「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2010 初詣(二日目)

翌日、やって来たのは木更津の近くの小高い山の中。
数年前に初詣で行った笠森観音とタメ張るかのような寺があると知ってやってきたのです。
しかし、クルマを置いたのが寺の裏の杉林だったせいで、何かシブい景色ばかり。
ああ、本堂が見えました。平野山高蔵寺、通称「高倉観音」です。

坂東30番霊場らしい。
なかなか商売っ気もあるようで直営茶店もあります。

その名も「極楽亭」・・・・・・茶飲んだら直行できそう(笑)。。
望叶観音・・・・・・そんな観音さんついぞ聞いたことありませんがな。

まるで「テツandトモ」みたいなポーズです。なんでだろ〜ぉ、なんでだろ〜ぉ、っと。
やはりお寺っちゅうのは山門くぐって仁王さん見て入るのが正しい所作ってもんでしょう。
仁王さんは言わばSPとかボディガードみたいなものなので、屈強で怖そうでなくちゃなりませんが、ここの仁王さんは違う意味で怖い。
しかし、田舎仏師が造ったらしいこの稚拙さにはなかなか味わい深いものがあります。

巡礼霊場だけあって千社札がギッシリ。
ここはどんな変なトコなん?・・・・・・ってスッカリ読まれてます。
ちょっと到着が遅かったせいか、参拝客は予想以上の大入りです。

もっと閑散としてるかと思ってました。
「札所で一番大きな手水舎」ってな説明書き。それがどないしてん?系ですよね。

ここも千社札がベタベタ貼られまくってます。
吊ってある鰐口が一つしかないので、人数のわりに列は遅々として進みません。
境内の参道両側に露店が並んでるのってあまり見たことないかも。
うわ〜!!なんちゅう千社札の数。

牡丹燈籠状態と言えましょう。
もう至る所千社札です。
取り敢えずお参りも早々に、本堂の下に向かいます。

何だか真っ黒な舞茸に見える一刀彫の龍。
一見、何の変哲もないこの寺の最大の特長はこの本堂下にあるのですが、こっから先は撮影禁止。

要は十道を現した戒壇巡りになってて、その中心には何と上の床を突き抜けて地面から直接立つ本尊が安置されてます。秘仏と言いながら普通に見れるのも何だかパンク。

その他の小物類の展示もメチャクチャに面白い。
1発50円以上となってました。
甘酒が振舞われています。
いろんなグッズも充実しておりそれはそれで楽しめましたが、やはり圧巻は何故そうする必要があったのかどうしても理解しがたい本堂でしょう。
隣の神社にはほとんど人がいません。

善男善女とはまぁ、そぉゆうもんです、はい。
いつしか参拝の列も少なくなってました。

高倉観音、侮れない仕掛けの寺です。
さて、さらに南下して富津へ。

国道から狭い急坂を下ってやってきたところにある薬王寺。
狭い境内には人の姿はまったくなく、正月とは思えません。
・・・・・・ってーか、寺の人も留守。初詣行ってたりして(笑)。

賽銭泥棒を避けるためか、小さな窓から賽銭を入れるようになっています。
こんな地味な寺にわざわざやって来たのは他でもない。
いささか粗末とも言えるこのお堂・・・・・・正しくはその裏に用があって来たのです。
お堂の裏の日当たりの悪い小さな木戸を潜ると・・・・・・
ありました。

ここも洞窟系なのです。あまり奥行きはありませんが。
寺の名前からして薬師如来と思われる磨崖仏を中心に・・・・・・
10体ほどの脇持が彫られています。
もう一枚、写りの良いのを載せておきましょう。

しかし、薬師如来なら周囲は十二神将のはずですが、どうも造形が違ってます。
お!隣にも崖に穴を掘ったポイント発見。

こっちは扉までチャンとついています。
・・・・・・ワクワクしながら開けてみると、単なる物置やんか。

この辺は岩が軟らかいので、このように崖を掘って納屋にしている家が目立ちます。
ただ、先ほどの磨崖仏もそうでしたが、軟らかすぎて磨耗が早い。
すぐ近くに広がる穏やかな入り江の海。
さらには造り酒屋の蔵らしき建物もあります。

寺だけでなく周囲の風景も落ち着いた古い佇まいで好感が持てました。
さて、さらに走ってやって来たのは・・・・・・
・・・・・・より一層侘しくも怪しい崖っぷち。
落ち葉が一面に降り積もった急坂の突き当たりにお堂が望まれます。

今日の洞窟系の最終目的地、岩屋観音堂です。
コンクリートの防護壁に並ぶ石仏群。
ここもまたお堂の裏側が洞窟となっているのです。
まずは一番大きな穴(上の画像の左側)に。

壁の両側には磨耗してよく分かりませんが、多数の仏像。
う〜む、最早何が何だか分かりません。
思いつく限りの仏像を彫ったのでしょうか。
いっちゃん手前は何となく如意輪観音のように見えますね。

まぁ、望叶観音はいないと思います。
お堂の右から入って、コの字になって左側に出てくるようになってるこの穴が一番大きい。

出口付近にあるのは三猿らしきものからして庚申、青面金剛でしょう。
で、そこからグニョグニョしたアントニオ・ガウディの建物みたいな穴をよじ登ると・・・・・・
さらに別の岩屋に出ました。
エーっとこれはどこだったっけ?

ともあれこのように崖にボコボコ穴を開けて磨崖仏が彫られているのですが、いかんせん風化がひどく、崩れ落ちそうでちょと怖い。
いつの間にかお堂の屋根付近の高さまでまで上っています。
周囲にも穴一杯。

これは四天王かな?
さらに左側の穴。

何だか分かりませんでした。
さらにその左側。

途中で止めちゃった感じ。
一体年間に何人やって来るんでしょうね。
最初のメインの穴の右上の穴に入ります。

階段がつけられていますが、これがもう滑る滑る。
ここも壁面に多数の仏像。

中央のくぼみはおそらく念持仏でも入れるトコでしょう。
それぞれの広さからして、かつてはここで御籠りとか三昧と言われる夜を徹しての講が行われていたと思われます。

まぁ、それらは決して抹香臭いばかりではなく、あけすけな交歓の場だったりもしたワケですが・・・・・・。
意外と高さあるんだよな〜。
行基菩薩、って絶対ウソやね。

成立はおそらく江戸末期〜明治頃と見ました。
これは階段下の岩屋だったっけ?

窪みだけがかろうじて残っています。
これが一番高いところにあった岩屋。ここだけは石仏ではなく五輪塔のようなものが多数線刻されてありました。

階段はほとんど垂直で、落っこちるかもしれないので上まで登るのは断念。
笑うなよっ!!
ここが一番楽しかったとは全員の意見。

今年もこんな感じで、マイペースでやって行こうと思います。

ちなみに今回訪問についても「珍寺大道場」、そして千葉についてのみ異様にディープに紹介している「ちBポ--千葉の愛しきB級スポット達--」を参考にさせてもらいました。

----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
Copyright(C) REWSPROV All Rights Reserved