「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
2006 山形(三日目 琵琶ノ沢~瀬見)

素晴らしい快晴の朝を迎えました。
コテージの床はほれ、この通りスノコ状で地面が透けています。
朝日の当たる牧場は、月並みですが、やはり爽やかですね。
「牧歌的」って・・・・・・単に牧場なだけやんか(笑)。
国道に向って下って行きます。

昨夜の前森温泉全景。
R49を鳴子方向に向かい、琵琶の沢温泉「ペンション東赤倉」に到着。

国道沿いの一軒宿です。
旅館らしいまとまった建物があるのではなく、小さな建屋が散在しています。
早速風呂に入らせてもらいましょう。
タイマイの剥製の飾られた浴室入口。

なぜかこれを風呂近くに飾る温泉はとても多い。浦島太郎~竜宮城のイメージからかな?
脱衣場は国道に面しています。
効能書き。
何だかここまでの雰囲気だと、平凡な路傍の湯という気がしますが・・・・・・
・・・・・・内湯を出たところにある混浴の露天風呂は、素晴らしい佇まい。
清澄な湯がふんだんに溢れています。
巨岩の向うは意外に深い谷。
奥を望む。
あ、同じような写真が続いてしまいました。
奥から内湯方向を望む。

湯船全体が細長い三角形になっていることが分かります。
空があんまり青いので、岩に登って一枚。
何ちゅうか、「入り飽きしない湯」という感じです。
・・・・・・実は日焼けを気にしてたりする(笑)。
内湯を出たところは狭いながらも男女別になってます。
惜しげもなく流れ込む源泉。
内湯は男女ともにいたってシンプルなもので、ドーンと湯船が一つ。

ちなみに露天風呂に行くにはザバザバとその中を渡って行きます。
朝、一発目からいい温泉に入れて御満悦の表情。
とても大人しい犬。

エンジン音がすると、お客と思って尻尾振って玄関に行くのがケナゲ。

名前は「ブンタ」というそうです。どうやら菅原文太から取ったらしい。
あり余る湯は下のほうで一面の藻に覆われた何かの生簀らしきものに流されています。左上の端に見えるのは国道。

すばらしい温泉でした・・・・・・大女将の愛想は悪かったけど(笑)。
続いて少し国道を外れた奥の赤倉温泉に到着。

川の両岸に細長く建物が並び、この辺では比較的大規模な温泉街を形成しています。
その中の一軒「三之亟」に入らせてもらうことにします。
農村の旧家のような旅館入口。

ひょっとした移築したものかも知れません。
玄関向かいの蓮池の前で。
大きな旅館ですが効能書きがゴテゴテしてないのに好感が持てます。
どえらく分かりやすい手書きの風呂の案内図。

この辺が気取ってなくていい感じ。
ちゃんとしたのもあります。
古い旅館らしく、迷路状の廊下を通って行きます。
風呂に向う途中の館内のいたるところに風格が漂います。
岩風呂到着。

わりと最近改装されたのかこざっぱりした脱衣場。
岩風呂ここ「三之亟」の名物で、ちょっとした体育館ほどの巨大さです。どれくらい広いかというと・・・・・・
・・・・・・これくらい広い。
よく分からない洞窟もあります。
「源泉洞」といって元は源泉を流していたものらしい。
浴室最奥。
「昔之湯」と刻まれた暖炉状の窪み。

元はここからも湯が出ていたのかも知れません。
入って右奥、一段高くなった「高湯」をバックに。
温泉玉子製作中。
入口付近から奥を望む。

手前が「深湯」、奥が「中湯」というそうです。
高湯より入口方向を望む。
素晴らしく豪快な温泉に全員大喜び。
しかし、岩に彫り込んでの落書きなんてことは止めましょうね~。
こんなにも大きな岩風呂ですが、洗い場は申し訳程度にしかありません。

