「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2015 三信(初日・後半)

突然は急にいきなりだしぬけに、ここは北設楽郡東栄町の山中。

天竜峡から寄り道せずに一気にやって参りました。
あたりは何てことない村の中に、忽然と三信鉱工という立派な社屋の会社が現れます。
向かいは好ましいスタイルの分校跡。
美しく整備されて保存されていますが、まぁこれは後からでも見れる。

ここから少し離れて山の方に行くと・・・・・・
これ!これを見るためにこんなトコまでやって来たんです。

実は三信鉱工、国内では最後とも言われる手押しトロッコによる坑道掘りの鉱山なのです。

右が坑口、左がインクラインになってます。
物スゴくアバウトなポイント兼用のターンテーブル。
坑道から出て来た原石をトロッコごとこのインクラインで持ち上げ、選鉱してホッパーから落とす仕組みになってるのでしょう。

引っ張り上げるケーブルが線路の間に見えますね。
これがホッパー。

積み込みはトラックですが、ここにナベトロとかあるとまんまレイアウトになりそうですね。
鉱山としてはひじょうに零細なスケールと言えますが、何で未だに現役でやれるのかっちゅうと、化粧品原料用の高品質な雲母で世界的なシェアを握ってるからです。
休日ってこともあって、トロッコは坑口の中に仕舞われています。上の小さな屋根は祀られた神棚。

ちなみに元は金を掘ろうとして採掘を始めたらしいです。
鉱山事務所もそのままモデル化できそうな何とも好ましい造りです。
山の最下部にあるここが今なおメインの日向坑ですが、他にもいくつもの坑道が山中に点在しています。
林道をグネグネ上がった先に、極めて好ましいフォルムのホッパーが見えて来ました。
これが本多坑と西坑と思われます。
下のバケット部分をアップで。
ホッパーは二基あって、こちらは鉄骨の櫓に木造シューターが2つ乗っかったひじょうに奇妙な形をしてます。
ホント、21世紀の世の中でこんな光景が見れるなんて。
本多坑入口。

もはや御堂と言って良いくらいの大きさの神棚が乗っかってるのが印象的。

線路は出口で分岐し、右側の線路は・・・・・・
・・・・・・こうして木造ホッパーの上に引き込まれています。

奥でトロッコを持ち上げて中身をぶち撒けるようにしていたようです。
もう一方の線路はさらに二手に分岐して、右側を行くと・・・・・・
西坑の入口に辿り着きます。
ここでも線路は分岐しており・・・・・・
その先には鉄骨櫓の上のシューター。
先ほどと同じように、トロッコの後ろをホイストで持ち上げて下に落とす仕組みです。
ウィンチの残骸。
本多坑方向を望む。
こうして見てみると、実際のトロッコの線路って、地形に逆らわないようにと言えば聞こえは良いですが、かなりテキトーに引き回されてることが分かります。

拙いですが、下に配線図を書いてみました。
・・・・・・ただ、残念なことにココ、今は使われてないようで、かなり雑草が生い茂り、線路も錆びまくっています。
絶妙な歪み具合が良い感じです。
模型にしたい方はどうか参考にしてください。
見下ろすと下の方にもトロッコの線路が・・・・・・おそらく井戸入坑でしょう。

こちらは小さいながらも機回し線まで設けられてることが分かります。
積み上げられた材木は坑木にするためのようで、ここ以外でもあちこちに無造作に積み上げてありました。

三信鉱工・・・・・・このような風景が現役で未だ残ってるのは驚異的とも言えます。
やや北上して今度は、独特の風格を漂わせた廃校に到着。
下津具小学校跡です。

廃校になった後、一時期、丸満産業という防水シート屋の工場になっていたようです。
しかしそれも移転により廃業。

・・・・・・で、この奇跡の物件、実は町と会社が解体費用を巡って裁判沙汰になった結果、「残ってしまった」ものです。
第一級の大型物件なんですが、2014年に和解が成立しており、今後町に解体費用の予算が付けばすぐにでも壊されてしまうと思います。
静まり返った中、素晴らしい光景が広がっています。
しかし、残念ながらかなり荒廃が進んでもいます。
白く塗られた木の柱の列、補強の筋交いも懐かしい雰囲気。
この辺は工場だったと思われます。
向い合せた鏡の中のように、遥か彼方まで続く廊下。
西日の差し込む室内が美しい。
ここは元は当直室か何かだったと思われます。

ここだけは内装が近年新しくされた模様。
こんな素晴らしい物件、解体しちゃうなんて実に勿体ない話です。
全体は巨大なL字型に2棟の建物が並んでいます。
昔の小学校としてはひじょうに大規模で、かつてはこの一帯に相当の人口があったことを物語ります。
地方から、日本はゆっくりと終わって行ってるような気がします。
コンクリート瓦ですね。

建設年代としては昭和の初め頃くらいでしょうか?
大分、陽も傾いてきました。

そろそろ宿に向かわねば。
寂しい高原地帯を駆け抜けて到着したのが今夜の宿、「設楽山荘」。
夕暮れ近い中、残る紅葉。
何はともあれ一日長かった〜!

寒くて寒くてまずは風呂に。
え〜、ちなみにここ、温泉ではありません。
それにしてもこの時期の浴室撮影って色調が安定しませんなぁ〜。
ちょっとポーズ、ちょっと修正(笑)。
話が逸れました。

・・・・・・で、ここ温泉ではないのですが、湯はアルカリの強いひじょうにヌルヌルした感じでした。

後から訊いたところでは、山の湧水をそのまま使ってるそうです。
ふぅ、やっと暖まった。
ホント、一日中脱いだり着たりの繰り返しでおつかれさん。
それにしても予想以上の寒さ。

いつまでも裸でウロウロしてると湯冷めしてしまいそう・・・・・・って子供かっ!?(笑)
部屋に戻って一服してると食事の時間になりました。
今回ここの宿を選んだのは、昔ながらの囲炉裏端で食事ができるのが面白そうだったからです。
まずはキンピラ。

何てことない一品ですが、牛蒡自体がすごく美味い。
大根と味噌。

素朴でいいっすね!
メインディッシュの数々が出てまいりました。
当然のように、火の傍には串打ちの鮎。
あまり食べることには熱心でないヨメもワクワクしてます。
水菜の煮物。
自然薯トロロ。
左上から反時計回りに、大根と菜っ葉の和え物、牛蒡叩き、ゆで豚、そしてこちらの名物である「へぼ」こと蜂の子。
馬刺し。
そして囲炉裏にかけてあった鍋も温まったようです。

よそってくれるのはここのご主人。
ひじょうに見た目は素朴なんですけど、味は絶品の味噌汁。

おかわりして3杯も頂いてしまいました。
天麩羅は山菜中心。
そして、鮎の塩焼き・・・・・・ま、若干季節外れではあるんですけど。
閑散期とあって他にお客さんはいません。

夏はキャンプやバーベキューで賑わうようですが、取り立てて名所もないので、この時期は閑散としてます。
この辺まで来ると酔いが回って、ちょっと記憶が怪しい。

多分杏仁豆腐みたいなモンだったような・・・・・・。
嗚呼!最大の不覚!〆の蕎麦を撮り忘れてしまいました。

チョー美味かっただけに残念!

前夜はひた走りに走り詰めでロクに寝てなかったので、ここから後の記憶がトンじゃってます。
----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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