「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
世界も世間も狭まっていく


ホンマに10秒でゲットしてみました!(笑)それにしても類型的な写真ですな。

http://www.domai.com/より

 いやはやエラい時代になったもんだなぁ〜、って思う。言うまでもなくインターネットのことですよ。

 インターネットってモノが日本で普及しだして10年ちょっとくらいになるのかな?それより以前は「パソ通」なんてーのが盛んだったが、おれはとにかく同好の士、みたいなのはニガテなので、あのフォーラム、っちゅうんですか?狭い世界でワーワーワーワーやってる感じが馴染めなくて敬遠してた。それに第一パソコンもまだまだ高かった。
 「パソ通機能搭載!」とかを謳い文句にしたワープロ専用機もあった気がするけど、シロウト目にもワープロ専用機の将来は暗そうな気がしたんで、ナンボ宣伝してても食指が動かなかった。安かったんだけどね、アレ。

 いやいや、ま、そぉゆうケチと先見性・合理性も理由にあるにはあるけど、「読み違い」もたしかにある。ぶっちゃけ、ここまでの性能や回線の進化は予想してなかったし、裾野が広がるとも思ってなかったのだ。だからおれが個人的にパソコンを買ったのはそんなに昔のことぢゃない。
 それが今ではサイトのオーナーと来たもんだ。ハハハ・・・・・・

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 一大決心をしてパソコンを買ったのは90年代も終わりになってだったと思う。秋葉原の電気街でためすすがめつ選んで、結局買ったのは何のこっちゃない、平凡極まりない富士通のデスクトップかなんか。OSがWindows98のCPUが366MHzで、RAMが64MBだった記憶がある。それを貧しさゆえにテイクアウトのお持ち帰りで、えっちらおっちら電車で持って帰ったのはいいけれど、駅を降りたら、折からの小雨。途方に暮れて、仕方なくタクシー乗ったせいで送料分くらいは掛かってしまったのだった(笑)。
 先日、鮫肌文殊の「日本の少数民族」っちゅう本を読んでたら、「『でかい家電を手で持ち帰る』族」ってーのが出てた。ちなみに98人/30,000人の出現率らしい・・・・・・いやはや恥ずかしい。

 会社ではちょこちょこネット触ってたとはいえ、やはりこのぉ〜、何といいますか、好き放題には見れないやないですか。だから、56Kbpsの貧弱極まりない回線でも、好き放題に色々見て回れるのは楽しかった。ま、ご多分にもれず「エロ」なんだけどね。リュミエール兄弟が映画を作って六ヵ月後にははやブルーフィルムがこしらえられてたというし、VHS普及の原動力が裏ビデだったように、新技術がマジメな用途で広まるワケがないのだ。
 「ネットって『エロ本と自費出版しか置いてない本屋』みたいやな」、ってーのが当時のおれの印象だったが、それでもさまざまな検索でとんでもなく面白いサイトが見つかったりして(決してエロ系ぢゃなくて、だよ)、これまでの書肆の逍遥とは異なる世界が広がっていく気がしたものだ。

 そのうち、ネットの功罪も何となく分かってきた。功は何といっても「ディープな情報・コアな情報を一瞬でつかめること」だろう。そして罪はまさにその対極で、「体系だった知識の習得ができないこと」と、加えて、広く喧伝されてることなのでいささか月並みではあるが、モニターに写る世界はあくまで「ヴァーチャル」だ、ってことだろう。どれほど事実を写したものであってもだ。リアリティはそこには、ない。

 何となくこれってアブないな、って気がした。

 たしかに世界中のあらゆる国とつながっているし、言葉の不自由はあるけれど、ヴィジュアルなものなら、言葉分からなくても何となくス〜ッと入って行ける。
 でも、そうして得られるモノって自分の趣味趣向の歪んだ鏡に過ぎない。いわば「巨大な自家中毒」に陥ってしまって、価値観がどんどん偏狭になって来てる自分がだんだん怖くなってきた。
 そのような深井戸への陥穽に対する歯止めとは、取りも直さず従来の演繹的な体系的学習の煩わしさに他ならないのだけど、何せネット、ポーンと直覚的に把握できちゃうだけに始末が悪い。

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 ホントはも一つ歯止めがあった。

 検索エンジンである。YahooだGoogleだMSNだ、と色々あるけれど、カテゴリー登録型はともかく、ロボットサーチはたまにヘンな、一体全体どこがどぉぶち込んだキーワードと関係あるんだろ?みたいな結果を引っ張ってくるのがとても楽しかった。で、ちょっとそこを覗いてみると、そこに自分とは方向性は違うけど、とんでもなく面白い世界が転がってたりするのが、ねじりこむような自閉の世界に向う自分への救済に、辛くもなってた気がする。

 過去形で書いたのは他でもない、最近、ロボットサーチの精度が良くなりすぎたのか、思いもしない検索結果を見かけることが減ったように思うのだ。それでもGoogleはさすが老舗、って印象があるが、Yahooはダメだ。MSNはいつまで経ってもβ版みたいな不安定さが魅力なときもあるが、基本的にはYahooに近い印象。その他のロボットサーチはズバリ、カス、ですな。お話になりまっしぇん。

 このYahooのダメさはいくつか挙げることができるが、確証がない。なぜなら各社のサーチエンジンのプログラミング・チューニングは秘中の秘なので、推論でしか語れないからだ。

 ともあれそのダメさの第一は「個人や多様性を軽んじてること」に尽きるような気がする。まずは検索結果に法人サイトや商業サイトが優先され、個人サイトはとんでもなく後回しになったりする。これはみなさんも経験のあることだろう。
 カテゴリー登録の申請にしたって、今は個人ページは登録されないのがまずフツーになった。

 もう一つは、検索の掛かり方でそのサイトのカテゴライズがだんだん進んでいくような、本人の意思とは無関係にそこに押し込められていくような動きをしてる気がする。
 まぁ、おれのサイトのことしか分からないけれど、いっちゃん多い検索単語は悲しいことに「混浴」なのだが、それはさておき、さほどアクセス数に変化がないにもかかわらず、このキーワードで上位表示される傾向が高まってきているのだ。実に不思議なことだ。

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 インターネットは個人の色々なものを広げてくれるものだろうか?

 マイクロソフトあたりは盛んにそのような何の根拠もない甘ったるい宣伝を垂れ流しているが、おれは全くそうは思わない。むしろ、自己形成の道具として危険すぎるように思う。ものすごく世間が狭い人間ができあがりそうな気がする。
 なるほどインターネットは世界を狭めてくれた。でも、それは単に。ロシアや東欧のオネーチャン、地球の裏側のボニータのハダカが10秒で拝めるという点において、だけなのだ・・・・・・別にふだん見てへんけどね、モノの喩えっちゅうヤツですわ(笑)。
 それよりおれは了見や世間・・・・・・換言すれば「価値観」、もっというなら「倫理観」が狭まる弊害を恐れている。それらは光る画面の奥からは決して与えられない。

 実を言うとおれは、eラーニングだとかナレッジポータルなんてぇ〜代物にも、かなり懐疑的であったりするのだ。本屋と辞書と百科事典からだけでは、何も学ぶことができないのといっしょだ。

 え!?古臭いでっか、わたい? 

2006.05.17

----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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