「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
続々・おっいっらっわぁ〜ドォ〜ラマァ〜♪・・・・・・補遺・シンクロニシティな出来事


「シンクロニシティ」っちゅうてもポリスのアルバムのハナシではない(笑)。

 兎にも角にもドラムセット、それも最近室内練習用としてはスッカリ主流となった電子ドラムではなく、本物のアコースティックドラムのオーナーとなったことで、少なくとも気持ちだけは既にイッパシのドラマーである。ハハハ、いやさ、自分でも稚気丸出しとは分かっちゃいるけど、それが偽らざる本音なんですわ。笑ってやって下さいな。
 なぁ〜に、何事も気持ちが大事なんですよ!気持ちが!気持ちさえあればそのうちテクは間違いなく付いて来る・・・・・・と虚仮の一念で信じて、地味にドツタツ♪ドドタツ♪ドツタド♪ツドタツ♪とかの8ビートの初歩の初歩に四苦八苦・七転八倒しまくってる今日この頃だったりする。

 しっかしホンマもぉマジで、凝り固まった神経回路をこの歳になって解きほぐすのは実に至難の業であって、ナカナカ手足が思うようには動いてくれないのね。ボケ防止のエクササイズは半端なくハードだわ。例えば、高校の時に初めて聴いて衝撃を受けた上掲のポリス・「ネクスト・トゥ・ユー」のイントロのドラムパターン(スネアとフロアタムが拍の表、バスドラが裏で「ダトダトダトダト」と叩くのだ)なんて、実にラフでカンタンに聴こえるのに、いざやってみるとメッチャむつかしかったりする。バンドやってた当時、「あ〜、はぁ〜、アレね。こんなんやろ?」とかゆうて事も無げに叩いて見せたI田はやはり上手だった。そんなことを想い出すとナサケなくなるけど仕方ない。泣き言並べず粘り強くやるしかないのだ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 部屋の中に並んだ3点セットを眺めるとそれにしてもシブい。顔がニヤけて来る。そらまぁ言い出せばヘッドが何だか黒い網戸みたいだったり、そこにデカデカと「TAMA」ってロゴが、タイコはパールにも拘わらず入ってたり(・・・・・・ってパールのメッシュヘッドは評判イマイチなんっすよ)、シンバルが泣く子もディスる(笑)チョー安物で、あまつさえサイレントだからまるで建築資材で良く見掛けるパンチングメタルみたいなヴィジュアルだったり・・・・・・とツッコミ所は多々あるんだけど、それでも電子ドラムよりは千倍本格的な気がする。叩き方とかスティックの角度にリニアに鳴る感じは生ドラムならではだろうと思うよ、いやホント。
 これら最近の発明がなかったら、マンションの一室で生ドラムを叩くなんて到底不可能な芸当だったろう。テクノロジーの進化はやはりありがたい。シンバルは意外に音デカいし、メッシュヘッドは叩くと擦るような音が出るのが若干気になるっちゃ気になるけど、それ以外はフツーとほぼ変わらないし、マジでこれ使えまっせ。

 ただ、落ち着いて眺めてると、やはり20BD・12TT・14FT(※1、※2)って3点セットはミニマムでクールな一方、ロックっちゅうにはサイズ的にいささか弱い。ヤッパシ八ッ橋、ロックには22−13−16以上のワンサイズ、ツーサイズ大き目が似合うのが残念ながら事実だ。細くて華奢なシンバルスタンドも相俟って、何かジャズバーの片隅みたいに見えてしまう。
 しかし今でもほぼスペース的に限界なのに、これでバスドラが20インチを超えると部屋に収まり切らない可能性が高い。やはりここは20インチで行くしかないだろうし、それにおらぁそもそもこのサイズ特有の、ドスッと響きながらも引き締まった音自体は22よりむしろ好きなくらいなのだ。16とか18とかこれ以上小さいとテンテンして軽いし、見た目もちょとアレだし、22は良いとして24とか26になると、今度は豊かな低音は出てもボンボン・ブヨブヨしててあまり趣味ではない。バスドラの標準サイズが20と22っちゅうのにはチャンと先人たちの築き上げた合理的なワケがあるんだと思う・・・・・・で、閃いた。

