「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2019 山形~新潟(二日目・後半)

続いて到着したのはこちら。

草地にところどころ穴が空き、黒い水が溜まっています。
ここは日本最古とも言われる黒川油田の跡に作られた「シンクルトン記念公園」です。

明治の初めにシンクルトンさんって外国人医師が石油の採掘法を教えて以降、本格的に黒川油田として発達しました。
「臭水」とは石油の滲み出す場所を指し、転じて「草水」・「草生水」などと書かれることもあり、東北の日本海沿岸には同様の地名がいくつも見付かりますが、これらは大体どこも石油の湧くところ。

ちなみに地名の黒川も湧きだした石油で川が黒かったことから名付けられてます。

年がら年中、原油流出事故が起きてるようなモンですね(笑)。
手前の赤く焼けた辺りには今でも天然ガスが噴出しています。
耳を澄ますと、あちこちからシューシュー・ブツブツ・ゴボゴボと音がしてていささか不気味。

もちろん火気厳禁。
あちゃ~!休館中でしたわ・・・・・・って、多分限りなく閉館なんでしょうけど。

いわば廃墟の廃墟になっちゃってますねぇ。

出来たのが平成8年ですから、計画が決まったのはその何年か前でしょうし、ここもまたバブルの負の遺産だと思います。
まぁたとえ開いてたとしても、どぉでもいいような展示ばっかしなんでしょうけどね(笑)。
裏手に広がるのが国の史跡でもある「臭水油坪」。

石油は大量の水に混じって湧くモノなので、周囲はこのようにグチャッとしてるコトが多いです。

落ちたらタールで真っ黒になりそう。
さらに裏の山手に上がると油井跡が点在。
覗くと結構な深さがありました。

周囲は今でも鼻を衝く石油の臭いが立ち込めています。
山中には無数にこうした油井跡があって、遊歩道附近以外は特に柵もなく、落っこちたらアウト。
それにしても今にも雨が降り出しそう。

何とも眠い写真ですねぇ~。
これまで油田跡はかなり訪ねてますけど、ここは至る所で未だに湧いてて、一番石油の湧いてる感じがありました。
ちなみに黒川油田の最盛期は戦時中から戦後にかけてで、平野部にまで無数の櫓が建ち並び、パイプラインが駅まで敷設されていました。

その後も細々と採油は続き、1980年頃まで操業していたようです。
続いてはさらに南下して石上神社に到着。

かなりマニアックにデータマイニングして見付けた巨石スポットです。
藪蚊が凄まじく飛び交う草生した石段を登って行きます。
ちょっと立派な村の鎮守といった風情の拝殿。
その横にあるのが「馬石」と呼ばれるドーム状の巨石。
これほど見事な巨石がほとんど無名っちゅうのも珍しい。

明らかに磐座ですよね。
この辺でいよいよ雨がぱらつき始めました。

頑張ってくれて感謝感謝。
新潟は県の広さからすると巨石系スポットにワリと乏しい気がします。

修験の山形の隣県なんでそんなハズはないと思ってるんですけど。
元は虚空蔵系の寺だった模様ですが、弘法大師がどぉこぉとか、知ってる限りのコトを繋ぎ合わせて拵えたような伝説が面白い。
続いては巨石群がメチャクチャに破壊されちゃってる石井神社をパスして、大友稲荷へ・・・・・・って、ホンマ、あんな壊し方、文化や歴史の蹂躙ですよ。自治体の民度の低さが伺われます。

まずは奥之院から。
こんもり繁った森の中に向かって建ち並ぶ千本鳥居。
お稲荷さんっちゃぁどこもこの千本鳥居なんですけど、個人的にはちょっと怖い。

何か合わせ鏡の中を見ているような、吸い込まれそうな気持になるんですよ。
あと、奉納されたのだか廃棄されたのだか良く分からん小さなお社がズラッと並ぶ様子もちょと怖い。
祭壇を埋め尽くす狐・狐・狐・・・・・・お面も見えますね。

