「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2019 山形~新潟(二日目・前半)

翌朝。

例によって例のごとく、単焦点散歩に出掛けることにします。
それにしても、何でこんなどうでもいいスナップでこんなにもナナメってるのか!?(笑)
静まり返ったロビーで下駄に履き替えます。
言葉を後からドンドン足し込んでった感じがしますね。

元々は「萬力旅館」か何かで、建て替えて「ニュー」が付いて、内外装のリニューアル工事やって「花みちる宿」がさらにオンされた・・・・・・みたいな。
表から見るとメチャクチャ小さい旅館に見えますが、奥に向かって結構広がってます。
「***の宿」って付けるのが流行ってるんでしょうか?
ココはツブれちゃってますね。
不法投棄なのか、あるいはツブれたことで発狂した経営者がゴミ屋敷に仕立て上げたのか・・・・・・旅館街としてもこりゃ迷惑でしょう。
「き・ん・つ・ば」の意匠がちょっと可愛い和菓子屋。
ここも絶賛廃業中とおぼしき建物。

ナカナカこうした「田園風景の中の温泉地」みたいなトコはやりにくくなってんでしょうねぇ。
・・・・・・っちゅうか、高度成長期あたりに団旅狙って闇雲に収容数増やしたような旅館が多分、今一番苦しんでるような気がします。
バブルのリゾートブームやインバウンド目当てのホテルラッシュもそうなんですけど、その状態が右肩上がりに未来永劫続くと思ったトコから不幸は始まってんぢゃないか?って私は思ってます。
河川敷の中には湯気の上がる巨大な源泉井戸がありました。
温泉街の外れまでやって来ました。
薄ピンク、ってなかなかデジカメでは綺麗に色が出にくいかも・・・・・・。
「大したもん蛇」ってのは、そんな名前の祭りがあるからみたいです。

どうやらここを藁で出来た大蛇が担がれて練り歩くみたい。
ワリと温泉としてのポテンシャルはある感じなんで、もっとベタな観光から離れた宿や景観を考えると良いようなに思いました。
現に同じ温泉郷の中でも、アクセス的には一番不利なハズの鷹ノ巣温泉が堅調だったりしますもん。
まだまだ暑いとは申せやはり9月ですね。
僅かずつ秋は忍び寄ってきています。
旅館まで戻って来ました。

玄関脇で飼われてる亀。
美人画襖が真正面、ってのには何とも言えないセンスを感じますね。
片隅には猫ちぐら。

かなり爪で研がれた痕跡があります。
手の込んだ障子飾り。
部屋に戻るとヨメも起きてました。
そぉいやぁ私、電球の傘を写真に撮ってるコトがひじょうに多い気がします。
35mm/F1.8の実力がいかんなく発揮された一枚。

タムロンのこれ、もっと人気出ても良いレンズだと思うんですが。
ひじょうにオーソドックスな朝食。
冷や奴。
温泉玉子。
キンピラ。
茄子の煮物。
鮭の町・村上が近いだけあって、ちょっと厚めの塩鮭。
佃煮に漬物。
味付け海苔。
味噌汁。
デザートはバナナの上にヨーグルトと葡萄。
チャクッと完食!
猫ちぐらを眺めてたら、女将さんに「上に乗っても大丈夫。それくらい頑丈」って言われたんで試してみました。
天気が崩れそうなんで早目に出発・・・・・・って天気が良くても早目に出発が我が家のモットーなんですが(笑)。

まずは村上に向かうことにします。
途中、山の中でまったくノーマークの気になるスポットを発見。
見ての通り「桃川のおたきさま」ってトコです。

クルマを停めてケッコー急な山道を下って行くと・・・・・・
これかいっ!?

こりゃ砂防ダムちゃうんかいっ!?(笑)
違いました。

支流になった奥に見えました。
絶対かつては修験系の行場だった雰囲気の滝があります。
手前には石祠なんかも点在しており、ここが「おたきさま」なんでしょう。
それにしても何となく人工的な感じがします。

こんなに手頃な大きさで整った形の滝が自然に出来るもんなんでしょうか。
・・・・・・と訝しみつつも撮影は敢行しましたけどね(笑)。
地味なのに何か不思議と印象に残るスポットでした。
何でもそうなんですけど、予備知識なしでポッと見付けた場所がアタリだと嬉しいですよね。
実はヨメはこぉいった細いトコや高いトコが大のニガテ。
ヌォッッ!・・・・・・鼻デカ写真みたい(笑)。
エイッッ!(笑)。
村上に到着しましたが一旦市街地を通り抜けてやって来たのは海辺にある多伎神社。

あ!ここも「たき」なんですね
何か芸のない写真になってしまったなぁ~。
義経北行伝説もあったりするナカナカな由緒の古社みたいです。
海辺の崖の細い道を歩いて行きます。
着きました。

