「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2011 初詣(二日目)

昨年正月に行った千葉の数馬・岩谷観音の衝撃が忘れられず、今年も再び「房総ゴリゴリ系」な寺社仏閣を訪ねてみることにしました。

最初に来たのは館山の「崖の観音」こと大福寺。

ここは最近マイブームな懸崖造りの観音堂で有名です。
遠くの崖にへばりついてるのが望まれます。

不思議なことに、千葉は標高の低い県のクセに懸崖造りが多い。
望遠で見るとかなりな所にあるのが分かります。

ちなみにこれは大正時代の再建。惜しむらくは土台はコンクリートだったりする。
磨崖仏も随分風化が進んでるみたいですが、そのことを記した説明板もまた、風化してます(笑)。
大きな蘇鉄の木がいかにも温暖な房総らしい本堂。
生憎の曇り日でイマイチ景色は良くありません。
・・・・・・では観音堂に向かってGO!
途中にはこのように崖をくりぬいて作った石龕がいくつもあります。
崖のかなり高いところにもありますね。
アッサリ到着。

新年ってことでかなりの参詣客が来ています。
そしてこれが観音堂内部。

奥は暗くて良く分かりませんでしたが、やはり同じように崖をくりぬいた石龕になってました。
見えへんなぁ〜・・・・・・
天井には鮮やかな格子絵が。
おみくじが再び大吉で喜ぶ。
海に向かって開けた眺望はナカナカでした。
見事な横縞の地層になってることがよく分かります。
大きな横穴が口を開けていて、立入禁止になってます。

そうなるとやはり覗いて見たくなるのが人情(笑)。
奥には出口が見えました。

元は奥ノ院にでも続いていたのかも知れません。
不動堂。

これもやはり奥の石龕を覆うように建てられています。
風化を防ぐためかモノモノしいステンレス版で保護されたお不動さん。
他にも試し掘りなのか何なのか、いろんな穴が空いています。

ひょっとしたら昔は差し掛け屋根が存在したのかも知れません。
観音堂を少し下ったところにある諏訪神社。

めり込んではいませんが、大きな崖を後ろに立っています。
こちらの境内はお寺の方とは打って変わって殆ど人がいません。
裏に回ると、やはり崖を掘り込んだお堂発見。

房総の人のゴリゴリ大好きはやはりここにもありました。
さらに崖の高いところに大きく文字が刻まれています。

何かの屋号でしょうか。

妙にリアルな水盤の亀。
下って行きます。

大地震来たらイッパツでしょうね。
眼下には船形の漁港が広がっています。
これは単なる物置、かな?
・・・・・・と思ったら隣の穴に繋がっていました。
遺憾なくゴリゴリ系が発揮されています。
さらに上部にも大きく穴が開けられていることがわかります。

ちょっと危険そうなのでパスしましたが。
「崖の観音」こと船形山・大福寺・・・・・・暖かい季節になったらまた来てみようと思いました。
そのまま鴨川にまで抜け、次の目的地を目指すその前に昼食。

せっかく鴨川なんだしと、とある有名なサカナ系の店に入ったら、恐ろしく混んでて諦めました。
お!ナカナカ良心的な値段ぢゃあーりませんか!
「お金を与えてください」ってアータ・・・・・・。
これがフツーのラーメン。
・・・・・・で、こちらが爆弾ラーメン・大辛。

肉味噌がレンゲに三杯入って実際かなりの激辛でした。
味はやはり房総ラーメンで有名な竹岡系の流れを汲んだソリッドなもの。

この店は意外な発見で、気に入ってしまいました。
そのまま山中に入り亀山湖畔から寂しい林道を行くと・・・・・・
突如、沢山のクルマが停まってるところに着きます。
以前から注目していた、奇岩系の珍寺である「三石山・観音寺」です。
しかし、門前は寂れた印象。

