「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
ACID三昧


ゴチャゴチャしてますがこんな風になってます。

 「ACID MUSIC STUDIO 7.0」がようやく自在に使いこなせるようになってきた。あくまで「一応」だけど。

 ・・・・・・と言っても、大したレベルではない。未だに自分で取ってきた音源を貼り付けたりレンダリング(たぶんマスタリングと同義)すると謎の「.sfk」って拡張子のファイルができる理由が分からなかったり、録音ボタンを押すのに緊張でドキドキしたりする程度なので、まだまだ修行の身ではある。
 なるほどヒップホップやハウス向きって評判も良く分かる。基本的には「音の貼り絵」ソフトなので、テンポが曲を通して一定のクールなビートにいろんなサンプリングを貼り付けて構成して行くのが使いやすいし、カッコいい曲ができる。そのイージーオペレートぶりは大したもんで、ヘタすりゃ3分でホイ!出来上がり!だ。

 ACIDはCDに焼くと音圧が低くなりやすいと言われてるけど、その辺はまぁ基礎的なエフェクターの知識が元々あるので見よう見真似でどうにかなった。要はリミッターでレベルを音が割れる寸前にまで持ち上げといて、後段にごくごく薄くリバーブ掛けることでさらに音を太くすればいいのだ。逆に思いっきりショートディレイ掛けた後段でコンプでカットすれば往年のスティーブ・リリホワイトみたいなバシバシドラムの音も作れるし、ディストーションをブースター代わりに使って、暖かくて丸く太いタイコなんてぇ技もできる。いや、楽しい楽しい。

 まずは今一度ACIDというDAWソフトについて、またそもそもDAWって何なんだ?ってコトを自分自身の理解を深めるためにもおさらいするとこから始めよう。

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 まずはDAWとは?ってことだけど、これは「Digital Audio Workstation」って意味である。

 昔ならば自宅でそれなりにマトモなクオリティでデジタルミュージックを録音するのは大変なことだった。MIDI用の音源の入った箱、それをメロディとして鳴らすためのMIDIシーケンサー、打ち込むためのキーボード、音色に変化をつけるエフェクター、沢山のトラックを録音してマスタリングするMTR(マルチトラックレコーダー)、エレキを鳴らすならもちろんそれ用のアンプやエフェクター、その音や声を拾うためのマイクなんてモンも必要だった。
 つまり道具が一杯必要だったワケである。たいていそれらはDINなんて呼ばれる規格のラックに収まるように設計されていて、何段にも積み上げられた機器類がピカピカと様々なランプを明滅させているのは、貧乏なガキにとって憧れだったのは事実だ。

 それらをパソコンの中にギューッと押し込んでデジタル化・ヴァーチャル化したのがDAWソフトである。伊達にワークステーション(統合型ソフト)を名乗ってるワケではないのだ。マイクやアナログ楽器を使うなら外部にオーディオインターフェース、っちゅうのが必要になってくるが、まぁ徳用マッチの箱を半分にスライスした程度の大きさなのでそんな邪魔にはならない。すべてはパソコンの中だ。

 とは申せ、全部押し込んだ機能を一気に使うには物凄くパソコンのパワーが必要だし、一つの画面上で何でもかんでも制御するのはかなりめんどくさかったりもする。操作性、っちゅう点では昔ながらのツマミとかスライダーが物理的に存在した方が扱いやすい。余談だが、そんなワケでフィジカルコントローラーっちゅうて、パソコンの外部からパラメータを操作できる箱が売られてたりする。ゲーム専用コントローラと同じ考え方だな。
 ともあれ、ユーザーで好きな部分だけパソコンの外部に必要な機能を持たせるコトだってできる。おれの場合、おもちゃみたいにちっこいカシオのキーボードをパソコンの隣に置いてるし、ギターやベースのエフェクターも外出しだ(ちなみにこれを掛け録りと称する)。

 しかし、ホントに恐ろしいのはこっからで、昔ならこれだけの環境を揃えようとしたらヨユーで3ケタのお金がかかったのが、今ならパソコンさえあれば数万円で片付いてしまうのである。現におれはACIDに1万円ちょっと、オーディオとMIDIのインターフェースに1万円弱、カシオトーンが数千円(実際は電器屋のポイントで無料だったが、笑)、それだけで済んでしまった。もちろんキーボードは必須条件ではないし、シンセだけで音楽やるならインターフェースも要らない。いや、DAWだって無料のがある。「Music Studio Producer」という有名なフリーソフトが存在するし、インターフェース買うと今や当たり前のように有料DAWのデグレード版がオマケに付いてくる。おれもACID導入前はCubaseの無料版を使ってた。VST、VSTiってバーチャルエフェクターやシンセに到っては星の数ほど無料のがネット上に存在する。

