「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2009 いわき(初日後半)

苦しい腹を抱えたまま、いわき市内の新興住宅地の外れの谷間を下ると・・・・・・
周囲の風景から取り残されたような吉野谷鉱泉に到着。

8年ぶりの訪問です。
学習塾兼業の湯治場って、たぶん世界中でもここだけでしょう(笑)。

「驚く勿れ世界の名湯」とは大きく出たもんだ。
入り口こっちやったっけ?
それにしてもこの建物、温泉っちゅうよりお寺みたいやな〜。
あ、こっちの方やったハズや。
人間の記憶なんていい加減なもんですね。
さて、館内は一応撮影禁止、っちゅうかまぁ、撮っても良かったんですが、一方的に話しまくる御主人に圧倒されて自粛しました。
ともあれ、いろんな意味でここは日本有数の奇湯だと思います。
外では信じられないほどの数の実がなった南天。

帰りがけに旅館のコピー刷りのパンフに加え、なぜか塾の案内までもらいました。塾長は早慶同時合格で、ケンブリッジに留学してたそうです。

今度は泊まってやろうかしらん。
北上してやって来たのは、いわき四倉の近くにある玉山鉱泉。

村はずれに三軒の旅館が固まります。

「石屋旅館」に入らせてもらうことにします。
重厚な建物。

左にちょっと見えているのがここでは一番大きな「藤屋旅館」。
いい佇まいです。
ひじょうに凝った作りの客室の扉。
いったん二階に上がってすぐまた下った所に浴室。

何故直接行けないのかは良く分かりません。
ここも本来的には別浴ですが、女湯の方がまだ全然沸いてないってことで一緒になりました。
行動迅速!
引き戸の棧の意匠からすると、古いものを綺麗に磨き上げて使っているようです。
籠の数からすると、普段からそれほどお客さんは多くないのでしょうか。
あ〜、なんかメバチコできたんとちゃうやろか。
朝早かったしな〜。
おそらく最近改築されたのでしょう、浴室自体は非常に新しいものです。
カランの数も鉱泉宿としては沢山ある方です。
淡黄色の湯に見えますが、これは窓の外の景色の写り込みによるもの。
窓の外は庭っちゅうか、裏山。

開放感があって観光旅館っぽい。
アップで一枚。
まだ湯温が低く湯気がそれほどでもないので、セルフタイマーも安心。
アルカリの柔らかなお湯はおおむねこの辺の鉱泉群に共通するものです。
不思議なことに、こうした新しい浴室の窓はとても小さいことが多いように思います。
外には源泉井戸らしきものが見えます。
最後にゆっくり暖まって
上がりました。

最後はけっこうな熱さになっていました。
先刻の吉野谷の「キテる感」もそれはそれで良いものですが、まぁこぉゆうフツーに綺麗な浴室も良いものです。
なんちゅう外したシャッタータイミング。

それでもチョキ(笑)。
外観と同じくらい重厚な旅館内部の様子。

天井を走る梁は自分ちの山から伐り出した木をそのまま使っているので、建物の端と端とで太さが違うのだそうです。
ひじょうに古いスタイルの洗面所。

鏡もありません。
奇木を巧みに組み合わせた床の間の様子。

これも同じく自分ちの山から伐り出したものだそうです。
欅の一枚板の階段。

驚くべきことにこの建物、釘が一本も使用されていないのだとか。
猪、フツーに畑に出てきますよ〜、と女将さんは言ってました。

背後の窓の細かい桟は今出来の旅館には見られないものでしょう。
建物の外にあったおそらくは源泉を祀る祠。
元はこれは別館で、何年か前までは左手の方にもっと古めかしい本館が建っていたそうです。