BABYMETALが奉納したのかな?(笑)
そんなに深い森でもないのに何かとても周囲は薄暗く、異様に迫ってくるような雰囲気があります。
この別世界に迷い込んだようなサイキックな空気感は格別かも。
ともあれ超広角にお稲荷さんって似合いますね。
ちなみに巨石信仰とお稲荷さん、虚空蔵、妙見信仰はカブッてることが多いような気がします。
ひょっとしたらここももっと探したら磐座等があったのかも。
折角なんで本殿の方にも寄ってみます。
セルフサービスの御朱印(笑)。
これまたちなみに、世界最古の通信販売って実は「お稲荷さん建立キット」だと言われてます。

この革命的なアイデアによって江戸時代、爆発的にお稲荷さんが大流行しました。
いい加減おなかが空きましたが、行けども行けども飲食店の類がない。

ようやく月岡温泉の外れでラーメン屋発見。
ヨメは「えび塩ラーメン」。
私はフツーに醤油ラーメンにしました。

大盛無料サービスだったんですが、時間も遅いのでここは我慢して・・・・・・
・・・・・・ジャンボ餃子をプラス(笑)。

余計にカロリーオーバーやんか。
とにかく何でも良いからって入ったんですけど、予想以上に美味かったです、このお店。
この辺は月岡、出湯、今坂、村杉と温泉が点在し、また新潟最大の珍スポ系廃墟と言われる「ロシア村」なんかもあるんですが、時間が押してて全部パス。
まぁ、今後の宿題ってコトで・・・・・・それにロシア村はほぼ解体されちゃいましたしね。
続いてはこれまたかなりディープにマイニングして見付けた立石神社に到着。

元は修験の行場だったようで、付近には胎内潜りなんかもあるみたいです。
何か奇妙な石で出来た顔のオブジェが周囲に沢山並べられています。
古くからの信仰なのか、最近のモノなのか一切不明。
急な石段の左右には牛と・・・・・・
・・・・・・虎。

牛と虎で丑寅、丑寅と言えば虚空蔵。
今はもう地元からも忘れられかけてるのか、かなり荒れた様子のお堂がヒッソリとありました。
・・・・・・で、肝心の目指す立石はこっから山を登ったトコにあるみたいなんですが、猛烈に生い茂った夏草に行く手を阻まれ断念。

高さ8mとかなり期待できるものだっただけにちょと残念。
時間がさらに押す中、ダメ押しでやって来たのはココ、安田民俗資料館。
元は中学の先生だった人が私財を投じて始めた私設博物館ですが、今は廃墟になっちゃってます。

ちなみに上の建物が旧・蒲原鉄道本社社屋、これは旧・板井外科医院玄関。
蒲原鉄道が廃止になった際に譲り受けた鉄道系が多数あります。
折れちゃってますが、現存するものは殆どない、明治初期のガス灯。
雑草の中に半ば埋もれかけた消防車。
旧・蒲原鉄道のモハ51。

1985年の部分廃止時に譲渡されたものだそうです。蒲原鉄道自体は1999年までなんとか生き延びました。
内部はこの通り凄まじく荒廃してます。

木が完全に腐ってブヨブヨ。
外もこうしてコケ生えちゃってますもんね。
何かもぉすべてが痛々しくて見てられないようなヒドい状態です。

ここを開設された先生って多分、地元愛に溢れ、何とか失われ行く郷土の事物を留め置こうと考え、私財を投じて始めたんだとは思います。

でも如何せん自分の後々のことまでは考えが及ばなかったんでしょう。
施設自体は1999年頃に休館となって20年以上そのままですが、驚くべきことに公式ホームページは今も生きています・・・・・・ただ、こちらも更新は15年くらい前に止まっちゃってます。
すっかり遅くなってしまいました。

阿賀野川沿いに走って三川ってトコから山に分け入り、今夜の宿・「裏五頭山荘」に到着。

まずは何より風呂へGO!
川に面した斜面上に、如何にも手作りっぽい半露天の混浴。
温泉ではないんですけど、ヘタな温泉宿より温泉らしいとの評判を信じて来ました。
小さな浴槽が1つあるだけですが、たしかに雰囲気は良いですね。
何となくグイっとポーズ(笑)。
入口方向を望む。
浴槽はこんな感じ。

