「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
小物フェチ・・・・・・もといケチ


J・ウェットン在籍時のキング・クリムゾン。金物だらけのビル・ブルーフォードのセット。
一説にはジェイミー・ミューアが脱退時に全部くれたらしい。

 シッカリとお金を貯めて、一点豪華主義とまでは言わないにせよ、せめてそれなりのモノを買えば良いのに、根がケチで貧乏性な一方で物が大好きなモンだから、ついつい小物なあれこれに走ってしまうトコが昔からある。人間自体もまぁ小物なんだろう。
 そいでもってタイコってのは揃え方に決まりがないから、好きなようにいくらでも増やすことが出来るのがひじょうに魅力的っちゅうか危険で(笑)、その兆候が少しづつ現れ始めてる今日この頃だ。

 ・・・・・・とは申せ、タイコ部分をこれ以上増やす気はサラサラない。叩ける/叩けないではなく、多点キットのヴィジュアルそのものが好きではないからだ。この前に一話設けて述べた通り、ハードロックの王道とも言われる、今の1バス1タム2フロアちゅう構成についておれはとても気に入ってるし、ここになまなかにタイコ類を加えるとひじょうにダサいコトになってしまうことは確実だ。それでも強いて言うなら、10インチタムはまぁオフセットにして加えたらさほど違和感なかろうが、後はどうにもいけない。13インチなんて足した日にゃぁもぉ全然イケてない。

 「タイコ少なめ、金物多め」っちゅうのがおれの理想だ。だからマトモに叩けもしないのにライドに加えて初めっからクラッシュは2枚立てたのだ。実質本位も大事だけど、様式美の追及ってとても大事なコトなのである。上に掲げた画像は74年頃、最も狂ってた時期のクリムゾンが”Melody”ってフランスのTV番組に出演した時の模様だけど、ビル・ブルーフォード(←最近はこぉ呼ばんとアカンみたい)のドラムの基本構成自体はおっそろしくシンプルだったりする。1バス1タム1フロアの3点セット(もう1つ見えるフロアタムは実は手の届かない奥の方に押しやられてる)に、シンバルもライド1枚にクラッシュ2枚、右手側のライドとクラッシュの位置がちょっとユニークなのが目に付くくらいで、プログレ界では珍しいくらいスカスカなセットだ。これであの超バカテクフレーズの嵐を叩き出してたんだからスゴい。
 しかし周囲には異様に大量のパーカッション類がラックにセットされてたりする。金物だけでなく木魚なんかもある。後方には大小さまざまのゴングやトライアングル、鉄板までがブラ下がってるしねぇ・・・・・・何が言いたいって!?いや、いずれはこんな風なセットにしたいんですよ(笑)。

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 さてそうなると次のステップは何だ?オーソドックスな線で行けばチャイナか?スプラッシュか?ベルか?はたまた最近流行の重ねモノか?きょう日カウベルやウッドブロックはちょとダサい・・・・・・ってなカンジだろうか。思えば、ノイバウテンだのSPKだのテストデプトだの、ってメタルジャンクをドガチャカ打ち鳴らすような音楽ばっか聴いてたから、ノイジーでトラッシーな音の方がむしろおらぁ好きなのだ。

 いずれにせよ、金物を増やすにはそれをマウントする台がまず必要となる・・・・・・あ!マウントなしでやる方法もあったわ。最もミニマムな増設法として、既存のクラッシュの上に10インチくらいまでの小径スプラッシュを裏返しで載せるなんちゅうワザがあるんだった。これだとフェルト1枚増やして挟むだけで済む。実はこれ、近年ちょっとばかし流行してるセッティング方法だったりもする。先日、妊娠と産休を発表した女性ドラマーのむらたたむが左右をそんな風にセットアップしてた記憶がある。だけど、それぞれのエッジが近接してるので叩き分けがむつかしそうだし、おれみたいな初心者が裏返しを叩きまくったらアッちゅう間に割ってしまいそうだ。

 その次が二階建てシンバルの項で触れた15cmくらいのスタンドの延長ロッドみたいなヤツだろう。これで二階建てにするワケだ。最も安いのはセイビアンから1本千円くらいで出ててかなりお手頃だし、あんましジャマにもならず見た目もスッキリしてる。ただ、これは単純に先が伸びるだけなので、シンバルを極端に傾けてセットしてるとそのままこのロッドもエラく傾いたセッティングになってしまってカッコ悪い、っちゅう欠点がある・・・・・・などとエラそうに断言するのにはワケがある。実はディスりつつも試しに1本買って取り付けてみたのだ(笑)。ともあれこうして小銭をついチマチマと遣ってしまうところが、小物フェチ・・・・・・もといケチの所以なんだろう。
 自虐はともかく、この問題をを避けるのと、下の段のカップ部分を叩きやすくするために途中が曲げられるタイプのがタマから出てたりするが、いささかゴツくて大袈裟で、下のストレートのフラットスタンドの繊細さと釣り合わなくなってしまう。それにいずれにせよ、それほど大きいサイズのシンバルは載せられない。

