「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2019 東北Ⅰ(二日目・前半)

翌朝。

すごく分かりにくくて申し訳ないんですけど、手前を左右に走る道路の下が切り通しになってます。
大船渡線の跡です。

今はもうレールもすべて撤去され、バス専用道路に転用されちゃってました。
朝日の昇る穏やかな湾の光景。

この辺は幸いなことにあまり津波の被害はなかったようですが、一つ岬を挟んだ南は町全体が壊滅した陸前高田です。
津波のメカニズムはその方向や地形によって大きく差が出るらしいです。
・・・・・・とは申せ大船渡も、もう少し湾奥の方はかなりやられたみたいですが。
何の仕掛けもないホテルの屋上。

撮影敢行すれば良かったかも(笑)。
そうこうする内に朝食の時間になりました。

ホテルって名の付くトコはホント最近バイキングしかないような気がします。
アッサリとお茶漬けを拵えてみました。
左上から反時計回りに玉子焼き、切り干し大根、茄子の揚げ浸し、ハムと唐揚げとウィンナー、めかぶ、お刺身チョロッと。

右はサラダで、右上はイクラ。
ヨメは海鮮丼を拵えました。
控えめにしたツモリでもついつい取り過ぎてしまうのがバイキングの欠点と申せましょう。
しかし、流石海の近くだけあって海の幸のおかずが目立ちます。
この辺はマグロとイカですな。
海老やらカニ(カマ)やら・・・・・・
焼き魚も3種類。
・・・・・・あ、これが大船渡線の跡です。

カーブの曲がり具合が如何にも線路跡の雰囲気です。
大船渡温泉全景。
もう二度と列車が走ることはないんでしょうね。

大体、震災以降の人口流出も凄まじいみたいですし。
こうして見るとチャンとした旅館なんですけど・・・・・・
ヤッパシこの卓袱台はないわぁ~!(笑)。
ともあれ出発です。
震災後に急ピッチで整備が進められた三陸自動車道を北上して、アッちゅう間に釜石に到着。
釜石の町も見たかったんですが、これからの予定もあるんでパスして、いきなり山の方に入って行きます。
取り敢えずは道の駅で何か参考資料になるものはないか物色。

昔は何か情報を探すときって、必ず鉄道の駅に立ち寄ったもんですけどね。
以前から一度訪ねてみたかった陸中大橋駅にやって来ました。
鉄の町の象徴である釜石鉱山からの鉄鉱石の積出駅だったところです。
今はもう、申し訳程度に列車が走るだけ。

駅舎も解体されて寂しい無人駅となってます。
そうそう、釜石線の各駅には宮沢賢治に因んでエスペラント語での愛称が付けられてます。ここは「鉱石」を意味するっちゅう「ミナージョ」だそうな。

ぶっちゃけこぉゆうネンネン趣味はサブイボが出そう・・・・・・。
巨大ホッパーの廃墟がかつての隆盛を忍ばせます。
ホッパーはもう一基。

こちらは日鉄鉱業のモノで別に専用線が鉱山まで続いてたみたいです。
駅を出た線路はすぐにトンネルに突っ込み、オメガループで高低差を稼いで駅の遥か上の山の中腹に出て来ます。
いずれにせよ私の永遠のバイブル、河田耕一・「シーナリィガイド」で見た風景はすっかり喪われてしまってました。
駅構内が広いので保線列車が留置されてます。
ここから狭い谷間を上がったところが釜石鉄山。

これは超巨大選鉱場の跡。
シックナーも巨大サイズ。
初期の頃はココで製鉄もやってたのか、耐火煉瓦の残骸。
赤錆びて哀れなバテロコ。

もちょっと手入れすればエエのに。
小型のホイルローダーもサビサビ。
選鉱場跡をバックに。
解体前はこんなに立派だったみたいです。

いくら維持費がかかるとは申せ、何でこうした設備を産業遺産として残さないんでしょうねぇ?
ちなみにこの釜石鉄山、一部の坑道は現役稼行中で、様々な試料用に月10トンくらいは今でも採掘してるみたいです。
他には発電所や地震研究施設なんかも地下深くに作られてます。
そんなワケで決して廃墟ではありません・・・・・・いやまぁ、どう見たって廃墟に見えるんですが(笑)。
ちなみにココで採れる鉄鉱石の品位は世界的に見ても極めて高く、「ほぼ鉄のカタマリ」みたいな高純度なんだそうです。
その気になれば撮れたかなぁ~・・・・・・(笑)。
ただ、全ての扉は厳重にロックされており、内部に入るコトは出来ませんでした。
う~む、物件的にはひじょうに雰囲気あって良かったんですけど。
ボヤいてても仕方ないんで次の目的地に向かうことにします。
一旦高速に戻って、山を回り込むようにして隣の駅の上有住に到着。
ココも今は寂しい無人駅ですが、かつてはすぐ横に巨大な石灰鉱山があり、貨車の列がひしめく駅でした。

