「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2006 山梨(二日目)

鹿留キャンプ場の朝が明けました。

そろそろシーズンだっちゅうのに誰も泊り客はいません。
フリーサイトを独占できるのはほんとにキモチいいものです。
最近のパターンで、パンとスープのカンタンな朝食。全員まだ完全に寝ぼけてます。
都留から道志に山越えで抜け、到着したのは、道志温泉の中でも一番の老舗「山のやど 日野出屋」。

風格のある重厚な外観です。
上がるとこれまた重厚な木の廊下があって、その突き当りが岩風呂になっています。
朝もはよからさっそく脱ぎ方開始。

ちなみにここは内湯が一つしかなく、混浴というよりは貸切の交代制になっているようです。
かなり熱い。
ちょっと埃をかぶっていますが、奥はさまざまな名石が天井近くまで配された、本格的な岩風呂です。
昨夜は寝る前に風呂に入れなかったので、ここでゆっくり身体を洗うことにしました。
それにしても湯の出んシャワーやな、っと。
湯は無味無臭ですが、ほんのわずかに白濁しているのが分かります。
全員サッパリしたところで記念撮影。

昨日甲府で買ったパナソニックのLUMIXはワリと使いやすい。
左に見える扉の外には、湯の抜けた露天風呂。

道路を通り過ぎていくのはバイクの集団がほとんど。山中湖に抜けるワインディングルートで、人気があるようです。
岩にちょこんと座ってソロで。
足許のブルーのマットは鉱泉宿ではお馴染み、湯温低下を防ぐためのものです。
脱衣場には古い鏡台が置いてありました。
朝から大満足。
入口より見たところ。

館内のあちこちに民芸品が飾られていました。
東京から数十kmでこの鄙び方は貴重です。
壁の装飾など、かなり凝っていますね。

ここが大温泉地ならもっと名旅館になっていたかもしれません。
太い梁や柱が重厚な大広間。奥の隅には囲炉裏が見えます。
その上にはうねり串の川魚が刺さった梵天。
オマエ等ゲームばっかりしとらんと、ちょっとはこのシブさを味あわんか(笑)。
浴室を通りから見たところ。

ヨメはまだなんかやってます。
通りを挟んで反対側は道志川で、それを小さな橋で渡ったところに・・・・・・
・・・・・・バーベキュー場や宿泊客専用の露天風呂があります。ちなみにこちらも貸切が原則の混浴だそうです。
ファミリーキャンプのメッカの道志渓谷ですが、こんな素晴らしい佇まいの旅館もあるのに嬉しくなりました。
そこから上野原方面に向かい、村外れの狭い道を迷いながら到着したのが、鶴鉱泉「つるや旅館」。

まるで民家そのものの外観。
ウゲッッ!!

「本日休業」やて!
アイタタタタ・・・・・・・

紫陽花がきれいだな、っと。
あ〜クルマに酔ってしんどいな、っと・・・・・・
いったん昨日の勝沼にまで戻り、国道20号を東進しながらやってきたのは「笹子鉱泉」。
国道を挟んで上のドライブインの反対側にある旅館の全景。

・・・・・・って、実はここが数年前に廃業しちゃってることは知ってたのですが、せめて見るだけでも見ておこうと。
いい雰囲気なのに・・・・・・
・・・・・・看板は引き倒されてしまっていました。あ〜あ。

設備は全て残っていそうなので、復活することを願っています。
国道20号をさらに東に、同じく路傍にある「日の出鉱泉」に到着。
メチャクチャ渋い外観。
・・・・・・しかし留守でした。

電話したら、携帯に転送されて留守電になったので、まだ人はいらっしゃるようです。
そこから真木・橋倉といくつかの鉱泉を横目に見ながら到着したのは・・・・・・
これがホントに「市内」かよ?と言いたくなるような山奥。
駐車場はクルマが転がりそうなくらい激しくナナメってます(笑)。
一軒宿の金山鉱泉「山口館」。
周囲には数戸の民家が固まるだけの寂しいところです。
今度は子供たちがちょっとクルマに酔ったのでパス。

