「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
アディクトはいけまへんな


アディクトの帝王はヤッパシこの人。この夏で三周忌です。
本当に惜しい人を亡くしたと思う。

 つくづく、依存体質である。

 酒、止めれまへん。
 タバコ、止めれまへん。
 その他各種嗜好品も止めれまへん。
 ちなみにオンナ、縁がおまへん、と(笑)

 細かいものを挙げだすとキリがない。つまらないところでは例えば朝、コンビニでコロッケを買ってみたら、これが意外に旨かった。そしたら次の日からズーッとコロッケ。その前は、野菜ジュースだったりフリスクだったり、どれも少なくとも数ヶ月は続いたかな。クスリ系に手を出さなかったのはたんに自分が小心者で保身の徒だったのと、コスト的にアディクトするのがむつかしかっただけのことだ。アルコールにしたって、会社があるのと運転の必要から、なんとか連続飲酒の状態から免れてるだけである。
 幸い、賭博には昔からまったく興味が湧かないことで、まぁそれでも何とかやってけてるが、基本的には大阪弁で言うところの「これゆうたらこれ」な性格であることは間違いない。

 アディクトには「緩慢な死」ゆえの抗いたい磁力がある。生暖かい、優しい優しい底なし沼だ。

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 そして気づいたらコンテンツ制作にアディクトしていた。

 自分で言うのも恥ずかしいが、客観的に言っておれの更新頻度は、フツーに家族持ちの、そして一介の勤め人の夜の余技としては相当多い方だと思う。別に画像並べたり、文章考えるのに苦心惨憺なんてこたぁないとはいえ、キーボード叩くには時間がそれなりにかかるし、ロクにしてないとはいえやはり推敲は必要だ。
 当然、睡眠時間は減る。酒飲みながらシコシコ制作に励んでるので、いわば「連日午前様」状態である。それでもスッカリ依存してるもんだから、さほど苦痛ではなかったのだが、次第に変調が現れた。

 何よりまず身体が悲鳴を上げ始めた。目脂が出る。眼がかすむ。肩が凝る。偏頭痛がする。耳鳴りがする。歯や顎が浮く。胃腸の調子がスッキリしない。昼間も何だかボーッとして集中力が出ない。
 続いてこれこそが依存の依存たるところだが、コンテンツ制作に関わっていないと不安に襲われたり、イライラするようになった。会社では当然コンテンツに触れないので、これらの症状は増大し、ますます生産性が落ちる。判断もトンチンカンになる。つまらないことにすぐカッとなる。
 さらに、ジャンキーの症状は続く。目的と手段が逆転し始めた。アウトプットのコンテンツのできばえ云々より、制作するプロセスだけで満足してしまっている自分がいる。これで安定したクオリティが淡々と出せればプロで食って行けるのだろうけど、所詮は生活のかかってない者の余技である。緊張感とかキレ、殺気のようなものが減退してしまった。

 ・・・・・・完全な依存である。

 ヤバい。このまま行くと、単なる自己満足ジャンキーだ。どぉしよう?

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 答えは簡単。ドラッグとは違うのだから断つ必要はまったくない。揺り戻しをかけて適正なところまで減らせばよいのである。何を勿体つけておるのかいな。

 根が苦労性と言うか、貧乏性と言うか、良く言えばマジメなのだろうが、おれはたとえ一文の得にもならないことでも、一旦やり始めると悠然と構えて寡作でいることができない。ある種のオブセッションにとらわれてしまうのだ。これは依存症に陥る人に典型的に多いパターンである。つまり、不道徳で自堕落だからアディクトするのではない。逆である。いやホンマ。

 その甲斐あってか、この2年弱で内容は甚大な量に膨らんだ。今やおれ自身が一日で全部見たり読んだりできないくらいのボリュームがある。更新を楽しみに毎日のように訪問してくださる方も、思いの他沢山いらっしゃるようだし、検索かけてて偶然辿り着いてくださる方もこれまた相当多いようである。
 一方でプロバイダにコンテンツの削除をしなければ解約しますなどと一方的に通告されたこともあった。考えれば考えるほどヘンな話で、他のサイトの「やおい」やら「萌え」やら「ロリ」やら、妄想と劣情のカタマリのようなどんな猥褻画像でも、アニメやイラストなら申し訳程度のボカシでOKなくせに、風呂入ってるハダカはダメだとか抜かしよる。あまつさえ、おれが規約にそんなこと書いてない!と文句つけたら、コッソリ次の日に書き足されてあった。
 お願いもしてないのに、ブログのヘンテコリンなポイントみたいなんが貯まって,ランキングが上位になったばかりに、ポータルトップで目立ってしまい、カテゴリーが問答無用でアダルトに変更させられたときもアタマに来た。バイロス画集が出版差し止め喰らって激昂した生田耕作の気持ちがよく分かる。ミケランジェロのダビデの包茎のチンコは教科書に載っても構わないが、無名のアーティストの画像やイラストを紹介するのがアダルト、っちゅう世の中の判断基準は、単なる無知蒙昧な権威主義と思うのだが、いかんせん、自分でWebサーバ立ち上げるわけにも行かず、理不尽な仕打ちに甘んじて我慢するしかない。
 あるいは、あるときは人気掲示板に勝手にURLさらされて、プロバイダのトラフィックがパンクするんぢゃないか!?っちゅうくらいにアクセスが殺到したときもあった。勝手にグルメガイドに掲載されて、一見客にワーワーゆうて押しかけられた個人経営の零細飲食店のようなもんで、ありがた迷惑っちゅうか、凹むしウンザリするし、少しも望ましいことではないけれど、それだけ衆目を集めるところとなった証拠と言えなくもない。

 まぁ、個々にはそぉいった消沈する事態もあったにせよ、全体的に見渡せば、サイトを作ってる身としては、おーきにおーきにオカゲさまで、の感謝しなくちゃならない状況だとは思う。努力(?)はそれなりに報われたのだろう。

 ------もう、エエやんか。
      そんな急くことあらへんで。
      ちょっとここらで一服しよら。

 努めて冷静になって自分に言い聞かせた。何度も何度も。まるで憑き物を落とす気分で。

 ・・・・・・そしたらアッサリ落ちてしまった。アラララ。

 残念なことに、この辺の根気のなさ、っちゅうか、まぁ単細胞さが、決定的におれが今一歩何をやらしてもトコトンまでの拘りに欠け、成し遂げるに当たって中途半端で抜けきれない点なのだろうけど、平凡な市井の人としての生活を送る上では好都合でもある。

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 ともあれ今後、更新頻度は落ちる、いや、落とす。毎日お越しになられてる方、本当にゴメンナサイ。表現を生業にしていない以上、ちょっともう一杯一杯です。ぶっちゃけカラダがもちまっしぇん。いやもうかなりあちこちガタが来てます。それをこのまま続けてたら、引き返せないジャンキーになってしまいます。生活まで投げ打つわけにゃぁイカンのですばってん。
 でも、更新停止はありません。一方で何か書いてたい、作っていたい、って欲求はチャンとあります。時間に余裕の出たときは沢山アップしますよってに、これからも変わらぬご愛顧を・・・・・・

 ・・・・・・しょーもない言い訳すなっ!!って?(笑)


アディクトの世界チャンプ。最後までイカした不良だったW・S・バロウズ
左はまだ若かりしパティ・スミス


アディクトなジャンキー詩人として忘れちゃいけない、G・トラークル
それにしても凶暴なご面相。

2006.08.16

----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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