 おお!そうぢゃ!今のままでフロア1ヶ足して2フロアになれば一気に70年代ロックな感じが出て来そうな気がするぞ。幸い椅子の右横にはまだ何とか1ヶ置けるくらいのスペースが残ってるやん。こらエエやん。増やすなら当然16FTっしょ?
 1バス1タム2フロア!・・・・・・J・ボーナムだって、I・ペイスだってこのセットだったやんか。晩年の樋口宗孝とか、最近ではチャドスミもそうぢゃなかったっけかな?何か身体の横の方に色々並んでて叩きにくそうだけど、取り敢えず「ロックな組み合わせ」であることは間違いなかろう・・・・・・あ、ジャズ畑でバディ・リッチもそうだったっけ?でもまぁエエやんエエやん♪このアイデア。

 ・・・・・・でも、肝心のコトをおれは忘れてた。そんな都合良くフロアタムの単品が中古で出回るコトなんて、まず考えられないのである。ましてや、タイコの世界をご存知の方なら分かっていただけると思うが、同色・同スペック・同メーカーなんて殆どあり得ないだろう。

 ドラムの中古って、スネアとシンバルはバラでも山のように出回ってんだけど、他のはそんなに数が出ないのだ。それでもタムタムやバスドラの単品はたまに見かけるけれど、フロアタムだけがバラで売られてるコトはひじょうにレアだ。ちなみに話は逸れるがついでに言うと、ギターやベースの中古はよほど状態がひどくない限りは、古くなるほどにそれなりのヴィンテージ品としてプレミア価格になってくのに、タイコはグレッチとかラディックのオールドでもない限りは、古いと激安になるのが不思議である・・・・・・って閑話休題、さらには買った3点セットは20年も前ので、色だって廃番カラーでオマケに灼けてんだし・・・・・・嗚呼、アイデアは良かったんだけどな〜。

 まぁ、ちょっとだけ意気消沈したものの、そもそもあれこれ沢山並んでたって、叩き分けるようなテクがまだ全然ないんだから宝の持ち腐れ、四の五の言わずこのまま行くのが吉なのかなぁ〜?と諦めて、相変わらずドツタツ♪ドドタツ♪ドツタド♪ツドタツ♪を地味に毎日繰り返していた。オカズ入れなきゃまずまずキープできるようになって来たが、グルーヴ感はサッパリ出て来ない。まだシーケンサの方がノリがあるんちゃうか?っちゅうくらいにドッタラペッタラ平板だ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 おれは一人で外出できるチャンスがあると、できるだけ楽器屋を覗くようにしてる。いや、そんな仕事サボッてるワケぢゃないよ。用事を済ませてそのまま会社に戻らず帰宅する途中なんかで、ターミナル駅近くの楽器屋を探してはちょこっと立ち寄るのだ。大体、真剣に見始めたらついつい欲望に負けてしまうしさ(笑)。

 ・・・・・・しかし、か、そして、か、見付けてしまったのだ。楽器屋の隅っこに寂しくジャンク品扱いで置かれた同色でバラのフロアタムを。ぶっちゃけ余りにも出来過ぎな偶然の邂逅に、驚きよりむしろちょっとばかしゾッとしたな。
 可哀想なことにフツーはナンボ中古でも、はがき半分くらいのサイズの、あれこれ説明も書かれたプライスタグが付けられることがフツーなのに、そいつはナゲヤリにスーパーの値札シールみたいなのが小さく貼られてるだけだった。

 ジックリ見てみると随分古い、恐らくは90年代くらい、円高の波に揉まれながらもパールが上級ラインだけは頑張って、まだ何とか千葉の八千代(廉価版はかなり早くから台湾で作ってる)で作ってた時代のヤツだ。細かく見て行くとフープがプレスだったり、色は同じだけどカバリングで(最初に買ったのはラッカー塗装)、なおかつシートの継ぎ目が浮きかけてたり、ヘッドは完全に劣化して曇りまくってたり、パーツに欠品があったりビッツが出てたりと、家のとは若干仕様も異なれば、状態も悪い・・・・・・どころか満身創痍である。ジャンクの表示にウソはなかった(笑)。
 そやゆうたかてタダ同然のプライスタグはないやろ!?って憤りに近い感情さえ抱いてしまった。コンポジットシェルのリファレンス・シリーズが出るまで、この6プライのメイプルはハイエンドやったヤツでっせ。それにパーツだって現行品で同じのが補修パーツとして売られてんだし、汚れは磨けば落ちるんだし、皮は交換すれば済むだけのハナシではないか。そもそもどうせ打面側はタマのメッシュヘッドに交換するんだし。

