「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2016 伊豆(初日・前半)

秋の終わりの冷え込んだ朝、ここは伊豆半島の山中。
上り坂を外れて脇道を入った突き当りにあるのは、旧・韮山町立 南小学校高原分校です。
平成17年に廃校となってます。
・・・・・・いや~、実は韮山の反射炉に行ったら時間が早過ぎて入れず、時間つぶしを兼ねて急遽やって来た次第。
なかなか良いロケーションだったんですが、いささか寒すぎました。

光の具合も良く、もっとあれこれ撮りたかったなぁ~・・・・・・。
ちなみに私自身は未見ですが、ここは「花のこえ」というドキュメンタリー映画の舞台となってるそうです。
妙に印象的な入口の看板。
こちらは裏面。
そんなこんなで好い時間になったんで反射炉へ。
思ったより小さいですね。

製鉄所の高炉みたいなんを想像してました。
昔から存在は知ってたんですが、これまで脚を向けることがありませんでした。
・・・・・・ま、世界遺産に指定されて来たっちゅうミーハーですわ。
それでもまだ開場には間があるので展望デッキに上がってみます。
上には茶畑が広がってます。

35mm/F1.8は良い感じの玉ボケがカンタンに出せますね。
反射炉の向こうには富士山ドーン!
如何にもな記念写真。
まぁ、写真の本質はスナップショットではないかって思ってますんで、高い機材でもパカパカと記念写真を撮りまくります。
顔出し看板。

それにしても素晴らしい天気。
誰やろ?江川英龍?
そろそろオープンです。
市民でもそう何度も来ることはないのではないかと・・・・・・。
世界遺産になるって地元には計り知れない経済効果をもたらすようですねぇ。
・・・・・・実はワタシ、つい最近まで反射炉ってパラボラアンテナみたいな形で鏡で太陽光を反射させて熱を集めて鉄を溶かすんだ、って勝手に思い込んでました。
炉内でコークスの熱を反射させて一点に集めるのが反射炉なんですね。
鉄を投げ込む口だそうです。
実際にここで作られた大砲は10門ちょっとありますが、明治維新後割りと早い時期には放棄されてしまったようです。
外観を特徴付けるゴツい鉄の枠は、実は昭和30年代の補強工事で追加されたもの。
ちなみに幕末の日本で急速に建設が進んだ反射炉ですが、実は欧米では転炉が普及し始めており、既に時代遅れになりかけてたようです。
朝日に映える紅葉。

ここでは写ってませんが、中国人観光客が多数観光バスにて到着。
こうして見ると、そこそこ高さありますね~。
バストアップで写してるのはとにかく周囲がミャーミャーミャーミャーうるさい中国人観光客だらけだからです。

とにかくもちょっと静かにせぇや、と。
ちなみに江川英龍は日本のパンの祖とも言われてます。

また積極的に洋学を取り入れながら、地元への篤志家としての面も持ち合わせた幕末の偉人の一人と言えましょう・・・・・・若干地味ですが。
さて、南下してやって来たのは修善寺駅近くの横瀬八幡神社。
交通量の激しい道端にヒッソリと忘れられたようにある神社です。

ここで何を見たかったのか?っちゅうと・・・・・・
・・・・・・これ!狛犬。

何年か前に存在を知って、実見の機会を伺ってました。
いやぁ~!これはないわぁ~!(笑)。
もう片方もご覧の通りの情けなさ。
これ作った石工って、そもそも犬とか猫とかを知ってたのか?制作に当たって他の神社の狛犬をリサーチすることはなかったのか?・・・・・・様々な疑問が浮かびます。
茨城の陰陽神社のウナギイヌタイプ以来の衝撃です。
なけなしの金を寄進して愉しみに待って、そいでもってこれが納品された時の村人の困惑は如何ばかりのモノだったかと・・・・・・。
社殿のすぐ前に鎮座するのはワリと珍しいかも知れません。
ともあれあまり番犬としては役に立たなそうな面持ちでこれからも神社を守り続けるのでしょう。
さらに南下して松ヶ瀬橋。
狩野川に懸かる比較的大きな吊橋です。
高さは無いけど距離はそこそこあってかなり揺れます。

実は吊り橋も大好きなモノの一つなんですよ。
こんな木の踏み板なのに軽トラ等はOK。
今は季節はずれですが、この一帯は鮎釣りで賑わうようです。
さらに南下して湯ヶ島温泉のはずれの天城神社到着。
こちらもまたムチャクチャに稚拙な狛犬で有名。
・・・・・これこれ!

笑っちゃいました。
さっきの横瀬八幡よりさらにワケが分からないです。

・・・・・ってーか、どんな動物にも似てない(笑)。
大体二匹が向かい合ってません。

同じ方角を向いちゃってます。
強いて言うなら、犬っちゅうよりはオッサンやで、これ。
ウソかマコトか二匹が向いてるのは天城山の方角で、このオカゲで村には山犬が出なくなったとかナントカ・・・・・・。
・・・・・・とまぁ、そんな伝説でも捏造せんと村人たちはやっとれんかったくらいに狛犬としての出来栄えはヒドい(笑)。

しかし、技術的な巧拙と作品としての面白さは全く別物であって、無知と工作力の欠如と寛容の心がこの奇蹟的に珍妙で印象深い狛犬を今に残したといえましょう。
ちなみにこの天城神社、湯ヶ島の生んだ文豪・井上靖の作品にも登場しますが、狛犬についての記述は無かったような・・・・・・ヘンって思わんかったんかな?

続きは日本でも最後の鉱山風景からです。
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