「シズカナカクレガ」ヘヤフコソ
おやぢロックはロックなのか?

 
うう〜!ロックはもはや恥ずかしく情けないものだ!(笑)。

 いやもう、書いてて赤面してしまいます。十分にオッサンのおれが、だ。

 --------「おやじロック」--------うにょ〜!のぺぺぺ!!

 かれこれ10年ほど前から、数多くの名バンドの再結成が世界中で相次ぎ、この世界での高齢化は確実に進展してた。まぁもぉ、どれもこれも「お達者クラブ」状態で、そのうち再結成ツアー中にめでたく老衰でお迎えが来る、なんてぇ事態も起きるんぢゃないかと個人的には思ってるのだけど、ホンマもう無節操っちゅうか、矜持がないっちゅうか、みなさん昔の名前で出ておられる。特にプログレ系の体たらくには目に余るものがあるな。
 それがまぁ素人さんの世界でも同じようになってきた、ってことか。

 たしかに都内を歩いてるとスーツ姿の中年リーマンがピンクと臙脂のまだらのギブソン、あるいはラクダ色したツイードのフェンダー等のハードケースを持って歩いてる姿を時折目にする。今の若く向上心に燃えるギタリストはたいていゴロゴロとエフェクターボードも引きずっているのに対し、これらオッサンは70〜80年代への回帰志向からか、あるいは足腰の衰えからか、他の機材は概してシンプルなようで、あまりエフェクターまでビシッと提げてる例は見ない。

 この世の動きを見てると、でっかいバイクをそのパフォーマンスを半分も引き出すことなく群れてトロトロ乗り回してる単車愛好家とほとんど同じであることに気づく。若者にバイクが売れなくなったように、若者にギターやベース、タイコといった生楽器が売れなくなってきている一方で、かつてそれらに憧れを抱いてた世代が歳食ってそれなりに功成り名を遂げたりなんかしちゃって財力つけて、外国製の楽器に金を注ぎ込むようになって来ているワケだ。登山ブームもいっしょやし、オッサンにフェアレディZが売れるのも同じか・・・・・・ああ。
 その辺を巧く衝くように、レリックだのなんだのと、かつての名器がドンズバで売り出される。クラプトンのブラッキー、ベックのオックスブラッドのレスポールやエスクワイア、ギャラガー(そぉいや昔は「ギャラクハー」とかムチャクチャな表記してなかったっけ?)の塗装ズル剥けストラトなんかがそうだ。
 ちなみにこれらのおもなマーケットは日本らしい(笑)。エエお客さんなワケだ。トホホ、完全に足許見られてるよね。

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 情けない!
 恥ずかしい!
 ダサい!
 カッコ悪い!
 イケてない!

 ・・・・・・なるほどまぁおれもそう思う。エエ歳こいたオッサンが昔を思い出しながら仲間同士で、せっせと70〜80年代ハードロックなんぞのコピーを和気藹々とやってる姿は、ロックの表層をなぞってはいるが、本質的にロックが持ってた反抗・暴力・刹那・無軌道といったエレメントからはかけ離れとるな〜、って。
 実際ネット上でもこのおやぢロックについて批判的な意見もかなり見られる。「こんなの本当のロックぢゃない!」ってな風に。

 ・・・・・・ん?ちょっと待て!

 でもそれって単なるリゴリズム(厳格主義)だよね、やっぱし。「ロック」ってコトバを「イスラム」や「マルキシズム」に置き換えてみたらよく分かるでしょ?
 しかし、リゴリズムには、「おれは違うんだぜ!おれだけが分かってるんだぜ!実践者なんだぜ!」みたいな鼻持ちならない高踏と驕慢がその裏にあることも忘れてはいけないだろう。また同時に、えてしてリゴリズムを主張する人が、実は能書きだけの評論家に過ぎず、全くもって実践者でないケースがひじょうに多いことも忘れてはならない。おれは今は単車乗りぢゃないのに、群れて乗ってるオッサン連中に批判的なのも同じ穴の狢で、あまりあれこれ言えないけれど、それは高速道路をチンタラ占有されるのがウザいからで、同好の士が集まるのを止めろとまで言う気はサラサラない、などと言い訳じみて書き連ねるのもダサいなぁ〜・・・・・・。
 ・・・・・・って、つまり、単にリスナーやオーディエンスっちゅう享受者の分際で、ココロザシはどうあれ実際に音出してる連中の存在を否定するのもいかがなものかなぁ〜、と思う。

 音楽は宗教に近い。ならば、世俗派が出てくることは仕方ないぢゃないか。朝にロック、夕べにロール、日々の労働の後には感謝と平安の祈りならぬレイラだホールロッタラブだハイウェイスターだ(笑)。何も卓袱台で手酌でキリンのラガー飲みながら、TVのプロ野球中継に一喜一憂するばかりがオッサンのくつろぎでもあるまい。休日にビジターで訪れたゴルフ場で、結局は会社の序列でヘコヘコしながらグリーン叩くばかりがオッサンの余暇でもあるまい。いささかやるせないが、「おやぢロック」もまたロックなのだ。
 そのうち、老人のボケ防止に70年代ハードロックをシャウトしよう!なんてことにもなるかもね・・・・・・脳の血管切れたりして(笑)。

 ただ、おれは音楽をそのようなアティテュードではどうしてもやりたくない。大体コピーバンドなんて高校の時以来やってないし(笑)。どだいアイデアはいっぱいあるけど、目下他の事に足取られてまったく時間ないし。やる以上はあんまし中途半端にはしたくもないし。メンバーは欲しいが、それは自分のイメージの具現化のためだし・・・・・・。
 おれ自身がオッサン同士の仲良しクラブで群れなきゃいいんだ。たとえバイクを買ったって絶対ツーリングクラブになんか参加しないのと同じ伝だ。カンタンなことだ。それだけやんか。よし!

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 先日、会社で他の部署の人に話しかけられた。特に親しくはないのだが、いつも他の連中と楽しそうに往年のハードロック談義してる人だ。おれもたまにその場に居合わせると、ニコニコ笑いながら相槌を打っていたりしている。

 --------****さん、やっぱ昔バンドとかやってたんですか?
 --------あ、はい、やってましたよ。
 --------今でも楽器弾いてたりするんですか?
 --------そぉっすね。なるだけ毎日一回は持つようにはしてます。
 --------たくさん持ってるんですか?
 --------ええ、ヘタの横好きでケッコーよーさん持ってます。
 --------へぇ〜!どんなん持っておられるんです?

 ひとしきり話ははずみ、彼は言った。

 --------そんなら一度メンツ集めて、やりましょうよ。
 --------あ〜、いいっすねぇ!、是非誘ってください・・・・・・。

 莞爾と笑って答えながら、これまで自分自身ヘタだと思ってたけれど、案外嘘が上手になったもんだなぁ〜、と思ったのだった。無論、その「嘘」が、ホントに誘われれば2〜3度はシレッと出かけてって、淡々と合わせることまでができるだろう、っちゅうトコまで含めてであることは、言うまでもない。
2007.03.21

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