割愛するが、家族で三泊以上するときは、子供たちが夜に勉強するので、ガソリンランタンは少なくとも加えることにしている。あと、夏場は蚊取線香やら防虫スプレーやら、虫対策グッズを充実させるようにしてる。

 これらの荷物、衣類は家族全員まとめて、大きなビニール袋数枚とともに大型のダッフルバッグ、身の回りのものと金目のものはウェストバッグ、火器類はデイパックに詰め込まれるのだが、それにしたって何日も前から準備することもなく、大体いつも出発前夜にサササとやって、玄関前に積み上げている。

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 さぁ、いよいよ出発。

 出発時刻だけは少々こだわりがあって、これは4時半から5時半の間。たまにもっと早くするときもあるが、前の晩にムリに早く床についても眠れなくて苦労するだけなので、よほどの事情がないかぎりはしない。とにかく「混む前にどれだけ首都圏から離れてしまえるか?」だけがポイント。渋滞は自分の力ではいかんともしがたいからね。この点で関西在住時代は良かった。狭いから大阪起点で100kmも走れば相当遠くまで行ってしまえた。
 ともあれ、そうして走りまくって、最初に休憩するS.A(東北道なら那須高原あたり)で、コーヒー飲みながら、今日のコース取りの算段をする。昔は早朝でも温泉に入れてくれる旅館が多かったが、最近はほとんどのところが9時とか10時から受け付けになってしまった。したがって、それより早く現地につきそうな場合、1ヶ所目を野湯や無人の共同浴場にしたりする。あるいは何かの見物を入れて時間調整。

 あとは芋づる式。地図と行きたい一覧表から適当にチョンチョン入っていくだけ。リストアップしてなくても、地図見てるうちに何となく気になって、思いつきで組み込む温泉も多い、食事についてはお目当ての店がないときは、昼はドライブインの麺類とかでカンタンに済ませることが多い。15時くらいになると今夜の寝床のことを考える。電話して、日没前に到着してテント設営、そのまま近くの町に夕食に出かける。暑い時期なら立ち寄り湯でサッパリして、早めにキャンプ場に戻り、テントの中で遊んだり、荷物整理や翌日のコースを考えたりして、遅くとも22時には就寝。健全そのものだ。

 翌日も早起きし、チャッチャとテント片付けたらGO!。旅館を泊まり歩いてた頃は、前日に勘定済ませて、朝食断って6時前には出発するようにしてたけど、今は7時半くらいかな。もちろん、タープ一式まで持ってった場合や、起きたら雨だった場合、撤収にはもっと時間がかかる。

 ルートは基本的に次に行きたいところへの最短距離を選ぶ。途中に林道があろうが、よく分からない県道だろうが農道だろうがお構いなし。廃道でなければ何でもOK。むしろ国道以外を選んだほうが、走ってて発見があって楽しい。スピードはさほどトバす方ではないけれど、決して遅くもないだろう。
 無論、眠くなるときもある。そんな時は路側帯でも何でも入って、ちょっと昼寝する。それで時間が押したら無理せず温泉はパス。

 あ、旅はやっぱり想い出に土産だよね(笑)。強いて言うなら、おれはなるだけダサい「今時誰が買うねん」的な置物を買うようにしているくらいで、これまた特記事項は他にはない。シュミの悪さは土産のギャラリー見てください。

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 つまり、「旅行術」と言えるほどのものなんて、おれにはなぁ〜んもないのである。マジで。

 そりゃぁ、もっと細かく見て行けば、色んなノウハウもあるのだろう。でもそれを縷々記述してどうなるものか。たとえおれにフィックスしても、読んでるアナタにはアンマッチかも知れないし、どだいそれら細々した事象なんて、大枠からすればどぉでもいいことだ。旅行に出て「伊東家の食卓」みたいなチマチマしたことしてるヤツなんざ間違いなくドアホだ。

 旅はまず出かけてしまうことが大事なのだ。計画がどぉだ、道具がどぉだ、かくあるべし、などとしょーもないゴタクや世迷言・能書きを並べる前に、とっとと出かけてしまうことだ。もちろん失敗もすれば、たいへんな目に遭うこともある。それで学習して反省して変えて行けばいいのだ。

 何?それだと命の不安が?安全が?快適さが?もっと似合う乗り物が、交通手段が、道具が、宿が、観光スポットが・・・・・・

 ・・・・・・根本的に旅行に向いてないよね、そぉゆう人は。
2006.09.03
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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