 現在はパソコンのスピーカーでは物足らなくなったんでモニターを別途買ったり、オーディオインタフェースがシンプル過ぎて楽器の繋ぎ替えが却ってややこしいのでミキサーを入れたいな、と思ってるが、そんなんなくたって問題はない。贅沢っちゃ贅沢な話と言えるだろう。

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 続いてACIDについてだ。

 ACIDの最大の特長は、他のソフトがMIDIによる打ち込み+実際の楽器演奏を大前提としているのに対し、ループと呼ばれるあらかじめサンプリングされた膨大な曲や楽器音の断片をぺたぺたコラージュして行くことを大前提としている点にある。

 このソフト、DAWソフトに革命を起こしたと言われてるらしい。実の所、色々な曲の断片を貼り合わせて曲を作る、って考え自体は昔からあったが、ACIDは「アシッダイズ」っちゅう技術で、様々な音源の音程はそのままでくテンポだけ変えることを実現した。
 例えばこぉゆうことだ。貴方がこのギターのフレーズと、あのキーボードのフレーズを重ねたら楽しいだろうな、と思ったとしても、それぞれのテンポが違うと通常重ねることは不可能である。テンポを揃えるとキーが狂うし、キーが同じままではテンポが合わない。ノイズミュージックやミュージックコンクレートとしてはそれもまた一興だろうが、リズムやキーの狂ったフレーズの重なりではどうしたって通常のポップミュージックにはなり得ない。

 それがカンタンにビタッと合う。これにはかなり驚いた。

 ・・・・・・と書いてはみたけれど、ホントはそんな機能に惚れ込んでACID買ったのではない。元々は自分自身で弾いたり打ち込みたい方だったので、既存の音を貼り合わす、っちゅうのに正直どうも違和感があって馴染めず、ユニークだとは思いつつもおれはACIDを避けていた。レディメードの音を曲中に使うなんて、SEとかそんなんだけやろ!?全面的に貼り合わせるなんてココロザシ低いんとちゃうんかい!?くらいに思ってたのである。
 では何故これにしたのか?っちゅうと、いち早くVISTA対応版がリリースされ、なおかつ値段的に安くて、機能的にも適度にショボかったからだ。あとMIDIによる打ち込みが使えるようになったのも大きい。

 もちろん、「ショボい」は貶しめて言ってるのではない。大体においてDAWソフトは如何に高音質で多機能であるかを競う傾向にある。結果、トラックだバスだ、各チャンネルの5.1チャンネルサラウンドだイコライザだ、と設定がやたら複雑化する傾向にある。しかし、おれはそんなややこしい仕掛けはちょっとも求めていない。せいぜい8トラックくらいにサササッと音を並べて、単純明快に2チャンネルにマスタリングできれば十分なのだ。
 どだい、やろうとしてる音楽はいささかの不協和音も雑音も許さないクラシックのオーケストレーションではない。真逆だ。ギシギシと刹那的で、不協和音や雑音だらけで、音圧だけ無闇にデカい音がやりたいのである。

 そんなんだから、イージーオペレートとミニマムな機能しかないのは却って好都合だった。

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 ただ、環境が整うだけでは音楽創りにナカナカ踏み込めなかったのも事実だ。買ってはみたもののチョコチョコ遊ぶだけで、まとまった形で曲を作ることはなかったのである。

 恥ずかしながら、おれは一見ポジティヴなようで、その実強烈にものぐさで根気がなく怠惰であるから、アタマでっかちにあれこれ夢想はしても、その実現のために必要な目の前の具体的で小さなことを着実に進めるのはめんどくさがってあまりやらない・・・・・・とまで言うと自虐が過ぎるかもしれないか(笑)。ともあれマジで近年ますます仕事は忙しく、やれ自転車だなんだと他にやることも多く、時間が持てなかったっちゅうのは、ある・・・・・・所詮、やらない言い訳に過ぎないのだろうが。

 そんなところに思いがけない旧友との再会だ。それで話が盛り上がって勧めたところ彼もACIDを購入した。こうして遠い距離を挟んでいろんなアイデアの交換が始まった。ようよう重い腰が上がったのだ。
 ただしそれらはまだ断片的で、曲と名乗るにはあまりに素朴だったりするのだけれど、ともあれ数だけはいくらでも湧いてくる・・・・・・ま、自分で思いついといて情けない話だが、むつかしくて弾けないことが多い(笑)。友人もこれまたテクはともかく(笑)、発想力とセンスには恐るべきものがあってとんでもない組み合わせでのコラージュを送ってきたりする。

 もう何だかんだで二人合わすと20曲分くらいはネタができた。自慢するわけではないがぶっちゃけ一発勝負、テンションが命のノイズ/インダストリアル系ならもっといくらでも作れる。すぐにソノ気になってしまうおれなので、お蔵入り、あるいはおれ一人でこしらえた曲ならそろそろサイトなりYOUTUBEなりに上梓してもいいかな?って思い始めている。

2009.11.15

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