「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
改めてギターの魅力を考える


初めて欲しいなぁ〜っ、て思ったエレキはグレコのMR−600でした・・・・・・。

 しばらくドラムにかまけてばかりで、ギターはちょっとばかし放置プレー気味だったんだけど、いい加減伸びまくってチューニングも合いづらくなってた弦交換のついでに、細部を磨き倒したりして再びギターに比重が移って来てる今日この頃だ。

 しっかしネコ飼うようになってから、ホンマ楽器類もあちこち掃除が大変やね。普段はギタースタンドには大きな布を掛けてホコリ被らないようにしてるにも拘らず、やはりネコの毛はいつの間にか侵入してあちこちに溜まったり絡んだりしてる・・・・・・ってか、ネコが隙間に侵入してるんだろうな。特にブリッヂ駒にまとわりついてるとめんどくさい。ココは小さいネジやらバネやら入っててコチャコチャしてるし、弦が引っ掛からないよう、また手が当たることで駒が錆びたりを防ぐよう、薄くシリコンオイル塗ってたりするからへばりつくのだ。

 弦外して、ローズ系の指板にはレモンオイル摺り込み〜の、金属部分に曇りがあったらピカールで磨き〜の、復活材を少し吹き込み〜ので、ボディ全体は昔から使ってるマーチンのクリーナーで拭き上げる。さらにネジ類が緩んでたら増し締めし〜の、ネジのアタマ、さっきも触れたブリッヂ駒、ナット、ストリングガイドあたりにシリコンオイルを薄く塗り〜のでようやっと新しい弦を張る。
 弦については今はもぉめんどくさいんで、先割れクルーソン以外は俗に「シーゲル巻き」と呼ばれる巻き方にしてる。故・成毛滋が提唱したスピーディーでチューニングが狂いにくいっちゅわれる巻き方だ。大して難しくはないし、ちょっとしたコツはあるもののチューニングはたしかに狂いにくい。プレーン弦が切れやすいなんてぇ説もあるけど、おらぁそこまで有意な差は感じないな〜・・・・・・良いっすよ、シーゲル巻き、ラクで。
 張り終わったら仕上げにGHSのたこ焼きの油引きみたいなんで弦をゴシゴシやって、一通りチューニング。基本通りグイグイ引っ張って初期伸びを取ってさらにチューニング。最後にアンプ通してチャンと音出るかチェックして、もっかい接点をチェックしていっちょアガリ。

 ・・・・・・問題はいっぺんにまとめてやるのはほぼ不可能なくらいギター(或いはベース)があるってコトだな。休日ったって他にも用事は沢山あるワケで、一日中この作業に没頭するのは厳しい。だから何週にもわたって1日数本づつってコトになる。一大イベントかも知れない。もちょっと交換日付の履歴を管理してスケジュールを分散・平準化した方が好いのかも知れないが、それだと何だか会社での仕事みたいになっちゃうよな(笑)。

 ともあれ、やはりギターは楽しい。

 まったく技術的な向上が伴わないまま、ヘタの横好きで40年以上も弾いてることになる。いやいや、もっと真剣に学習し、寝食を忘れて練習に打ち込んでりゃそれなりにもぉちょっとはモノになったんだろうが、何せ移り気ですぐに他の誘惑に負けるモンだから、手慰みの域を出ることはなかった。

 それでも、やはりギターは楽しい。

 何でやねん!?って、その理由を改めて考えてみよう、っちゅうのが今日のテーマだ。

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 まず一般的に言われることを挙げてみる。弾きながら歌えること、和音もメロディもどっちも出せること、可搬性に優れてること・・・・・・なんてぇのは良く言及される。
 しかし、管楽器以外はまぁ大概どんな楽器だって演奏しながら歌えるわな。ペットやハーモニカの吹き語りする人が現れてくれんもんだろうかって昔から思ってんだけど、やはりむつかしいんだろう。
 いや、利便性だけで考えたら管楽器が不利なんが際立つだけになってしまう。演奏しながら歌えないし、和音も出せないんだから・・・・・・って、VDGGのデビッド・ジャクソンみたいなサックス2本同時吹きってのがあるけど、まぁあれは例外だな。大して細かいコトも出来ないしさ。何だか3Pでオネーチャンが2本同時フェラするようなもんで、あんまし一般的ではない・・・・・・喩えが宜しくなかったっすか?

