「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
ウーマントーンでピヨピヨピヨ♪


当代随一のウーマントーンの名手っちゃやっぱこの人。C・サンタナ。
ギター泣かせて悪いやっちゃ♪(笑)

http://wallpapers.duble.com/より
 この手のネタに興味もって読む人って、絶対まぁネタについての基本知識があるに決まってるとは思うのだけど、だからっちゅうてそこスッ飛ばしていきなりあれこれ書くのって、いかにも好事家同士の馴れ合いっぽい感じがする。敷居が高い。「わたいんトコは分からん人には別に来てもらわんかて結構でおま!」みたいな、薄っぺらな高踏ばかりが鼻についちゃう。ペダントリーだな。
 まったく知らない人が読んでもそれなりに楽しく読めたり、それについて興味を持ったりできるようでないとやっぱあきまへんよね。

 ・・・・・・なもんで、ウーマントーンについて若干説明するトコから始めて行こう。

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 ウーマントーンとは、要は歪んだディストーションサウンドの一種である。ロックギターには欠かせない音だ。創始者はクリーム時代のE・クラプトンで、元来は音色上の工夫というよりは、できるだけハウリングは起こさないようにしつつ、大音量とサスティーンを稼ぐための窮余の一策として編み出したとも言われるのだが、ギターのトーンを絞って高域をこもらせ、アンプ側もトレブルを絞り気味にしてゲインを上げて歪ませたのだ。
 ただしピックアップだけは、特性としてギンギンしがちなリア側を使ってたらしい。何かのインタビューで「おら〜ギブソンの性能は60年代に目一杯引き出したよ。リアのトーン絞るってやり方でね・・・・・・」なんて答えてるのを昔読んだもん。

 いずれにせよクリーム当時のメインギター自体、中低域が強く出るSGである(おサイケカラーなあれね)。結果、どんな音になったかっちゅうと、アタック感に乏しく角の取れた、ゴムのような・・・・・・もちょっとマトモにたとえるなら木管楽器のような音色になる。当然ながらヌケは悪い。「ギューン♪」とか「ギャーン♪」ってなオノマトペがエレキギターにはよく用いられるけど、ウーマントンの場合、「ピヨヨ〜♪」とか「ズモモ〜♪」ってな感じと言えばお分かりになるだろうか?
 ただ、何とも言えない甘くて太い、色気のある音でもある。だからウーマントーンなんて呼んだのだろう。むせび泣きかよがり泣きかは知らない(笑)。

 ご本人はその後、ストラトのハーフトーンなるものを見い出し、この特色ある音色を使わなくなるのだが、音色には多くのフォロワーが現われた。
 何といっても有名どころの筆頭はカルロス・サンタナだろう。情熱のラテンロック(笑)の元祖。グラミー賞総ナメにした例の曲にしたって、昔よりは幾分高域にハリのある音色になったとはいえ、基本は一貫してウーマントーン。いやもうこの人はギターを弾くのではなく、「ヒィヒィ泣かせる」ってーのがホント似合うわ。
 次は今や色んなパテント切り売り状態なブライアン・メイ。何かお金に困ってはるんですかね?・・・・・・って、それはともかく、80年代くらいまでのクィーンの音色を決定付けていたものは、この甘くて太い音色を何重にも重ね録りしたものだった。「ギターオーケストレーション」とか言われてたっけ?
 そぉいやおれが多大な影響を受けたフリップ御大もソロになると見事にウーマントーンだ。ああ、ボストンのトム・ショルツはんなんかも忘れがたいなぁ〜、今はどないしてはんねやろ?

