「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2019 北関東Ⅲ

夏の曇り日の朝、こりゃまたシッブい景色から本日の旅は始まります。
ココは茨城県は友部近くの山中、「加賀田の大日堂」ってめちゃくちゃマイナーなトコです。
何でこんな地味なトコに来たのかっちゅうと、色々調べてるうちに、ここにかつて「加賀田鉱泉」という鉱泉があったコト、またこの一帯にタングステン鉱山もあったコト等が判明したからです。
不自然な平場とかはあったものの、遺構は一切残ってませんでしたけどね。

石段を上がってみることにします。
簡素な覆い屋根の向こうにゴリゴリ系の穴があって、その中に祠があるだけでした。
ひょっとしたら試掘の跡かも・・・・・・な~んてね。

それにしても、迂闊に入り込んだおかげでもちょっとで脱輪するトコでした。ヤバいヤバい。
続いてやって来たのは笠間の北東の低い山裾のあたり。
意外に懸崖造りが沢山ある茨城で行き残してた蓮台寺(上福田)不動尊です。

何でこんなトコに!?ってな場所にこれだけポツンとあります。
そんなに昔からある感じでもなさそうなんで、清水の舞台とかを意識して再建されたのかも知れません。
調べてみたところ、「時朝の六体仏」ってな信仰があって、創建自体は鎌倉時代に遡るようですね。

まぁ、むつかしい話はともかく、またこれで訪ねた懸崖造りが1ヶ所増えました、っと。
そのまま笠間に戻って山をちょっと登って行きます。
てっぺんにあるのが佐志能神社。

山自体は「佐白山」って名前で城があったせいか心霊スポットだのなんだの言われてますが、実際は廃藩置県で山の下に役所機能が移転するまでは行政の中心地でした。

この神社もその時、天守閣を解体して造られたモノ。
いきなりドーンと巨石。

手水鉢が彫られてます。
裏側の塀は昔の廃材を流用したとおぼしき瓦塀になってます。
まぁこんなんも、お子ちゃま心霊探検隊には格好のネタになるんでしょうね。

ちなみにここから少し下った辺りが「石倉」と呼ばれる巨岩地帯です。おそらくは「磐座」の跡ではないかと思いますが。
ただ、ズンズンここまで来ちゃいましたけど、実はこの辺東日本大震災でかなり激しく崩落して、あんまし予算が付かないせいかそのまま長年放置されてたりします。
倒木なんかもこの通り。
少し下ると如何にも城跡っぽい雰囲気のある広場になってます。

スンマセン、今回は何かパッとしない写真が多いですよね~・・・・・・実は撮影は極めて順調でして、それで逆に旅写真が減っちゃった、と。
一旦、笠間稲荷のトコまで下って、すぐ隣にあるお店に予約を入れに行きます。

鰻屋としての歴史は浅いものの、名店として最近急速に知られるようになった「量深」です。
無断キャンセルするバカが多いせいか電話予約はダメみたいで、早目に行って予め名前を告げとくって方式になってます。

まぁ整理券みたいなモンっすね。
まだしばらく時間があるんで、西に行って稲田神社・奥ノ院へ。

これは稲田の地名の由来と言われる三段になった田圃。「好井」という小さな池も隣にありました。
クルマ停めるトコなくて困ってたら、地元の方が家の敷地に停めさせてくれただけでなく、ジュースとおかきまでくれました。

本当にありがとうございました。
谷の奥まった辺りに小さなお堂がいくつも建ってます。
こうして見ると山の中の何もない所に見えますけど、村はずれにあります。
神社なのに仏像があるのがなんともシュール。

長くなるんで割愛しますが、伝わる伝説も坊主が拝んでたら鹿嶋大神が出て来たり、何とも神仏習合・本地垂迹でワケが分かりません。
「太鼓石」という名の巨石もあります・・・・・・っちゅうか、そもそもこれを見に来たんだった。
素盞嗚命のヨメの奇稲田姫がココに降り立ったとかナントカ。

・・・・・・実は私、こぉいった伝説・伝承の類はまったく信じてなくて、そうしたストーリーが捏造されるプロセスに興味があります。
なぜか観音堂もあったりする。

大体神社なのに「奥ノ院」っちゅうのがかなりおかしいですよね。フツーは「奥社」か「奥宮」ですもん。
でもまぁ、そぉゆうエエ加減さが中世以降、日本でさしたる宗教的対立が生まれてこなかった要因なんだと思います。

ジュースとお菓子のお礼に、いつもより多い目に賽銭弾ませていただきました。
予約の時間までまだもちょっとあるんで、本宮の方も覗いてみることにします。
意外に大きい神社でビックリしました。

誰もいなかったし撮影敢行しても良かったかな。
そろそろ時間なんで笠間稲荷に戻って・・・・・・
境内を横切って・・・・・・
祭が近いのか奉納の提灯が並んでますね。
そぉいやココ、お稲荷さんなんだけど、赤い幟が見当たりませんね。
・・・・・・で、丁度時間に到着。
大将はガンガンに焼き始めてます。

このお店、元は麦とろの専門店だったのが、今は亡き東京の名店・「田川」の暖簾分けで鰻屋に転身したという変わった経歴。
なんか最近、お昼はやたらと鰻食ってますね~。
当然頼むのは特上!

