「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
続・DAW格闘記・・・・・・ACID編


悩ましてくれはりました・・・・・・

 昨年、PCがぶっ壊れて仕方なくVISTA搭載機に乗り換えたことは、これまで何度か触れた。

 アプリケーションが動かない、重い、といった世評にもかかわらず、マイクロソフトのエゴ丸出しで店頭に並ぶのはVISTAモデルばっかりなんで、ホント、買い替えたのは泣く泣くだった。出費も含めて。
 でもまぁ、そんなにおれには色んな難しいソフトを駆使できるようなスキルは備わってないから、使い慣れた一般的なのが動けばいいし、それにそぉゆうのは割と早くにVISTA対応してきたから実態は噂ほどには苦労しなかった、っちゅうのが正直なトコかもしれない。何のかんのでマシンが更新されただけで、従来とさほど変わらない環境になったのである。

 ・・・・・・ところが、だ。苦労して苦労してようやく操作を覚えたCUBASEだけが、待てど暮らせど一向にVISTA対応しよらんのだ。おれのハラづもりとしては「LE(無料バンドル版)」で慣れたら、1つ上のグレード買ってもエエかな〜?って思ってただけに弱り果ててしまった。
 さらに困ったことがある。従来3グレード展開されてたうち、ボトムラインの「SE3」の後継に当たるものが出ないのである。タイコとベース、若干のキーボードでせいぜい10トラックほどしか使わないのに、5万とか10万はさすがに払う気になれない。
 加えて、製造元の独・スタインバーグ社がヤマハに買収されて子会社となってしまったのも面白くない。どだいヤマハはデジタルの世界でスベり続けではないか。PCM音源の名機・DX−7が一世を風靡して油断したのか、それ以降世界標準となるようなものを何も打ち出せていない。MIDIの規格もそう。DAWにしたってXGやSOLだったっけ、自社製が鳴かず飛ばずで、デジタルの世界では何とも中途半端な立ち位置の企業になってしまってる。
 一方のスタインバーグはVSTとASIOっちゅう、今やDAW技術の中核をなす規格の業界標準を2つも打ち立てた会社だ。ヤマハが手中に納めたがったのも頷ける。しかし、スベる会社の資本の色に染まっては、これから先はジリ貧になるんちゃうやろか?とおれには思えた。

 こうしてあれこれ考えると、当然の帰結として「思い切って乗り換えてしまおう」となる。

 白羽の矢が当たったのは、ソニーが作ってる「ACID」ってのだった。何せ安い。どこもDAWって3グレード展開されてるケースが多いのだけど、ここは2段階で、下のは1万ちょっと、って格安ぶり。その分操作がシンプルって評判も、ものぐさなおれには向いてそうだ。
 商品名から想像がつく通り、こいつはクラブやハウス系に人気があるらしい。ルーツがオーディオ録音やMIDIによるシーケンサーではなく音素材を引っ張ったり縮めたりしてぺたぺたコラージュして行く、っちゅうのも面白そうに思えた。無論、それだけだと自分で弾きたいおれには不適だが、バージョンアップでそれらオーソドックスな機能も実装されて、統合型DAWに進化したのが決め手となった。

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 早速行きつけの楽器屋で購入。しっかし、アレやね。宅録系の商品ぐらい買ってツマランもんはないね。「ただの箱」の中にはCDが数枚と極めて不親切なマニュアルがチョロッと、それだけ。音楽ソフトも事務ソフトも関係あらへん。全部いっしょやんけ・・・・・・などとボヤきながらPCにインストール。良く分からないけど「FL」っちゅうのとのセット。おそらくこっちが音源なんだろう。

 デモに入ってる曲はなかなかカッコいい。うまくペタペタやればこんなこともできるのかと感心しつつ、時代遅れなおれはまずはタイコの打ち込みだ。適当に4小節ほど入れて、んでもってVSTをつないで、ん!?何かこれややこしい音源やな。こっちもシーケンサーとちゃうんかい?慌ててマニュアル読んだり、ネットで情報探し。ファイヤワイヤがどぉたらこぉたらで、DAWにもなるし音源にもなる?何やそれ!?態度をハッキリさせぇ、っちゅうねん。
 ともあれ、良く分からないまま小一時間ほどグニグニやってると、8ビートのタイコが鳴り始めた。音的にはCUBASEのオマケについてた「LM−7」ってのと大差ない。申し訳ないが、要はいろいろ補正しないといくらなんでもチャチ過ぎる音だ。ま、夜も遅いので今日はここまで・・・・・・