 昔からおれはユングの提唱した「シンクロニシティ」の信奉者である。まぁ専ら物欲まみれなんで、そんな高邁なレベルではなく、アポーツ(物品引き寄せ現象)に近いのかも知れないが、欲すれば、念ずれば、思いもかけず「それ」がやって来ることはあるのだ。

 ともあれかくして、20BD・12TT・14FT・16FTで二回りくらいサイズ小さ目とは申せ、「パール伝統のメイプル6プライシェル」(・・・・・・って、ホンマの伝統はファイバーシェルちゃうんかい?笑)とやらで、シェルマテリアルもカラーも統一された往年のロックな雰囲気のキット完成である。うわぉ!

 家で分解して磨き上げるとこびり付いてたタバコの脂が落ちて、コイツだけ明るめの色になってしまったのがいささかご愛敬だけど、ラグや脚とかは一緒だからパッと見には分からない。幸いなことにエッヂの傷やシェルの割れ・歪み、プライの剥がれといった楽器としての致命的なダメージは負ってなかった。プレスとダイキャストのフープの違いも大して目立たない。よぉ〜く見ると、シェルの厚みがホンの僅か、コンマ何ミリか異なっており、後から買った方が微妙に薄かったりもする(目測で7.2mmと7.5mmの違いかな?)が、それで何か違うかと言えば何も違わない。元から4点で揃ってました、っちゅうたら殆どの人が信じるだろう。

 思えば、現代の一般的な20インチセットは20BD・10TT・12TT・14FTって組み合わせとなっている。一昔前まではタムが12と13だったが、口径の違いが1インチでは音程差が付けにくいってコトで少し小さい(=高い音)にシフトしたのだ。
 しかしそれだとちょと中低域が不足するのも事実なんだけど、だからって20のバスドラに14インチタムを上に乗っけた例は少ない、何故なら頭でっかちでバランス悪く、見た目的にもみっともないからだと思う。

 こうして考えてくと、タム類が2インチ差で、さらに音の重心がやや低めにできるのは悪くない・・・・・・ハズだ。はしなくも実現してしまったおれの組み合わせは案外、何にでも使える良いトコ取りの組み合わせのようにも思えてくる。実際、ミクスチャー系な音やってるバンドのドラマーで同じようなセットは見掛けるようにも思うし、たしかタマやメイペックスにちょっと前まで同じサイズ感のがあったような気もする・・・・・・ん!?ありゃサブスネアだったかな?

 いずれにせよ誰かチャンと分かってるプロの人に叩いてもらって、この仮説が正しいかどうかご教授いただきたいくらいだ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 シンクロニシティに助けられ、いつの間にかタイコは1バス1タム2フロアなんちゅう本格的セットに進化しつつ、中年どころかそろそろ初老と呼ばれかねないおれのドラムビギナー人生は、ありがたいことに結構ウキウキで楽しかったりする。その内、本来の大きな音出すためにヘッドやらシンバル類を新調するかもしれない。買うなら皮はやっぱピンストかな?シンバルはどこかな?カウベルをフープに着けようかな?・・・・・・


【註】
 ※1:タイコのサイズはインチで表示される。12インチで約30cm。
 ※2:BDはバスドラム(大太鼓)、TTはタムタム(BDの上にある小さいの)、FTはフロアタム(横に置かれた三本脚の大きなタイコ)の略


「シンクロニシティ」っちゅうても乃木坂46の曲のハナシでもない・・・・・・ってしつこいな、おれも(笑)。

2019.12.19

----Asylum in Silence----秘湯 露天 混浴から野宿 キャンプ プログレ パンク オルタナ ノイズまで
Copyright(C) REWSPROV All Rights Reserved