製鉄には石灰が不可欠らしく、その点でどっちも採れるこの釜石はひじょうに恵まれた環境にあったと申せましょう。
ちなみにココのエスペラント表記は”カヴェルノ(洞窟)”です。
ダイヤの閑散としたトコは当然ながらさっきと一緒。
全く用をなさなくなった周辺観光案内図。
今はこのように簡易な停留所のような構造ですが、国土地理院の古い航空写真では側線やら引込線も有するかなり大きな駅でした。
・・・・・・あ、ココにはマトモな看板がありますね。
・・・・・・で、何でこの駅のエスペラントが洞窟なのか?っちゅうとこれがあるからです。

石灰ある所鍾乳洞あり、ですね。
早速入場料を払って長靴に履き替え、入洞。
ドカヘルに加え、中は寒いし水に濡れるんで、ってんでジャケットも渡されました。
川渡った向こうが入口です。

実はもう一つ、反対の山の中腹に「白蓮洞」ってのもあるんですが、こちらは東日本大震災で一部崩落したため現在は閉鎖中。
通り抜け型ではなくUターン型となっており、高低差のない狭い洞内をひたすらグネグネと歩いて行きます。
このアプローチがとにかく長い長い。

片道900mくらいあります。
途中の見どころはぶっちゃけあんましない方。
ただ、地底の川沿いにひたすら歩くのがってのは、他にあまりない感じです。
面白かったのは、映画「八ツ墓村」のロケがココで行われたそうで、ココがどのシーンだ!みたいな解説が随所にありました。
奥に行くほど空間が広がって行って・・・・・・
突き当りが「天の岩戸の滝」。

これ見るだけでも延々と歩く価値はあると思います。
滝の落差は約30m、ドーム自体は60mの高さがあり、流れ落ちる水の轟音が響き渡っています。
意外にこういった説明は真剣に読む方だったりする。
カップルのシャッターを押してあげたら、代わりに撮ってくれました。

・・・・・・それにしてもほぼ不審者やな、おれ(笑)。
未公開ですが、鍾乳洞はココから奥にさらに2500m以上続いており、まだいくつも滝があるようです。
鍾乳洞の中の水って天然のフィルターを通って濾過されてるせいか、本当に綺麗。
岩手県は実は鍾乳洞の宝庫。

他にも行ってみたいところは沢山あるんですが、今回は時間の都合もあってこれだけなのがちょと残念。
外に出るとムーッと暑い。
この滝観洞のある住田町は、平成の市区町村大合併の輪に加わらなかった(加われなかった!?)珍しい自治体の一つ。
ゆるキャラ「すみっこ」で是非とも頑張って欲しいと思います。

火の熾った炭のキャラクターでケッコー可愛い。
一気に西進して遠野を通り過ぎ、やって来たのは花巻近くのココ。
通称、「蝙蝠岩」です。
今はこのお堂と粗末な社務所があるだけのマイナースポットなんですが・・・・・・。
・・・・・・って、うわぉ!懸崖造りぢゃんかよ。

正確には崖ではなく大岩の上ではありますけど(笑)。
それはともかく、この裏手に広がる岩がナカナカのド迫力。
・・・・・・って、撮影に熱中し過ぎてフツーの写真をすっかり撮り忘れてました(笑)。
ノワァ~ッ!

社務所の方を見たら、ビビるくらいのアシナガバチの大群ぢゃあ~りま温泉!!
スズメバチほどではないにせよ一斉に襲ってきたら大変なんで、一目散に撤収・退散!
再び東に向かって進み、少し山に入って次のスポットに到着。
ここはひじょうに有名なんでご存知の方も多いでしょう。

丹内山神社です。
御神木の切り株を横目に見ながら・・・・・・
お参りもそこそこに・・・・・・
ひたすら石段を登ってくと・・・・・・
拝殿の裏手辺りにそれは鎮座していました。
「アラハバキの石」と呼ばれる巨石です。
隅っこの裂け目は胎内潜りとなっており、壁面に触れることなく通り抜けられればあらゆる願いが・・・・・・
・・・・・・そんなん絶対にムリやんけっ!!(笑)。

夜店のアテモノの方がまだカンタンや、っちゅうねん。
これが後ろの出口。

距離はないけど、ムリムリムリ!ずぇ~ったいにムリ!
ともあれなるほどその威容には、巨石としては第一級の風格が感じられました。
ただ、これだけ有名になっちゃうとなぁ~・・・・・・

次から次に人が来るしなぁ~・・・・・・(笑)。
ちなみにこの丹内山神社にも七不思議があるそうです。
1:本殿脇障子の唐獅子を舐めると居眠りしない。
2:神社境内の建物にはつららが下がらない。
3:肌石には雪が積もらない。
4:手水鉢はどんな干天でも水が乾くことがない.
5:境内には竹が生えない。
6:どんな強風でも境内の外に銀杏の葉が飛び散らない。
7:杉の木の幹に桐が生えていた。
これがその手水鉢。

七不思議としてはちょっと押し出しの強さに欠けるような・・・・・・。
まぁ、何はともあれあんまし有名になって人が沢山来るのは、個人的には好ましくないっすねぇ。
ロケーションとしては最高だったんですけどねぇ~・・・・・・ブチブチ。
神社のすぐ隣にある「旧・谷内村村農会館」。
レトロモダンな佇まいがナカナカ好ましい風情です。

残念なコトに厳重に施錠されており、中には入れませんでした。
調べてみると再建されたモノで、今は映画のロケ地として貸し出されてるようです。残念!

後半はだんだんと遠野に近付いて行きます。
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