「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
8TH ANNIVERSARY


有名な「愛の嵐」でのシャーロット・ランプリング。当時28歳

 早いもので、サイトを開設して丸8年が過ぎた。この間にいろんな変化が世の中にも、当然おれにもあった。

 世情はどうにもこうにも悪い方に進んでるように見える。不景気は一向に好転せず、政治は混迷の度合いを深め、陰惨な事件が増え、東日本大震災が起き、その巨大津波によって原子力発電所が放射能漏れを起こし、これまでバカみたいにペコペコして事なかれ主義の付き合いばっかしてきたツケで、増長した隣国は言ったもん勝ちとばかりに領有権を主張している。困ったことだ。

 それらにくらべりゃぁおれに起きた変化なんて実にささやかでかわいいもんだ。特にグレることもなく子供たちは大きくなり、その分残念ながらおれもヨメも齢を重ねたこと、仕事の都合でおれが北海道の住人になったことなんかが強いて言えば特筆すべきことで、あとはデジタル一眼に目覚めたことやら、ギターや山道具が若干増えたこと等、まぁ世間からすればどぉでもいいことばっかである。書いてて呆れるほどにどぉでもいいことばかりだが、まずまず平穏無事に過ごせてる方ではないかと思う。夫婦仲もこんな写真ばっか撮ってんだから、世の中の平均よりは随分いい方なのだろう。

 そぉいや近所の方で、旦那さんは大きな会社の御曹司で跡継ぎ修行とばかりに系列の観光施設の支配人やってて、本人はでっかい7シリーズのBMW、奥さんは小ぶりなベンツなんかに乗って随分羽振り良く暮らしてる一家があった。それが何の因果かご主人がメンヘルで出社拒否になったのをきっかけに、あれよあれよという間に歯車が狂っちゃって、家で引き籠ってネチネチ・グジュグジュに止まらずDVにまでなって離婚はするわ、そんなんで旦那は実家からも愛想尽かされ勘当されて行方知れずだわ、上の息子は高校中退して家を飛び出すわ、でムチャクチャになったケースもある。
 別にメシウマとかザマミロとかはこれっぽっちも思ってない。お金持ちとはいえ二人とも全然しょったところのないご夫婦だったので、むしろどうにも気の毒でならない。ただもう、僅か8年とはいえど歳月はそれほどに長く、そして時に残酷なこともあるのだ、と言いたいだけだ。

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 サイトを取り巻く環境も随分変わった。まずIT技術が変わった。始めた当初はブログもまだ普及はそれほど一般的ではなく、何かを形にしてネット上で発信するにはホームページをシコシコ拵えるのが一般的だった。SNSもツイッターもまだ影も形もなかった。サーチエンジンにしたってかつてのYahooに代表されるカテゴリー登録型が主流だったし、アクセスアップには被リンクを増やすのが一番だとばかりに有象無象の小規模サーチエンジンが世に溢れてたり、相互リンクなんてーのがあちこちのサイトで普通に行われていた。おれは相互リンクにはあまり熱心ぢゃなかったが、小規模サーチエンジンへの登録は一時、かなり熱心に行った。結果的に何の効果もなかったけど・・・・・・そらそうだわな、そんなサーチエンジン、おれ自身も使わんのだから(笑)。
 それが今はどうだ?ホームページを立ち上げるなんて一部の企業かマニアくらいで、ほとんどみんなブログになり、それで売上が低迷したかホームページビルダはIBMからジャストシステムに身売りされ、Yahooは事実上Googleの軍門に下ってカテゴリー型は大手では姿を消した。あのころは最先端に思えたのが今ではとても長閑に思える。気付けば日本的なケータイが駆逐され、今やスマホが席巻しているのも大きな変化だろう。

 PCの速度はXPだVISTAだ7だっちゅうワリにこの数年頭打ち感があって、OSが消費する分でのメモリばっかしがデカくなってる気がするものの、回線速度やレンタルサーバの容量なんかは劇的に増大した。たしか、いっちゃん最初に契約したところは容量が300MBだった記憶がある。それでも他が30MBくらいが一般的だったんでひじょうに大きいし、月々の料金も安く感じたのだが、今は実に10GBもある。それで値段は変わらない。ブログなんかだと無料で容量無制限を謳うところがいくらでもある。わざわざレンタルサーバの一角を借りる、なんてもう古臭い時代なのかも知れない。

 何より変わったのはあまり数多くないとはいえ、立ち上げ当初お付き合いさせていただいていたいろんなサイトだ。今ではもうほとんど残ってなかったり、或いは活動を停止してしまったところが大半である。前にも書いたけど、個人のサイトで3年以上続くケースって実はすごく少ないのである。まぁ、自分も含めて泡沫はいざ知らず、始めた当時はひじょうに有名だったところが今は見る影もなくなっているのを見るといささか悲しくなってしまう。

