ふりかけとバスクリン |

右の上から3番目あたりがいっちゃんおれには馴染みのあるパッケージかな?
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何度思い返しても不思議な一家だったなぁ〜・・・・・・と、最近はそれでもようやく客観的に眺められるようになった。いや、おれの育った家庭のコトだ。まぁ実の所あらゆる家庭はどこかしらズレていて、不思議でないトコの方が案外珍しいのかも知れないけど。
ほぼ迷信と断言して構わないような奇妙なルールが我が家に各種存在したのはこれまで何度も書いた通りである。今日はそんな中から、タイトル通りふりかけとバスクリンを取り上げてみようと思う。
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まずはふりかけについてだ。当時はTVで丸美屋の「のりたま」なんかのCMが盛んに打たれ始めた頃で、それと相前後している。もちろん、現在のように多種多様なラインナップが揃うワケではなく、「のりたま」「ごましお」、あとは「たらこ」だったか「かつお」だったかの3種類くらいしかなかったように思う。最近では一回使い切りの個包装やアソート、しっとりタイプなんてのもあったりするけど、そんなのも当然まだなくて、パラパラ・サラサラしたカラフルなツブツブがアルミ蒸着の紙袋にドサッと入ってるだけだった・・・・・・あ!想い出した!瓶入りで上から見るとベンツマークみたいに仕切られたんがあった気がする。だから売られてたんはやっぱ3種類だった。
ここで雑学を披露するならば、日本初のふりかけは熊本の「御飯の友」って商品で、今でもフタバって会社で作られており、九州各県ではワリとフツーに売られてる定番商品である。おれも出張等で出掛けた折には良く買って帰る。現在主流のふりかけからすると小魚と海苔が強調されており、どちらかっちゅうと「乾燥した佃煮」みたいな味で、これはこれでシンプルでハマる美味さがある。
そいでもって同郷の丸美屋の創業者は、平たく言えばコイツをパクって、移り住んだ関東で商品化して成功する。昭和の初めの頃だ。それだけならただのエピゴーネンに過ぎなかったんだけど、さらにあれこれ工夫して不朽の傑作と言える「のりたま」を創り出した。巧みなメディア戦略と高度成長の波にも乗って、「ふりかけ=のりたま」の図式が確立して今に至っている。
・・・・・・って、Wikipediaが広まった今だとこんなん10秒で調べられるよねぇ。博識とか物識りの存在価値ってホント無くなっちゃったなぁ〜。仏心で寄付してやるん止めよっかなぁ〜、Wikioedia(笑)。
弁当も残さず良く食うようになってたから、おれももう小学生になってた辺りだろう、同級生のお弁当のご飯の上に振りかけられてるのを随分見掛けるようになっていた。黒ゴマと梅干の組み合わせよりやっぱし目立つし賑やかだし美しい。
しかし、おれはそれをちょっと悲しい眼をして眺めるしかなかった。何故なら既に父母の会話でふりかけを買うなんてことは我が家では絶対になかろう、ってコトが分かってたからだ。
具体的な会話のやりとりは忘れたが、要約すると「あんな子供騙しなモンくわせたらオカズを食わんようになる。栄養が偏ってしまう」ってな理由からだ。話題の少ない家なので、大体こぉいった話は何度も繰り返されるから、一度ならずどころか何回もそんなんを聞いた・・・・・・誰がそんな米ばっかし食うかよ!?ってねぇ。
勿体ぶってエラそうに鹿爪らしい理屈を並べるのはいつも父親の方だった。しかし、栄養が偏る、っちゅうんなら毎週毎週休日の朝に繰り返される、禅僧も驚くような茶粥に梅干と鰹節に醤油掛けたんだけ、ってな取り合わせの方が余程栄養的には偏ってたように思う。独善的な理屈の破綻ぶりは笑止千万だったと言えるだろう。
一方でそう判断するに至ったのに、若干ながら無理からぬ点もある。CMがTVの色んなキャラクターとタイアップしたものになってたからだ。細かいことを忘れたんで、10行手前で非難したばかりのWikipediaで調べてみたら、おお!チャンと載ってるやおまへんか!(笑)。何と発売当初は子供をターゲットに、オマケに「8マン」のシール付けてたんだね。
そんなんもあって、ハナッから「子供騙しなロクでもない商品」だ、って決め付けてたんだろう。いずれにせよ人間、無知に基づく予断や思い込み、レッテル貼りほど良くないものはない。何でも自分で試して体験してみることが大切ちゃうかって思いますわ。
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続いてはバスクリン。
