「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
低音出せりゃそれでよし!!


コンボでも恐ろしいの、あります。ユーフォニックの800W!
・・・・・・全開だと鼓膜飛ぶな、絶対。


 これまでベースについてはギターアンプにつないだり、マルチエフェクターからヘッドホンアウトに出したりして来たんだけど、どうにもも一つシックリ来ない。PCに繋いで鳴らしてみたりもしたのだが何だか面白くない、それなら潔くシーケンサで打ち込んでベース音源鳴らした方がよっぽどそれらしい。なので小さいながらもベースアンプを買うことにした・・・・・・って、おれはギターもまともに弾けない。ましてやベースは言わずもがなの腕前なんだから上等のベースアンプ買ったって仕方ない。

 正直、ギターアンプの良し悪しはある程度分かるんだけど、ベースアンプについてはこれまであまり良く分からなかった。キョンキョンの歌にあるように「ベース、腰を包むように」鳴ってくれさえすればそれでいい。詰まるところ低音がドォーンと鳴ってくれたらそれで十分なんである。スラップ(昔で言うところのチョッパー)はそもそも出来ないしヤル気もないので、ドンシャリなヌケとかも分かんないし必要ない。細かなスライドイコライザーとかも何だかよく分からない。
 ・・・・・・あ、他にも条件があった!とにかく歪まないことだ。これだけは絶対に譲れない。歪まずクリアーに音を出すことが、ベースではものすごく大事だと今のおれは思ってる。

 まぁ、そんなアバウトな条件でいろいろ物色し始めたのだけれど、もぉアカンね〜!家庭用のちっこいのは!10Wとか、そもそも低音がじぇんじぇんあきまへんねん。ボォ〜ン、と鳴って欲しいのにペコ〜ンみたいな。音量上げると歪む、っちゅうより割れるし。これなら今のままギターアンプに繋いでるのと大して変わらんやないか。いくらなんでも10W未満ではショボ過ぎる。

 俗にベースアンプはギターのそれを超えるパワーが必要と言われる。理由は良く分からないけど、ギターが100Wならベースは150Wとか200W、30Wなら50Wとか100Wってな風にデカい方がいっせぇ〜の〜で鳴らした時にバランスが良い。でもまぁ、別にライブハウスに出演するアテもなく、弾くのはほぼ100%家庭内に限られるから自ずと限度もあろう。
 今所有するギターアンプが15Wなので、そんなこんなで30W前後に狙いを付けた。パワー2倍なら同時に鳴らしてもそれなりに上手く収まりがつくだろうし、この程度の大きさなら遊びで多少広い所に持ち出してもそこそこ鳴らせるに違いない。万一それより大きいトコになれば・・・・・・四の五の言わずにそこに備え付けのアンプを借りりゃ〜良いのだ(笑)。所詮わしゃピック弾きだ!基本はルートと5度とオクターヴ、基本以外はできん!(笑)。

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 あ、そうだそうだ。想い出した。

 「そこにあるのを使う」で備え付けベースアンプをトバしてしまったことがあったんだ。もう20年以上も前のコトだから時効だろう。

 友人のやってるヤクザな即興ノイズバンドにベース担当で呼ばれてった時のことだ。場所はたしか大阪城の野外音楽堂だった。行ってみたらそいつの大学の軽音サークルを中心とするいくつかの大学の寄り合いの企画ライブか何か(笑)。来てるの全員関係者、平和そのもの(笑)。そんな雰囲気の中、唯一刹那的なノイズバンド、っちゅうのはあまりに浮いているし、そんなトコで即興やろうっちゅうペダンティックさに何だか妙におれは苛立った。ならば止しときゃぁエエのに、そこで変にムキになって一層露悪的になるのがおれの悪い所だ。

 置いてあったのは、縦長のエンクロージャーに大きなスピーカーが斜めに2発ついた、アンペグとかアコースティックとか当時としてはかなり大出力で上等のものだった。「ケッ!医学部のボンボンっちゅう連中はちゃいまんなぁ〜」などと悪態をつき、歪んだ嗤いを浮かべつつ、無造作にそれを沢山のエフェクターもろともプレベ突っ込んで全開で鳴らしたのである。
 いやもぉそりゃ〜胸のすく、メルツバウも驚く轟音が鳴りましたわいな。あまりの音圧で自分の身体がどやしつけられ、足許がフラつくような爆音。ド〜ンもボ〜ンもへちゃちゃもなく、ハウリング混じりにドギュワワワ〜ゲヨォォォ〜ッって到底ベースとは思えない音だったけど(笑)。それで15分ほど怒鳴りながらムチャクチャにゴンゴンバキバキブリブリやってたら、突然音が出なくなってしまったのだ。恐らくは各エフェクターのツマミをいじり回しながらONだOFFだってやってるうちに、全部の出力レベルが全開になって、入力信号がとんでもなく過大になったのだろう。