 可搬性ってコトになると、ドラムやキーボードはかなり不利になる。タイコは鼓笛隊のように大太鼓小太鼓って分かれてやりゃぁ何とかなるだろうが、セット全体を担ぐのは至難の業だろう。そもそも立って演奏するのもそれなりにむつかしい。「カクテルドラム」っちゅうて立奏用のセット使ったり、往年のストレイ・キャッツやトリオみたいに思いっきしミニマムなセットにすれば何とかなるだろうが、やはりこれも一般性に欠けるきらいがある。
 キーボードはジョージ・デュークやヤン・ハマー辺りを開祖とするショルダータイプが一時隆盛を極めたことがあった。もぉギターやベース並みにステージ狭しと駆け回り、ピッチベンドホィールって半月型のコントローラーでチョーキングみたいなことまでブシブシとキメる・・・・・・ワリと80年代くらいまではライブで一般的に見られたと思う。今ももちろん各社から売られてるんだけど、猫も杓子も使ってるって状況ではない・・・・・・否、殆ど流行ってない。
 やはり肩から掛ける以上そこまで鍵盤数が増やせなかったり、右手と左手の弾き分けがむつかしかったり、そもそもそこまでキーボードソロが前に出て来ることもないからバッキングで浮くし、どうにもネタっぽいカンジが払拭できないからではないかと思う・・・・・・いっそダブルネックならぬダブル鍵盤作ったら面白いかも知れない。
 それにギターだって、アコースティックで生音だけっちゅうんならともかく、エレクトリックとなると少なくとも何かしらのアンプが必要だ。PA直でさえ最低限、アンシュミは要るだろう。そこまで漢な仕様でなけりゃエフェクターの2つや3つ並べることだって出て来るし、ギターは決して可搬性に優れてるワケではない。ステージでウロウロ出来るってだけだ。みなさんも街でギターケースを背負って買い物カートみたいなんに四角いジュラケース縛り付けたのをゴロゴロ引っ張るギタリストを見たことはおありだろう。

 こうして考えてくと、上に挙げた理由だけではギターの、とりわけエレクトリックギターの魅力の説明にはいささか足りないってコトになる・・・・・・ってか、そんな合理性ばっかしぢゃぁないんだよな。

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 まず、やはりいろんな形、カラーがあるのは大きいと思う。合理性っちゅうよりは見栄とかハッタリの結果も多い。ここまで自由に形や色が進化した楽器って他にあんまし思い付かない。そしてそれらが有名ミュージシャンのイメージと不可分のものとなってる、ってのがこれまたひじょうに大きいと思う。「トレードマーク」っちゅうやっちゃね。

 レモンドロップのレスポール・スタンダード、っちゅうたらジミー・ペイジがまず出て来ますやん。
 これが黒でカスタムやったら、やっぱし鮎川誠っしょ?白のカスタムだとランディ・ローズかスティーブ・ジョーンズ、さぁどっち?
 さらにピックアップ3つになったらフリップ翁で、エスカッションをクリーム色にしたらピーター・フランプトン、
 チェリーサンバーストならエース・フレーリーだわな・・・・・・昔、国産コピーモデルが氾濫してたよね。
 スモールヘッドでメイプル指板の黒のストラト、っちゅうたらクラプトンで、 ローズ指板の白ならおらぁ最近のジェフ・ベック、
 さらにそれをラージヘッドで小物類を全部黒にしたら、リッチーはんやわな。
 SGのチェリーならアンガス・ヤング、P−90積んでたらピート・タウンゼント、ギッチョならとにかくアイオミはん。
 サンバーストにメイプル指板のテレキャスっちゅうたらアンディ・サマーズ以外ありえないし、黒のカスタムだとキースはん、デラックスだとやっぱミック・グリーンやな、おらぁ。
 ムスタングはもぉこの人以外考えられないくらいにイメージ強いチャー、こと竹中尚人。何色持とうがこの人のイメージってのもスゴいな。
 モズライト、っちゅうたら絶対の絶対にテケテケなベンチャーズかラモーンズだ。
 NYアンダーグラウンド繋がりではジョニー・サンダースなんてレスポール・ジュニアのTVイエロー以外考えられん。トム・ヴァーラインはジャズマスやろ?
 ベースだってヘフナーはポール・松川以外考えられんし・・・・・・あぁ、#4001のナチュラルもだな〜。
 白でローズネック、黒のアッセンブリなプレべはシドだし、サンバーストのローズネックはやっぱジャコパス想い出す・・・・・・ジョン・ポール・ジョーンズな人にはゴメン言っときます(笑)。

 ・・・・・・列挙するのもだんだん疲れて来たんでこれくらいにしとくが、要はそうして好きなアーティストと同じようなのを持ったら同じような演奏が出来そうだ、ってのはあくまで幻想に過ぎないとは申せ、ガキの心をガッチリ掴むっちゅう点でまことに効果絶大だろう。いやたとえ弾けなくても気分だけは成りきれますやん。仮面ライダーベルトみたいなモンやね。
 昨今、シグネチャーモデルはあらゆる業界で大流行してるが、その先駆けはギターやベースにあったような気がするし、まずは道具から真似るってコスプレなんかの原初の形の一つだろう。

