「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2010 那須・塩原(二日目前半)

朝になりました。

テント泊と違い、朝食の時間っちゅう制約があるのが旅館ですな。
アガ〜ッ!天気悪そう〜!
とは申せ、梅雨時なんだからジタバタしても仕方ありません。

まずはメシやメシや〜!
上から時計回りに、鮭、漬物、きんぴら、サラダ、納豆、山芋、真ん中がヨーグルト。

別皿で玉子焼きと金時豆。
見ての通り湯豆腐。

量的には丁度でした。朝からテンコ盛りはキツいですから。
う〜ん、晴れるんかなぁ・・・・・・。
取り敢えずは山の上に向けて出発することにします。
茶臼岳ロープウェーの上の「峠の茶屋」まで来ました。

ここで郭公温泉跡について尋ねましたが、「そんなん何十年も前に無くなって道は凄い薮よ!」となぜかオバハンにエラい剣幕で言われました。

・・・・・・ま、実際取り付きまで行ったら凄い薮でしたが(笑)。
仕方なくさっさとロープウェーに乗っちゃうことにします。

最近の登山ブームでか、朝も早よから乗客は沢山います。
余談ですがここのロープウェー、かつて長閑なローカル私鉄を運行していた東野交通の経営です。

ちなみに読み方は「トウヤ」、今は「108」、昔は「ヤ」を10個丸く並べた洒落っ気のあるロゴが特徴。
その昔大流行したクラッカーボールを思い出しました。
「・・・・・・寒いことないのん?」

「肌寒いけど歩いてたら暑なるわい!」
郭公温泉跡は実はロープウェーから見えます。

湯船もそこまでの踏み分けらしきものも分かりましたので、今後の課題にしましょう。
改めてこれからのコースと位置関係を確認。

・・・・・・いや、実はチャンと地図も持参してるんですけど。
山頂駅を出ると、火山性の荒涼とした風景が一面に広がっています。
おお!この地図にはチャンと郭公温泉が表示されているぢゃあ〜りませんか。

昭和の始めごろは山を取り囲むように硫黄搬出軌道や索道が張り巡らされていたことが伺えます。
今はもう何も残ってませんが、かつて山頂付近一帯は硫黄鉱山だったのです。
牛ヶ首に向かう途中から高雄方面に道を外れます。

火山弾でしょうか、いい感じの亀裂の入り方してますね。
下って行くと、道はすぐに森の中に入ります。

あまり人気のないルートなのか登山客の姿はありません。
新緑の道を30分ほど下ると水の流れる音が聞こえて・・・・・・
・・・・・・飯盛温泉跡に到着。

昭和15年まで、夏場だけ営業する宿があったと書かれてあります。
たしかにそこかしこに石積みの跡が残り、かつてここに建物があったことが偲ばれます。
・・・・・・で、湯はどこやねん?
森を少し入ったところに源泉がありました。

崖のあちこちから滴り落ちて湯溜まりを作っています。
しかし、到底入れる代物ではありません。

恐らくは堆積する藻が腐ったのか、中は異様な臭気を放つヘドロ状態!オマケにほとんど水!!
「これはいくらなんでもキッツイわ〜!」とドン引きで苦笑。
探せば他にも源泉は見つかったのかも知れませんが、ドブ臭くなったまままた山道を歩くのはさすがに躊躇われました。
ぶっちゃけちょっと野湯と呼ぶのん無理ありますわ、ここ。
さてそこから約1分、突如鼻を衝く硫黄臭が漂う辺りから見下ろすと、通称「膳棚ノ湯」が望まれました。
適当に生い茂った木々の中を下って行くと、上下二段になった湯船(?)の上段に到着。
ここは無色透明の清澄な泉質。