ここが古い様式を残してる証でしょう。
再び大満足で上がることにします。
廊下の襖が開いてたので、部屋の様子を一枚。

華美でないのがいい雰囲気です。
玄関脇の囲炉裏端で休憩。
軒の重い玄関にて。

外はカンカン照りなのにとても涼しい。
川の方から見た旅館全景。

このような佇まいは一朝一夕にできるものではないですね。
R49を引き返し、昨日の前森も通り過ぎて到着したのは、これまた山形の名湯・瀬見温泉。
急な斜面に壁のようにそびえる旅館「喜至楼」。

ものすごく押し出しの効いた風格です。
その旧舘の方に入湯させてもらいます。

・・・・・・ったって本館も旧舘もどっちも古いんですが。
玄関は無人。

「ごめんくださぁ~い」と声を張り上げると、どっかからモニターで見てるのでしょうか、マイク放送で案内されました。

お迎えする仲居の意匠がこのシチュエーションに妙にマッチして笑えます。

ちなみに入浴料は大黒さんの下に置きます。
何とも面白い形の案内板。
暗い廊下を何度か曲がった突き当りが浴室。

左に男女別の「あたたまり湯」、正面奥が「千人風呂」と「滝湯」、右が上の看板ではナゼか消されていますが、小さな岩風呂になっています。
千人風呂が掃除済んだばかりで湯がたまってないので、まずは岩風呂へ。
脱衣迅速!
広さからすると家族湯なのかも知れません。
ぬぐぉ~~っ!!

あ、熱い!
・・・・・・ちょっとニガ笑い。
ガマンして入っても仕方ないので、少し水でうめさせてもらうことにしました。
ようやく適温になりました。
あらら~、大きく岩が入ってしまいました。

ちなみに私は相当熱い湯でも入ってしまう方です。
うつぶせに浮いてみます。

湯船が小さなものであることが分かります。
まぁ、それほど広くもないのでさほど長居はできません。

妙に堂々としたところを一枚。
続いては「千人風呂」と「滝湯」に。

脱衣棚の上の「花咲爺」の意匠が古拙な味わいもあって楽しい。ローマ⇒ギリシャ⇒イソップ⇒日本民話みたいな連想の産物でしょうか?(笑)
たぶんギリシャ神話をモチーフにしたタイル絵。

この旅館の面白いところは、このような間違っちゃないけどビミョーにズレた摩訶不思議な遊び心が随所に感じられることです。
絶対、千人はムリやな。
もう入れますよ~、と掃除のお爺さんが親切に教えてくれましたが、それでも湯のたまり具合はこんなん。
寝そべるとまるでアホ。

・・・・・・実際、アホなんですが。
滝湯のショボさに感動。
そろそろ上がることにしましょう。
明り取りの窓が円形なのがやはり、ローマなのかな?

ローマ⇒コロセアム⇒円形、みたいな。
名湯にして迷湯の資格もある、いい風呂でした。

遊び心は今の当主にも受け継がれてるのかも知れません。
ともあれ古い施設をこうして大事に使って残しているのは、何とも気分のよいものです。
あたたまり湯。

のぼせたのでパス。
そぉいや最近「便所」ってコトバもあまり見かけなくなったなぁ~。
少し館内をウロウロしてみます。

ずらりと積み上げられた金火鉢。
二階の踊り場には今度は福助の意匠。

いいなぁ、このセンス。
「喜至楼」、単に名旅館にとどまらない素晴らしいところでした。

ちなみに山形では最古の木造4階建てだそうです。
向かいは蒸し湯で有名な共同浴場ですが、疲れたのでパス。
温泉街は川の南岸に開けています。
ここにも義経北行伝説?
その隣の「湯前神社」。

垢抜けない欄間飾りに、先ほどの旅館の意匠と共通のものを感じます。
「喜至楼」本館を望む。

どうやら今は宿泊客はこちらのみのようです。
先ほどの岩風呂の裏手。

鉛丹張りの赤い屋根がいい感じ。手前は温泉を利用した生簀。
まだまだ暑いのですが、すでに秋色が忍び寄ってきています。
川の対岸より望む瀬見温泉街全景。

この後は、お昼ごはんを食べて銀山温泉に向かうことにします。
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