「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
ZOOM問題から思う・・・・・・新型コロナだより(2)


良くぞ謀ったな!(笑)

 このところのコロナ騒ぎによる世界的な在宅勤務ニーズの高まりに乗っかって劇的にユーザーを増やしてた「ZOOM」(1ヶ月で2億人増やしたとも言われる)が、今度は急に大失速してる。何かと話題になってるソフトなんで知らない人はあまりいないと思うけど、念のためにザッと紹介しとくと、要は動画のコミュニケーションツールで、それまで人気のあった「SKYPE」よりも軽くて動画品質が良く、ある程度の制約はあるものの無料でも使えたり、いろんな楽しい機能も付いてるってコトで利用者が急増したのだ。

 大失速の理由はカンタン、重要な仕様の部分についていろいろウソついてたのがバレてユーザー・・・・・・特に企業から見限られたからである。つまりは自業自得ってヤツだ。
 どんなウソかっちゅうと、通信の暗号化について従来アナウンスしてたのとは全然違う貧弱なモノだったこと、アカウント情報が何と中国のサーバに置かれてて、全部ツツ抜けになってたのが特に大きいだろう。他にもあちこちにフェイタルな脆弱性が見付かっており、中国による手の込んだ新手の破壊/諜報活動だったのではないかとまで疑われてる。会議に悪意の第三者が闖入する「ZOOM BOMBING」なんてまだ可愛いモンで、既にアカウント情報の売買までもが行われてるようで、何ちゅうヤバいモンを売ってたんだ!?って誰でも思うよね。

 そんなんで今度はマイクロソフトの「Teams」だ!ってな風になって、仕様的にはMS特有の機能テンコ盛りで結局何だか焦点がボケたような造りで決してデキは良くないんだけど、そっちに急速に世界中が方向転換しつつある、ってのが現状だ。ホント、MSってユーザーインターフェースとか機能の整理とか、もぉ絶望的にセンスが悪いんだけどね。それでもここぞとばかりに「ZOOM」のお家芸だった背景の入れ替えとか、同時表示人数の拡張とか、ここにきて急に機能拡張に励んでるのがまぁ何ともアザとい。

 まぁ遠からず「ZOOM」は市場から淘汰されるだろうし、中国系CEOのIT企業に対する世間の目はもっと厳しくなるだろう。

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 ただ、ここで別段おれは「ZOOM」を指弾も擁護もしようとは思ってない。おれ自身はあまりにハナシが出来過ぎな「ZOOM」に対して元々疑いの目を向けてて、プライベートユースでも使おうと思わなかったし、そもそもあんましそこまでしてコミュニケーションツールを使おうって気自体がそもそもなかったし・・・・・・大体おらぁ電話だって嫌いなんだし(笑)。だからどぉでも良い。

 おれが今回取り上げたいのは、こうした新技術についての日本のベンダー/ユーザー或いは取り巻く色んな連中含めての速度感、ってコトなのだ。

 結論から言っちゃうと、こうした新しい取り組みに関して日本は、完全に世界から周回遅れになってる。それも一周どころではない。だからって日本に発想力や技術力が決してないワケではない。そこはそれなりにあるにも拘らず、周回遅れにさせてるのは、そうした新しいモノの芽を摘む土壌がスッカリ出来上がってしまってて巨大な障壁となってる、ってことだろう。とにかくおっそろしくトロい。遅々として進まない。

 具体的に言うと要するに、「安全と安心」ってなスローガンの前に思考停止になってる人が日本中にワンサカいるからだ。まぁ、一般ピーポーはどぉでも良いや。ゴマメの歯ぎしり、要は雑音だから。無視しても良かろう。
 問題はそれなりに組織の要職、企業で言えば経営幹部となってる連中にさえ、これを空念仏のように唱えておれば、それで威厳が保てるとでも勘違いしてる、あるいは一家言ある人と思ってもらえると信じてるバカがゴマンといる、ってコトだろう。彼等の殺し文句は大体こうだ・・・・・・「キミ、それでその新しい計画にリスクはないのかね?」

 ・・・・・・あるに決まってるやん(笑)。

 リスクのない仕事なんて本質的にはこの世に存在しないのである。でも正直に「あります」っちゅうたら、間違いなく話は通らなくなるし、だからって「ないです」っちゅうてハッタリかましてもし何かあったら、ホレ見たことかとボコボコに非難された挙句、詰め腹切らされるだけだから、そんなこんなで結局は当たり障りのない、さして代わり映えのしない従来の焼き直しとか改良・改善みたいな取り組みばかりになってしまう。
 まぁ、このテの大概年寄り連中はこうして足は引っ張るクセに、次のようなセリフもキッチリ忘れてなかったりする・・・・・・「君の仕事には速度感がないねぇ〜」。いやもぉ、こうした始末に負えない老害がマジで多い。仕事もしなければ存在感もない「妖精オジサン」よりもなまじ権力あるだけにタチ悪いぞ(笑)。

 そしてこれは決して今に始まったことではない。昔から、日本は何かに手を加えて改良することは得意だけど、何かをゼロから生み出すことはヘタだと言われ続けて来てることからも分かる通り、実はこうした精神構造は昔からあったのだ。さらにそこに近年、「安全・安心」なんてキャッチーな言葉が登場したもんだから、すっかりいい気になっちゃって、みんな自分たちの速度感の無さについて省みることをしなくなってしまった。

