「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2017 八丈島(初日・前半)

朝の空港に到着した飛行機が一機。
荷物受け渡し場は1レーンしかありません。

小さな小さな空港です。
あ、よぉやっと出て来ました!
それにしても天気がイマイチすぐれませんねぇ。
・・・・・・ってココは八丈島。

私たちにしては珍しく、飛行機に乗って離島にやって参りました。
・・・・・・って、頼んでたレンタカーが来てなくてしばし待機。

フェリーの到着と時間がカブると大変なようです。
レンタカーの手続きも無事終わり、取り敢えずは海岸近くに出て、「メットウ井戸」っちゅうのに行ってみました。
西東京方面に遺構が結構残る「まいまいず井戸」と同じようなモンですね。
「メットウ」も「まいまいず」も要は巻貝、すり鉢状の窪地の底にある井戸まで下るのに付けた通路の渦巻きからの連想です。
近くには八丈島三大廃墟の一つである「八丈島国際観光ホテル」が見えます。

まぁ、上陸早々は止めときましょう。
「行先に困ったらまずはここに行け」と言われてるらしい「八丈島歴史民俗資料館」にやって来ました。

旧・八丈支庁舎の建物だそうです。
東京から南に僅か300kmなんですが、空気がヌーッとして南国っぽいです。
中は八丈島の歴史・自然・民俗・風習等が展示されてます・・・・・・が、けっこうボロいかも(笑)。
昔はこちらが入口だったんでしょうね。

今は町の中心はもっと東に移り、この界隈は寂れた印象。
伝説の人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルともなったと言われる八丈島は、南北二つの火山が砂洲で繋がったような形です。

古くは流人の島として知られ、昭和の時代には「日本のハワイ」と持て囃され、バブル期にはアクセスの良さからリゾート開発が盛んだったりもしました。
今は1日に羽田からの飛行機が3便とフェリーが1便来るだけ、専ら釣り人とサーファーが観光の中心の静かな島です。
だからこそ来ようと思ったんですけどね。

人がワチャワチャしてるトコには行きたくないですもん。
それにしても展示品の数々がシブすぎる。

何か小学校の理科室とか観てる気分。
島焼酎の徳利の数々。

今でもどれだけのブランドが残ってるんでしょうね。
・・・・・・ってココ、個人的にはかなり愉しめましたし、たしかに予備知識を最初に入れるには好適なように思います。
外には沖縄っぽい高床式の倉庫。
距離的には東京からが近いのですが、文化的には南西諸島の影響を強く受けてるそうです。
南国やねぇ~!
ロケーションとしては良かったんですが、駐車場の真ん前(笑)。
背後に見えるのは戦時中の防空壕跡。

本土防衛の観点から、戦時中は狭い島のあちこちに基地やら何やらゴリゴリ掘りまくったそうです。
南下して、かつての島の中心である大里地区に。
整然と積まれた玉石垣で有名な所です。
よくもまぁこれだけ丹念にキッチリと積み上げたモンです。

流刑人の取り敢えずの仕事がこれだったみたい。
海岸に降りると今でも殆ど形の揃った丸石がゴロゴロしてます。
島内の白い壁は高い気温と湿度の影響でカビが生えまくってみんなこんな感じ。

とにかくヌーッとしてるんですよ。
集落の一角にある「ふるさと村」ってのに立ち寄ってみます。
まぁ要するに古民家があるだけっちゃあるだけなんですが。
これは「閑所」といってトイレ。
中はこんなん。

ムッチャ怖い。
こちらは母屋部分。

ワリとこれは昔の日本の藁葺き農家に似てます。
高床式倉庫はしかし南国っぽい。

こんなふるさと村ですが、何と私たちが訪問した数ヶ月後に不審火で全焼してしまいました。

案外これらは貴重な画像かも知れません。
さらに海岸線を南下して為朝神社へ。
・・・・・・ちっちゃぁ~!(笑)

源為朝伝説は八丈島のあちこちにあり、為朝神社も島内のあちこちにあります。
本人は2mを超す大男だったと言われますが。

何でこんなに傾いて立ってるんだろ?
横間海岸を大坂トンネルに向けて登って行きます。
ここは海岸近くでの水蒸気爆発による爆裂火口跡で、道は桟状に急峻な崖に設けられています。
ものすごい強風の展望台。

天気ダイジョーブなんかいな?
かつては島内の交通の最大の難所でした。
うわ!キショク悪ぅ~!
トンネルを出てすぐ、防衛道路と呼ばれる道を入ってった先にある「人捨穴」。

海側にあったハズのブサイクなお不動さんは撤去済、その上の展望台や切り通しも雑草が生い茂り到達できず。
余り来る人もないのか草ボウボウの斜面を上がったところに・・・・・・
・・・・・・ありました。
まぁ日本各地にある棄老伝説にちなむものですが、ぶっちゃけそんなに深い穴ではありません。

すぐ一杯になって溢れまっせ。
さらに南下して三大廃墟の一つである「八丈温泉ホテル」に到着。
バブル以前からあったようですが、肝心の温泉が枯渇してあえなく廃業となりました。
こりゃぁナカナカ!

第一級の物件と申せましょう。
島の海岸沿いにあって風雨の影響をモロに受けてるのか、劣化が凄まじい。
かつては新婚旅行とかで来た人もいたでしょうに。

今の姿見たらどう思うだろう。
下にはさらに設備が広がっています。

巨大なアーチ天井は室内プールとジャングル風呂、その右は熱帯植物園だったようです。
埃まみれのピアノって何だか怖いですよね。
80年代チックでファンシーな熊のぬいぐるみ。
文字通り足の踏み場もありません(笑)。

簡単に来れない場所にあるのが幸いしてか、余り荒らされてる感じはありません。
自然の猛威がここまでメチャクチャにしたのではないでしょうか。
建物の裏側に来ました。
ジャングル風呂の入口。

どうやら室内プールとは繋がってた模様です・・・・・・素っ裸で泳げたんなら楽しいでしょうけどね(笑)。
浴室に入ってみます。
洗い場のカランはやたらと多い。
なのに湯船はこれだけか~い!?
さらに色んな建物が周囲にありますが、その多くはほぼ倒壊してます。
こちらは熱帯植物園跡。

廃墟写真で良く見掛けます。
円天井って、何か好きかも。

現役当時はどんな趣向になってたんでしょうね。
そうそうこのホテル、作ってる途中で縄文時代の遺跡が出来たんですよね。

それがアータ、今やホテルそのものが遺跡と化してますけど・・・・・・。
もちろんこんな絶好のロケーションですから撮影は敢行。
廃墟に興味があるなら黙って八丈島に行け、って思います。

いやマジで、こんなんが道路からすぐのところにフツーにあるんですから。
相変わらずヌーッとしてるんですけど、風が強いのに加えて雨まで降って来て冷えるので、そろそろ切り上げることにしましょう。
八丈温泉ホテル、シッカリと堪能させていただきました。

午後はもうちょっと南下します。
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