 やはり何らかの形でスタンドの本数を増やすしかなさそうだ。

 そうなるとバスドラの上に付いたタムホルダーベースの活用が手っ取り早いし、見た目的にもスッキリして良い。パールの場合、タム1個に付き1本のタムホルダーを1つの穴に挿し込む方式なので、タムホルダーベースには2個穴が空いてる(おれの知る限りでは他の全てのメーカーは、1本が枝分かれして2つのタムを支える方式)。それ故、ワンタムだと片方の穴がそのまま残ってしまう、っちゅう欠点がある。もちろんこの根元から独立した方式には大きな利点もあって、1ヶ所に重量が集中せず、また広いプレートで支えるために、緩んだり壊れたりしにくい。
 ノー書きはともかく、そうして穴が一つ余ってるんで、ここにシンバルホルダーっちゅうのを増設してみることにした。伸ばし方でストレートにもブームにもなる優れ物が意外に安くで出てる。挿し込んでみると純正だから当然とは申せ、ひじょうに収まり具合も良い。ホントはストレートで使いたかったが、どぉにも手が届きにくいんでココだけブームになっちゃったのはまぁご愛敬だろう。

 フホホホホ、これで追加シンバル2枚OKになったやんけ!裏返しセットもやれば3枚行けるな。

 実はシンバルホルダーには、既存のパイプ部分にクランプで固定するタイプでもちょっと細身のがあるんだけど、土台となるシンバルスタンドが何せ華奢なので、どしたって不安定でコケやすくなるのが確実だろう。だからってタムホルダーやシンバルホルダーに増設したら、ちょっとゴチャゴチャし過ぎてしまってウマくない。
 また、ブーム部分を水平に構えて、そこにタマが出してるL字ロッドタイプの短いシンバルホルダーを増設するテも考えられるが、これまたかなりセットの正面がゴチャついてしまうし、パールとタマではロッドの径がそもそも合わないみたいだ。
 スタンド全てにセイビアンの延長ロッド、なんちゅうのもまぁアリっちゃアリだろう。しかしながら、どのシンバル見ても上にチョコンと小さいのが乗っかってるっちゅうのもな〜んか芸ないし、いささかマヌケに思える。
 もっとお手軽なのではタイコのフープに引っ掛けるすごく短いのも存在する。マーチングバンドやラテンパーカッションの人たちが着けてるのを見かけることがある。でも当然ながらタイコの上に覆いかぶさるし、共鳴なんかもあってカンタンではないみたいだ。

 ブームにもなるシンバルホルダーはともかく、これらの補助具的な仕掛けで18インチチャイナ等の重いシンバルを追加するのはいずれにせよむつかしい。せいぜい10インチくらいまでの小径シンバルが大前提である。

 ・・・・・・ようやくアホなおれも気付いた。金物を増やすのだってそう簡単ぢゃない、ってコトに。

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 グズグズ考えずに頑丈なダブルレッグのブームスタンド増やせや、オッサン!とお叱りを受けそうだが、ぶっちゃけ今のクッソ狭い部屋でこれ以上スタンドの増設は厳しいっちゅう現実があることはどうかご理解いただきたい。
 ゴタク並べずシンプルかつ押し出しの強い増設するんなら、定番はもう1本スタンド立てて、ピッカピカの大きなチャイナなんかを載せることだろう。高く大きく傾けてフロアタム側に置くケースはやたらと多い。ボェシャ〜ン♪ってな派手な響きもトラッシーで宜しい。そんなんとぉに分かってますって。でも今の部屋ぢゃムリなのだ。そもそもスペースもなければ、どだい隣近所に響き渡るではないか。その伝で小ぶりなベルならサイズ的にはどこにでも置けるけど、響きが透明で良く通るから正直かなり苦しい。スペースの問題に加えて音漏れの問題ってのもあるワケだ。
 つまり今のおれに出来ることは、悲しいことに比較的音量も小さいスプラッシュの増設くらいが関の山なのである。スプラッシュは「水はね」って言葉通りで、ピシャ!とかパシャ!とか極端に短いディケイで鳴るアレ。良く曲の途中でクラッシュよりは耳障りにならないアクセントで良く使われてる。何がノイジーだ!?トラッシーだ!?トホホホホ。

 それでもとにかく苦心の末(?)、シンバル2〜3枚分のスペースは確保できた。後は実際にブツを載せるだけだ。

 勇気凛々瑠璃の色、取り敢えずは安いスプラッシュを買ってみることにした。お馴染みの某激安ショップからだ。蝶ネジ回して早速セット。叩いてみる・・・・・・。

 ・・・・・・まるで仏具のような、スプラッシュとは程遠い音がする。いつだったか参列した曹洞宗のジャンカジャンカやかましい葬式をおれは想い出した。
 まぁ如何せんお値段なりのチャチで安っぽいのが泣かせるとは申せ、さらには音色がオリエンタルっちゅうよりは中華に偏ってるとは申せ、エスニックっちゃぁエスニックだ。ある意味、こんなユニークなのが1枚千円ほどで買えてしまうのはとても楽しいことのように思えて来た。いつかは実現するであろう得体の知れないメタルジャンクの壁のメンバーとしては充分過ぎるだろう。沼の予感がする。ライカマウントの有象無象の怪しいロシアレンズみたいなモンか(笑)。

 小物フェチ・・・・・・もといケチの得体の知れない金物集めはこれからですわ。 


80年代ノイバウテンのライブ。パッと見、音楽を演奏してるように見えないトコがミソ(笑)。

2020.03.07

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