「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2010 出流(午後)

出流原に着きました。

弁天池という遊水池の周囲に数軒の旅館があり、赤見温泉と名乗っています。
一番外れにある「福寿荘」に入らせてもらうことに。

急坂を上がった高台にあります。
弁天池を模したかのような池の周りに離れになった建物が三棟。
想像以上に立派な旅館でした。
・・・・・・と、もう準備OK!ってちょと早すぎ(笑)。

実はあまりに部屋が明るかったせいかAFが正しく動かなかったようで、多くの写真がピンボケになってしまってたのです。
窓に面して小さな浴槽のある狭い浴室には陽光が溢れています。
お湯は無色透明無味無臭、きわめて清澄・・・・・・ってーか、ほとんどこれって真水なんぢゃないでしょうか?
狭いながらもうるさくない程度にしつらえてあるのがいい感じ。
「一望千里」のキャッチコピーは少々大袈裟なものの、たしかにひじょうに眺めが良い。
もう秋もそろそろ終わりだというのに、カンカン照り込む陽射しもあって、室内はまるでサウナか温室のよう。
すぐにのぼせてしまい、一旦休憩。
湯舟に対してカランの数は結構あります。
あまりに明るくてハレーション起こしてますね。
今日はこれしか入る予定がないのでエラくゆっくり洗ってます。
入口付近をバックに。

二つの建物に挟まれたショートケーキ型の浴室です。
わざと湯冷めしたところで再び湯舟に。
温泉を名乗る風呂でここまで温泉らしくない湯は初めてかも。

逆にムチャクチャ個性的とも言えるでしょう。
こっちも開けてまえ〜!
・・・・・・旅館のベランダとその下に駐車場が見えただけでした(笑)。
陽光溢れ返る浴室、って表現以外思い付きません。
なもんで外を背景にするとストロボ焚いても真っ黒。
温泉としてはかなり?なのですが、何だかとても佇まいが気に入ってしまいました。
そろそろ上がることにしましょう。
狭いけれども、隅々まで綺麗に磨きあげられてるのに好感が持てます。
こういう無防備な姿を撮らせるのは機嫌がいい証拠。
青竹を踏み踏み。

壁際には水入れて使うダンベルも転がってたりする。
このレトロなマッサージ機は何と1回10円。

チャンと動いたのには感動しました。
「あ〜、最近法令線が目立ってきたなぁ〜」とか言ってます(笑)。
ま、人間何事も努力ですよ、努力。
入口をバックに。

そういえば室内のどこにも分析書が見当たりませんでした。
額縁だらけのフロントの様子。
御主人が湯あがりに栗きんとんを出してくださいました。
これがもぉ激ウマ!
やはりこういう旅館のフロント付近は、ちょっとコテコテしいくらいな方が雰囲気があって好ましい。
手入れの行き届いた玄関方向を望む。
建物を背景に。

料理旅館として週末はかなり賑わっているように見えました。
駐車場から見上げたところ。右奥の窓が浴室です。

「福寿荘」・・・・・・何だかとても好印象な宿でした。
弁天池の畔に戻ります。水源から溢れた水がいくつもの池になっています。

それらの池の間を県道が通り、向こうにはここいらで一番大きな旅館である「公園荘」が望まれます。
ぶっちゃけ、下流の方は生け簀状態だったりする(笑)。
しかし、水源である上ノ池の吸い込まれるような美しさには目を瞠りました。
傍らには出流原弁財天の小さな社。
池には鴨と鯉が沢山泳いでいます。
こいつら餌撒いただけでは近寄って来ず、後ろ向いた途端にこの有様。
あまり知られていない観光地で意外な掘り出し物といった印象。

1時間あたり100トンもの水が湧いているとのことです。
上ノ池の傍には先刻の福寿荘の経営する茶店があり、佐野市がラーメンに続く第二の名物に育てようとしてる「いもフライ」の幟がはためいてます。
店内はまるで駄菓子屋さん。

いもフライは昔ながらの串に刺されたものでした。
明治時代から名所であったことが窺われます。

昭和の初め頃まで軽便鉄道も来ていたようですし。
ちなみに朝に訪ねた出流とここは地下で繋がってるらしい、と旅館のご主人から聞きました。

柄杓を流したらこちらから出てきた、なんて伝説もあるようです。
遊歩道があるので裏山に登ります。
あっちゅう間に頂上到着。
急な下り坂を行くと
バッドテイストな白蛇の形の手水鉢や・・・・・・
銭洗い弁天等に到着。

ここは磯山弁財天という寺?神社?の境内なのです。水が龍神信仰となり弁財天と習合し、さらに蛇信仰に転じたケースです。
内部には見事な蛇紋岩。
これまたバッドテイストな仁王代わりの白蛇。
本地垂迹とか習合とか良く分からんのですが、ともあれここの本尊は宇賀神らしい。

このところの洞窟巡り等でも見掛けた謎の神。
見下ろすと池が遙か彼方にまで広がっていることが分かります。
拝殿の横に小さな扉があってさらに上に階段が続いてます。
・・・・・・これはかなり怖いかも。
景色もさらに一段と遠くまで見えます。
昔の人は小さかったんですねぇ。
建物の裏は鍾乳洞というにはまだ未発達な石灰岩の洞窟となっています。

間違いなくこの裂け目には、女性である弁財天の象徴の意味があるのでしょう。
ちなみになんとなく新興宗教じみてますが、建物は鎌倉時代に遡る古いもので、長いこと荒れ果ててたのを近年再興したようです。
後はどんどん下るだけ。
見上げると見事な懸崖造で、色といい立地といい、満願寺の奥之院と非常に似てる気がします。

歴史的に何らかの関係があったのかも知れません。
鐘があるからやっぱ寺なのかな?

まぁ、撞けさえすりゃどぉでもいいんですが(笑)
中国趣味のようなひじょうに変わった山門。
最後まで到る所蛇のオブジェだらけ。

何とも摩訶不思議な出流原を後に、そのまま一路東京に戻りました。

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