「ネタ帖」っちゅうモノをこしらえたりしてる。
しかしながら、お笑い芸人のネタ帖のように絶えず持ち歩いて、気づいたことを書き留める、な〜んて命懸けのリッパなものでも何でもない。タイトルだけをワードかなんかの表にポロポロ書き足して行ってるだけ。ほとんどがタイトルだけなので、後になって何を書くつもりだったか忘れてしまってることも多い。言うまでもなく、タイトルの方が貯まっていくペースの方が速いので、最近は記憶力減退も激しいので、1行程度サマリーを書き込んだりもしてる。
原稿書き終えるとその行をブルーに塗っておしまい。実にイージー。
ま、あまり昔のことから継時的に書くばかりではいつまで経っても現代に追いつかないし、おれもフレッシュなネタを仕込んだらそっちを書きたいのが人情なので、古いネタはタイトルだけで打ち棄てられてしまってるのが大半なのだが、新ネタに詰まったときなどそこから引っ張り出したりもする。
・・・・・・なワケででずいぶん昔の話が唐突に飛び出してきたりするのですよ。
今回の話もそんな古いお話を元に・・・・・・。
・・・・・・って、その前にまず、「道路脇の温泉」とは、フツーの道端にある野湯、もしくはそれに限りなく近い、風呂桶だけがあるとか、塩ビ管から湯が流れ出て捨てられてる状態の温泉のことだ。実はそれほど歴史のあるものは少ない。多くは昭和40年代以降、新しいものでは平成になってからの掘削泉が大半である。
そりゃそうだ。往古より道路脇に湯が湧いておれば、とうにそこに旅館が建ってるはずだ。旅館ができないのにはそれなりにワケがあるのだ。
1.源泉の湧出量が貧弱
2.有害成分(例えば砒素)の含有量が高すぎる。
3.近くに温泉旅館があって、それを利用されると客足が落ちる、といった反対運動が起きた。
4.エイヤで掘ったものの、そこが入会地で利権が予想以上に複雑に絡んでて手が出せなくなった。
5.建てるツモリだったがバブルが崩壊してそれどころぢゃなくなった。
こんなカンジだろうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、本題。まずは大分の深耶馬溪にあった通称「かやの木温泉」。
1991年秋、ちょうど雲仙普賢岳が盛んに活動してた時期のちょっと後くらいにおれたちは九州をほぼ一周したが、その最終日、日田から別府に向かう途中、寄り道して行った。どこでこの温泉情報をつかんだのかは忘れたが、まだ、ネット発達以前のことだったので、入ってくる情報量は少ないものの、今よりガセは少なかったように思う。
ウワサどおり、温泉は道路がカーブした脇にあった。ブロックでできた湯船がポツンとあるだけで、パイプから流れ込んだ湯はあふれるままになっている。早速手を突っ込んでみると、ちょっとぬるめの適温。クルマの通行量もさほどなく、クルマの中でハダカになって早速入湯。ヨメ(当時はまだカノジョだったが)は、さすがにパス。
------うっっ!!キ、キモチ悪い!!
中は藻が生えてヌルヌルになってて、沈んでた落ち葉がグジュグジュに溶けかかったようなものがモラモラと舞い上がる。それでもガマンして静かにしてると、だんだん元の透明さを取り戻していった。本当に道路が目の前。昔は目隠しもこしらえてあったようだが、とうに朽ち果てて倒れており、時折クルマが通り過ぎていく。
それほど長い時間は入っていなかったと思う。「道路脇の温泉」ってーのが物珍しいだけで、それほど感動もなかったのが率直なところだ。
ちなみにその数年後、源泉が枯れてしまって(ひょっとしたらバルブを閉めたのかも)、今では朽ち果てた湯船が草むらの中に転がってるだけらしい
・・・・・・・・・・
続いて伊豆は河津浜の露天風呂。行ったのは5〜6年前のことだ。
国道135号線を下田に向い、海水浴場を過ぎて左に道が直角に曲がったあたりにある。以前触れた温泉フォーラムみたいなので、「伊豆最強の露天!」みたいに言われてたので気になって出かけてみたのだ。狷介固陋なようで意外にアテられやすく素直なおれらしい(笑)。
バス停の横をゴロタ石だらけの浜に2mほど下りると小さな木の湯船があってそれ。セブンイレブンがすぐ近くに見える(笑)。
他に設備らしきものは何もない。勢いで入ってしまうが、ここもまた上ほどではなかったにせよ浴槽の中は藻が生えててヌルッとする。泉温はかなり高め。そぉいや、ヨメのみならずこの時はガキどもまでがパスしやがった。
無論、クルマは途切れる間もなく通るし、バス停であるからしてバスを待つ人がやってきたり、バスが停まって乗客が降りてきたりもする。言うまでもなく、奇異の目で見られる。
季節は海水浴シーズン過ぎてるのでちょっと離れてサーファーもいるし、スキューバの連中も見える。
・・・・・・全然落ち着かへんやんか、これ!!
「なぁ〜にが『伊豆最強』や!?」とかボヤキながら、おれは早々に風呂から上がり、次の温泉を目指したのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
思えば今はリッパな施設ができた岡山の下湯原や北海道の津別なんかも道路脇の温泉ではあった。まぁ、あそこにゃ人は来なかったからまだいいか。他に忘れてるのもあるが、過去の記録をほじくり返せばもっと行ってるような気がする。でもなぁ・・・・・・。
・・・・・・温泉は好きだ。好きだが、このような道端の衆人環視のところにまであえて入って、っちゅうのも、なんか自分の求めてるものと違うような気がして、いかがなものかなぁ、と最近は少し思ってる。ま、そのあたりに行くことがあれば入るんだろうけどさ(笑)。
珍奇なサンプル集めのためにそんなトコに好んで入ろうとは思わないな。野湯だけのマニアになったりもしたくない。
意外でした?
|