海と崖に挟まれた狭い所に拝殿があります。
何となく寺っぽいその内部。
潮風が強いせいか、エラく厳重な扉が付いてますね。
え~、ナニナニ?弁慶が日本海を一望して観潮閣と大書して掲げた・・・・・・はぁ!?逃げてる途中なのにヨユーやのぉ(笑)。
ここも神社ってワリには巨石祭祀っぽいスポットがあったりして・・・・・・
細いながらも滝が流れ落ちてます。

「多伎」って要するに滝のことなんぢゃねぇの?って気がしました。
手向けられてる花の多さから、それなりに結構な数の参拝客が訪れてることが伺われます。

・・・・・・いや、まぁ無理は禁物って言いたいだけなんですが(笑)。
ちなみにこの神社の上あたりには「古代ランド岩ヶ崎」という遺跡を再開発した珍スポ系の廃墟があります。

結構厳重に管理されてるみたいなんで、潜入はしませんでした。
市内に戻ってやって来たのは見るからにシブいお寺。

何だか納屋みたいな山門が特徴的。
日本最後の即身仏、仏海上人を祀る観音寺です。

気付けばケッコー即身仏も見て回ってるなぁ~、おれ。
ナカナカの迫力の仁王。

チャンと象嵌が入ってますね。
このお方が仏海上人。

明治初期の村上の一大ヒーローで、スポンサーを募って大規模な土木事業を行ったり、広く慈善活動を行ったり、単なるそこらの坊さんとは一味も二味も違うバイタリティ溢れる実践的な篤志家だったようです。
しかしやはり湯殿山系の行者ゆえ、最後の切なる願いは即身成仏であり、その時に備えて五穀断ち・十穀断ちとシッカリ準備もしてたんですが・・・・・・時はすでに明治も終わり近く、それは自殺とみなされ法律で禁止されちゃってました。
・・・・・・なもんで明治36年に上人が亡くなると、町の人で何とかそれらしく仕立てて土中に埋めました。

しかし、さらにここで新たな問題が!
墓を掘り起こすこともこれまた法律で禁じられちゃっており、これでは「何十年後かに掘り起こしてくれ」という遺言も守れない。
困り果てた町人たちが一計を案じてひねり出したのは、何ともウルトラCなアイデアでした。
それは驚くべきことに、新潟大学に頼んで「学術調査」っちゅう名目で「発掘」してもらうことだったのです。

紆余曲折を経ておよそ60年後の昭和36年、晴れて仏海上人は即身仏として(・・・・・・本来の手順からするとちょとビミョーですが)戻って来たのでした。
今は本堂の隅っこに静かに安置されています。

ちなみにお伺いしたら留守で、勝手に上がらせて拝観させていただきました。千円札を置いてったのは私達です。
村上は城下町として、また北前船の寄る商都としても栄えた古い街です。
そんな村上で外せないB級スポットっちゃぁやはり「イヨボヤ会館」。
イヨボヤ(鮭)だけをテーマにした博物館です。

だから建物もサーモンピンク(笑)。
村上と言えば秋の終わりからこうして寒晒しにして干される塩引鮭で有名。
それはナゼかっちゅうと、世界で恐らく初めて鮭、どころか魚の養殖を事業として行った町だから。
そんな鮭の産卵場を整備した三面川の河岸に博物館は建ってます。

ガラスの向こうは川。
しかしまぁ、鮭だけをネタに良くこんなハコモノ作ったモンだと呆れ・・・・・・もとい、感心します。

完成したのは当然ながら、日本がバブルに差し掛かる頃。
顔出しはそんな鮭の回帰性に気付いて産卵場を整備した立志伝中の人、青砥武平治。

多大な功績が認められて、晩年には貧乏藩としては異例の俸禄を得ることとなりました。
誰も知らないゆるキャラ「サケリン」。

それにしてもセンスのないベタなデザインやなぁ~。
これもバブルの頃に流行ったネタ。

ブラックライトで光るラッセン風の絵・・・・・・ただしイルカではなく鮭(笑)。
塩引鮭はフェイクでした。

ちなみにこの鮭、丸ごと一本買うと目の球の飛び出すような値段です。
スタンプも割とマメにやる方かも。
巨大模型もあります。

塩引鮭の巨大模型にすれば良いのに(笑)。
建物の前にも顔出し。
これは本物。

カッチンコッチンになってます。これを薄く切って酒に漬けた「酒浸し」は素晴らしく美味い珍味。
瀬波温泉まで南下して土産物を購入。
ノドグロは今や現地でも高級魚になってしまいましたね。
地物の魚はどれも激安。3カゴ1000円って、驚異的。

今日中に東京帰るんなら買っちゃうんですが・・・・・・。
仕方なく一般的な土産物を選びました。

後半はさらに南下して行きます。
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