詰めて4~5人ってトコでしょうか。
手が宇宙人みたいに細く写ってしまいましたね。
簾がちょっとジャマなんで開けてみました。
いや~ホント、ヘタな温泉宿よりも雰囲気のある露天風呂ですよ、ココ。
かなり明るく撮ってますけど、実は日暮れが近付いて薄暗くなって来てたりします。
お湯も温泉水ではないとは申せ、多分山の湧き水なのかアルカリが強く、それなりに雰囲気あります。
昔みたいに温泉・鉱泉に対する拘りが強かったら、歯牙にも掛けなかったんでしょうねぇ・・・・・・。
そろそろ上がることにします。

いや、マジ良かったです、この半露天風呂。
内湯にも一応入ってみることにします。
低線量放射線のホルミシス効果・・・・・・って書くと却って怪しい気が(笑)。

恐らくそんな石でも入ってるんでしょうね。
こちらは男女別、渓谷を望む特に変哲のない内湯でした。
この旅館の面白い所は川沿いに異様に細長く建て増しを重ねた建物。奥行きは逆に殆どありません。

ちょっと雑然とした感じが山小屋っぽい雰囲気の帳場附近の様子。
新潟といやぁやっぱしトキですよね。

弟はケンシロウ、兄貴はラオウ・・・・・・ってスンマセン。
和室には似つかわしくないベッドがドーンとある室内の様子。
ちなみに建物の形に合わせたかのように部屋も横に細長いのが特徴。
そうこうする内に夕食の時間になりました。
料理も横に細長く並べられてます(笑)。

面白いのは食べる場所が廊下に面したテーブルってトコ。とにかく奥行きが無いんですね。
ぶっちゃけ、料理の一品一品についてはスンマセン、忘れました。それくらいに皿の数と知らない山菜類が多かったんです。

余りに種類多かったんで通番を振りますね。これは1.焼き茄子。
2.山菜の何か。
3.炊き合わせ。
4.新潟名物の「のっぺ」。会津の「こづゆ」と似てます。
5.何だったけかな?コレ。

その右隣りは6.茗荷の酢の物。
7.何かの山菜。
8.これは蕗の佃煮。
9.「7」と似てますけどまた別の山菜。
10.これまた山菜。上に載ってるのは菊の花。
11.甘酢に漬けた独活だったかな?
12.筍と揚げのその他の炊き合わせ。
13、ピーマンの焼き浸しだったと思います。
14.川蟹の塩茹で。
15.枝豆。
16.イワナの姿造り・・・・・・メチャクチャ美味かった。
17.釜めし・・・・・・点火前ですが。
当然、酒がバンバン進みます(笑)。

それも私の大好きな「麒麟山」ぢゃあ~りま温泉!
18.イワナの塩焼き。
19.天麩羅盛り合わせ。

かき揚げみたいに見えますが、チャンと1つづつになってます。
20.イワナの稚魚の唐揚げ。

これがもうメチャクチャ美味い。
昔に較べてシッカリ食べるようになりましたね・・・・・・あ、呑む方もか(笑)。
21.シメの蕎麦。

恐るべし、驚異の全21皿。多分これは皿数では最高記録ではないかと思います・・・・・・ボリュームでは今は無き島原・岩永旅館が絶対王者でしょうけど。
でも山菜中心でどれも薄味なので、最後までキチンと完食できました。
しっかし、新潟県を南下しただけなのに、意外に今日は長丁場で疲れました。
こうしたちょっとした花活けのセンスとかに旅館のホントの良さって表れますよね。

千里の荒野に踊る、一輪の花に唄う・・・・・・あ、知らん人はスルーしてください。
ともあれ間違いなくこの旅館、素晴らしいと思います。
夕食の美味しさについつい飲み過ぎてしまいました・・・・・・まぁ、いつものことですね。

明日は磐越東線沿いに会津に向かっていきます。
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