多分、亀山湖を中心とした観光構想が盛り上がった時代の夢の跡なのでしょう。
門はあるけど仁王はいませんでした。
何ぢゃこりゃ!?な「おそうじ小僧」。

顔が劇画チックにリアルだったりしてちょと怖い。
全自動鐘撞堂・・・・・・なぜ自動にする必要があったのかは良く分かりませんが、とにかく全自動(笑)。
なかなか寄付が進んでいない模様です。
年が明けたっちゅうのに、真っ赤に色づいた紅葉が残っていました。
鑿の跡も荒々しい道を曲がると・・・・・・
呆気なく本堂到着。

中では護摩焚いて盛んに加持祈祷をやってます。
マラソンの名伯楽・小出監督チームが寄進した石塔。

袂を分かつ前に建てたもので、左は高橋尚子になってます。金網の中は石造りのマラソンシューズ。
その名の通り、頂上の三つの巨岩を中心に堂宇が立ち並んでいます。

元々はアニミズムの聖地だったのでしょう。
・・・・・・そんなん、ムリでんがな。
暗くて分かりにくいですが、岩の下にもぐり込むようにしてお堂が建っています。
そりゃ〜地震で崩れたらひとたまりもありませんわな。
もう一つのこの寺の特徴。

やたら看板が多いこと(笑)。
何か、各自で譲り合え、とか書いてあります。
あ、これのことでした。

狭い岩の間をすり抜けて上がって行くのです。デブでは絶対通れません。
いや、マジで狭い。
そうして上がった岩のてっぺんに奥ノ院の小さな祠がありました。

願掛けのハンカチが無数に結び付けられてます。
境内はこのような奇岩巡りのアトラクションとなっています。

ただ、岩が硬いせいかゴリゴリと人の通れるトンネルを掘ったところはなく、小さな石龕が境内のあちこちに目立ちました。
岩の上より本堂を見下ろす。
そろそろ次の目的地に向かうことにしましょう。

再び全自動鐘楼の前を通り・・・・・・
元の林道に出ます。

岩を直接削った石段がさらに山奥に向かって伸びて興味を引かれますが、これは今日はパス。
一気に茂原まで北上して着いたのは、何の変哲もない村はずれの寺。
境内も本堂と庫裏が建つだけの小さなお寺です。
しかしここに激しく脱力系を刺激する珍物件があるのです。
ごく普通の本堂を裏に回りこむと・・・・・・。
ありました。本日の房総ゴリゴリ系巡りの仕上げ(?)である「光福寺磨崖仏」。

ドアの奥が人工洞窟になっています。

懐中電灯は利発そうなお寺の息子さんが貸してくれました。
中は真っ暗。

懐中電灯で大体見当をつけてストロボ焚いてやっと何があるか分かる状態。
これは弁財天、らしい。
んでもってこれが薬師如来、らしい。
ちなみに内部は生温かく、ものすごい湿気です。
そして「娑竭羅殿」と額の出た通路を入ったところに
三体目の娑竭羅竜王、らしい。

娑竭羅竜王がどちら様かはよく知りませんけど。
お寺の大黒さん(奥さん)の話では今の通路の反対方向にも洞窟が伸びていて、その奥にも磨崖仏があったそうですが、崩落してしまったとのことでした。
たしかに手で触っただけでもボロボロ崩れる石質な上に、この湿気ではあまりもたないのが良く分かります。
ちなみに、入り口の扉は嫁いできてからつけたもので、それ以前は洞窟内は蝙蝠の巣になっててもっと不気味だったとのことでした。
一番奥と思ったら入り口横の小窓のところでした。
言っちゃなんですが、これらの磨崖仏はあまりに稚拙過ぎて、美術的価値はゼロでしょう。

しかし、鎌倉のやぐらの系譜に属しつつもひじょうにユニークな、「房総ゴリゴリ系」の庶民信仰の産物として眺めるとたいへん興味深いものがあります。
ワンワン吠えまくる犬を収めたところで、初詣という名の脱力観光も終わり。

今年もまぁ、こんな感じでボチボチやっていきますのでよろしくお願いいたします。
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