「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2014 東海(初日・後半)

・・・・・・後半はいきなり鉄チャンな風景から。
旧・国鉄二俣線である天竜浜名湖鉄道は、国鉄時代のストラクチャーを保存したことで、喪われた風景が未だに残る貴重な存在です。

まず最初は宮口駅から。
・・・・・・ま、あくまで結果的に資金難その他の理由で残ったんでしょうけど。
そして今やその多くは産業文化遺産としての指定を受けています。

目先の儲けに目が眩んで地元の土建屋と組んでバカスカ建て替えた他の第三セクターは歯噛みして悔しがってるでしょうね。
ちょっと前までは普通に見かけた待合室なんですが、最近はスッカリ見かけなくなりました。
羽目板の空色のペンキがいい感じです。
背後に見える駅本屋も比較的創建当時の姿を残しています。
ホームの下に空いた穴は、腕木信号機を動かすロッドを通すためのもの。

従って上の屋根は一体型の転轍小屋、ってコトになります。その左は荷物口でしょう。
ローカル線としてはまずまず頑張って沢山走ってる方ではないでしょうか。
続いて二俣本町駅。
こういう築堤を上がってホームに向かう駅、ってローカル線らしくて好きかも。
駅本屋はシッカリしてますが、ホームは実に簡素。
そうして沿線最大の駅である天竜二俣駅に到着。
顔出しはこまめに寄る方かも知れません(笑)。

右に見えるのは保線車体験用の線路。
遠くには、今は気動車車庫となった天竜二俣機関区が望まれます。

かつてはC58を中心にローカル線としてはかなり多くのロコが配備されていました。
ホームもローカル線としては随分立派で、4面4線分の差掛屋根が設けられてます。亜幹線の駅に近い規模ですね。恐らくはここからさらに支線を分岐させる予定だったのかも知れません。

ともあれこれらのストラクチャーの多くが実際に使われながら文化遺産となっているのが面白い。
そのまま一気に磐田にまで下ってやって来たのは・・・・・・
・・・・・・旧・見付学校。
小学校として現存するものとしては日本最古の木造洋風校舎だそうです。
細部にまで行き届いた造りが素晴らしい。
不気味なマネキンはまぁお約束ですね(笑)。
もちろん今は校舎としては使用されておらず、博物館となってます。
何でこんなんまで再現してるんでしょうね???
傾いた西日で写真を撮ると、どぉ撮ったってサマになります(笑)。
洋風とは申せそれは外観だけで、内部はかなり和風な造り。
ちなみに展示品自体はかなりグダグダでした(笑)。
それはともかく、江戸時代が終わって間もない明治8年、東海の一寒村に突如出現した洋館に地元民は驚愕したことでしょう。
今はもう役目を終え、見下ろす風景にしても近代的な都市そのものですが。
あ、これはかなりいい感じに撮れました。
ちなみに階段はどの階もムチャクチャ急で、昔は足滑らせる子供も多数いたんぢゃないでしょうか。

見た目は洋館なものの、そもそもの発想が城の造りなんでしょうね。
壁に写る窓の影さえもがレトロで典雅。
これで人里離れてたら違う写真も撮れたんでしょうが・・・・・・(笑)。
うわ!またもや水平がチャンと出てない!
ナカナカ愉しめた見付学校でした。
再び天竜浜名湖鉄道。

これは原谷駅。
かつてTVドラマ「WATER BOYS」のロケ地に使われたそうです。
残念ながら、駅本屋以外は後世の改修の手が入ってますね。
改札口も昔はみんなこんなんでした。

でも、柵内に駅員さんが立ってるのはあまり見たことが無い。
駅本屋の全景。

高く取られた窓のモダンさ、簡素な車寄せの差掛け、軽快なセメント瓦、全体的に漂う規格品的な明快さは昭和10年前後くらいの造りでしょうか。
いや〜、モデラー心を激しく擽りますね。
殆どまったく同じに見えますがこれは桜木駅。

恐らく寸法は原谷駅と全く同じと思われます。
駅構内はこちらの方が古い姿を今に留めています。
ホームはこの時代の路線に多いコンクリート。

これが石積みや煉瓦造りだと、駅本屋も寄棟や入母屋の屋根だったりします・・・・・・って、マニアックやなぁ〜!(笑)。
ホームの白線、閉塞器の張り出し室の習字、あるいはモニターカメラとか無ければ昭和30年代の風景とまったく変わっていません。
こんな平凡な風景のレイアウトをトコトン細部に拘って作ってみたいモンです。

・・・・・・などと呑気な感慨に浸ってるヒマはありません。スッカリ暗くなって来ました。
真っ暗な道をトバして、今夜の宿である倉真温泉「落合荘」に到着。

この近郷の奥座敷的存在の小さな温泉郷です。

余談ですが、今から30数年前、近くにある法泉寺温泉に泊まったことがあります。
いきなり夕食!

これは付き出し。右から枝豆、茹で玉子、菜っ葉と茸のお浸し、茗荷の甘酢漬け。
ナマスは味噌仕立て。
お造りの盛り合わせは鮪、鮭、烏賊、鯛、帆立と至ってノーマル。
定番の茶碗蒸し。
鮎の塩焼き。
この辺でだいぶ酔って来ました。

呑んでるのはサービスの果実酒。
さらに続く天麩羅も獅子唐、芋、南京、海老と至極フツー。
牛肉の朴葉味噌焼きも良くあるパターン。
蕪蒸し・・・・・・どれもこれも至ってノーマル。
漬物さえも(笑)。
・・・・・・って、そんなのはどぉだっていいんです!

ぶっちゃけこれさえあれば他は何も要らんっちゅうくらいに劇的に美味かったのがこの麦とろ!
味噌と出汁で延ばしてあるのは分かるんですが、とにかくこれまで食ったどんな麦とろよりもこれは美味でした。

珍しく何倍もお代わりしてダウン寸前のヨメ(笑)。
大きな擂鉢に並々と入ってましたが、見事に完食。
私も呑み過ぎと満腹でこの辺から記憶があやふや。ちなみに家族連れで込み合う温泉に全く特筆すべき点はありませんでした。

明日は東京に戻りながらあちこち立ち寄ります。
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