「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
顧客はどこだ!?・・・・・・Windows「VISTA」とDoCoMo2.0


何で3Dの必要があるのか未だに良く分からない。

 家のパソコンが不調だ。

 電源を入れてもHDDが回りださず、ピッとかエラー音が鳴ってブラックアウトしたままの画面にワーニングメッセージが数行流れたりすることが最近急に頻発し始めた。典型的なディスククラッシュの前駆症状の一つだ。まぁ、もう買ってそろそろ5年になるわけだし、キッチンとつながった居間に置いてあって、昼間は換気のために窓を開け放ってあったりもする。旅行や出張にもガンガン持ち出す。使用環境としてはまったく良好とは言えない訳で、壊れるのも止むなしかな?という気もする。

 次の機種の選定を企てたおれは、各種メーカーのカタログや直販サイトなんかを物色し始めたのだが、すぐに愕然とした。噂には聞いてたけどこのVISTA、想像以上にひでぇヤツなのだ。

 今のおれのPCの用途を列挙するならば、デジカメ写真や音楽を取り込んで、バックアップのCD焼いて、ネット見て、メールして、ホームページ作って、音楽こしらえて、年賀状を印刷して・・・・・・と、そんなトコである。シンプルなもんだ。別段ワンセグがどぉとかストリーミングがどぉとかのニーズは全くない。そもそもおれは普段からほとんど自発的にTVを観ることもない。朝、時計代わりにつけるニュースくらいだ。夜などはヨメや子供が観てる横に座ってるので、「仕方なく目に入ってくる」っちゅうのが実態だろう。
 つまり、大掛かりな仕掛けはほとんど不要なのだ。今のはXPのHomeEditionってOSが入ってるけど、別に2000でも98でもそれほど不便は感じなかった。

 ・・・・・・なのに次世代OSのこやつ、アホみたいにメモリを消費すると言うではないか。1GBでもまだ不足で、できれば2GB欲しいなどと書いてある。XPの最低256MBでも相当バカバカしいと思ったのに、一気に4倍だ。OSだけでだよ。
 オマケに一方的なマイクロソフトの都合だけでセキュリティを上げまくったので、対応ソフトが依然不足しているし、起動しても今度はどぉでもいい警告メッセージが延々と出まくるのだそうな。
 さらには起動性。年々起動が遅くなってくのに対応した、って触れ込みだから期待してたら何のことはない、「スタンバイ状態にして電源を切らないようにする」のが正解らしい。子供騙しもいいトコだ。ずっと起動してるだけやんか、これって。サーバーかよ!?(笑)。
 んでもって、おれが必要としない機能ばっか強化してある。おれとしてはバグ対策と、絶対に固まらない動作の安定性を最優先して欲しいのだけど。

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 電話番号ポータビリティの実施以降、ドコモは契約者数が減り続けてるらしい。AUにも、ポコペンのはずのソフトバンクにも客を喰われちゃってる。ケータイの本体はタダで配ってるようなモンなんで、電話会社は差額分の販促費の負担が大きい上に、中継基地を1つ建てるとなるとヘーキで1億とかかかっちゃうんだそうな。
 つまり損益分岐点は決して低くない商売なのだ。だから、契約者数が減るのはものすごく痛い。

 ちょっと前から駅構内とかに巨大で大変ナマイキなポスターが貼られ始めた。キャッチは「そろそろ反撃してもいいですか?」だったと思う。「子供に殴られても痛くも痒くもないんだけどさぁ〜、あんまし大人をナメてると本気出して殺すよ。わいはゆうたらコドモちゃうで、ドコモやで。」的な、圧倒優位性をカサに来た尊大さがかなり鼻につく。ま、実際それくらいドコモは巨大なんだけどね。

 そんなこんなで満を持してリリースされたのが904iシリーズなのだが、これ、「DoCoMo2.0」なる意味不明のコピーがついてる。

 2.0が「WEB2.0」のパクリであることは明らかだが、本家のWEB2.0にしたって、何がいいのかサッパリ分からん、と言われてる。おれも良く分からん(笑)。大体、2.0っちゅうくらいやから、1.0があってそのヴァージョンアップやと思うやんか。
 ・・・・・・ほたら全然違うでやんの!単に今までの概念を越えたから2.0なんだって。羊頭狗肉もはなはだしいよね、これ。ドコモも遣り方は全く同じ。

