「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2020 岐阜~愛知(二日目・前半)

翌朝、静まり返った旅館を後に、いつものお散歩に出ることにします。
花ってこうしたちょっと暗い時間に撮ると、すごくしっとりした色合いになるような気がしますね。
こうした真っ赤のでも何か落ち着いた感じになるような・・・・・・。
独特の朝の光の青さによるものなんでしょうか。

ピーカンで当たるより好きかも。
それはともかく今日も天気はパッとしなさそうな予感・・・・・・。
まぁ、お天道様だけはどうしようもないっす。
まぁ、本降りにならなけらばそれで良しとしましょう。
一般的にデジカメが苦手とするのはこの赤紫系の色なんですが、これがこうした曇り日はワリと正確に出る気がします。
しっかしMFTの描写、恐るべし。
恐らくは先人たちが木曽川から拾って来て積み上げたであろう、丸石の石垣が美しい。

ボケ具合も浅すぎず、自然に撮れました。
まだ寝静まってる街道筋の商店街の様子・・・・・・まぁ、昼間も寝静まったままのような状況ではないかと思いますけど。
「ボートの街」らしい意匠ですね。
古い宿場町らしく造り酒屋があります。

あ!ここ、昨日買った味醂の醸造元だ。
白扇酒造ってトコで、もちろん日本酒も作ってます。
日本酒は「黒松白扇」、味醂は「福来純」って名前です。

料理に味醂は大事でっせ~。
まるでそこに結界を張ってるかのように、外れまで来ると神社がありました。

「太部古天神社」ってトコみたいです。
古い個人病院を思わせる造りの社務所。

いや~、実はこうした古くて簡素な洋館が欲しいんですよ。
常々、田舎暮らしはしたいって思ってんですけど、鳥も通わぬような山中はイヤかも。
これくらいのちょっと寂れ気味の地方都市が理想ですね。
ロゴがとってもプリティな仕出し屋さん。

こぉゆうの見ると、現代のセンスって画一的で没個性ですよね。
戻ると朝食の準備はとっくにできてました。
肉厚なシャケの塩焼き。
ハムと目玉焼き、サラダ。

ハムエッグにしてないトコが逆に拘りであり、矜持だと思います。
チャンと自家製っぽい壺漬の沢庵。
ひろうすとトウモロコシの寄せ揚げの炊き合わせ。

トウモロコシの方が美味しかったです。
まるでコンドームを載せたかのような納豆。
味付海苔。

ナンボ記録とはいえ、毎回こんなんまで載せる意味があるのかは考えちゃいますね(笑)。
細かく刻まれた具材が上品な味噌汁。

味噌汁って、その宿の技術力や気配りのレベルが分かるケッコー怖い一品のような気がします。
シッカリ食べて、今日も頑張ってちょうだい!

・・・・・・って、何をやねん!?(笑)
部屋の窓から見えるのは、隣の壁だけ。

しかしこの、風雨に晒されたトタンの微妙なグラデーションは見事。窓枠の壊れ具合もシブいっす。
「料理旅館・かつや」、実にいい宿でした。

これで一泊二食、1人7,500円だったかな?ホンマ良心的すぎまっせ!
一旦北上して、小さな製紙工場の横の細い山道を上がって来て着いたのは・・・・・・
ここ数年訪ねた廃墟の中でも特に印象的な黒谷自然公園跡。
何で見付けたのかは忘れましたけど、とにかくここはひじょうに印象深かったです。

同じような画像が続きますが、どうかお付き合いください。
崩壊した園内の案内看板。
頂上に到着。

削られた岩山の周囲はゴーカート場だったようです。
巨大なケージ。
白孔雀を飼ってたようです・・・・・・何でそれが選ばれたのかは不明ですが(笑)。
事務所跡。

奥には積まれた蒲団が見えるので、ひょっとしたらここは自宅を兼ねてたのかも。
しかし、それほど標高高くないとはいえ岐阜の山の上、このようなプレハブでは異常に寒かったのではないかと・・・・・・。
打ち棄てられた人形って、独特の鬼気迫るオーラを発してる気がします。
ここの特徴として、こうした手作りファンシーグッズみたいなのがあちこちに見られること。

右の配色は明らかにドラえもんですよね。
事務作業をやるには不釣り合いな印象の学習机。
荒らされた、っちゅうよりは初めっからこんな風に乱雑に詰め込まれてたような雰囲気があります。

不思議なことにこうしてグチャグチャのところとガランとしたトコロの落差が激しい。
ゴーカート場の片隅に残された三輪車たち・・・・・・って、人力ゴーカートやったんっすかぁ!?

