「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2012 道北(二日目)

翌朝、留萌本線に沿って深川方面に向かい峠下駅に到着。

留萌本線は今や、本線と名乗るのもおこがましいほどの零細なローカル線です。
この駅には割と古いストラクチャーがあちこちに残っています。
北海道には割と多い上下線のホームが互い違いに配された広い構内。
構内踏切の安全性と長い貨物列車の離合を考えた結果でしょう。
切妻屋根の本屋は新建材で補修されまくってるものの、かなり原形をとどめています。
ガランとした待合室。

かつてここからも炭鉱への専用線が分岐していました。
峠を下ったところにある恵比島駅。

きわめて古い駅舎に見えますが、これはNHKの連続ドラマ「すずらん」のロケセットをそのまま残したもの。
駅前の古い商人旅籠もロケに使われたらしい。
ドラマでの架空の駅名「明日萌」ばかりがあちこちに氾濫してて、本当の駅名が良く分からない(笑)。
レプリカとしては良くできてますよね。

本当の駅舎は右側にある貨車を流用したもの。
かつてここからは浅野雨竜・昭和炭鉱を結ぶ留萌鉄道が分岐し、跨線橋まである大きな駅でした。

留萌本線もまた、石炭産業と共に発展し、その衰退と軌を一にした寂しい路線です。
さすがNHKといいますか、安普請にはしてありません。
ウワ〜ッ!

・・・・・・脅かすなよ。
今は雑草に覆われた広いヤード跡の向こうに、廃屋となった留萌鉄道の建物が望まれます。
ドラマのロケ地ったって、年に2回づつ舞台は増えてくので風化も早い。

ちなみに主演は今や奔放な発言でバラエティーで人気の遠野なぎこ。
そのまま留萌鉄道旧線跡に沿って幌新温泉到着。
山百合が咲いています。

ここは日本三大獣害事件の一つ「石狩沼田幌新事件」のあったところ。奇しくもこれで三大事件の現場をすべて訪問してしまいました。
昭和炭鉱閉山でスクラップ寸前だった汽車が保存されています・・・・・・
・・・・・・が、キッチリ車庫に収まっておりあまりよく見えない。

夏場とかは外に引っ張り出すみたいです。
さらに上がってホロピリ湖畔に出ました。大きな雪よけの屋根が印象的な炭山神社。

この人造湖の下に浅野雨竜炭鉱は眠っています。
綺麗に整備された公園を上がって行くと・・・・・・
・・・・・・税金無駄遣い系の意味なしモニュメント(笑)。
ここに炭鉱があったことを示すものは僅かに昔の地図の銘板のみ。
空知方面と違い、こちらは過去の炭鉱の歴史をあまり思い出したくないのかも知れません。
渇水期にはいろんな設備が水面から顔を覗かせるようですが、今は水位満タン、雑草生えまくりで捜索は止めました。

湖にハマったら危ないし。
さらに奥に向かって天塩炭鉱跡に到着。

巨大なホッパーが望まれます。
炭鉱自体は小さかったものの、残る3線のホッパーは巨大。
内部に入ってみることにします。

下はズブズブの泥濘になっておりかなり歩きづらい。
規則正しく並ぶシューターの穴から差し込む光はどこも変わりません。
羽幌なんかと同じく出来た年代が比較的新しいので、造りにある種の明快さが感じられます。
コンクリートの灰色と生い茂る木々の緑の織り成す光景は、密林の神殿のよう。
放棄されて50年くらい経っているせいかかなり荒廃が進んでいます。
それにしてもこんな産業遺構が、特に案内看板もなくポンと道路わきに残るのもいささか惜しい気がしますね。
ホッパー裏側の上に上がってみました。

かつていろんな建物が並んでたと思われる平地は畑になっちゃってます。
この天塩炭鉱、羽幌や浅野雨竜等に比べると閉山が若干早かったせいか、ネットで探してもあまり資料が出てきません。
大体、天塩といえばもっと北の方を指すことが多いのですが、先に留萌だとか羽幌だとか近隣の地名が使われちゃってたので仕方なく手塩と名付けた、ってトコからマイナーが約束されてたようなもんです(笑)。
普通に本来の地名である達布炭鉱としてればまた違ってたのかも・・・・・・それはねぇか(笑)。
なお、原発が停まってる影響で、この近くに唯一現存する露天掘りの吉住炭鉱はもっかウハウハのフル稼働中。
空知よりもこちらの羽幌・留萌方面の方が採掘の歴史が浅かった分、埋蔵量はまだまだ豊富とも言われています。
この後は山越えで士別剣淵に抜け道央道で一気に札幌まで戻りました。
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