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 そんな状況を横目に見つつ、兎にも角にもコンテンツの拡充だけは何とか淡々と続けてきたのが偽らざるところだ。外向けに発信してるにもかかわらずひどくそれは内省的な作業だった。途中何度も厳しい状態に追い込まれた。酔っぱらって間違えて全部消してしまったときが一番シビれたけど、それ以外でも1ヶ月以上の中断を余儀なくされたことは多い。今年も春頃に2ヶ月くらい中断の憂き目に遭った。仕事が多忙を極め、サイト弄ってる余裕がなくなったっちゅうのがもっぱらの原因である。
 おかげさまでネタの枯渇だけはなかったのは救いだ。ヤル気が枯渇しそうになったことは何度もあるが・・・・・・(笑)。職業的文筆業ならそれも超克して書き続けなきゃならんのだろうが、そこまではいくらなんでもできんので停滞する、なんてパターンもあったな。
 タイトル先行型ゆえにそのネタ帳があったりするんだけど、そこにはまだ数百のタイトルがあって、どんなことを書くかのプロットがメモしてあるし、さらにそれは少しづつ増えたりもしてるから、基本的に時間の余裕さえ取れればこれからもテキストについてはアップし続けることは可能だろうと思ってる。

 画像類についても、旅に出掛けたら出掛けたで、或いはモノ買ったら買ったで追加してくだろうから今後も堅調に増え続けるだろう。実際、拵えるのに一番ラクなのは画像関係である。画像並べてキャプション付けてだけだから、2時間もあればイッチョ上がりのホホイのホイ。
 加齢の問題については、おれたちが年取ってくことも含めて全部残そうってーのが当初からのコンセプトだから、例えばアマチュアエロ系サイト等でよくあるような「年取ったんで止めます」はないだろう。余談だけど、ああゆうので有料会員制にして金集めてたトコってどうなるんだろう?ちゃんと返すのかな?
 ・・・・・・とは申せ、やはり老いとはどしたってビジュアル的に醜いのも事実であって、ここは何とか一つヨメに踏ん張ってもらいたい、って気持ちも正直、大いにある。何や!?結局そんな下世話なトコかい!?って言われそうだけど、あるんだから仕方ない。
 吉永小百合レベルの老けなさはもはや妖怪の域に達してるけど、例えばジェーン・バーキンやシャーロット・ランプリングなんて年取っても綺麗っちゅうかカッコいいし、なるだけそういう人たちに近づけるようにしてもらうしかない。この点で、彼女は身体を鍛えスタイルを保つことに関しては超マニアックとも言えるので、大いに感謝せねばならんだろう。今でも腹筋割れてるのには恐れ入る。

 目下の悩みは2つある。一つはこれもネタにしちゃったけど画像の大きさをリサイズするか否か?だ。今なら長辺を800ピクセルにしても大丈夫なくらいに容量は確保されてるのだから。やる以上は中途半端はダメで過去のも含めてゴッソリ見直したい。しかしそこまで時間はなし、のジレンマである。
 あともう一つは旅に関係ないいろんな写真をアップするかどうかだ。まぁ、入浴写真でないヌードもその中には含まれたりもしてる一方で、いろんな事物を切り取った写真も多い。これはこれで数千枚単位のレベルでどんどん溜まってきており、手前味噌ながらナカナカ良く撮れたなぁ〜と思ってるのもあるのだけど、あまりに今のサイトの色とは異なるので検討中である。これも、だからっちゅうて別にサイト立ち上げるだけの気力も余裕もないし、何が最適解か求めあぐねてウダウダしてるのが現状だ。

 楽曲の類はもう今の状況では諦めた。作業に回せる時間が皆無なのだから仕方ない。それこそ定年迎えて圧倒的に自由にできる時間が増えない限りは逆立ちしてもムリだ。それに大体今のおれはバッハのヴァイオリン曲のコピーしかしてないのである。そんなんだから、そのうちサイトの「SOUNDS」のところについてもリンクを消し込もうと思ってる。まぁ、10年くらいしたら突然いろいろアップし出すかも知れない(笑)。

 サイトについても各ページの独立性とダンジョン構造が明瞭な従来のHTMLの方が好きなので、ブログみたく絞り込みであちこち飛ぶようなスタイルへの移行はないと思う。管理して行く上では古典的なこっちの方が個人的には扱いやすいのだ。デザイン的にもかなり引き算を重ねて来たので、今は特に手直しする気にはなってない。強いて言うなら、画像をリサイズした時にはFLASHで紙芝居型にしてやろうか、って思ってるくらいだ。あとはファビコンかな?

 あとはこの数年の極端な鎖国政策の見直しだろう。これだけは本当にむつかしい。ホント、サイトは個人が作る公園みたいなもんで、丁寧に見てひと時を楽しんでくださる人もいる一方で、花を毟ったり物を壊して乱暴狼藉の限りを尽くす不逞の輩も絶対ナンボかの割合でいるのである。妙案は未だに見付からない。

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 初心に立ち返る必要を改めて今、痛感してたりもする。それはとても単純なコトだ。「巧拙はともかくとにかく誠実にコンテンツをコツコツ増やす」・・・・・・それだけだ。ありがたいことに今はこんな気難しい運営をしてるにもかかわらず、コンスタンスに1日3〜400の訪問してくださる方もいる。「淡々」か「ダラダラ」か、おれ自身分からなくなる時もあったりはするんだけれど、取り敢えず次は10周年を目指してやっていこう。


ユルゲン・テラーによるルーブル美術館を舞台にした作品。隣はラケル・ジマーマン。
この時63歳、寄る年波に対してさえも胸を張って凛としてる感じが良い。


2012.09.24

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