 極端に進めた例はブラックサバスのトニー・アイオミだろう。高域どころか中域までもが絞り込まれ、極端に低域のみが強調された、まるで「ビニール袋が吸い込み口に引っ掛かった掃除機のような音」とでも言うのだろうか、ブボボボ〜♪っちゅう音を、昨今主流の北欧メタル系に代表されるドンシャリもどこ吹く風と、40年近くの長きにわたって出していらっしゃる。

 いずれにせよこうして列挙したら分かるように、みなさん基本的にはギブソン系のギターを使用し、搭載するピックアップはハムバッキングなのである(B・メイは有名な自作ギターだが、ミニスイッチの組み合わせで接続をハムバッキングにしてることが多かったらしい)。その方が断然ウーマントーンを出しやすいのだ。
 あと、弦のゲージに細目のものを使ってる人が多いのも特徴と言えるだろう。太いとハリとアタック感が強くなるし、軽く滑らかに弾きづらくなるからだと思う。この点でも、極端っちゅうかやりすぎなのはアイオミさんだな。愛用のSGは半音ドロップで、ただでさえヘニャヘニャの008のボトムをさらに細くして張ってるそうな。まぁ、彼の場合、指に障害を抱えてるので仕方なくそうしてるのかも知れない。でも、チューニングまともに合うのが不思議やね。ちょっと強く押弦するだけで、すぐに半音くらいピッチ狂うもんな。

 あ、それと、ピックに特徴のある人も多い。B・メイの6ペンスコイン、サンタナやフリップの巨大ピック、上で書き忘れたけど、ワウ半踏みのフライングV遣い、「神」、こと今は単なるアル中で新興宗教ハマッてるM・シェンカーもウーマン系だが、彼はティアドロップの薄いナイロンピックの肩の部分で弾く(地紋のパターンが引っ掛かってカリカリする)のだそうな。
 おそらくはいずれも、ピッキングのニュアンスをそこで付けでもしないと、他があまりにスムースだからかも知れない。

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 そろそろ個人的な話だ。

 クリアーな音ではおれは、高域にハリのあるアタック感の強い音、いわば粒立ちの良いクリスピーな音が好きなのだけど、歪ませた音では実は昔からウーマントーンが大好きなのである。歯切れが身上のフェンダー大好き、シングルコイル大好き、なのにだ。
 無論、ストラトでウーマントーンが出せないか?と言えば出る。元々意外に中域にコシのある音だから、フロントのトーンを絞って、ディストーションを深くかけ、さらにはコンプレッサーの助けでも加えれば大体近い音になる。四の五の細かい能書き並べるテクもないんだし、あとは気合でカバーすればいい。高域に特徴のあるテレキャスではちょっと厳しいけど、それでも同じようにすればなんとかなる。実際そんな風にしてずっと今までやってきた。

 でも、加工せんといかん分めんどくさい。普段ちょっと弾くときに、あまり足許にあれこれ並べる気になれないもん。アンプ直、といえば聞こえは良いが、要はめんどくさいのだ。ブチュッとアンプに突っ込むだけでピヨピヨブリブリとウーマントーンで弾き倒してみたい。

 たしかにハムバッキングはタルボを持ってる。だが、いかんせんコイツはボディがアルミ合金製だ。どうしたって芯のある輪郭のハッキリした音になってしまう・・・・・・いや、ホントのところはどうだか分からんのだけど、妙に近未来的で気分的にフェンダーよりさらにウーマントーンに向いてないように思えて、どうもイマイチ気分が盛り上がらない。要は優等生過ぎるんだよな〜、タルボって。何やってもソツないけど、個性に欠ける秀才タイプや。

 やっぱマホガニーっしょ、ローズネックっしょ、ハムバッキングっしょ・・・・・・ならばやっぱ元祖SGか、エクスプローラーかフライングVか、あるいはレスポールJrかファイヤーバードか、セミアコなんかもいいよなぁ〜。ああ、どれも最近では歯牙にもかけなかったヤツばっかぢゃん。でも、ペラペラで軽いし、肩こらなさそうでいいな・・・・・・などと急にギターヲタ熱が昂ぶってきたのである。ついには御茶ノ水や渋谷の楽器屋巡りなんかまで始めてしまった。

 ウーマントーン・・・・・・このウーマン、たぶんかなりの悪女だな。続きはまた今度。
 


有名なのはやっぱこれっすね。SGはキライやけど。

2007.05.13

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