 多少のアラはあってもトータルで見てエエもんはエエやんか、いてもぉたらんかいや〜!ってな自由闊達さがどこにもない。おっかなびっくり、恐る恐る、毛ほどの間違いもミスもあってはならない、ってみんな本気で信じ込んでる。そんな姿勢で物事が前に進むワケないし、出来た時には既に陳腐化して使い物にならないってのは、何より雄弁に今の日本の現状が物語っている。

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 それにしても・・・・・・だ。中国出身の経営者とは申せレッキとしたアメリカ企業が、こんなベタなウソを重ねて会社が大きくなったって、元はと言えば欧米が言い出した「ガバナンス」とか「コンプライアンス」、あるいは「CSR」って一体全体どぉなってたんだ!?って憤懣遣る方ない御仁も数多くいらっしゃるのではないかと思う。
 実は「ZOOM」に限ったコトではない。例は他にも山ほど挙げられる。スルガ銀行なんて全然甘っとろいリーマンショックのキッカケになったサブプライムローンは?アマゾンやウーバーの死ぬほどエゲつない経営ぶりは?電気自動車のテスラのメチャクチャぶりは?SBが大損こいたウィワークやオヨ(←これはインド)のバカみたいなビジネスモデルは?・・・・・・どれもこれも日本では絶対許されんでしょ?でもそれもトバしまくってて何だかワクワクさせてくれるのは事実だ。

 これも結論から言っちゃおう。

 「ガバナンス」・「コンプライアンス」・「CSR」・・・・・・どの概念も放っといたらみんなあまりにムチャクチャやるから、「ナンボなんでもちったぁ気を付けましょうね」って言いだされただけの一種のスローガン、つまりは「掛け声」に過ぎない。譬えるならば障害物競走での白黒のハードルみたいなモンで、誰もこれを高々とクリアしろなどとは言ってないし、しようとも思ってない。たまに引っ掛けてこかしたり、躓いたりしながら上手く繕ってそれでもガツガツと前に進んで行くモンだ、ってみ〜んな思ってる。F1のレギュレーションと区別が付かず、守る/守らないで大騒ぎしてるのはおめでたい日本人だけだ(・・・・・・って、F1のレギュレーションにしたって各社かなり汚いペテンみたいなことばっかやってんだけどね、笑)。
 金科玉条に踊らされ縛られ、神聖にして犯すべからずみたいに信じ込んで大真面目にやってるのは日本くらいだろう。自ら唯々諾々と喜んで重たい行李を選んで背負って全身にギプス付けてるようなモンである。そら世界からドンドン引き離されて行くわな。

 実はこれらの概念、二度とエコノミックアニマルに地球上でドヤ顔させないよう、勤勉だけど欲望に向き合ったり主張することを恥とし、白痴的なまでに拝欧で、そしてすぐに建前や美辞麗句にアテられて思考停止になってしまう日本人の心性を研究し尽くした上で用意周到に仕掛けられた、欧米からの究極の罠なのかも知れんね(笑)。

 似たような構造が、すっかりコロナ騒ぎで忘れられてしまった感のある「同一労働・同一賃金」においても言えることを先日、それらの政策立案のボードメンバーにもなったとかゆう学者の講演で知った。日本の賃金は雇用区によって差別的であるとかなんとか、そいでもって労働先進国の欧米諸国は同じ仕事なら同じ賃金だ〜!だから社員もアルバイトも同じするぞ〜!なんて風に言われたて来たけど、実は人種や民族、宗教等による賃金差別をなくしましょう、ってのが欧米での同一労働・同一賃金なのだ。
 それがどうしたことか日本では正規/非正規雇用の問題にすり替えられてるのである。日本以外の世界の国でこんなこと真剣にやってるトコはどこにもない。そもそも終身雇用って考え自体がないから、業績悪くなったり、働きがダメなら社員だろうが何だろうがとっとと馘首されるしね(笑)。
 ただ、この取り組みについて言うならば、国はナンセンスであることも分かって敢えてやった。ナゼか?・・・・・・400兆とも500兆とも言われる企業の内部留保をとにかく吐き出させたかったからだ。なりふり構わず、とはまさにこのことだ。難クセ付けて金巻き上げるチンピラと同じコトを国はやってるのである。

 今回のコロナ騒ぎで内部留保を吐き出さざるを得なかった企業も相当多いだろうから、おらぁこの悪平等に近い「同一労働・同一賃金」は止めるべきだと思ってる。

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 こうして考えてくと、例えばアビガンの許認可を巡る迷走ぶりなんかも当然の帰結だと分かる。効き目は中途半端で、上に挙げた企業と同じくらい色々闇を抱えてるキリアドのレムデシビルはとっとと認可され、国産で副作用はあるものの効果抜群で世界中から供給を求められてるアビガンの国内使用については、頑ななまでに厚生労働省は動こうとしない。
 多分、「安全・安心」に骨の髄まで毒されたクダらない議論は未だに続いてるんだろうし、多少のアラはあっても行ってまおうとハラを括れるだけの度量の座った連中もおらんのだろう。マコトに暗澹たる気持ちになるけど、それが現実だ。

 ・・・・・・そりゃまぁもちろん、接待攻勢がどうとかのオトナの事情も一杯あってのコトなんだろうけどさ(笑)。

2020.05.03

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