 このように、やったことの態度はまことにバイオレントでデストロイだった。あまりの轟音に数名のスクリーミングも、他に二人いたギターが頑張ってマジメにギヨギヨ言わせてたのも、ロクに聞き取れなかったらしい。「嫌がらせのためのライブ」としてはまことに首尾よく行ったと言える。しかし、そっから後は我ながら実にセコかった。殺気立った目付きでノシノシとステージから引き揚げて・・・・・・そしてそのままソッコーで逃げるようにして帰ったのである(笑)。

 とまれ、何が「歪まずクリアーに音を出す」や!?やってること全然ちゃうやん。

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 話が逸れた。手頃な30W前後のアンプだったね。

 各社、エントリークラスとしてこの辺りには最も力を入れてるみたいで、安物メーカーからハイエンドブランドまで各種の製品が出てる。オマエんトコはギターアンプ屋やろぉがっ!と言いたくなるようなブランドからも出てる。流石にこのクラスになると、音にそれでもベースらしい太さが出てくるし、ボリュームを上げれば家の狭いリビングなら梁が落っこちてきそうな響きになるだろう。鉄筋コンクリートだから梁はないけど(笑)。スピーカーのコーンの動きが空気をドスンと力強く押してるような感じ、いいねぇ〜。

 実際、出力は同じくらいでも定価・実勢価格含めて値段もさまざまだし、こんな耳のおれでも値段なりに音の差が歴然とあることも分かった。しかし、もっと歴然としてるのは自分の予算と部屋のアンプを置けるスペースだ。これはシビアな問題だ。
 最近よく見る、モニタースピーカーみたいに斜めになったのは音が聴き取りやすくていいのだが、見た目通りの図体で場所を取り過ぎる。黒く巨大なサイコロのようなタイプもスッキリした外観と背の低さが魅力だし、概してより低域にパワーがあるものの、奥行きが深過ぎるのとコントロールが上についてるので我が家の場合厳しい。結局は昔ながらのコンボアンプの形----すなわちスピーカーの上にアンプ部分があって、正面向いてジャックやコントロール類が並んだスタイル----しか選択の余地はないのだった。

 「しか」と書いたけれど、実はこのテのタイプが構造的に凝ってない分、最も価格的には手頃だったりもする。大きさ的にも若干背が高いだけで、奥行きはギターアンプと大差ない。何せギター以上にちゃんと弾けないのだし、それにそもそものベースだってエキゾチックウッドをふんだんに使ったフォデラみたいな高級ベースならともかく、ニッキュッパッの現品大特価処分で買ったフェルの安物(ま〜、その割にはシッカリしてるんだけど・・・・・・)なんだから、多くを望んだって仕方あるまい。

 ちょっとネガティヴな書き方をしちゃったけど、いやいや、むしろ今のおれは初めてバンド組んだ高校生の時のようにワクワクしてさえいるのである。小さいながらもギターアンプとベースアンプがある。欠品ありとはいえ、押入から引っ張り出せば古いドラムセットもある。マイクもある。強力なパワードスピーカーをパソコンに付けてるからその気になればPA代わりにだってなる。ガレージバンドくらいならできちゃえそうなのだ。

 ・・・・・・え!?太鼓に対してアンプ類のパワーが足らん!?じゃかぁっしゃい!知るかボケ!贅沢過ぎる、っちゅうねん。昔なんてみんな自分の手持ちのアンプをえっちらおっちら持ち寄るモンだから、ベースが15Wでギターが40Wとかムチャクチャやった。それでも何だか楽しくやれてた。機材なんて最低限ありゃぁエエ、と少なくともおれは思う。ベースアンプなんて、ギターアンプ通すよりは低音がシッカリ出せてれば何だって構わんのだ。

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 アンプが家に到着して(余りの重さに宅配にしてもらったのだ)、最初はやっぱアンプ直でしょ〜、ってな感じで早速ベースをプラグイン。イコライザーの調整もそこそこにテキトーに知ってる曲を弾いてみる。おお〜、ボリューム2でも家だと響く響く。かくしてクレーム第一号は風呂から上がってきたヨメだ(笑)。

 ・・・・・・そうして機嫌良く小一時間、ようやくおれは気付いたのだった。道具を変えようが何しようが・・・・・・ヘタはともかく、ベースに於いてグルーヴ感がないのんだけはもはや処置なし、ってコトを。トホホホホ。

2009.03.13

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