鰻屋の格言、「頼むときは貧乏質に入れてでもケチらない!」・・・・・・いや、私たちが勝手に言ってるだけですけど(笑)。
到着しました。

なかなかビューテホーなヴィジュアルですね。
かなり大きくて肉厚の鰻は、地下水使って数日間、身を引き締めてるそうです。
奥にあるのは出し巻き玉子。

う巻きではないのがちょと残念。
奈良漬とフツーの漬物を別盛りにしてるのは珍しいかも。
肝吸いには三ツ葉ではなく貝割れ使ってました。

・・・・・・で、肝心の鰻はと言いますと、正統派の関東系の鰻の焼き方、比較的サラッとしたタレで上品にまとめてあり、とても美味かったです。
大満足!!

次はとろろも付いたセットにしてみようかな?
再び西進してJR稲田駅前にやって来ました。

この辺は「稲田石」と言って、世界一白くてキメの細かい白御影が採れることで有名。
石切り場が異様な景観を見せる「岩石山脈」もすぐ近くです。

・・・・・・で、駅横にある「石の百年館」という博物館に寄ってみることにします。元はもちょっと北の方にあったんですが、リロケーションされて今はココ。
まぁ、博物館としてはいささかショボかったかも(笑)。

この稲田石、その美しさと丈夫さから国会議事堂始め、数多くの有名建築物に使われてます。
さらに西進して山の上の方にある「富谷山ふれあい公園」ってトコに到着。

朝の曇りがもぉウソのようにメチャ暑い。
変わった形の寂れた展望台があるんで上がってみました。

グワッ!・・・・・・激しく水平が傾いてしまいましたがな!
展望台もモチーフとして大好きです。

何ちゅうか「純粋にムダな感じ」があるって思いません?
一帯は広い緑地になってましたが、人っ子一人いません。

ホンマ税金の無駄遣いっすね。
折角なんで、少し下ったトコにある富谷観音にも寄ってみることにします。
何かマジで抹香臭いロケーションばっかしですな~。

オマケに露出オーバーで白っぽくなったし。
あ、やっとチャンと撮れた。
ひじょうに大きなお寺なのに無住のようです。
何か勿体ない気がします。
ちなみに三重塔は関東以北では最古の部類のモノだとかナントカ・・・・・・。
レフ機は、撮ってみないと露出が適正かどうかが分かりにくいのが難点のど飴。

ただ、あれこれ逡巡せずにピントだけ気にして撮れるのは利点かも・・・・・・歩留まりはともかくとして。
下の方にある山門も折角なんで行ってみることにしました。
立派ですねぇ。

思うに社会全体のボトラッチとして、こうしたお寺や神社に地元からもっと拠出させると良いのではないでしょうかねぇ。
意外に落ち着いた佇まいで良いお寺でした。
続いてやって来たのは北関東自動車道の近くにあるこれまた妙法寺という小さなお寺。

見た目は村の中の小さなお寺なんですけど・・・・・・。
ここには関東地方では数少ない即身仏があって、舜義上人という方です。

当然ながら撮影禁止。ご本人は本堂の隅っこの厨子の中に安置されてます。
ちなみにこの石仏、蓮華座のあたりで上下に分かれており、舜義上人は80年くらいこの中に入ってたのを掘り起こされたんだそうです。
ただ、個人的にはちょっと即身仏ブームの時代から外れることや、その手段の特異さ、湯殿山系ではないことから、自分の意志でなったのではなく、「昔そぉいやお上人様を石仏の中に収めたよね~!」な~んて地元民が想い出して、それで即身仏に仕立てたんぢゃないかと思いますが。
この舜義上人、今でも夢枕に出て来ては「御簾のところの風通しが良すぎて寒い」て言ったりとか、夜、近所の木の下を散歩してたりとか、とても成仏してるとは思えないエピソードがあるのがちょっと可愛い。
さて続いては本日最後の目的地、以前から何度も前を通りながら入る勇気の出なかった店へ。
最近、一部でカルト的な人気を誇る迷店・「はにわの西浦」です。
日本、っちゅうか世界的に見てもハニワ専門店はココしかないらしい。

・・・・・・まぁ、そもそもハニワ屋をやろうって人自体がそんなにいないでしょうけど(笑)。
当然ながら店内は一面のハニワ。

小さいのは500円くらいからあります。
「庭のある家買ったら大きいの一つ買ってみようかな?」ってヨメに言ったら、即座に却下されました(笑)。

そんなこんなで今回もビシバシ撮りまくりは良かったんですが、旅のレポートとしてはいささか内容空疎で駆け足になっちゃいました。お粗末様でした。
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