 ・・・・・・と終了させたところから悲劇は始まった。

 異常終了するのである。何度やっても結果は同じ。開いて操作して閉じると必ずチン。ひどい時はアンドゥ繰り返しただけでもなる。

 VISTA対応を謳ってるから買ったのに全然アカンやんけ!と、すぐさま発売元にメール。基本的にイラチなおれは、道具がマトモに動かないことに対して物凄くハラが立つ。パズルとかには根っから向いてないタイプである。その内、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、の伝で見るモノすべてハラ立って来る。何が「トラック」や「バス」や!?そんなん道の上走ってるわい!みたいに(笑)。
 結論をゆうと、何度も発売元とのやり取りは繰り返され、ブチ切れそうになるのを抑えながら粘り強く相手側の言う通りの処置を行ったにも関わらず、一向に症状は改善されなかった。再インストールしても、ダウンロード版でやっても、メモリを上限いっぱいまでデカいのに換装しても全部、ダメ。終了させると「〜は動作を停止しました。原因を調べています」の小窓が開く。たったそれだけのこととはいえ、まっこと精神衛生上よろしくない。

 時を同じくして仕事が忙しくなってきり、自転車で出かけることが増えたのもあって、哀れACIDはそのままお蔵入りとなってしまったのだった。丁寧に対応してくれたフックアップさん、ゴメンナサイ!!

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 やはりしかし音楽作りは商売にはならんけど楽しい。音楽ばっかりに打ち込む気はさらさらないけど、手許にDAWがあってMIDIを打ち込む生活自体は悪くない。ノーミュージック/ノーライフだな(笑)。またみんなで集まってレコーディングしようぜ、なんて話が出てきたりもして、少しやる気が戻ってきた。

 いつの間にやらCUBASEもVISTA対応して、そして「ESSENTIAL4」ってボトムグレードが売り出されてる。何でも「LE」持ってると追金1万6千円ほどで入手できるらしい。これなら即使えるだろう。しかし、ACIDへの投資が無駄になるのも悔しいから、フリーウェアはどうだろう?と調べてみると、以前ちょっと試した「MUSIC STUDIO PRODUCER(MSP)」ってーのがこれまたVISTA対応してる。すぐにダウンロード・・・・・・それにしてもこんな完成度の高いのタダで配るって、ホトケさんみたいな人やな。
 ホストアプリはともかく、音源は無料で何かエエのんはないんか?わしゃ〜タイコの音だけはリアルなんが欲しいんぢゃい!・・・・・・と、探すとイエローツールズってトコからとても無料とは思えん「INDEPENDENCE FREE 2.0」ってーのが出てるのに行き当たった。圧縮状態でもすでに2GB近くある。ダウンロードには数時間かかったもののインストールも無事終わり、試しに単音で鳴らしておれは仰天した。何ちゅう素晴らしい音やねん!これ!

 フレーズで鳴らすべく久々にACIDを起動。こんなに重いVST、プラグインすると負荷も相当だろうから、使わないVSTを全部切ってしまうことにする。何ぢゃい!?良く見ると入ってるのどれもデモ版やんか、要らん要らん!
 そうして4小節ほど打ち込んで、鳴らして、閉じる。あ〜、でもまた異常終了するなやろな〜、気分悪いなぁ、MSPではこの巨大音源動かないって報告あるし、やっぱ休みの日にCUBASE買いに行こうかな〜・・・・・・あれ?

 ・・・・・・正常にソフトは終了したのだった。

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 何のことはない、バンドルされてたVSTが障ってたのである。それにしてもデモ音源やて。トーチャン情けなくって涙が出らぁ。他の設定は弄ってないから別の原因は考えられない。「そんなモン入れとくな!」と怒鳴りたくなるが、DLLファイルにはいろんな相性があるらしく、同じスペックのPC同士でも動く動かんがあると聞いたことがある。まさにそれだったのだ。脱力した。

 ともあれ、これでようやく再びスタートラインに立てた・・・・・・あとは誰か、おれに時間をくれ(笑)。


その画面。パッと見は各社どれも一緒に見える(笑)

2008.09.23

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