「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
タミヤ・ハセガワ・フジミにレベル(T)


わし、これをネット上で見つけて泣いたね!!

http://www013.upp.so-net.ne.jp/manabun/manabunhome.htmlより

 ・・・・・・あと、日東やイマイ、アオシマ、バンダイって感じだったかな?

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 プラモデルが作りたくて作りたくてたまらなくなる時が今でもたまにある。ちなみに不肖の息子は勉強もせんと、家にいるときは500円ほどで買えるガンプラばっかし買ってきては、ほとんどどれがどれだか区別のつかないのを次々とこしらえてる。血は争えないというべきなのだろう。

 しかし、プラモデルの黄金時代がいつかっちゅうと、間違いなくファミコン以前、もちょっと厳密に言うとオイルショックで大きく値上がりする以前だったと思う。その頃のプラモデルの品種数には凄まじいものがあったし、少年漫画誌にもしょっちゅうプラモデルの上手な作り方、みたいな特集が掲載されていたものだ。曰く、「部品のランナー(部品がくっ付いてる棒の枠みたいなアレ)からの切るには少し余分にバリを残してヤスリをかけましょう」だとか、「ツヤ消し塗装するにはプラカラーの中に天花粉(シッカロールね)を混ぜましょう」、だとか、そんなん。
 でもって力作の投稿フォトコンテストみたいなのもあちこちで見られた。今時、素人が自作を投稿するなんて「アップル写真館」とかのハメ撮り投稿誌ぐらいになっちゃったなぁ〜(笑)。

 ともあれ、今回はそんな当時の私的な思い出話をあれこれ。

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 なによりアイテムとしては戦車の人気がずば抜けて高かった。タミヤの1/35シリーズの出来の良さについては、今さら言うまでもないことで、ここでクドクド書ける資格があるほどおれは深い知識を持ち合わせていないけれど、ともあれ、おれが初めてこしらえた戦車のプラモも、このタミヤの1/35の「パンサー」ってヤツだった。第二次世界大戦時のドイツの中型戦車で、クリスマスに買ってもらったような気がする。

 ナチスドイツっちゅうのは、まぁ、ユダヤ人に対して民族浄化とかホロコーストとかムチャクチャやって、その悪名を永遠に歴史に刻んでいるのだが、正直、兵器のメカとしてのカッコよさではズバぬけてクールだ。それが証拠にラインナップはドイツのが一番多い。いちばんヒドいのは日本の戦車で、ブリキの箱みたい。イギリスもかなりカッコ悪いし、ソ連もデザインの詰めが甘い。アメリカはどだいシャーマンくらいしかない。

 そんなワケでおれもドイツ戦車にまずはハマる。栴檀は双葉より芳し、マイナー好きはこの頃からで、おれはちょっと旧型の部類のV号戦車やW号戦車なんちゅー、没個性な名前のをベースに改造を加えた突撃砲とか対空砲のようなものとか、ハーフトラックなる戦車とトラックの合いの子みたいなのが好きだった。

 しかしタミヤはデキもいいがお値段もいい。おれがハマり始めた当時、ちょっと大型のもの(パンサー・ロンメル・タイガーT等)で600円、ちょっと小型のが500円くらいだったと思う。普通のうどん屋できつねうどんが100円前後、タクシーの初乗り料金がそれよりちょっと上くらいの値段だった時代なので、いかに高かったかお分かりいただけるだろう。
 つまり、子供がおいそれと小遣いで毎月毎月買えるようなものではなかったのだ。

 そんなビンボなガキのフラストレーションに対し、天恵ともいえるシリーズが出る。フジミの1/76シリーズ、っちゅうモノだ。当初150円くらいだったと思う。これなら比較的気軽に買える。スゴかった点は値段だけでなく、スケールの小さなものにありがちなディティールの端折りが一切なかったことだ。大型のモデルと較べても決して引けをとらない部品点数の多さは、子供心にもリアルを感じさせるものだった。
 しかし、いかんせん縮尺が縮尺だけにタミヤと較べると格段に小さい。完成してもマッチ箱をちょっと大きくしたくらいでしかない。それに、小さいっちゅうことは、非常に細かな作業が要求されることに他ならない。
 コイツをきれいに組み立てるのは、タミヤよりよほどチャレンジングな作業だった。キャタピラをワッカにする際の「焼いたドライバーで柔らかくする」なんてー作業はほとんどいつも失敗で、泣く泣くホッチキスで留めたことが何度もある。

