「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
これが温泉ブームだ!!・・・・・・200円風呂を独占するバカ共へ


気持を表してまっしゅ(東寺講堂の不動明王坐像)。

 こんなに温泉に入って不愉快で、ハラが立ったのは久しぶりだ。そりゃまぁ、前回書いた加賀井のオヤヂも腹立たしいっちゃ腹立たしいが、ま、それでもキャラが珍妙な分、漫才のネタみたいな存在ではあった。まだ少しは、笑える。

 ともあれ、その加賀井での興奮も冷めやらぬ翌週(笑)、本当の本当に度し難い連中におれは遭遇した。場所は塩原にある露天風呂だ。2週連続の激怒ネタで読者諸兄には申し訳ないけれど、今日はちょっとその時のことを逐一書いてみよう。

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 細かい描写や脚色はもう抜きだ。思い出すだけでハラが立つから。

 とにかくそこには川に面して混浴で6:4くらいに仕切られた6畳ほどの湯船と、男女共用の脱衣場がある。入浴者は筒状の料金入れに施設維持の協賛金の名目で200円を投じる仕組みだ。川との間には目隠しの竹垣がある。
 そこに男5人、女3人ほどの集団がいた。オッサンは40前から60代始め、オバハンは30半ば過ぎから60前後、ってトコか。年齢層の広さからして、あるいはどこぞの混浴サークルかもしれない。オッサン共の伸びたパンチ頭と、今時ヤクザでもしないような喜平チェーンの金ブレス。たるみきった身体に水着つけたババァ・・・・・・余計醜怪や、っちゅうねん。いっちゃん若いオバハンだけが正しくタオルだけのハダカで入ってたが、トリガラみたいな身体で自慢かぁ?(笑)
 基本的にいかつく見える集団だが、ま〜カタギの部類だろう。駐車場には小金のある自営業系オヤジが好む国産車しか並んでいなかったもんな。
 湯船の縁にはアルコール類の缶・・・・・・のみならずプラカップやパックに入ったロックアイス、焼酎の瓶まで置かれている。当然のようにタバコも。一体コイツ等いつから粘ってんねん!?

 おれは酒もタバコもやる。それも相当やる方だ。しかし、風呂をダラダラ占拠して酒やタバコという気はまったく起きない。

 おれはそれでもしばらく脱衣場で待った。おれ以外の同行の5人は川べりで遊んでる。ちったぁ、この非常識な連中にも互譲の精神くらいは残っているかな、と淡い期待を抱いたおれがしかしバカだった。10分、20分・・・・・・まったく動く気配はない。オレタチガサキニキタンダユックリシテナニガワルイ!?ココハジユウニツカッテイイバショナンダロ!?端的に言ってそのような態度が露骨だ。わずか200円の風呂で、おれはここまで我が物顔に振舞えるほどの品性の卑しさは生憎持ち合わせていない。

 塩原くらいならいつだって行けるし、今さらの場所だし、ここはパスするっちゅう選択もあった。だが、おれは意地でも入ってやろう、って気になった。無言のまま服脱いで入湯。
 うわ!!ゲゲゲ!!対面のちょっと若いオバハンの陰毛が見えた。200円風呂に粘るビンボー臭さに似つかわしく、何だかショボショボとまばら。こりゃぁ絶対サゲマンだな。ヤなもん見てしまった、ってカンジ。こんなん相手に、隣の怠惰を絵に描いたようなヒラメ顔のオヤジは欲情してチンポ突っ込んでるんだな、と思うとちょっとおかしい。おれは下向いて薄く嗤った。
 湯はひどくぬるい。見ると水を出しっぱなしにしてやがったのだ。無言で木の栓でおれは水を止めた。徒党組めば私物化しようが占拠しようが、後から来るヤツのこと考えずに水でうめようと自由なんだろう、こぉゆう下衆な輩にとっては。

 そのうちヒラメが立ち上がってノロノロと服を着始めた。だいぶ飲んでるらしく、足許がふらついてる。服着てそのままペタペタどっかに行ってしまった。別のオヤジからサゲマンに声が飛ぶ。

 --------おう、アイツどこ行ったんだ?
 --------お酒買いに行ったんぢゃないですかねぇ。だからいつも帰りはあたしが運転して横浜に帰るんですよぉ〜。

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 対岸の駐車場に停めてあるクルマの中にコールマンの白ガスの4リッター缶が積んだままになってるのをおれは思い出した。まだ7分目ほど残ってたはずだ。ブタのように愚鈍で低脳なこいつらにぶちまけて火ぃつけてやろうか、って気になった・・・・・・が、悔しいことに今回もナサケないコトに保身が打ち勝ったのだった。悄然と元来た吊り橋を帰っていくしかなかったのが実態だ。本当に悔しい。

 その時のおれはものすごく怖いカオをしてたらしい。仏頂面ではない。マジで怒ると、おれは人を寄せ付けない、血の気の引いた無表情になるんだそうな。同行のツレのヨメは、これまでそんなおれを見たことがなかったので引きまくりでビビってた。こんなんで表情に出るようぢゃ修行が足りないな、っと(笑)。

 ま、日曜日の塩原だ、こぉゆうバカ共がいても仕方ないっちゃ仕方ない・・・・・・と、なんとか自分に言い聞かせて気分を鎮め、おれ達一行は気分を取り直して矢板の超鄙び系である赤滝鉱泉に向うことにしたのだった。

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 ともあれ、これが温泉ブームとやらの実態の一端であることは間違いない。まことにお寒い限りだ。ずーっと昔書いたことがあるが、もう一回書こう。観光とか温泉なんちゅうアメニティを享受するのにも、それなりの「資質」が求められるのだ。

 ホント、何したっていいよ。百歩譲って、酒飲んでもタバコ吸ってもいい。騒いでてもいい。乳繰り合ってもいい。セックスしてもいい。撮影大会しててもいい・・・・・・でもなぁ、「譲り合い」は最低限の常識やど。次の客が来たらさりげなく立ち上がるのが礼儀ってモンだ。それができないんならこんな露天風呂に来ずに貸し切り露天でも行け!!そんな当たり前の常識さえ備えていない、イイ歳ぶっこいた野卑で無教養な連中は、金輪際温泉来んなっっ!!

 まぁいい。車種もナンバーもキッチリおれは控えた。次、どっかで見かけたら必ず追い込みかけてやる。

2006.03.16
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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