 他の楽器ではこうは行かない。ドラムはメーカーロゴだけ真似たけど、ホンモノは満艦飾の多点キットでこっちはエントリーモデルの貧相な3点セットとかぢゃいささか惨めでさえある。CB750Fに憧れてCB50でドヤ顔したって始まらんのと一緒やね。そんなんで、ヘビメタやビジュアル系が流行った時に、せめて見た目だけでも似せようとトニースミスかなんかの激安タイコでツーバスキット組みました、なんていじらしい例もあったな。
 キーボードなんかもぉ遠目にはローランドもコルグもヤマハも見分けが付かない。メーカーもその点は痛いほど分かってるもんだから、筐体の裏側の部分に白い太ゴシックでメーカー・モデル名のロゴを大書したりするワケだ・・・・・・が、そこまでキーボードって一般的には厚みないし、目立てる限界もある。ココはやはり往年のMS−20みたいにコントロール部分が立ったのを作るべきではなかろうか。あれなら裏が広く取れるやんか。

 次にヘタでもシンプルでもサマになる、っちゅうのもあるな。

 ギターで1度5度8度のドローンコードとかパワーコードって呼ばれるのをひたすらガガガーッて弾いたり、ベースで単音弾きしててもそれなりにチャンと曲として成立するし、サマになりもするのに、これがどうもキーボードではパッとしない。そもそも、鍵盤で同じトコをひたすら連打するのはしんどいし。速く弾くとなるとケッコー技術だって必要だ。グラインドコアのリフとかキーボードにやらせたらほぼ拷問だろう。ましてやペットやサックスでコードのルート音をプップップップップップップップッって吹いててみ!?まるでアホやで。
 タイコは難しいパターンがこなせることよりもノリやグルーヴ感が大事だし、リズムの単純な反復性そのものに意義があったりするから、シンプルなエイトビートをひたすら淡々と叩いてても案外イケてしまう気がする。要はヘタなりにサマになりやすい。ペッタラペッタラ餅搗きドラムぢゃまぁアカンねんけどさ。

 どやろ?ヘタでもサマになる楽器っちゅうたら、後はもぉカリンバくらいかなぁ?超絶テクで爆速のカリンバ演奏とか、あったらそれはそれでスゴいんだろうけど、足の速い亀みたいでちょとコワいかも(笑)。

 あともう一つ、不安定さってのを挙げときたい。実はコレ、ギターやベースの魅力を地味に下支えしてる大切なファクターなんぢゃないかっておらぁ常々思ってる。

 弦楽器はフレットが付くことである程度正確な音程が簡単に出せる。だからベースにフレットを打ったことで「プレシジョン(正確な)」って名前が付けられたくらいなんだし。
 でもその音程が本当の本当に正確なピッチかっちゅうと、実はちょっとづつズレてる。ギターをお持ちの方ならすぐ分かるだろうが、細い弦を強く押さえると、それだけでけっこうピッチが♯レたりする。またキチンとチューニングしてオクターヴピッチを追い込んで合わせたりしてもハイフレットになればなるほどちょっと合ってない。ワイドストレッチになって苦しいかも知れないけど、1弦22フレット、3弦19フレット、5弦17フレットをいっぺんに弾いたらハッキリ分かると思う。
 ましてや実際に曲を弾いて、チョーキングなんてバシバシやろうもんなら、曲の終わりでは高音弦を中心にかなり♭してる。トレモロアームをグニョングニョンに使えばやはり微妙に狂う。

 これらを嫌って弦の巻き方からフレットの打ち方、或いはフロイドローズやロック式ペグ、ローラーナット等々、これまで様々な工夫がされて来たんだけど、未だ根本的な解消には至ってないし、それにおれはそこまでピッタシ厳密に合わなくったって構わないとさえ思ってる。ちょっと合ってないからこそ、あの特有の豊かな響きみたいなんが生まれてるんぢゃねぇか?と。アバウトだから良くね?と・・・・・・そらもちろんモノには限度ってモンがあろうから、冒頭に書いたように激しく狂わない程度の手当てはしてんだけどさ。
 試しにキーボード、それも生ピアノとかではなく、ポリシンセ等の電子楽器でさっき挙げたパワーコードを押さえたら分かると思う。な〜んか整然とし過ぎてて、倍音成分だけが増えただけみたいで面白くない・・・・・・あ、メロトロンは別ね(笑)。

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 結局、ギターやベースってどこか過剰だったり不足だったり、不完全で人間臭い楽器なんだって思う。敷居は低いかも知れないが、道筋は遥か遠い。だからこそ面白い。

 飽きっぽい性格にも拘らず、そんなんにこうも永くハマッて来れたおれは、ケッコー幸せなんだろう・・・・・・技術的な上達はほぼなかったけどさ(笑)。 


その次に欲しくなったのがコレ。同じくグレコのSV600・・・・・・「小振りなセミアコ」の先駆けとなったモデル。

2022.09.07

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