 一言で言えば「ハッタリ」である。実際、どんなけ魅力的な新機能があるんだろ?と思ったら、これまでの延長線上にあるようなんばっかし。ケータイでメールができるようになった時、カメラが組み込まれた時ほどのインパクトはどこにもない。あれらが1.0のマイナーヴァージョンだったってか?よく言うよ、ったく。

 なんか思いあがってるよな、それって。

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 2つの事柄に共通することは何だろ?って考えると、要は、ライバルを打ち負かすことばっか優先されて、どっちもそれらの優れた機能を欲している顧客が見えてこない、ってコトのように思う。

 無論、受身で顧客ニーズを商品に反映させるようなことをしてたら、今の高度化した消費社会においては、アッと言う間に同業他社との競争から振り落とされてしまう。顧客のニーズだけ考えて商売できたらこんな幸せなことはないけれど、ムリなのだ。したがって、「提案型のニーズの掘り起こし、ってーコトになる。そりゃよぉーく分かる。
 分かるがしかし、そこにはねじれや逆立ちが生じてくる。すなわち、競争は熾烈なので身のある提案ばかりでは華がない。とにかく衆目の目を引くハデさだけがだんだんと優先されるようになってくる。顧客のためではなく、競争の道具としての機能やユーティリティとなって行くワケだ。

 ・・・・・・と批判的に書いたけど、一方で、これらの過当競争が技術を進歩させるのは紛れもない事実だ。もし、社会主義の国でパソコンやケータイが誕生していたら、未だに20MBくらいの容量で巨大な筐体にブラウン管、黒い画面のCRTだったり、肩から黒電話を提げるような状態が続いていただろう。いや、そもそも大衆に普及するなんてこと自体ありえなかったろう。
 おれたちは享受者に過ぎない。それがエラそうに抜かすな!死ぬほど苦労してんやど!コラ!ボケ!、と逆にお叱りを受けるかもしれない。でも、作り手の苦労話なんて聞きたくもないし、その苦労のベクトルが顧客に向いてないのだから、やはり同情はできない。

 思う。ここまで顧客を置いてきぼりにしてていいんだろうか?おれたちの大半は機能についていけなくて、もうウンザリしてるっちゅうのがホンネだろう。アホなガキだけが、新機能がついてることを見せびらかすくらいの効能しかないんぢゃないのか?そんなことのために優秀な技術者がガン首揃えて、不眠不休で開発する技術、って何なのだろう?

 かつて、クルマやバイクの世界で同様のコトがあった。マジで毎月のように馬力の向上した新車が出て、とんでもない動力性能をそれらはあれよあれよっちゅう間に獲得したのだが、いかんせん人間の方がついていけなくなってしまったのだった・・・・・・事故が急増したのである。
 こりゃ〜イカン、ってコトで、桜田門のご指導もあって、各社は馬力の自主上限を設けた。単車で言うと、750なら77馬力、400なら59馬力、250で45馬力だったかな?
 今でもあるのかどうかは知らないが、ともあれ、その上限規制あったればこそ、燃費や軽量化、加速、ブレーキ、足回りといった部分での改良に力が注がれるようになって行ったのだった。

 同じことが今、IT業界にも言えるような気がする。

 10年くらい、情報産業各社はOSや容量といった部分での、単なる数字競争に過ぎない技術の進歩を、一度止めてみてはどうだろう?そしてあまった開発力を動作の安定性や省電力性、セキュリティ、そしてユーザーのモラル向上やウィルス作成者の根絶といった方向に注いでみてはどうだろう?
 こと今のITに関しては、おれは立ち止まることが決してムダではないと思うし、顧客のためにならなくはない、とも思うのだが・・・・・・そんな風に考えてしまうほど、今のIT関連の技術の進歩って寒々しい。

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 ちなみにPCは現在、電源を落とさず、使わないときはスタンバイにするって方法で対応したら、なんとか問題なく動いている。怖いのでこまめにバックアップは取ってるけど、取り敢えず、すぐに買いなおそうって気はまったく失せてしまった。


不思議なことにこれだけ強気なくせにロゴ的なものはネット上にほとんど見当たらない。

2007.06.15

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