これも高度成長期、家庭に風呂が急速に普及する中で一般化してったモノだ。大体それまでは田舎はともかく都市部では風呂の備わった家なんて結構な金持ちくらいに限られていた。庶民はみんな銭湯に通ってたのである。だから町の至る所に銭湯があった。だから入浴剤なんて入れたくったって、風呂そのものが家になかったりした。
とは申せ入浴剤自体は結構昔から存在してる。天然硫黄を固めた湯の花なんてまさにその嚆矢と言えるモンだし、菖蒲湯や柚子湯なんてのもその一種だろう。工業的に製品化されたものとしては有名な「610(ムトー)ハップ」や「ノボピン」なんかが古くからある(ムトーハップは惜しくも製造中止になったみたいだが・・・・・・)。
いずれもただのお湯に混ぜることで、温泉に近い効果を求めようとしたモノであるのに違いはない。
これもたまに何かの折、よそん家て風呂入らせてもらって、鮮やかな蛍光グリーンの色と独特の香りに感動して、子供心に「こんなんを風呂に入れられる家って楽しそうだなぁ〜」って実に羨ましく思ったモンだ。
これについては恐る恐るリクエストしてみたことがある。団地に引っ越して小さいながらも家に風呂ができたからだ。時期的にはふりかけとほぼカブッてる。しかし、言下に否定され提案は却下されたのだった。もちろんそこにも勿体ぶった鹿爪らしい理由があった。「あんなモン、釜が痛むし、ただの気休めや」っちゅうのである。
たしかに古典的な入浴剤には硫黄分やら食塩がかなり使われてたから、あながち風呂釜が痛むって指摘は間違ってはない(だから現代でも追い炊きできる風呂にバスソルトは良くないと言われる)。上記のムトーハップにしたって製造中止に追い込まれた一因として、硫黄を使ってて使い方によっては硫化水素ガスを発生させることが可能で、それを逆手に取った自殺が頻発したことが挙げられる。まぁその前にあまりにレトロすぎて商品力がなくなってのが大きいけどね。
今となってはあくまで想像だけど、戦前の羽振りの良かった時代、子供だった父親は入浴剤を入れた風呂に入ってたことがあったんだろうと思う。大体、空襲で焼けるまでは化粧品工場を営んでたってくらいだから、横繋がりとかで薬品関係のものはいろいろ家にあったハズなんだし。それでそんな風にボヤく祖父母の会話を覚えてたんだと思う。
・・・・・・いつの時代の話や!?っちゅうねん。
現代の入浴剤がその辺の課題を織り込んで作られてるのは言うまでもない。入浴剤を使ってたから殊更早くに釜が錆びて穴が空いたなんて、ついぞ聞いたことが無い。どだいそんなモン使おうが使おまいが、現代の家庭用のボイラーなんてどうせ10〜15年もすれば壊れるんだし(笑)。
要は彼は過去の知識や経験だけで凝り固まって、時代の様々な変化や進歩に対して無知だったのだ。
「ただの気休め」もある意味間違ってはないだろう。現在売られてる入浴剤の成分で実際に有意な薬効がありそうなのは、重曹(炭酸水素ナトリウム)・芒硝(硫酸ナトリウム)の皮膚への作用くらいなモノだ。だから入浴剤の効能には「ひび・あかぎれ・しもやけ・あせも」なんて書いてあるワケだ。
でも、風呂に入るって行為自体にしたって、そもそも「気休め」、即ちリラクゼーションの意味合いだってひじょうに大きいのである。気休めのアメニティをちょっとした遊び心で補完して何が間違ってるのか?と今なら断言できる。
全ては吝嗇を糊塗するための尤もらしい屁理屈ばっかしだった・・・・・・残念ながらそぉゆう結論に至らざるを得ない。
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今、おれの家にはフツーににふりかけもあればバスクリンもある。あるけど、幼少時の反動でバカバカ消費しまくるなんてこともない。ふりかけでご飯を食べることもそもそも滅多にない。中途半端に余ったご飯をオニギリにして置いとく時にヨメがまぶしたりするのに使ってるくらいだ。バスクリンは本家は余り買ってない気がする。巨大なフリスクみたいな花王のバブ(炭酸がシュワシュワ出て楽しい)か、あとはバスロマンだとかバスラボだとかメーカー不問で柚子とか森林の香りといったのを買うことが多い。そんな程度だ。
ヤイヤイゆうて禁止するほど大層なことなんて何一つそこにはないのだ。 |

今は数え切れんくらい種類あるよね?
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2019.01.10 |
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----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
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