玄関脇のささやかなロビーで待たせてもらうことにしました。
浴室は建物の突き当たりの階段を上がったところにあります。
どうやら最近改築されたもののよう。

一応男女別になっていますが、札は左右付け替えることができますし・・・・・・
このように「家族入浴中」の札を掛けると家族湯にもなります。

小さい鉱泉宿にはいい方法だと思われます。
では入らせてもらうことにしましょう。
よく考えるとこぉゆうポーズ多いなぁ〜。

別に尻掻いてるワケぢゃないんですけどね(笑)。
2〜3人入れば一杯の小さな浴室。

湯がひじょうに熱いのでうめています。
あ〜、エエ湯加減になったぁ〜、と。
それでもけっこう熱い(笑)。
洗い場も含めてせいぜい5人が限界ですね。

しかし鉱泉宿の浴室がこのように狭いのは、何だか信用できるホンモノ、って気がします。
最後にもう一度よくぬくもって上がることにしましょう。
ちなみに脱衣場のすぐ横は道路。

簾の目隠しがあっても丸見え(笑)。
まだ新しくこざっぱりした風呂でした。

風格が出てくるのは、ま、これからでしょう。
こちらは向って左の浴室。

全く同じ大きさのようです。
浴室より玄関方向を望む。
お!右下は美坂哲男さんですね。氏も泉下の人となられて久しくなりました。

その左下は高名な山岳写真家、白旗史朗氏の色紙。
浴舎外観。本当に道路脇なのがお分かりいただけるかと思います。

向って左がさっき入った方の浴室です。
何とも渋い旅館でした。
深緑の谷川が美しい。
猿橋にやって来ました。

恥ずかしながら、猿橋には猿橋があるから猿橋という地名なんだ、ってコトを実は初めて知りました。
何はともあれおなかが空いたのでお昼にすることにします。

橋のたもとの「大黒屋」。
看板にもあるように「忠治そば」といって、馬肉の唐揚を添えたざるそばが名物だそうで、それを注文。
ヨメはフツーの天ぷらそば。
猿橋とは木の柱を何段にも重ねて、橋脚を使わずに対岸と渡した、日本独自のアーチ橋だそうです。
眼下にはこれまた産業遺物のように古風なコンクリートの橋が見えます。
甲州街道はよく見るとこのような光景がまだあちこちに残っています。
いったん国道を離れて到着したのが君恋温泉。
細い坂道を上がったところに広大な敷地を持つ旅館が現われます。
入口はしかし民家そのもの。
飾り気のない室内。
元はどういう構造になっていたのでしょう、男湯はアコーデオンカーテン引いて入ります。
いちょう型の浴槽が一つだけのシンプルな浴室。
ここは一人で入湯しました。
裏から見た建物全景。
犬目宿に到着。ほとんど宿場町の面影は残っていません。

このルートが本来の甲州街道になるそうです。つげ義春はこの寂れた犬目宿によほど惹かれたらしく、エッセーやイラスト、写真を多く残しています。
そうして着いたのが古城温泉。

向って右側が旅館部分のようですが・・・・・・
オバチャン曰く、湯が入ってないということで、裏手のひどくリッパな三方廊下の離れに案内されました。
オマケにポカリスエットまでサービス♪
しばらく待ちましたが、掃除して湯を入れてたら何時になるか分からない、ってコトで今回は諦めることにしました。

それにしても能舞台のようにリッパな離れです。
どうやら改築した方に案内したかったようですが、元々の浴室らしきところの方が情緒ありそうかも。
・・・・・・ってなワケで最後はちょっと尻切れトンボの結末に終わった今回の山梨行でした。

あとは渋滞する中央道をタラタラと東京に戻りました。
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