「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2007 北関東(前半)

ある晴れ上がった秋の日、今年から新たに始めたテーマである「ローカル線沿線踏破」に再び出かけました。
濡れせん売りまくって命脈をつなぐ奇跡的鉄道である、「銚子電鉄」をまず最初に訪問します。

最初に終点の「外川」まで行って、クルマを乗り捨て行動開始です。
古い佇まいをそのまま残す駅本屋内部。
海が近いので潮風の影響もあるのでしょうが、ホーム側も風雪を重ねた渋い風情があります。
このトタンの錆び具合は味ありますね〜。
路盤状態は最悪に近い。

資金がなくて最低限の保守しかできないのだと思われます。
すぐに「犬吠」に到着。横に見える廃車体は喫茶店になっています。

南欧風とでも言うのでしょうか、明るい作りのいかにも観光駅です。
臨時改札口もあります。

ここから有名な灯台までは歩いてすぐなので、乗降客はかなり多いものと思われます。
でもホームは一面だけ。

スパンワイヤーで吊られた頼りない架線がいかにも小私鉄してます。
観光客が押し寄せるまでまだ時間があるのでしょうか、駅員さんはいろいろ準備中。
会社の金の横領で逮捕されちゃいましたけど、先代社長がなかなかのアイデアマンだったことだけは事実のようです。
何だか爆撃された廃墟みたいな、っちゅうかモニュメントみたいな柱が残る「君ヶ浜」。
周囲には何もありません。
ちっちぇ〜!!(笑)

タバコの箱を置いてみました。
わりと町中の「海鹿島」

本屋は立派な作りですが中はがらんどうの無人駅。
3方が全面窓ガラスの待合室は、この手の古い駅ではあまり見かけたことがありません。
派手なブルーに塗られた電車がやって来ました。

「桃太郎電鉄」のキャラクターが全面に描かれています。
文学碑めぐり、ってワザワザこんなとこに来てやる人が一体何人いるんでしょう。
ホームと小さな待合室だけの小駅、「西海鹿島」。
この待合室の形・風合いは激しくモデラー心をくすぐります。
そして沿線最大にして唯一の交換駅、「笠上黒生」に到着。

すべての列車はここで離合します。
駅入り口の看板があるのも・・・・・・
・・・・・・よく分かりますよね?(笑)。

こりゃどぉ見ても民家と民家の間の路地です。
犬がつながれてたりするし。
駅舎そのものは外川と同じくらいの大きさがあります。

妻面に入り口があるのがいかにも地方私鉄っぽい。
やや波打ったL字型のさしかけ屋根、その下の木の改札口・・・・・・自動販売機がなければ1950年代の風景といっても通用するでしょう。
黒板に書かれた運賃表も、今ではスッカリ見かけなくなったものの一つです。
先ほどの電車が銚子から戻って来て、タブレット交換。

通常、タブレットには腕を通す大きな輪っかがつくものですが、ここは単なる定期入れみたいなものを交換していました。
切り通しの中に埋まったような「本銚子」。
近くに学校でもあるのでしょうか、野ざらしで改札口が設けてあります。
ここは物陰でまだ潮風がそんなに当たらないのか、駅名票は錆びていません。
金をかけることなく、かなりハイテクな運用してますね。
桃電はこの超弱小私鉄の重要スポンサーのようです。
ここもまた瀟洒な「観音」。

駅名と建物のイメージがまったく合ってないのがスゴい。
それなりに乗降客が多いのか有人駅で、また直営のたい焼き・たこ焼きを扱う売店があったりします。
テーラーなのに「味で勝負」とか「四枚入1パック520円」とか貼られています。

鮭の皮で作ったベスト、とかありそう(笑)。
ヤマサの巨大な醤油工場が見えてきて・・・・・・
「仲ノ町」到着。

かつては醤油工場への引込線もあり、大いに貨物輸送で賑わった駅のようです。
桃電キャラの石像は他の駅でも見かけました。

通りすがりの年寄りが拝んでるのにはびっくりしました・・・・・・ま、取りあえず石でできて道端にあるわけですし、地蔵みたいなモンなんでしょうけど(笑)。
この駅には車庫があり、入場券を買うと構内を自由に歩かせてもらえます。
社宝である有名な凸型の電気機関車も、きれいに整備されて留置されています。
数年前、保線や電車の定期点検の費用が捻出できず、ネット上で救済を呼びかけてようやく何とかやりくりしたのは有名な話。
いろいろな銚子電鉄グッズが飾られてありました。

ホント、商魂たくましいっちゅうか、涙ぐましい努力で延命に尽力しています。
でも、若い駅員さんも多く、まだ頑張れそうな様子。
本社、ゆうてもこんなんですけど。

貼られてあるのは全部土産物の案内だし。
ここから起点の銚子駅はもう、目と鼻の先。
総武本線の終点である銚子は、いかにも地方のターミナル駅。

かなりの賑わいを見せています。
電柱がなくてスッキリした駅前風景。
クルマに戻るため、ここからは実際に乗車す売ることにします。
JR線ホームの突端に間借りしたように乗り場があります。
意外や意外、経営危機に濡れせん買ってキャンペーンで一躍有名になったおかげか、電車は観光客ですし詰めでした。
時代離れしたユックリしたスピードで電車は進みます。
あっという間に元の外川に到着。

ここでは駅の事務室でお土産売ってるので、濡れせんを一袋買いました。
ここまで懸命の努力してるのだから、このままずっと持ちこたえて欲しいものです。

午後はさらに北上して別のローカル線を巡ります。

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