「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2012 道北(初日)

寂しい無人駅の朝。
結露で濡れたインナーを裏返して乾燥中。

昨夜は夜の道央道を終点の士別剣淵ICまで突っ走り、さらに北上して駅寝したのでした。
ここは宗谷本線・ 恩根内駅。

かつて道北への唯一の客貨の動脈であったこの路線も今や、名寄以北は1日8本しか列車が走りません。

それにしてもサッポロビールさんよ、こんなんのスポンサーやっても誰も見ないでしょ!?
今はただ、ホームがポンとあるだけ。

乗降客数を調べたところ、1日僅か13人!
それでも駅前には、通学生が停めてったと思われる自転車が数台。

夏休み中なのでクラブ活動にでも出掛けてるのでしょう。
天塩川温泉、音威子府、問寒別・・・・・・と全部パスで稚内に向かってさらに北上を続けますが、ちょっと疲れてパンケ沼東方にある名山台にて休憩。

とにかく遠いぜ、稚内!
展望台があるみたいなので登ってみます。
ジャマな石碑の向こうに利尻島が見えました。
想像してたのより遥かにデカく、そして高い。
パンケ沼の向こうにサロベツ原野が広がっています。
そうこうするうちに道北随一の名湯、豊富温泉に到着。 

閑散とした風情の温泉街。
ここは日本海側によくある、油田採掘中に湧いた温泉として有名です。

そんなんで天然ガスプラントが隣接しています。
一人旅なんでどこ入ってもまぁエエか、ってな気分で・・・・・・
・・・・・・共同浴場を兼ねるふれあいセンターに入湯。
無理にエゾシカを缶詰で食いたいとは思わないなぁ〜。
浴室は二種類に分かれています。
濃い目と薄い目、って西脇の大橋ラーメンかよ!?(笑)
特に皮膚疾患はないので一般浴室へ。
浴室は人ウジャウジャで撮影不能。

火でも点けたら引火するんぢゃないか?というくらい恐ろしく石油臭く、湯の表面にはデラデラと虹色に油膜の張る泉質は超個性的でした。
ここは現代病とも言えるアトピーに特効のある温泉として、全国から患者が訪ねることで有名です。

しかし、掻き傷等があると却って悪化することもあるみたいで、注意書きがありました。
ある意味、現代の本当の湯治場のように思います。
温泉の由来を記した看板。

石油のアテがハズレた代わりに温泉地として発展できて、天の恵みにありがとう、みたいな(笑)。
しっかし、身体全体が石油臭くなって、匂いが全然取れません。

まぁ、これがカラダにいいんでしょうけど・・・・・・。
さらに数十キロ、ようやく稚内到着。

看板にロシア語の目立つ、妙にSFチックな風景の港周辺の様子。
そうそう、これが見たかったんですよ、北防波堤ドーム。

これ見るためだけに遠路はるばるやって来たようなもんです。
かつては樺太・サハリンへの重要航路の拠点でした。

ゲルニカの歌の歌詞になかったっけ?
赤錆まみれになったC55の動輪が飾られています。宗谷本線はSL末期、C55が見られる路線として有名でした。

余談ですが、「貴婦人」などと称えられるC57も、C55からすりゃぁただの肥ったブタ女だと個人的には思いますね。
古典主義とモダニズムの融合した、所謂「アール・デコ」の系譜に属するであろう素晴らしい造形です。

有名なカッサンドラの「NORD EXPRESS」のポスターを意識して撮ってみました(笑)。
直線と曲線の対比が素晴らしい。

なんてーか遠近法的に積み重なることで一つ一つの意匠が解体されて、全体として一つの意匠に再構成されるような感じがありますね。
往時には線路が何本も並び、樺太への旅行者で溢れ返っていたそうですが、今はただ広大な空き地が広がるだけです。
舞鶴や新潟といった、往年の北方航路の拠点の港に共通する雰囲気があります。
ともあれ、これ見たら目的の半分は達成した感じ。

急に投げやりな気分になったらお腹が空きました。そぉいや朝から何も食ってない。
目指すは地元で有名なラーメン屋、「青い鳥」。
壁には有名人の色紙が一杯。
ラーメンと餃子を注文してみました。

こぉゆうのは素直な私。
澄み切ったスープの塩ラーメン。

チャーシューの色の淡さと支那竹の細さが合ってますね。
小ぶりでコロンとした餃子。

一人前8個、っちゅうのはわりと珍しい
ウニラーメン、一日10食限定1,100円だそうです。
余裕で完食。

サッパリしてて、もっと大盛りでも良かったかも(笑)。
突端のノシャップ岬に来ました。漢字で書くと「野寒布岬」

良く混同されますが、根室の突端は納沙布岬で、語源的には似たようなモンです。
観光地の割に何だか寂しい場所でした。
今度は利尻島を右手に見ながら、日本海に沿ってオロロン街道を南下していきます。
何にもない原野の中を広い道路だけが真っ直ぐ伸びています。
どうやら戦時中、滑走路として使用るするつもりで作られたため、このように真っ直ぐで広いらしい。
サロベツ原野に立ち寄ってみることにします。

妙に周囲の風景にそぐわない展望台。
とにかく何もない原野が広がっています。

画面中央に見えるのは、唯一の施設とも言えるネイチャーハウス。
湿地帯でどうにもこうにもならんので開発の手が伸びることもなくそのままになった、って感じですね。
見渡す限りの原野、ただもうそれだけ。
まぁ、いつかヨメと来た時のためのロケハンも兼ねてます。
この辺の風景を語るうえで欠かせない風力発電の風車の列。

無人の原野で青空を背景に何基も聳える姿は、シュールレアリズムの絵画みたい。
本日の2湯目、朝日温泉に到着。

海岸から山に5キロほど入ったところにある一軒宿です。
独特の差掛屋根が特徴的。
日帰り客が大半なのか、あまり旅館らしくありません。

ここも意外に浴客が多く、内部撮影は断念。関東沿岸部に匹敵するヨード分を大量に含んだ黒湯と、豊富を薄くしたような褐色の湯という全く異なる二種類の泉質が印象的でした。
巨大な貯湯槽のタンク。

湯の個性からすると、もちょっと発展してもよさそうな気がしました。
とにかくひた走って、前回立ち寄った羽幌等もパスして、小平町の鬼鹿にある「すみれ」に到着。
ここは夏場のウニ丼でひじょうに有名な店なのですが・・・・・・。
実は、凄まじい爆食系メニューでも密かに有名・・・・・・密かに有名?矛盾してますね(笑)。
いざ、突入!!
出て来たのがこれ!「トンカツ丼」。

ちなみにこれは普通盛りで、それでも約1kgあります。大盛りにすると何と4kgあるそうです(笑)。
余裕で完食!!・・・・・・
・・・・・・っちゅうのはウソで、最後どうしても4切れが喉を通らず無念の敗退。

カツとソースとご飯だけの味の単調さに負けました。
さらに南下して、日暮れ間近に留萌の町はずれ、無料の神居岩キャンプ場にてテント設営。

近くに神居岩温泉があるのですが、ハラが苦しくて気分悪くなりそうで中止。
「おれ一人かなぁ〜」って思ってたら、薄暗くなったころに団体様ご到着。

話し掛けてみると一橋と津田塾の混成部隊とのことでした。最近はみんな一人一つのテントなんですね。

明日は浅野雨竜炭鉱方面を目指します。
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