「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2019 愛知(三日目・前半)

翌朝。

いつもの単焦点散歩・・・・・・ではなく、石巻山に登ることにします。
山小屋みたいな作りの外観。

正面の三角屋根風のファサードは昭和40年代初めくらいに流行った気がします。
ベタな名前やなぁ~!(笑)。

・・・・・・ま、ブリヂストンと一緒っちゃ一緒ですけど。
向かいにある旅館の廃墟。

石巻山温泉郷、かつては結構な数の旅館があったみたいなんですが、今も現役営業中なのはこのナツメ別館だけです。
余りにも市内から近過ぎること、山の上に至るまでの道の狭さ等、観光が高度化する中で取り残されてったんでしょう。
唯一残るナツメ別館には何としても踏み止まって頑張ってほしいと思います。
・・・・・・と感慨に耽るのは後からにしましょう。

まずは山に登らんと。
便利ズームでもいい感じに撮れるときは撮れますね。
どうしても石巻山には日の出の時に登ってみたかったんです。

てっぺん近くのこの旅館ならそれが可能かな?と。
ツブれた土産物屋兼食堂らしき建物の横から山道が始まります。
そんなに遠くはありません。
ちなみに石巻山、山全体が石灰岩でできており、「石巻山石灰岩地植物群落」というのが天然記念物に指定されています。

また古来、信仰の山でもありました。
あ、上のカットのこってすね。

何が何だか良く分かりませんでしたけど。
まずまずのナイスタイミングで山頂到着。
雲はやや広がりつつあるものの、天気もマァマァっすね。

雲一つないよりは、晴れつつもちょっとあるくらいの方が空の表情が出て好きかも。
実はこの時大チョンボしてまして、EVをエラく落としてました。

そんなんで、撮れた写真はどれも夕景のようなトーンになってたりして。
普段旅のギャラリーの画像は数が多くて面倒なので弄らないんですが、これらは画像加工でホワイトバランスやらハイライト/シャドーを調整してあります。、
そりゃもちろん撮影敢行しましたよ。もぉメチャクチャ大量に撮影しました。

そのために朝も早よから登ったワケですし。
ちなみに、距離的にはすぐでしたが、山頂直下はハシゴや鎖場があって、結構ハードでした。
ほぼ垂直なトコもあったりします。
登山道の途中にある「大天狗・小天狗」という名の磐座。
天狗信仰があるところは100%修験の系統です。

だって天狗の装束が山伏そのものですもんね。
そぉいやダイダラボッチ伝説も修験とオーバーラップする部分が多いように思います。
「蛇穴」と名付けられた洞窟。

極めて小規模な鍾乳洞。
別の下りルートを辿って降りて行くと、ほぼ倒壊した龍神社。
この一帯は密教とか修験の香りがプンプンする感じ。
後ろは殆ど水のない「このしろ池」。

これが石巻山温泉の源泉だそうですが、ホンマかいな。
柄杓とかも置かれてあるんですけどね。
ゲコ♪
しかし、ここで特筆すべきはやはりこの巨大な岩壁。

余談ですが、十何年前までここは岩登りのメッカだったみたいです。しかし転落事故があったり、傍若無人にハーケン打ちまくるんで禁止されちゃいました。
さらにダラダラ下って稲荷社の横を過ぎると元の道に戻ります。
中世の頃は城もあったみたいですね。
以上で石巻山の見どころ紹介はお仕舞い。

・・・・・・ぶっちゃけこれだけの観光資源で、何軒もの旅館がやって行けるようには思えないっすね。
あ!最大のスポットの紹介を忘れてました。

石巻神社・上社ってのがあります。見ての通り大規模改修中。
ここは小さいな神社ですが、麓にある下社はかなり立派。
後は入場無料の小さな自然科学資料館、ってのがあるくらい。
恐らくこちらの方がかつてのメインストリートだったと思われる道。

周囲の建物はすべて廃墟・廃屋・空家の類。
これも旅館跡。
両側も。

途中の空地にもかつて建物があったと思われます。
これも。

・・・・・・何だか廃墟好きな私でさえちょっとばかし気分が滅入って来ますね。
ナツメ別館に戻って来ました。
朝食の時間ピッタシで帰着・・・・・・ヘンなトコで几帳面(笑)。
切り干し大根の煮物。
しらすおろし。
塩鮭に豊橋名物の竹輪が一切れ。
ハムサラダ。
目玉焼きが単体で供されるのは珍しいかも。
漬物は昨夜同様で、もう少しヒネリが欲しい。
味付海苔。
木のお櫃もさることながら、特筆すべきは陶製のしゃもじ。

古道具屋では見たことありますが、現役で使われてるのを見たのは初めて。
あとは揚げと豆腐の味噌汁。
思うんですけど、ホンマ旅館の朝食はこれくらいシンプルなんで絶対に充分です。
遠くに霞むのは渥美半島の山々。

今は晴れてますけど、なんか雲行きが怪しい。
そろそろ出発しましょう。

ともあれ江戸や明治、大正を感じさせるばかりが宿ではない、ってココに泊まって気付かされました。
フェイクな駄菓子屋の書割作って昭和でござい、みたいな軽い昭和趣味とは異なるリアルな昭和があります。

ややもすれば三文安く見られがちな、60~70年代の、気付いたら身の回りからいつの間にか喪われてた昭和がそこかしこにありました。
「石巻山温泉・ナツメ別館」・・・・・・私は強く推したいと思います。

あとは東京に戻りつつ何ヶ所か尋ね歩くことにします。
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