 今でも売られてるので、腕に自信のある方は挑戦されてみてはいかがだろう。

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 そうこうするうちに「ジオラマ」なるものが流行りはじめる。要は戦車だけをこしらえるのではなく、実際にあったかのような風景をこしらえちゃうわけだ。戦車を置き、周囲に兵隊走らせ、ひっくり返った敵の戦車や破壊されて廃墟となった廃屋、木々や岩の類を置き、地面にはタイヤやキャタピラの轍を入れる・・・・・・今のガンプラでも同じようなのがあるが、そもそもの出自はここだろう。思えば盆栽や水石に近い、何とも日本的な趣味ではあった。このコンテストもまた、燎原の火かあるいは疫病か、っちゅう勢いで広まった。

 ・・・・・・というものの、単体で買っても高いのに、これだけの箱庭、タミヤで作るとなると到底小学生が手を出せる金額ではなくなってくる。勢い、大半のガキは、机の上に三国同盟も連合国軍も、あるいはスケールさえもゴチャ混ぜで、手持ちを並べてガマンするしかなかったのが実態であった。

 このブームに乗って、小学生でも買える価格で、初めっからジオラマの台や戦車やらジープ、兵隊さん多数、さらにはグリーンパウダーまでがセットになったものを仕掛けてきたのがニットーだ。
 それまでは甘いディティールとスケールにゴムキャタピラ、忠実性よりも乾電池で動かすのを主眼にしたような幼稚なモデル主体だったのが、急に1/76のいわば「徳用詰め合わせ」で勝負に出てきた。パッケージの絵を切って板の後ろに立てると背景にもなるセコさ・・・・・・もとい芸の細かさ。スケールが同じだからフジミの単品モノも組み合わせれる。
 全部で10種類くらいあったように思うが、値段がタミヤの1台分と同じか少し安かったと思う。小さいけどいろいろ全部揃って値段、あちらさんとおんなじでっせ!みたいな。もぉメッチャ戦略的。これが売れに売れまくった。
 おれもいくつか持ってたが、結局ジオラマベースの台はどれも平板で同じようなもので、自分で木の板にや発泡スチロールや紙粘土貼り付けて作り直してた記憶がある。

 同じようなのはハセガワからも出たが、ちょっと縮尺が違ってた(1/72)のと少し値段が高かったように思う。それで個人的にはハマら(れ、?)なかった。おそらく飛行機のシリーズを以前から同じスケールで展開してたので、それを踏襲したものと思われる。作りのよさでは定評のあるメーカーだったので、食指を伸ばさなかったことを今は少し後悔している。

 さらに。それまでミリタリー系プラモデルではパッとしなかったバンダイまでが、スゴいのを出す。その名も即物的な「ヨンパチシリーズ」。文字通り1/48スケールで、戦車の内部まで精巧に再現されてる、ってーのがウリだった。つまり、小さいくせにカットモデルが作れるのだ。ちょっと記憶が不確かなのだけれど、たしか2種類入って一つの箱に入ってたような気がする。大きさおよそ2/3で2台(笑)。タミヤの1.33倍!それで値段はあちらさん1台分といっしょでっせ、ニットーさんやフジミさんほど小さいことはおまへんで、と(笑)。
 これまた大いに売れまくった記憶があるが、おれはそろそろ戦車から飛行機に興味が移り始めていたのだった。

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 余談だが、これ以前、バンダイには1/30ってシリーズがあった。タミヤより一回り大きい。ところが、こいつがどぉにもロクでもない出来で、そもそもプラスチックは妙にフニャフニャしてるは、作り込みは甘いは、部品同士のかみ合わせがひどくて、人形なんか顔の真ん中で合わせると、完全にグイチになってずれてるは、で素晴らしい出来の悪さだった。

 もう一つ余談だが、どこのメーカーからだったか忘れたが、巨大な地下の秘密要塞のセットが売り出されたことがあった。恐らくはジオラマブームの極点のような製品で、縮尺は1/76。
 箱からしてもう巨大で、90cm×60cmくらいで、大きな山の土台に加え、100人以上の兵隊さん、10数台の戦車、ジープやサイドカー、大砲、その他土嚢やらドラム缶やらの小物は数え切れず・・・・・・がその中に収められていたのだった。当時としては破格の4〜5千円の値段は到底小学生の手に届くものではなく、おれは学校帰りに道草して寄るおもちゃ屋の棚の最上段に紐で縛られて、ありがたげに立てて置いてあるそれを眺めるしかなかったのだった。

 ・・・・・・・と余談だけでも書き出すとキリが無いので、いささか中途半端なところだが、続きはまた今度ね♪



附記:
 本稿をまとめるに当たって当時の画像を調べてたら、ずいぶん記憶違いがあることが判明したが、別に史実を書きたくて書いたのではないので、あえてそのままにしてある。
 また、冒頭のパンフレットの画像の掲載されたサイト「まなぶんのホームページ」のコレクションは、冗談抜きで落涙ものの内容なので、同様の体験をお持ちの方はぜひ訪問されることをお勧めしたい。素晴らしい。


写真が小さくて申し訳ないが、大好きだった18トンハーフトラック。

2006.07.06

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