かつては近郷の農村の、また炭鉱夫の湯治場として隆盛を極めた時代があったのでしょう。
さらに奥に走って、今夜の宿泊地である入間沢鉱泉「叶屋旅館」に到着。

低い山裾に囲まれるようにしてある一軒宿です。
建物の大きさに比して、異様に駐車場が広い。

あるいはここも昔はもっと建物があったのかも知れません。
白抜き文字がなければ民家の玄関と変わりません。

この感じがいい。
2階の部屋に案内されました。

食事はここで、寝るのは隣です、とのことです。
下には離れが見えます。
ちょっと早く着いたので見て回ることにします。

これは源泉井戸とそれを祭る祠。中ほどはあふれた鉱泉水で鯉の池が作られてありました。
蓋をされた源泉井戸。

柄杓や漏斗が置いてあります。汲みに来る人がいるのでしょう。
建物裏手にも鉱泉水と思われる水の湛えられたヒューム管。
旅館の奥もなにがしかの建物跡と思われる平坦な土地が広がっています。
館内の廊下は一面の赤絨毯が敷き詰められているのがここの特徴。

緋毛氈、と言った方がピッタリ来るかも知れません。
風呂は2階から見えた離れの方に、渡り廊下を通って行きます。
ここも別浴ですが、まだ早いし、後のお客さんはまだこられないので一緒でいいですよとのことです。

廊下の反対側は宴会場兼休憩室になっていました。
ホント、変わり映えのしない写真ばかりで済みません。
しかし、この狭い脱衣場からするに、元は混浴だったのを半分にしたと思われます。
シャワーから出るのも鉱泉水でした。

湧出量はけっこう豊富なようです。
お〜適温適温!

一日の最後に激熱はしんどいですもんね。
もう後は入らないのでマイシャンプーとリンスも持参。
まずは立って一枚。
しっかしアンタもよぉそんなけ撮りまくるなぁ〜、とか言ってる。
見てお分かりの通り、湯船は広々と入ると2人くらいの広さなので、それほど大きくはありません。
先ほどの玉山鉱泉同様、無色透明無味無臭、清澄で柔らかなアルカリ泉です。
そぉいや何で必ずライオンの口からなんでしょう?
夕方になって急に冷え込んできたのもあって、バシャバシャやってるとすぐにこのように真っ白。
でもって画像を加工するとこのように黄色味がかった感じになる。

妙案はないものでしょうか。
ちなみに窓の外は軒下に浴衣の干された物置と・・・・・・
裏山が見えます。手前の竹垣は目隠し代わりでしょうか。

源泉槽のようなものが斜面にも望まれます。
実を言うと、来るまでは一軒宿の鉱泉と聞かされて、かなりトンでもない所を想像してたようです(笑)。
やはり立ち寄りで入るのに較べると落ち着けますね。
珍しく順番が違う。
広さはあまり変わりませんが、女湯の方が作りがレトロです。
髪の毛乾かしたら、もう後は食事を待つのみです。
迎撃準備完了ってか!?

昼の「中華のんきが応えてるのは実はわたしの方でした・・・・・・。
夕食が到着。

ちなみにこれだけメニュー豊富で1泊2食7,000円、と実に良心的。

これにさらに今回は別途、御造り盛り合わせ付きっちゅうので頼んだんですが・・・・・・
・・・・・・優にこれがもう5人分くらいの量!!

そう、山あいの宿に見えていわきは海がすぐ近くなのです。
こんなによぉさん絶対ムリやわ〜!とか言ってます。
何はともあれカンパ〜イ!と。
ニラ入りのカニの味噌汁。

このカニが他で食べたことのない味で実に美味でした。
もずく酢の物、菊花添え。

右にちょっと見えてるのは蒟蒻と里芋の田楽。
手前はカレイの煮付け。切り身の煮付けはよく見ますが、1匹は割りと珍しいかも。

奥は刺身三種盛り。
ああ〜!ほとんど食った後の、ホタテのみりん干しの焼き物。

牛肉の陶板焼きは撮影を思い出したときには既に遅し。
何とか料理本体部分は完食しましたが、御造り盛り合わせはムリでした。ごめんなさい。

明日もいわき界隈を気ままに回ります。
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