「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2016 磐城U(二日目・前半)

朝になりました。

周囲には何もない所なんで、旅館中心に恒例のお散歩。
中央の緑のは日観連の古いタイプで「国鉄推奨」とありました。

「国際観光旅館連盟」とか「福島県観光連盟」とか、色んな徒党を組んでた時代の遺物です。
何だか良く分からない説明。温泉と鉱泉の分け方がまず意味不明。

言えることは、マトモに風呂に入ってたのは「温泉」のみだった、ってことです。
ロビーはかなり立派です。
ちなみにこの玄関部分は2階に当たります。
「花月園」っちゅうのが謎です。

かつてはひょっとしたら別館があったのかも知れません。
露天風呂に行ってみましたが、スッカリ雑草に覆われて近付くことも困難な状態。

復活させる気がそもそもあるのか疑問に思いました。
この旅館の最大の特徴は、四方を山に囲まれたスリ鉢状の窪地の底に建ってるコト。大雨が降ったら水没しそう(笑)。

そこにコの字型に建物があり、玄関や駐車場の下が宴会場になってます。
中庭が最も低くなってます。

露天掘りの炭鉱跡とかでもなければこんな不思議な地形にはならないと思うのですが、開湯はウソかマコトか大同年間と千年以上の歴史があったりします。
テープ貼って済ませてるってコトはそのうち復活するのかなぁ〜・・・・・・?
以前、喜楽苑に泊まった時に見えた大きな杉の木。

左下にはその建物の一部が見えますね。
あ、もぉ起きてる。
旅先で寝る時は必ず持参したジャージ。

浴衣着ても下はやっぱしジャージ!
・・・・・・脱ぐのは速いけど、着るのは遅かったりして(笑)。
好ましい雰囲気の朝食。
福島方面の宿はヤクルトやヨーグルトを朝に添えるケースが多いように思います。
タラコに・・・・・・
焼き鮭・・・・・・もぉこれだけでポイントめっちゃ高し!
ここで玉子が生だとゲンナリするんですが、嬉しいことに温泉たまご。
ロースハムと生野菜。
筍の土佐煮。
納豆はパックから出してひと仕事してありますね。
麩の味噌汁。

麩もけっこう好物だったりします。存在感の無さが良い。
こういった温泉たまごを卸してる店ってあるんですね。
ちなみに朝食会場は駐車場の下の大宴会場。
ヨユーで完食。
そろそろ出発することにします。

ぶっちゃけ露天風呂が復興してればもっと高評価だったのに。実に惜しい。
狭い山道をウネウネ上がって到着したのは水石山。
朝早いので人っ子一人いません・・・・・・ヨシヨシ(笑)。
かつては観光牧場として、トテ馬車が長閑に観光客を乗せて運んでいたと言われますが、今はただの草原です。
それでもチャンと草刈はしてあって、草原が広がる情景は爽快です。
頂上には湯ノ岳頂上とよく似た形の古いコンクリートの展望台。
う〜ん、もうちょっとしゃがんで下からパース効かせた方が良かったな〜。
まぁ、ともあれここでは大量に撮影しました。
光の具合が変わったんでテストショット。

穿いてないのはまぁご愛嬌、ってコトで・・・・・・(笑)。
日が翳って来たんで、ここでの撮影はそろそろ切り上げることにします。
私たちと入れ替わるようにワゴンが上がって来て、登山客が7〜8人下りて来ました。

とにかく行動は早目に限りますね。
そう、水石山の名前は山頂近くにある巨石が由来と言われます。
背後にあるのがそれ。
岩のテッペンには窪みがあり、その中に溜まった水はどんな日照りにも枯れることはないと言われます。
所謂「雨乞い石」ってヤツですね。

似たような伝説は結構各地にあったりします。
下ってやって来たのは再び磐越東線の小川郷駅。
昨日の川前よりは一回り大きい駅舎です。

こんなに立派なのにやっぱし無人駅。
ただ、乗降客はそれなりにいるようで手入れもシッカリされており、荒廃した雰囲気はありません。
跨線橋ではなく地下を潜って行くのがローカル線にしては珍しい。
この駅からは昭和60年代まで石灰鉱山への専用線が分岐し、また索道や巨大なホッパーもありました。
古いタイプの待合室が現存しています。
ちなみにここは昭和を代表する詩人の一人である草野心平の出身地でもあります。
ホッパーが聳えていたあたりは住宅地に変わってしまい、往年の遺構は全く残っていません。
草野心平は蛙をこよなく愛した詩人として、また、極めてアヴァンギャルドな詩作でも知られています。

小学校の時に初めて「春殖」とか「冬眠」を読んだ(見た!?)時は、何ぢゃこりゃぁ?って思いましたもん。
小川郷。
これが昔もいまもふるさとの駅だ。
これがあの何度も何度も何度もの砂利だ。
ああ見える。
眼前に仰ぐ二箭山。
阿武隈山脈南端の。
美しい山。
美しい天。
おれは泪にあふれながらおもちやのやうな地下道をくぐる。
                        「故郷の入口」抜粋
・・・・・・こんな平明で美しい散文詩も書いてるんですけどね。

あと、一行づつ全部執拗なまでに「。」が打ってあるのも特徴。
閑話休題。

小川郷駅、かつては石灰や陶土の一大集散地として随分賑やかだった時代もありますが、今ではその繁栄が信じられないほどにヒッソリと静まり返っています。
ともあれ、陽が高く上がるまでに上掲の詩にも詠まれた二箭山に向かって行くことにします。
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