しかしいかんせん小さすぎですよね。これぢゃただの水たまりです。温度も低いし。
もう一段下の方に行きます。

この周辺だけ山肌が剥き出しになってることから、衰えながらも噴気地帯であることが伺えます。
こちらは真っ白に硫黄分が沈殿した泉質。

ただし、こちらもかなり泉温は低め。
こうして見上げると、登山道からは随分下の方にあることが分かります。
ひょっとしたらここも硫黄採取場だったのかも知れません。
ともあれ、行動迅速、脱ぎ方開始。

後ろの石積みからも、ここに何らかの施設が存在していたことが分かります。
歩いてると暑かったのですが、ハダカになると風がちょっと冷たい。
ともあれ準備完了!
それにしても朝の天気がウソのように晴れ上がりました。
湯船と共に。
絶景です。

関東圏内でこの雄大なロケーションは貴重と言えます。
しかししかし、残念ながらここも「湯」と呼ぶにはあまりに冷たい。
頑張って二人ともムリヤリ入りましたけどね(笑)。
ま、細かいことは気にせずこの開放的な風景を楽しむことにしましょう
溢れ出た湯は何筋もの白い流れとなってかなり下まで続いています。
アップで一枚。
大きさを手で表現してる、と思ってください(笑)。
それにしても芸のないことにチョキばっかしやなぁ・・・・・・。
もう一枚、チョキ!!(笑)。
泉温以外は大満足の野湯だと思いますが、なにぶん急斜面ですし、崩落の危険もあります。

行かれる人は充分注意して行って下さい。
でもなぁ〜、これでもうちょっと湧出量があって温度が高ければなぁ〜・・・・・・


・・・・・・それだと旅館が建っちゃってますよね、きっと。
元の登山道にまでよじ登ります。

この辺りも綺麗に石積みが並んでいます。
やはり規模は小さいながらも硫黄鉱山があったと考えるのが自然でしょう。
目印はこの山道にまで流れ出した白っぽい土砂です。
先ほどの飯盛温泉跡を越えて、山道を今度は登ります。
・・・・・・全身硫黄臭いんだ、これがもう。
ヘトヘトになりながら登りつめると、いつしか森林限界を超えて荒々しい稜線が見えてきました。
茶臼岳の溶岩円頂丘がダイナミックな姿で聳えています。
登ってきた道を振り返ります。

温泉は中央の谷あいにあります。
牛ヶ首のコルの手前にも噴気地帯があって、湯気が上がってるのが望まれます。

湯が湧いてたら最高なんですが。
牛ヶ首に到着。

絶好の休憩スポットで沢山の登山客がいました。
ジグザグに見える道をさらに行くと、那須の秘湯・三斗小屋温泉に到ります。

遠くに立ち上る湯気は馬蹄形に開いた爆裂火口の一つ、無間地獄からのもの
望遠の性能を試したくて、手持ちで頑張ってみました。
日焼けを気にしてタオル巻き。

あれだけ野湯でハダカでウロウロしといて今さら気にするのも何と申しましょうか・・・・・・。
火山ガスの注意書き。

「噴気は520℃を超えます」ってキャプションが妙に学術的。
古い観光地の案内看板でよく見かける、怒り肩の明朝体みたいなこのフォントは何ていう名前なんでしょう?
今は一面クマザサに覆われていますが、かつてはこの辺も硫黄鉱山だったようです。
この独特の風景は、草津周辺の硫黄鉱山跡地等ともひじょうに似ています。
今はひっきりなしに観光客が多数訪れる場所ですが、ひとたび荒れ狂うとそこはやはり火山、甚大な被害をもたらします。
眼下に広がるなだらかな高原地帯にしたって、何度も繰り返された山体崩壊や火砕流、土石流が永年にわたって作り出したものだってコトを覚えておく必要がありますね。
再びロープウェーで下ろうとしたところ、おりから発生した地震で運行ストップ。

何のかんので再開まで小一時間待ちました。
ようやく動き出したロープウェーより再び郭公温泉跡を望む。

駐車場の一番右下のあたりから踏み跡が僅かに見えます。距離にして100mほどでしょうか。

意外に時間が押してしまったので、戻りつついくつか気になる鉱泉を訪ねてみることにします。

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