アトラクションっちゅう名の幼児虐待やで、それ(笑)。
それにしてもオーナーは、ぬいぐるみが好きだったんっすかねぇ?
頂上から一段下がったトコにあるコンクリートの建物の屋上。
まずは最上階の3階へ。

様々なガラクタで一杯。
民芸品みたいなものを揃えようとしたのは分からなくもないんですが、民芸とはサッパリ無関係なモノも一杯。

往年のメタルパーカッション系のライブ会場みたい(笑)。
ここの最高に謎でデンジャラスな遺構である吊橋。
踏板とか腐りまくりヌケまくり。もぉめっちゃヤバい。
多分、何か農業の機械。

いや、気持ちは分かるんですよ。自分と同時代の民具や生活雑器に拘りたかったんだ、って・・・・・・でもねぇ。
思わず遠くを眺めても見えるのは山また山の風景ばかり。

アクセス最悪の遊園地と申せましょう。
打って変わって、2階に残留物は殆どなし。

悪趣味に吊るされたこのマネキンが目立つくらい。
2階から1階には行けない不思議な構造。

下って理由が分かりました。1階は動物の檻になってました(笑)。
これまた謎の巨大な擁壁。
落ちたらタダでは済まないくらいの高さがあります。

ひょっとしたらこちらにも大きな建物を建てる予定だったのかも。
謎の建物をバックに。

こうして見ると、未成物件のまま放棄されたってコトが分かります。
件の吊橋をバックに。

吊橋を渡り切ったところからさらにもう一つ橋が伸びてるのが見えましたが、どこに向かってるのかは不明のまま。
敷地はかなり無理して切り拓いたようで、手が入れられなくなった今、あちこちで崩落が発生しています。
いちいち脈絡が無く、どれもが中途半端なのがココの個性かも知れません。
取って付けた感バリバリのお堂。
多分鬼なんでしょうけど、他のどんな鬼にも似てません。

フツーこうした施設はちょっとどころかかなり宗教入ってるんですが、ここはこれくらいでした。
謎に満ちたこの施設跡で最も謎なのがコレ。
高山本線・下麻生駅にあった開業当時の便所。

「トイレ」でも「WC」でもなく、「便所」・・・・・・ナゼをそれを譲り受け、ここまで原形のまま運びたかったのか? (笑)
倉庫だったと思われる建物。
あまりに未完成な状態のまま、それでも営業してたことが伺えます。

開園は1980年で2005年頃までは営業してたと言われるんで、こんなんでも四半世紀持った、と。
上り坂の途中にあったこれも施設の一部、炭焼き窯。
まさか製品として出荷してたんですかねぇ?
窯も実際に使われてたようです。

説明書きによれば1日600kgの炭が焼成可能とありましたが、しかしそれはいくらなんでもフカシでしょう。1回で600kgの原木を投入できたんならまだ分かりますけど。
一気に南下してやって来たのは「パジェロの街」で有名な坂祝。
つい最近、生産撤退と工場閉鎖がニュースになってましたね。

元々はジープとかオープンカーに強いカーボディの工場で、ホンダの「シティ・カブリオレ」もココで作られてたとか。
平成の市区町村大合併の際にも、「うちにはパジェロがあるから」って大見得切って合併の輪には加わりませんでした・・・・・・今は多分関係者みんな、深く後悔してると思います。
坂祝駅にやって来ました。
以前通った時はまだセメント工場への側線が現役で、貨車が列をなしてた記憶があります。
今はもう見る影もありません。
脱いでもらった方が絵になったかも・・・・・・。
通常の貨物側線も2本、半ば草に埋もれながら残ってます。

後方にも空地が見えるので、もっといろんな側線や駐泊所みたいな施設があったんでしょうね。
駅近くのセメント施設は警戒厳重なことが多いので、侵入はパス。
・・・・・・って、もぉ今の時代、木造駅舎が残ってるだけでも良しとせんとアカンのでしょうね。
感慨に耽ってるとディーゼルがやって来ました。

JR東海って電車もディーゼルも見た目が一緒で面白くないっす。
ドンガラで寒々とした待合室。
実は高山本線は昔から「本線」とは名ばかりの巨大なローカル線です。

日本が急速に戦争に向かう中、神岡鉱山からの亜鉛輸送がその建設の最大の目的でした。
さらにちょっと南、木曽川沿いの斜面を上がります。
岩盤が剥き出しになった独特の景観が目の前。
急峻な崖の下に岩屋観音堂が見えて来ました。
観音堂はトリッキーなロケーションに建つ、って勝手に作った法則通り。
ウソかマコトか、ありがたいのかありがたくないのかなんだか良く分からない由来(笑)。

すぐ裏山の猿啄城に関係してるコトは分かりました。
お堂の奥が洞窟になってます。
実際はもっと真っ暗。

LEDライトに手持ちでこれだけ撮れたらありがたい。
ただ、撮影敢行って感じではなかったですね。

まぁ、黒谷自然公園で気合入れ過ぎて疲れた、ってのもありますが・・・・・・。
そぉいえば中部地方はこの八大龍王を祀ってることが、他の地方より多い気がします。
小さいながらも鐘がありました。
川の対岸にある大泉寺の奥ノ院でもあるみたいです・・・・・・って、川渡らんと来れない奥ノ院っちゅうのも珍しいかも。
すぐ後ろには要塞のように厳重に防護柵で覆われた高山本線の線路が通ってます。

午後はさらに南下して、脱力系スポットをいくつか回る予定です・・・・・・それにしても予想通り天気がイマイチですね。
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